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TM:先ずは、シーズン5のリリースおめでとうございます。
足掛け7年に渡るシリーズの最終シーズンということで、普段以上の思い入れがあったかと思われます。
Koh:お祝いの言葉、ありがとうございます。 実際、嬉しいと言うよりは、ファンの方々を長らくお待たせさせてしまったことで、申し訳ない気持ちの方が強いと思います。
もっと前に完結させておくべきだったのか、あるいはシーズン10位まで継続した方が、7年もかけてやっとシーズン5を完結させるよりも良かったのではないかと思うと、ファンの方々に申し訳い気持ちで一杯です。
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TM:厳しい環境の中にも関わらず、完結させていただいて嬉しいです。 敢えて物語を継続させずに、今回のシーズンでKorean Irongirl seriesを打ち切りにする理由を何でしょうか。
Koh:実際にはKorean Irongirl seriesは初めから一つの大きな構図の元に始めた作品ではありませんでした。 シーズン1を製作した当時、このようにシーズン化して続編を制作するという計画もありませんでした。 
それに加えて、ご存知のように、各シーズン間の空白期間が余りにも長かった故に、毎シーズンごとにその時期の環境に合わせて毎度異なったスタッフ、別の場所、違った雰囲気でストーリーを作り上げて撮影をする羽目になりました。
 そのため、作品全体を合わせた大きな構図で、一貫したストーリーや情景を描くことがとても難しかったのです。

TM:そうですか。それにしても、毎シーズンごとに異なる雰囲気と、ますます洗練さを増していく姿がIrongirl seriesの魅力でもありましたね。 (笑)
Koh:そうです。(笑) でも、作品を創作する製作者の立場では、一貫した大きな構図と連続性が持てないことはとても残念でした。 それでストーリーがもっと大きな山を迎える前に(笑)ストーリーを交差させたかったです。 
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TM:それでは、近日中にリリースされるシーズン5、最終章、'Anthem'(アンセム)について、ご紹介をお願いします。
Koh:今回のシーズンは、1963年、韓国に初めてプロレスリングが導入された翌年に実際にあった、韓国の女子プロレスリング選手たちの集団の抗命事件(ボイコット事件)をモチーフにして製作されています。
以前のシーズンで、Irongirl大会を通じて韓国初の女子プロレスリング団体W.in.Dが設立され、ヒール団体であるAthenaとの対立、そして何故か水面下で自分の団体を破滅させようとするのか'その本音を伺い知ることができない団長(社長)の陰謀を描いたことがあります。
今回のシーズンでは、ついにこの団長の陰謀が明らかになって彼に立ち向かって戦うルミを中心としたW.in.Dとの闘争が描かれます。
参考に今シーズンに置いて、日本はストーリー的に重要な位置を占めています。
 そこで日本の有名女優のゲスト出演を推し進めていましたが、惜しくも不発となってしまいました。
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TM:あの方と、あの方ですか、、。(笑) 多くのファンの皆さんが残念がるお知らせですね。
Kohさんのせいではありませんが、私自身、実現していたら大変な話題となっていただけに、大いに失望しました。(笑)
話を元に戻します。
ということは、今回のシーズン5は、実際にあった事件をそのまま反映した一種の過去にあった事件の再現ドラマだと見なければならないんですか?
Koh:あ、そこまでは行きません。 (笑) 残念ながら、当時の記録が余りにも少なく、なぜ当時の女子選手たちが協会に抗命をしたか、そしてなぜ、その事件後に韓国は、日本のように女子プロレスが発展せず、急速に消滅したのか…その理由は分からなかったです。そこで、今回のストーリーは、 どこまでも私の想像によって再現されたものです。
最近、韓国が政治家の不正によって大きな騒動となっているニュースは、おそらく日本でも報道され、皆様もご存知のことかと思われます。 そこで私は、自分の権力を保持するために強者に取り入って弱者を踏みにじる韓国の醜い政治家達の姿を劇中の団長と協会に込めました。
劇中の日本選手たちは、ルミ選手を始めとするW.in.Dの選手と仕方なく対立する役割を与えられた存在として描写されますが、それにもめげずに心置きなく戦っていただけたらありがたいです。 (笑)
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TM:副題である'Anthem'はどのような意味を持っていますか?
Koh:Anthemは何かを祈願する歌を意味します。 最後のシーズンを準備しながら、今回のシーズンは、韓国女子プロレスリングの忘れられた歴史を慰撫し、今後の新しい出発を祈念する作品になることを望みました。
そして最後のシーズンを準備しながら、韓国初の女子プロレス劇となった、このKorean Irongirl seriesに出演した女優たち、一緒に苦労したスタッフたち、そして何よりも一様な声援を送って待ってくれた内外ファンの幸福を祈願する私の願いを込めたかったのです.
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TM:意味深長なタイトルですね。 今回も女優たちすべてオーディションで選抜したのですか?
Koh:もちろんです。 今回の出演者は、全員、大学の演劇映画科を卒業した女優の中から選抜されました。 今回はトレーニング期間を長くとったために、運動能力よりもキャラクターを中心に選抜をしました.
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TM:今回のシーズン5は、ルミさん以外は全員新顔でしょうか。
Koh:はい、4年の空白があったために、シーズン4当時、末っ子だったルミが、今や最年長となりました。 (笑) 今シーズンは、ストーリーの比重が大きくて、助演俳優とエキストラ俳優も多数登場します。 スタッフと俳優合わせて30人程度動員されました。 人材面でも舞台装置の面でも歴代で最大規模となりました。
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TM: 殆ど劇場映画並の水準ですね。 そういえば、今季はかなり準備をしたようですが…。トレーニング期間も長かったのでしょうか?
Koh:トレーニングの方法も以前のシーズンとは異なっています。 以前は、約2~3週間程度の期間に、週5日間の集中トレーニングを行いましたが、今シーズンは、数ヵ月の間、週末にだけ集まって練習をしました。 トレーニング期間は長かったのですが、実際のトレーニング時間は、以前のシーズンとあまり変わりがありません。
運動に慣れていない女優さんたちが、毎日激しいトレーニングをすれば、負傷や疲労が蓄積されてしまいます。 すると、肝心の撮影を控えた頃に彼女たちが消耗して体力が落ちてしまい、さらに細かい負傷の痛みに悩まされたりしました。
 それで今回は、敢えて期間を長く取って、ゆっくりトレーニングを行いました。
最近、TV 朝日でAKB48のメンバーが出演するプロレスのドラマが話題になっています、恐らく彼女たちとトレーニングのやり方が似ているんのではないかと 思います。
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TM:長い間大変ご苦労をされたようですが、 満足できる成果は挙げられましたか?
Koh:今回のトレーニング方式は、実際には困難が多かったと思います。 トレーニング期間が長引くにつれて、女優達や私も簡単に惰性に流されるようになってしまいました。 (笑)
以前のシーズンの際は、二カ月ほど集中すれば終わりでしたがが、今回は何か月もずっと気を使わなければならなかったので、どうしても疲れ果てしまいます。
出演者達が、他の撮影スケジュールのために欠席する場合も多い上に、長期間の日程のため、集中力が乱れる場合も多くて、俳優のコンディションを維持してチームの雰囲気を維持するのが本当に大変でした。 
良く面談も行い、トレーニング後には一緒に食事もしたり、皆でマッサージも受けるようにするなどの努力がありました。
そのためか 前シーズンより、さらに効率的なトレーニングの成果が見られました。
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TM:ちょっと考えてみても、トレーニングのために、かなりコストがかかりそうですね。
Koh:ご存知でしょうが、日本やアメリカの如何なる製作会社でも、撮影のために別の予算を組んで俳優をトレーニングするようなことはしません。
キャットファイト作品もサブカルチャーの一つですから、典型的な'多品種少量生産'のシステムの基に生み出されます。
何故なら、ファンの趣向や要求があまりにも多様だからです。 適度な品質で、最大限の多様なコンセプトの多くの作品を撮り、絶えず新しい人物を登場させることが、成功のカギになります。
この過程でのスターが発掘、育成されて、引き続き登場する新人達と調和をなすことが重要です。
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 このような業界の構造を思えば、事実として、"単一作品の撮影のために女優たちを訓練させる" ということは、ビジネスの観点から言えば、非常に非生産的で非効率的な方法です。
制作費の大半が、トレーニングの過程、すなわち俳優たちのトレーニングに対するギャラと、指導する選手の人件費、場所の賃貸料、諸費用などで消費されます。 
また、先程申し上げたように、俳優個人とチームの士気を維持するのも難しく、製作期間が長くなるため、数多くの作品を製作するのは困難です。
何より、このような厳しい訓練過程を経たとして女優たちが大きく変化することもありません。
何しろ、基本的な筋力や運動神経などは、短期間のトレーニングだけでで大きく向上するなんてことはありませんからね。
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TM:そのような非効率的なトレーニングを、固執してきたのには何か理由があるのでしょうか。
Koh:一番大きな理由は、韓国では、'トレーニング行わないと、'プロスタイルキャットファイト作品を製作できないからです。 何せプロレスがほぼ消滅した国であり、特に女優は、この分野に対する理解が全くありません。つまり、そのままでは日本や米国等の作品と同水準の作品を作ることができないからです。
また、韓国は、プロスタイルキャットファイトの需要がほとんどありませんので、日本や米国での売上を伸ばさないといけません。そこで、'海外作品'として売り込むには、何かその国にはない優れた部分が一つでもないといけません。
そして最大の理由は、何よりも、私自身が満足できなかったためでした。 
実際の選手だけはなくても、見る人々が納得できる水準のアクションを盛り込むことが、このジャンルのシネマを製作する製作者の義務だと思いました。
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TM:Shuujiさんが、 "女優さんのトレーニングや理解を得るのにどのくらい時間がかかるのか"とご質問されていました。
Koh:それは、毎シーズンごとに、女優ごとに差が大きすぎて回答は難しいですね。 (笑)
ただし、毎シーズンの訓練によって一定時間は絶対プロレスの試合を一緒に視聴し、女優達と対話する時間を持ちます。 
ほとんどの女優たちが、生まれて初めて'女子プロレス'を見にしたかと思います。 水着スタイルのリンコスを見ながら、ひとまず拒否反応を起こし、身体を投げる危険なアクションを見ながら恐怖を覚えます。 
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彼女たちは、3カウントルールすら知らない、白紙の状態であるため、まず、プロレスというものがどんなものなのか、事細かに説明しなければなりません。
しかしそれでも演技をすることが専門の女優ですから、数回の視聴覚教育を経て、巣早く適応してくれます。
ただし、試合を作っていく演技力や感覚は長年の経験で自然に得られる能力なので、人為的な教育だけでは限界があります。 
そこで、たまに、日本のキャットファイト作品を見て、日本の豊かな人材のプールと、定期的に登場するレジェンドの人材らに対してうらやましい気持ちを持ったりもしました。 (笑)
勿論日本の監督さん達も、それなりに困難に遭遇したり、多くの努力があるという点は良く分かっています。
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TM:そういえば、TeamWizardでも、これまでトレーニングなしに撮影したプロスタイル作品が数本出ましたね。
Koh:はい、セレブレィティレッスルや、日韓キャットファイトリーグなどがありました。 
しかし、いざやってみると、日本の制作者達への大変な尊敬心が湧いてきました。 "いやあ、こんなに大変なことを、一体どうやって毎月数十本も製作することができるのだろうか?"と(笑)。 
多分日本キャットファイト業界の体系的なシステムと、監督さん達の優れた演出力、立派な俳優さんたち、そして成熟した消費者がいるためと考えています。 
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TM:今急に知りたいことを思いつきました。 もしKohさんが日本人だったなら、どんな作品を製作したのでしょうか。 (笑)
Koh:私も考えてみたことがありますが、これといったことはなかったはずです。(笑)
たぶん、私も日本の制作システム内で、KIGと似たような水準の作品は、決して生み出せないであろうと想像します。
言葉が出たついでに申し上げたいことは、私は、私自身が、'試練を乗り越えて立ち上がった人間勝利の主人公'となることを望まないと言うことです。 
たとえ私が、文化的基盤がなく、内需市場もない韓国にいるという悪条件はあったとしても、逆に私が日本の監督さん達と比較し、有利な点もあるためです。
まず、私は、ある会社の社長であり、キャットファイトムービーの製作は、未だ私の副業と言っても良いものです。 
また韓国では、私以外の他に、キャットファイトの製作者もおりません。
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 つまり、私は、業界の慣習にとらわれず、上司の顔色を窺うこともなしに、自分勝手に制作環境と予算を定めることができる訳です。
今回のシーズン5のように、数ヵ月の準備期間と数十人のスタッフを動員して製作する作品は、このように自由な環境にあったために送り出すことができました。
すなわち私と日本の制作会社で、各自が置かれている異なった環境で、それぞれに最善を尽くしているのだと思います。