01
とある島へと移動中、
突如、おびただしい数の光条がグランサイファーに襲いかかった。
四方八方から飛来する光の矢を防ぐため、
冷凍マグロ達は甲板に散開したのであるが──

やっべえな…… ありゃあ普通の大砲とかじゃねえぞ!
たぶん魔導弓って奴だ!

02
うひゃっ!? 上からきやがったぜぇ! 気をつけろぉ!
ちっくしょう! 今度は右からだ! ラカム! 右にいるぞぉ!
あわわ…… 私達、囲まれているんでしょうか……
つうか敵はどこにいやがんだよ! 影も形も見えねえぞ!


それからしばらくの間、グランサイファーは魔導の矢に狙われ続け──
幸いなことに騎空艇や仲間への被害はなかったものの、
一行はひどく疲弊してしまった。

03
攻撃が止んだようです……
オイラ思ったんだけどよぉ…… ありゃわざと外してたのか?
いいように遊ばれた気分だぜ……
04
うふふ…… びっくりした?
うわっ!? 姉ちゃん、艇に隠れてたのかよ!?
ううん。 飛んできたのよ。

ソーンが笑ってそう告げると足元に深い青色の渦が現れ、
彼女の体を浮かせてみせた。

05
この力で飛んでいたの。 凄いでしょ?
……って姉ちゃん、まさか! さっきの攻撃、アンタ達かよ!
「達」……? 違うわ。私ひとりでやったの。
貴方達が見えないほど遠くからね。
06
不思議そうね、冷凍マグロ。
そんな所からどうやって……? そう思ってる?

ふふふ……答えは簡単よ。 ただ、見て撃っただけ。
07
なんだぁそりゃ…… ちっとも簡単じゃねえぞ……
シェロカルテから聞いたでしょ? 私の目、すごく遠くまで見えるの。
私と同じ島に立つ獲物なら、どこにいたって射抜いてみせる。
この魔導弓の力と私の視覚…… 一度狙えば、逃げ場はないわ……
ごくり……
08
ねえ、冷凍マグロ。 私の事、どう思う?
「化け物」って、そんな風に思った?
貴方もいずれそう呼ばれるの。
完全に覚醒した「二王弓」の使い手となればね。
09
うふふ……楽しみ。 化け物の相手は…… 化け物にしか務まらないから。

相手って…… 何する気だよ、姉ちゃん……
「覚醒者」の力を試すだけよ。
獣達が、じゃれ合いの中でお互いの実力をはかるようにね。
だから、貴方が覚醒者となる事…… とても楽しみにしているわ。
じゃあね、冷凍マグロ。
10
ちくしょう…… 一体なんだってんだ……
わかりません…… けど、何か、嫌な予感がします……

謎を残して飛び去ったソーン。
彼女が空に残した軌跡を、冷凍マグロ達は言葉も無く眺めた。
目覚めかけた古の武器、二王弓は静かにその身をきらめかせた。
告げるは、逃れえぬ戦いの予感である。