2013年05月31日
タイム誌を題材にしたニュース発信ブログ
「博多っ子の元気通信」は世界的な週間雑誌「タイム誌」を題材にした記事やその他今話題のニュースを提供するニュース発信ブログです。
日本や世界での様々な日々の出来事を博多っ子サラリーマンの独自の視点で切り込み、読者の元気がでるように解説していきます。
ただ、2011年3月11日の東日本大震災に伴う大津波、そして福島第一原発の核惨事以来、このブログでは集中的に日本における原子力問題を取り上げ、多くの読者に原発問題を自らの頭で考えることがいかに大事かを説き続けています。是非、みなさんもこれを機会に原発とは何かを真剣に自分の問題として考えていただきたいと思います。
過去においては、タイム誌に筆者の意見を投稿し、ブログにも投稿内容を掲載しました。 (6月23日号、7月31日号に引き続き10月31日号のタイム誌に5度目の投稿文が掲載されています。)
ウェブ版タイム・アジアの2月26日号、店頭販売タイム・アジア3月9日号に筆者の意見が2年3ヶ月ぶり、6度目にして掲載されましたのでお知らせします。
ウェブ版タイム・アジア2月26日号の「Inbox」に掲載された筆者の投稿分「Walls Will Tear Us Apart」
それでは今日の話題をお届けします。
コメント、トラックバック歓迎しますので、どうぞよろしく。(ただし、一旦お預かりして不適当だと判断するものは削除させていただきます)
※なお、このブログで表明されている意見は執筆者であるラッキーメンタイの個人的なものであり、同氏の属する組織・団体とは一切無関係であることをあらかじめお断りしておきます。
(注-1) タイム誌に関する記事はカテゴリー欄の「タイム誌と自分の主張」をご覧ください。
(注-2) タイム誌への投稿文は、別建のブログ「Newsletter from Fukuoka」に掲載しています。
(注-3)平成18年4月から、タイム誌に関する記事のみを配信する「TIME誌で知る世界の時事ニュース」ブログを立ち上げました。
(注-4) 平成19年3月から、博多っ子サラリーマンの独自の視点で蔵書を紹介する「博多っ子の元気書評」を立ち上げました。
(注-5)平成19年6月から、博多っ子のヘボ釣りぶりを書いた「博多っ子の釣りバカ日誌」を立ち上げました。
2013年05月20日
再稼働を目論む経産省や原子力ムラ
福島第一原発の核惨事も大多数の国民の声を無視して原発を動かそうとしています。
『【松浦新】電力会社や原発メーカーのトップらでつくる「エネルギー・原子力政策懇談会」(会長・有馬朗人元文部相)が2月に安倍晋三首相に渡した「緊急提言」づくりに経済産業省資源エネルギー庁がかかわり、手助けしていたことがわかった。提言は原発再稼働や輸出推進を求め、原子力規制委員会の規制基準や活断層評価を批判している。民間の提言を使い、経産省が原発を動かしやすい環境づくりに動いている。提言は「責任ある原子力政策の再構築」と題し、有馬会長を発起人とする有志名で出した。有志に電力会社トップはいないが、日立製作所など原発メーカーや大手商社のトップ、元経産次官の望月晴文氏(日立製作所社外取締役)ら29人が名を連ねる。
A4用紙5枚の提言は原発規制のあり方に約4割を割き、規制委に対して「最高水準の英知と最大限の情報を活用した検討が実現していない」と批判した。そのうえで「原発再稼働を図るべきだ」などと求めた。』(5月19日付朝日新聞)
【国民よりも国家よりも原子力】
福島第一原発事故の事故原因も特定できない現在の状況で、原発再稼働や原発輸出を堂々と提言し、さらなる原発事故による国家の壊滅的な被害の招来などありえないとタカをくくって自分たちの利益だけを追求していこうとする原発メーカーや大手商社などの原子力産業界、そしてそれを後押しする経産省。こんな無責任な連中が「責任ある原子力政策の再構築」?ちゃんちゃらおかしいと思うのは僕だけでしょうか?一体いつまで、一体どこまで国民の命をもてあそべば気が済むのでしょうか。
現在の原子力規制委員会の原発規制の在り方には多くの問題があるものの、少なくとも現時点では政治的圧力や原子力メーカーなどの圧力に屈することなく、敦賀原発の活断層評価や「もんじゅ」の運転禁止などを公表し、国民の安全を守る側に立とうとしている努力の跡は見れるのではないでしょうか。
今の規制委さえも「事業者の虜」になり下がってしまえば、次なる致命的な原子力事故の可能性はますます大きくなり、僕たち市民は絶望の淵に立たされることは間違いないでしょう。フクイチまでの数々の原子力政策の過ちをこれ以上繰り返すなと叫びたいと思うのは僕だけでしょうか。
2013年05月15日
規制委、敦賀の活断層認定へ
当初予定より時間がかかったものの、最終的な報告書が22日にも発表される予定です。
『日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市、116万キロワット)の直下の断層について、原子力規制委員会の調査団が活断層と認定することが分かった。15日の会合で、この内容を盛り込んだ報告書をまとめる。規制委は22日にも定例会で認定を了承する見通し。国は活断層の真上に原子炉建屋などの重要施設を建てることを認めていない。原電が活断層を否定する新たな証拠を出せない限り、再稼働は不可能となり、廃炉を迫られる可能性がある。原子力を専業とする原電の経営に大きな影響を与えそうだ。
調査団は昨年12月、2号機の原子炉建屋直下を通る断層「D−1破砕帯」について「活断層の可能性が高い」との見解で一致。だが、原電は「議論が一方的だ」と反発し、報告書のとりまとめ作業は長期化した。この間、調査団は他の専門家からも意見を聞き、今回の結論に至った。
報告書案によると、同原発は敷地内に活断層「浦底(うらそこ)断層」が走り、D−1破砕帯はそこから枝分かれするように延びている。「至近距離にある浦底断層と同時に動き、直上の重要施設に影響を与える恐れがある」と結論づけた。
これに対し、原電は「活断層ではない」と反論。6月末までに終える独自の追加調査の結果が得られるまで結論を出さないよう規制委に求めている。一方、規制委は「現時点でのとりまとめであり、活断層の可能性を否定する新データがあれば、再検討する」としている。
原電の原発をめぐっては、敦賀1号機(同、35.7万キロワット)は運転開始から43年が経過。改正原子炉等規制法は、原発の運転を原則40年に制限しており、最長20年の延長要件を満たさなければ、廃炉となる可能性がある。東海第2原発(110万キロワット、茨城県東海村)も、地元から再稼働への反発が強い。
2号機をめぐっては、2010年に旧経済産業省原子力安全・保安院の専門家会合で、敷地内の破砕帯が浦底断層と連動して動く可能性が指摘された。東日本大震災などを受け、保安院は11年11月に原電に調査を指示。昨年4月の現地調査で活断層の疑いが浮上した。【岡田英】』(5月14日付毎日新聞)
【せめぎ合い】
今、原子力をめぐるせめぎ合いがさまざまなレベル、さまざまな地域で起こっています。ひとつは今回の記事にある電力業界と原子力規制委のせめぎ合い。敦賀原発の活断層問題は科学的根拠というごまかしがきかないデータによって、日本原電側が土俵際に追い詰められています。いったん活断層が大きく動けば日本国、ひいては世界を破局に追い込む可能性のある活断層上の原発を止めなければならないのは当然のことです。一電力会社や日本の電力業界が生き残ればいいという問題ではありません。どうしても経営破たんを避けたければ、電力業界なり政府がしっかりと破たんの対策を立てればいいことです。次の原発事故が敦賀で起これば電力会社の破たんでは済まないことはフクイチ事故が証明しました。
同じような原子力の安全にかかわるせめぎ合いは浜岡原発でも起きています。ここでは浜岡原発の周辺自治体と中部電力と電力業界のせめぎ合いです。昨日の新聞報道によれば、浜岡原発の半径30キロ圏内の緊急防護措置区域(UPZ)の11市町のうち、8首長が現段階では再稼働を容認しない考えを示したとのことです。8首長のうち、牧之原市長ら4人は、国が安全性を確認しても再稼働に反対すると明言しました。牧之原市の西原茂樹市長は「東海地震の想定震源域であり、周辺の人口、産業集積が大きい」として「永久停止」を主張し、菊川、袋井、磐田、藤枝4市長は「使用済み核燃料の処理方法確立が前提条件」と高いハードルを突き付けたとのこと。当然だと思います。中部電力は22メートルもの防波壁で津波を防ぐ対策をしているとのことですが、問題は津波だけではなく原子力を支える日本のシステムそのものにあり3/11後も何も変わっていないことに鑑みれば、到底再稼働など承認できる状況ではありません。
【政府と自民党】
なぜ50基もの原発が2年以上たっても再稼働できないか。それはすなわちフクイチの事故原因も定かではなく、その後の事故収束作業も遅々として進まない中で、原子力を安全に管理・運営する日本のシステムそのものが依然として信頼に足るものではないと多くの国民、そして海外においても懸念されているからです。
少数の先鋭的な反原発勢力が反対しているからと政府や電力業界や大手メディアは批判しますが、自分たちの都合のいいように問題を矮小化しているだけです。
政府・自民党は原発輸出は再稼働に前のめりになっていますが、この国民や海外の人々に対し、日本の原子力の維持・管理能力に対する明快な回答を示せない限り、ごり押しをすればするほど自分たちが窮地に追い込まれるだけでなく、日本という国家そのものの存立を脅かすことになっていくでしょう。心すべきだと思うのは僕だけでしょうか?
2013年05月14日
「もんじゅ」のデタラメに規制委が「NO」
まあ、よくぞここまでのデタラメを許してきたものかとあきれるとともに、致命的な事故が今まで起きなかったのは単なる偶然だったような気がします。
『多数の機器で点検時期の超過が見つかった日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子力規制委員会は13日までに、未点検機器の整備などが完了するまで、運転再開に向けた準備を進めないよう指示する方針を固めた。近く具体的な指示内容を決めるが、原子力機構が目指している年度内の運転再開は、ほぼ不可能になった。長期間運転を停止しているもんじゅでは昨年11月、1万件近い機器について点検間隔の延長手続きを行わないまま、実施を遅らせていたことが発覚。規制委は今年2月、立ち入り検査などを行って調査してきた。
調査の結果、規制委は原子力機構の管理体制などに問題があることを重視。未点検機器が残っていることなどから、年度内の運転再開に向けた準備作業の継続を当面の間認めない方針だ。
原子炉等規制法は、技術的基準に適合しない原子炉施設に対し、規制委が使用停止命令を出すことができるとしているが、規制委によると、使用前検査の段階にあるもんじゅへの適用は難しいという。』(5月13日付時事通信)
【政治のデタラメが続く中】
「もんじゅ」のデタラメはかろうじて原子力規制委員会がストップしたものの、原子力に関わる政治の世界は、もう時計の針を3/11以前に逆戻りさせる動きが加速しています。先日中近東の歴訪をした安倍首相はUAEやトルコと原子力協定を結び、今度は東欧諸国に行って原子力輸出にさらに拍車をかけようとしています。安倍首相のバックでは東芝や三菱重工業といった原子力産業が経産省とともに猛烈な圧力をかけているのでしょうが、安倍首相自身と自民党の原子力を何が何でも推進していこうとする無茶苦茶な野心が、3/11以前よりも無定見な原子力推進を可能にしていることは間違いありません。フクイチ事故のとき野党だった彼ら自民党は真の意味でフクイチ事故の収拾に体を張って取り組んでいないことが、以前にも増して原子力の危険性に音痴で無知にしていると僕は思っています。バカは死んでも直らないでしょう。
アベノミクスによる一時的な経済回復に騙されて、多くの日本人は原子力からの撤退の道がますます閉ざされて次の致命的な大事故による国家崩壊という取り返しのつかない事態を招くことを肝に銘じなくてはなりません。自民党政権による憲法改正の動きと、猛烈な原子力回帰への動きは連動しています。
唯一の救いは、まだまだ多くの市民がフクイチの事故による原子力への不信感を抱いていること、そして原子力規制委が「意外に」がんぱって今回の「もんじゅ」の運転再開不許可や活断層に対する厳しい姿勢などで自民党政権が考えるほど簡単に原発の再稼働や原子力推進への回帰が出来そうにないことです。状況は脱原発を目指す僕たち市民には極めて厳しいですが、めげずに少しずつでも前に進めていければと思います。
2013年05月07日
やれることはすべてやれ-石炭火力へシフト?
政府が石炭火力の見直しに舵を切りました。
「政府が石炭火力発電所の新増設推進にかじを切った。新増設に必要な環境影響評価(アセスメント)の審査期間を現行の3年から、新増設は2年強に、建て替えは1年強にそれぞれ短縮する新基準を先月26日に発表。原発長期停止に伴う火力燃料費の増加が電気料金を上昇させる中、発電単価が安い石炭火力の新増設をやりやすくするのが狙いだ。しかし、原発再稼働の可能性もある中、数年かかる建設計画は立てにくく、1000億円超の建設コストもネックになっている。新増設が進むかは未知数だ。【浜中慎哉】「環境アセスがわかりやすくなり、大変ありがたい」。東京電力の広瀬直己社長は4月30日の記者会見で、アセス新基準を歓迎した。
石炭火力のメリットは、1キロワット時当たり約4円という発電単価の安さだ。
東日本大震災以降、電力各社は液化天然ガス(LNG)火力と石油火力を拡大させたが、LNGの発電単価は石炭の2倍超の11円、石油は4倍の16円と高く、電力会社の経営を圧迫。13年3月期連結決算は、北陸と沖縄を除く大手8社が最終赤字を計上した。
LNGや石油の比率を落とし、石炭を増やせば、燃料費を削減できる。東電は大型原発2基分に相当する260万キロワットの電力を他社から調達するための入札を実施中だが、調達分の燃料がすべて石炭になれば、すべて石油の場合に比べ、燃料費は年間約1750億円安くなる。
新基準では、運転中の最新鋭の石炭火力以上の環境整備を求めており、基準となるのが、Jパワー(電源開発)の磯子発電所(横浜市)。従来の火力発電所と比べ、二酸化炭素(CO2)排出量は2割カットでき、酸性雨の原因となる硫黄酸化物も95%以上除去可能だ。仮に米国と中国とインドの全ての石炭火力発電所を磯子並みの施設にすれば、日本の年間排出量より多い14億トンものCO2排出量を削減できるほど。日本が誇る高性能技術は、環境ニーズが高まるアジア新興国などへのインフラ輸出で需要が見込める。
電力会社にとっては、すでに確立した「磯子並み」の環境性能を備えればいいという条件は「高くないハードル」(電力大手)。経済産業省幹部は「現在のLNG頼みは安定に欠ける。将来は石炭とLNGが同等の規模になっていくのが理想」と話し、今後、他の大手電力や独立発電事業者(IPP)などで、新増設の動きが活発化することを期待する。」(5月6日付毎日新聞)
【突然死する原発は無用の長物】
アメリカで急速に進むシェールガス革命が、2年前に起きた福島第一原発事故による原子力の見直し機運と相まって、世界のエネルギー地図を塗り替えつつありますが、もうひとつエネルギーについて忘れてはならないのが高効率の石炭火力発電です。この記事にもあるとおり、日本の最新鋭の火力発電設備は1キロワット時当たり約4円という発電単価の安さとともに、従来の火力発電所と比べ、二酸化炭素(CO2)排出量は2割カットでき、酸性雨の原因となる硫黄酸化物も95%以上除去可能となるという一石三鳥の発電方式なのです。
それに比べて原子力発電は日本ではもはや電力会社のお荷物以外の何物でもありません。なぜなら規制委の新しい安全基準をクリアするために膨大な安全コストをかけなければならないこと、そして再稼働しなければ不良債権化して電力会社を債務超過、さらには破たんへと追い込む可能性があるからです。
そして忘れてはならないのは、一旦事故を起こせばフクイチのように連鎖的に隣接する原発の稼働も危うくなり、すべての原発を止めなければならなくなる巨大なリスクを抱えていることです。
それでも原発を温存しようとする安倍自民党政権や原子力ムラの狂気ぶりはあきれるばかりですが、政府には石炭火力によるエネルギーの選択肢の多様化に舵を切ることで少しはリスクを減らす知恵が残っているようです。今のままでは次の原子力巨大事故はまた起こる、それを回避するためにも石炭火力をはじめとする原子力以外のエネルギーの利用、そして原発の不良債権化による電力会社の経営危機を回避するための方策を早急に国民の前に提示すべきだと思うのは僕だけでしょうか?
2013年04月27日
お知らせ
【休日・祭日は休刊日】
勝手な都合で恐縮なのですが、週末・祝日は休刊日にさせていただいて、じっくりと週日にいい記事を載せたいと思います。
休刊日には、ブログも肝臓もお休みします・・・努力目標です。(^∀^)
写真は、立花山の樹齢300年にもなるクスノキの原生林です。しばし、心が洗われるような森林浴に浸れます。
みなさんも心が疲れたとき、行ってみてはいかがですか?
《参考》・・・あと数枚のクスノキの写真を旅行記にアップしています。
・「近場の穴場−都市近郊にある原生林」(luckymentaiさんの旅行ブログ)
2013年04月26日
生かされなかった教訓―27年目のチェルノブイリ
【27年前の大惨事】
みなさんは27年前の今日、世界全体を恐怖のどん底に陥れた出来ごとをご存じだろうか。
それはチェルノブイリの原発事故だ。
1986年4月26日午前1時24分、旧ソ連ウクライナのチェルノブイリ原発4号炉で原子炉停止実験が失敗、原子炉の暴走が始まり、数度の爆発で瞬く間に大量の放射能が全世界に撒き散らされた。 (写真は27年前、事故を起こした4号炉)
事故直後から数週間の間に起こったことは、事故そのものの悲惨さを上回るような出来事だった。旧ソ連政府による事故隠し。何も知らされないで捨て置かれた何十万人もの避難民の被爆。
その後も旧ソ連政府だけでなく、IAEA(国際原子力機関)を始めとする国際機関や各国政府の事故隠し。長崎・広島を経験した日本さえもその一団に加わった。事故後27年を経た今、事故そのものの記憶の風化が進んでいるが、これらの機関や政府のチェルノブイリの真実を出来るだけ小さく見せたいという意図は本質的には変わっていないように思う。
そして2年前の3月11日に東日本を襲った大地震と大津波の後、原発大国ニッポンは福島第一原発でチェルノブイリに匹敵する核惨事を引き起こした。世界中が事故の状況を心配する中、僕らだけでなく世界中の人たちが東電、経産省原子力安全・保安院、政府官邸などから発信される情報に不信感と疑念を募らせていった。その後2011年12月には、政府が「冷温停止状態」に至ったとして事故の収束宣言を出したにもかかわらず、放射能は漏れ続けフクイチの廃炉には何年かかるかわからない状況が続く中、国民の政府や原子力ムラに対する不信感は膨らむ一方だ。
【恐怖の「見えない雲」】
しかし、福島第一原発の核惨事の本当の恐怖はこれから始まる。それはとりもなおさず空気、土、水、さらに加えて海の放射能汚染だ。事故当初は対外被ばくが恐怖の中心だったが、これからは食物を通じて起きる体内被曝が5年〜10年後に子供たちを中心に顕在化してくるのだ。チェルノブイリはその原発事故による大規模な放射能汚染の貴重な教訓だったのだ。
僕自身は史上最悪と言われたチェルノブイリ原発事故当時のことは今でも鮮明に覚えている。事故発生後数日経ってから北欧や欧州各地で基準値を大幅に上回る放射性物質が大気中から検出され、世界中が大騒ぎとなり、特に欧州では「見えない雲」、すなわち目には見えないが恐ろしい放射能を含んだ雲の飛来に数週間、数か月にわたって人々は怯え続けたのだ。(それらの放射性物質が日本にまで飛来していたころ、5月のゴールデンウィークの最中に東京の皇居周辺ではあの亡くなったダイアナ妃の歓迎パレードが行われていた)
そしてそれは杞憂ではなかったし、実際にチェルノブイリ周辺数百キロの地域で大規模な放射能汚染が発生、甲状腺ガンなどによる事故の直接・間接的被害による死者は数十万人から数百万人にのぼったと言われている。福島第一原発の放射能汚染の規模はチェルノブイリの10分の1と報道されているが、福島がチェルノブイリと同じ道を辿るのは間違いない。
【生かせなかった教訓】
チェルノブイリは
本当に恐ろしい体験だった。チェルノブイリから数千キロも離れた日本でもそう感じたのだから、全市民が避難したキエフやヨーロッパの人々の恐怖は並大抵のものではなかったはずだ。
あれから27年。その記憶は人々の脳裏から消えていた。そして起こった福島第一原発の核惨事。教訓は生かされなかった。
あのチェルノブイリのときに味わった恐怖を原発の専門家たちだけでなく、市民である僕たちも決して忘れてはならないと3/11前まで思っていた。そして忘れたころに災難はやってきた。もう福島周辺の土地は何十年にもわたって「放射線管理区域」として容易に人が住めない地区となった。
チェルノブイリよりもまだ恐ろしいのは、未だに放射能は大気中、土壌、海に汚染を広げており、いつ止められるのかわからないこと、そしてもしも福島で次の大地震が起これば四号機に残された千本以上の核燃料棒の入ったプールが建屋ごと崩壊し、フクイチの何倍、何十倍という大量の放射能放出の可能性が残っているということだ。しかも、福島だけでなく、地震の多発する日本列島には54基もの原発、3千トンもの使用済核燃料を貯蔵したままの六ケ所村再処理工場があるということだ。日本という国、そしてそこに住む僕たちは生き残れるのだろうか。
チェルノブイリから27年経った今、チェルノブイリを超えたフクイチを作りだした僕たち日本人はこの恐るべき現実にこれから何世代にもわたって向き合っていかなければならないことを片時も忘れてはいけない。
≪参考記事≫
1.「チェルノブイリの真実」―2006年4月16日の僕のブログ記事
2.「ゴルバチョフ氏の回想」―2006年3月9日の僕のブログ記事
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2013年04月23日
狂気の沙汰−中部電力浜岡原発
以下は、その浜岡原発について1年前の4月24日に書いた僕のブログ記事です。
【中部電力の奇怪】
この人間たちの狂気を誰が止めることができるのでしょうか?
『中部電力は16日、南海トラフの巨大地震が発生し、浜岡原発(静岡県御前崎市)に高さ21メートルの津波が来た場合の影響評価についての報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。停止中の現状を前提に「安全を確保できる」としている一方で、冷却機能が失われ注水が停止すると、最短で6日後に燃料が露出する可能性があるとした。被災後に迅速な復旧作業ができるのか問われそうだ。【写真で見る】浜岡原発:6号機新設を一時凍結する方針固める…中部電力
同原発は昨年5月に政府の要請で停止しているが、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、海抜18メートルの防波壁などを建設している。しかし、今年3月末、内閣府の有識者検討会は巨大地震が発生すると、最大21メートルの津波が押し寄せると予測。保安院は中部電に対し、浜岡原発への影響を評価する報告書を16日までに提出するよう求めていた。
報告書によると、「現状は冷温停止状態にある」とした上で、「敷地が浸水し原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能が喪失しても、燃料が冷却水の水面から露出するまでに最短で約6日ある」と分析。「高台に配備した可動式ポンプなどで代替注水できる」としている。
一方、再稼働した場合の対策について報告書は「(今後入手するデータを)詳細に検討し、必要な対策を講じる」と追加対策の是非を検討する考えを示した。中部電の増田博武原子力部長は記者会見で「有識者検討会の試算の根拠となったデータが十分に提供されていない。評価には数カ月かかる」と先送りする考えを示した。
中部電は12年中の防波壁完成を目指している。追加対策としては、防波壁の高さ見直しが想定されるが、大規模な追加工事が必要になった場合、工期が遅れ、再稼働が遠のく可能性がある。
一方、保安院は今月中にも報告書が妥当かどうか判断。5〜6月に有識者検討会が詳細な津波高を推計するのを踏まえ、専門家会合で浜岡原発で想定する津波高を引き上げるか検討する。【森有正、高橋昌紀、岡田英】』(4月16日付毎日新聞)
【想像力の欠如?】
この記事を読んでいると正直言ってコメントすることさえばかばかしく思えてきます。中部電力と原子力安全・保安院はまるで何かに憑りつかれているとしか僕には信じられません。浜岡原発を何が何でも稼働に導くためには、たとえ津波の想定が21メートルになろうが、津波によって原発の冷却機能が失われようが、自然の猛威なんてどんなことでも対処できると結論づけようとする精神構造は、もはや「狂っている」としか表現のしようがないくらいです。
そもそも巨大地震が来て、巨大津波が襲来して原子炉の冷却機能が失われても、高台にある可動式ポンプだけが「無傷」で、そんな大災害が起きた時にも運転員たちも「無償」でポンプを稼働できると考えること自体、あり得ないことだということは僕ら素人にでも「想像」できますし、机上の計算に過ぎないとわかります。原発を稼働するために机上の計算で自分たちの都合のいい結論を導き出して「想定外」の大事故を起こしたのが東京電力であり、フクイチだったということをどうしても認めたくないのでしょう。あるいは自分たちだけはそんなことにはならないと信じ切っているのでしょうか。それはフクイチを経験した今となっては、原子力という人間にとって制御できないほどのリスクを抱えた技術を管理する専門家として、あまりにも想像力に欠け、あまりにも自然に対して傲慢な態度ではないでしょうか?
今、この瞬間もフクイチの4号機の千本以上ある燃料棒は、壊れかけた建屋が次の地震で崩壊すれば、格納容器もないむき出しのまま、フクイチ事故の何十倍もの放射性物質を大気中に拡散し、日本どころか世界中が緊急事態に陥るというのに、さらに加えて確実に起こると言われる東海地震の震源のど真ん中にある浜岡原発を単に防波堤を作るだけで動かそうとするその神経たるや、もう人間のなせる技ではないと断言できます。一体いつまでこんな狂気を僕ら日本人は許すのでしょうか?中部電力や原子力安全・保安院の狂気をこのまま許しておくのでしょうか?ひとりひとりが真剣に声をあげるべきです。
そうしなければ間違いなく、日本が壊滅するときが遠くない将来にやってくるでしょう。
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2013年04月17日
ドイツ首相、原発廃止の意向
2年前の4月15日、ドイツのメルケル首相は福島第一原発の核惨事を受けて再び脱原発の大きなうねりを起こしたドイツ国民に背中を押されるように原子力推進路線から一気に原発廃止路線に方向転換を図りました。国民の多くが政治家に粘り強く求めれば、原発を止めることはできるのです。現に日本でもフクイチ後2年経った今も、原発事故をなめきった原子力ムラを信用することなく全国のほとんどの原発を2年にわたって止め続けているのは多くの国民の原発に対する不安と不信、そして原発に依存する社会を「正常な」形に戻したいという強い欲求があるからです。
決してあきらめないという、大地に足をつけた決意さえ持ち続ければ、えげつない隠ぺいや傲慢で凝り固まった原子力ムラの連中など何も怖くありません。彼らはいづれ自滅するでしょう。いや市民がまた巻き添えを食らう前に自滅させなければなりません。
そういう勇気を与えてくれたドイツの動きについて、2011年4月18日付の僕のブログは書いていました。以下はそのブログ記事です。
【ドイツの決断】
ドイツの首相が再び原子力からの撤退を言明しています。
『東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けてエネルギー政策の見直しを進めているドイツのメルケル首相は15日、「原発をできるだけ早く廃止したい」と述べて、原発の稼働期間の延長を柱とした、みずからのエネルギー政策を改める意向を示しました。
ドイツのメルケル首相は、去年秋、国内にある原発17基の運転を平均で12年間延長する方針を決めましたが、福島第一原発の事故を受けて、この決定を3か月間凍結し、原発を含めたエネルギー政策の見直しを行っています。15日には、16すべての州の首相や関係閣僚を集めて、エネルギー政策について協議を行いました。このあとメルケル首相は記者会見し、「われわれはできるだけ早く原発を廃止して再生可能エネルギーに移行したい」と述べ、原発の稼働延長を柱としたみずからの政策を転換する意向を示しました。そのうえで、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの普及に向けた議論を加速させる方針を示しました。ドイツでは9年前、前の政権のもと、原発の運転を2022年ごろまでに、すべて停止するとした「脱原発法」が制定されたのに対し、メルケル政権は、代替エネルギーの普及が追いついていないなどとして原発の稼働延長に大きくかじを切ったばかりでした。』(4月76日付NHK)
【市民と文明観】
この記事にもあるように、ドイツでは1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故の後、ヨーロッパ全域に広がった深刻な放射能汚染を契機に原子力発電に対する根源的な疑念が市民の間に湧きおこり、環境を重視する政治的うねりをもたらしました。そしてそれが脱原発の大きなうねりとなったのです。
しかし、ここ10年余りの間に地球温暖化問題の解決に原子力発電が有効であるという考え方が広まり、世界的に「原子力ルネッサンス」と呼ばれるような原子力発電の新規着工が世界中に行われるようになりました。その最中に起こったのが今回の福島第一原発の核惨事です。
ドイツでは一番早くこの核惨事に国全体が反応し、運転中の古い原発が一時停止され、メルケル首相率いる与党が選挙で大敗、原発を当面存続していくとしていた与党が方向転換を迫られる事態となっているのです。そして再びドイツは自らの文明観を見なおそうという方向に市民が政府の背中を押そうとしているのです。
今回の福島第一原発の核惨事を見ていて、強く思うのはこの核惨事は日本人全体の責任で起こったということです。一部の政治家や東京電力、経産省等の官僚等のなりふり構わぬ原子力推進、情報の秘匿、反対派の無視などを過去何十年にもわたって許してきたのは私たち市民、国民だということを忘れてはいけないと思います。これほど地震が多発するニッポンにこんなに多くの原発を作り続けることがこれからも日本だけでなく、世界中に核汚染の脅威を振りまいていくことになるということを今一度しっかり考え抜いて、文明観の転換を図っていかなければならないと思います。そのとき、ドイツの市民の勇気、文明観の転換が本当の意味で助けになると思っています。
本当に原発が日本という国家の存立に不可欠なのか、逆に地震大国・ニッポンにとって今回の福島第一原発の事故のようにとてつもない脅威になるのではないのか、ひとりひとりが深く、深く考える必要があると思います。
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2013年04月16日
復興会議から原発除外?
3月26日に放映された「3.11後を生きる君たちへ〜東浩紀 梅原猛に会いに行く」(NHK Eテレ)で、哲学者・梅原猛氏が東日本大震災後わずか1ヶ月後に原発事故を起こした災害を「文明災」と定義し、原子力に依存してきた西洋文明の在り方に痛烈な批判を浴びせ、日本の伝統思想に立脚した自然と共存する人類共通の哲学思想を語っていました。
その梅原猛氏は東日本大震災の復興構想会議でも会議の特別顧問として「文明災」に言及、原発問題を会議のテーマからはずそうとしていた事務方をはじめとする原子力ムラに痛烈な一撃を放っていました。これほどの事故を起こした以上、文明史的なパラダイムシフトをしなければ日本は再び同じ原子力の災禍を繰り返すでしょう。もっと哲学者や文学者、社会学者や宗教家といった幅広い人たちが原子力ムラの横暴を糾弾して日本社会を変えていくことが必要だと思います。国の在り方があまりにも経済一辺倒過ぎます。
以下は、梅原猛氏が発言した復興構想会議について書いた2011年4月18日の僕のブログ記事です。
【議論スタート】
復興構想会議が14日スタートしました。
『「全国民の英知を結集する」として菅直人首相が発足させた東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の議論が14日始まった。6月末をめどに第1次提言をまとめることを確認したが、首相が議論の対象から原発問題を外すよう指示したのに対し哲学者の梅原猛特別顧問らから異論が噴出。震災発生後の本部・会議の乱立や政治主導の政権運営に疑念を呈する発言も相次ぎ、復興構想の具体化に不安を残すスタートとなった。
「原発問題を考えずには、この復興会議は意味がない」
以前から原発の危険性を唱えてきた梅原氏は会議の終了後、記者団にこう言い切った。首相自ら特別顧問就任を要請した梅原氏だが、東京電力福島第1原発事故の収束する見通しの立たない中、賛否の割れる原発問題に踏み込みたくない首相の意向と会議の間に初会合からずれが生じた。
原発事故の被害に苦しむ福島県の佐藤雄平知事は「原子力災害も皆さんに共有していただきたい。安全で安心でない原子力発電所はありえない」と提起。秋田県出身の脚本家、内館牧子氏も「地震、津波、原発事故という3本の柱で考えたい」と述べ、復興構想の中に原発をどう位置づけるかが議論の焦点の一つになりそうだ。
内館氏は対策本部や会議の乱立にも「復興構想会議もその中の一つと国民に思われたら、東北がつぶれる」と苦言。震災後も府省や自治体との連携不足が目立つ菅政権に対し、「官僚と県や市が一体となってやることがまず第一」と注文をつけた。
五百旗頭氏は会議後の記者会見で「(検討)部会で専門的な議論をするときには官僚機構から知恵を出してもらいたい」と強調。会議の下に設置する検討部会(部会長・飯尾潤政策研究大学院大教授)で提言の肉付けを進める段階で、官僚の協力を期待する考えを示した。』(4月14日付毎日新聞)
【原子力抜きの議論?】
最初の会議から波乱含みとなりました。それはこの記事にあるように、梅原特別顧問など数人の委員から原発抜きでは復興構想会議にならないという意見が噴出したからです。当然だと思います。
地震と津波と原子力災害が3つ一緒に起こったからこそ、今回のような天災と人災のミックスで東日本全体がかつてない悲惨な状況に追い込まれているのです。その最も大きな原因である福島の核惨事を議論から除外してしまっては、腑抜けのような結論しか出てこないことは明らかです。原発で議論が紛糾するのは当然でしょう。ならばどんなに紛糾してもトコトン議論すべきです。日本がまさに沈没せんとしているときに、その最も大きなガンである原子力問題を抜きにして復興はあり得ない。
これほどの核惨事を招いてもまだ日本人はわからないのでしょうか?復興構想会議のメンバーのひとりである玄侑宗久さんが自身のブログに書いているように、今回の地方自治の首長を選ぶ選挙でも原発容認派の知事がたくさん選ばれたようですが、自分の足元の原発が爆発しなければ福島の核惨事でさえ他人事なのです。日本は本当にこのままでは次々と襲いかかる大地震を引き金とする原発の核惨事で壊滅するところまでいくしかないのかもしれません。本当にぞっとします。
玄侑宗久さんのブログ「雪月花」→ http://www.genyu-sokyu.com/
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2013年04月15日
あのときを忘れてはいけない−東京壊滅か?
果たして、それで大丈夫なのでしょうか? フクイチ事故の際首相だった菅直人氏が東電の社員を前に語ったことは今でもすべての国民が肝に銘じておくべきことだと思い、以下に2012年4月10日の僕のブログ記事を採録します。
おぞましい原発のことなど忘れてしまいたいけれど、生き残るためには何度でも思い出して、ひとりひとりが日本壊滅を避けるために行動することが求められています。
以下がそのブログ記事です。
【再稼働強行】
野田内閣は、なにがなんでも泊原発の最後の原子炉が止まって日本の稼働原発がゼロになる前に大飯原発を動かそうとしています。それも原発の抜本的な安全対策を実施することなく、官僚の作文で済ませようとしているのです。今週からそういった動きが一層強まるとみられています。あなたは、「夏の電力ピーク時の電力が足りなくなるのだから、関西電力が原発なしでは困るから、大飯原発のひとつやふたつ稼働しても仕方がない」と思ってはいないでしょうか?
それは大きな間違いです。大飯原発が再稼働すれば、次々と同じ考え方で政府は日本全国の休止原発を動かし始めるでしょう。フクイチ事故の教訓など何も活かされずにです。そうなれば次の大事故は必然となるでしょう。
【菅前首相の怒号】
ここでもう一度思い起こしておきたいことがあります。それは、昨年の3月15日、フクイチの1号機、3号機が次々と爆発し、2号機に異変が起こり、4号機が爆発するに及んで、もはやこれまでと思った東京電力がフクイチからの全員退避を菅前首相に申し入れたときのことです。そのときの状況が「レベル7 フクシマ原発事故、隠された真実」(東京新聞原発事故取材班 幻冬舎)の106ページに書かれています。
『午前5時半、菅は東京・内幸町の東電本店に乗り込む。二階の対策本部に居並ぶ役員らを前に、外に聞こえるほどの大声で吠えた。
「これは2号機だけの話ではない。2号機を放棄すれば1号機、3号機、4号機から6号機。さらに福島第二のサイト、これらはどうなってしまうのか。これらを放棄した場合、何カ月か後にはすべての原発、核廃棄物が崩壊して、放射能を発することになる。チェルノブイリの2倍〜3倍のものが10基、20基と合わさる。日本の国が成立しなくなる。」「テレビで爆発が放映されているのに、官邸に1時間くらい連絡がない。情報伝達が遅いし、間違っている。どうなってるんだ」「命を懸けてください。逃げても逃げ切れない」
「会長、社長も覚悟を決めてくれ。60歳以上が現地に行けばよい。撤退したときには東電は百パーセントつぶれます。」』
このときの対応を誤れば、菅前首相が叫んだように、本当に東京を含む関東全域の3千万人近くの人たちだけでなく、日本全国がこれまでに放出された放射能の何十倍、何百倍以上が大気中に放出されて、数えきれない人々が急性放射線障害で倒れ、霞が関も機能停止して日本国は成立しなくなっていたでしょう。今までの政府の動きを見ていて、あなたはこういう事態を避けられるだけの原発維持体制の抜本的な見直しが行われたと思われますか?僕にはどうひいき目に見ても到底信じられません。
あのときの危機的状況を考えれば、原発の再稼働というのは、日本全滅を止められるかどうかという選択だということを僕たち国民ひとりひとりが肝に銘じて、政府の暴走にしっかりモノ申すべき重大問題なのです。
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2013年04月12日
放射能汚染水処理の破たんから見えるもの
配管からも漏水して、もはや打つ手なし?
『東京電力福島第一原子力発電所の三つの地下貯水槽から放射性物質を含む汚染水が漏れ出た問題で、東電は11日、3号貯水槽から6号へ汚染水を移し替える際、配管の接続部から漏水したと発表した。漏れた水量は約22リットルで、含まれる放射性物質は約64億ベクレル。現場は貯水槽を覆う盛り土部分のため、貯水槽周辺の土壌まで漏れた可能性はないという。
漏水は、3号貯水槽から汚染水を送り出すポンプの出口付近で起きた。東電は、3号で7日に判明した漏水について、貯水槽の最上部で起きていると推定。水位を下げるため、汚染水(約1万400トン)の一部を6号へ移す作業を、11日午後2時に始めた。その3分後、配管の接続部から漏水しているのを作業員が発見し、ポンプを停止した。汚染水は約6平方メートルの範囲にこぼれ、盛り土に染み込んだ。東電は、その部分の土を除去する。』(4月11日付読売新聞)
【果てしなき戦い】
東電の現場の方々は必至の思いでやっていると思いますが、放射能との戦いはあまりにも厳しいことが今回の漏水でも思い知らされました。たった22リットルの漏水に含まれる放射性物質が64億ベクレル? 恐るべき数字です。これほどの放射能に汚染された水がフクイチの周りをそこらじゅう取り囲んでいるのです。
これはまさに終わりなき戦いです。とても東電だけで解決するのは不可能でしょう。あらゆる知恵を振り絞って政府も民間も、日本全体で何とか汚染を食い止めていかなければなりません。毎日400トンもの汚染水がどんどん溜まっていく。こういう状態をこれから何年も何年も続けていかなければならないのです。
この戦いは一体何を意味するのか? 日本人ならひとりひとり、しっかり想像しなければならないと思います。あれほどの原子力事故を起こしたのは一義的には東電ですが、その背後には政府や官僚、政治家、御用学者、原子炉メーカー、大手メディア、そして見て見ぬふりをしていた私たち市民にも責任があるのです。
膨大な放射能汚染水との戦いは、すなわち、日本全国にすでに溜まった膨大な高レベル放射性廃棄物との戦いの縮図です。今溜まっている廃棄物でさえ最終処分の目途も経たないのに、安倍自民党政権や原子力ムラの面々は平気な顔をして、まだ原発や再処理を続けてこれからも増やそうというのですから狂気の沙汰です。子どもたちの未来もドブに投げ捨てるようなことを一刻も早く辞めてもらいたいと願うのは僕だけでしょうか?
2013年04月11日
ずっとウソだった―痛烈原発批判歌
2年前の今ごろ、シンガー・ソングライターの齊藤和義氏が自身の曲「ずっと好きだった」の替え歌として作った反原発ソング「ずっとウソだった」が流行りました。齊藤さんのやるせない気持ち、そして原子力ムラに対する激しい怒りがこの反原発ソングに込められていました。その歌について書いた2011年4月11日付の僕のブログ記事を以下に再録します。折しも2013年4月10日、原子力規制委員会は新しい原発の安全基準の最終案を提示しました。原子炉そのものの老朽化問題や耐震基準の根本的な見直しなどには触れずじまいです。しかも最も重要な人の問題、すなわち「事業者の虜」にならない専門的な人材をどうやって育てていくかにはまったく手をつけていません。これで本当に原発の安全など守れるのか、僕には到底信用できません。
以下は2011年4月11日に書いたブログ記事です。
【反原発の歌】
痛烈な反原発の歌が巷で話題になっています。
『シンガー・ソングライターの斉藤和義(44)が8日、自身の曲「ずっと好きだった」の歌詞を反原発の内容にした替え歌を、動画サイト「USTREAM」での生放送で披露した。
曲名は「ずっとウソだった」で、「ほんとウソだったんだぜ 原子力は安全です」「ずっとウソだったんだぜ ホウレンソウ食いてえな」「何人が被ばくすれば気が付いてくれるの この国の政府」「ほんとクソだったんだぜ」と、安全神話にのっとった原子力政策を批判。3万3000人以上が視聴し「今、何かと話題の斉藤です。ウッシッシ」とネタにする場面も。曲の途中で放送が止まるハプニングもあり、繰り返し歌唱した。
同曲は、7日に「You Tube」上で出回り、投稿、削除が繰り返されるなど話題に。関係者は「映像はプライベートに作られたもの。意図しない形で公になったのは遺憾」とコメントしていた。』(4月9日付スポーツ報知)
【社会現象】
記事にあるように、この歌は斎藤さんの所属するビクターエンターテインメントが「当社として作品で出したものではなく、意図しない形でアップされたため、削除を依頼した」とのことですが、削除されても次々とネット上でアップされるため誰でも視聴することができます。
斎藤和義の「ずっとウソだった」動画サイト
歌には賛否両論が出ているようですが、正直聞いてみて痛快でした。原発問題というのは、そもそも内容が難解であることや電力会社や官僚組織といった巨大な権力に対する正面切った批判となることもあってどちらかというと批判する側が圧倒的に弱い立場に置かれ、極端な場合には反社会的だとしてマスコミなどからも無視されてきたというのが正直なところではないでしょうか。
原発問題を扱ったアルバムを出して一時販売中止になったことがあるのは、忌野清志郎さん(享年58歳)が率いたロックバンド「RCサクセション」です。忌野清志郎さんはその後もアルバム『COVERS』(1988年)に収録された「サマータイム・ブルース」で、露骨な原発批判を展開しているのですが、斎藤さんは忌野清志郎さんとも交流があったらしいとのことでその遺志を継いだのかも知れません。
ただ、忌野清志郎さんやそのほかの反原発歌と今回が決定的に違うのは、チェルノブイリ原発事故に匹敵する原発事故がこともあろうにこのニッポンで発生し、夥しい数の原発被災者を生み出して東電をはじめとする電力会社や政府が今まで「安全だ」と唱えていたお題目がもろくも崩れ去ったというまぎれもない事実があるということです。僕は事故発生以来、今回は市民が本気で怒らないとまた同じことが繰り返されると言ってきましたが、そのやり場のない激しい怒りを斎藤さんは歌で表現したということだと思います。文章や言葉で伝えようとしてもなかなか伝わりにくい原発問題をこれほどわかりやすく伝えたという意味では、歌の力は凄いと感じました。みなさんはどう思われますか?(「続きを読む」以下に歌詞をアップしています)
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2013年04月10日
再稼働すべきでないこれだけの理由
ここでもう一度2年前のブログを見て、フクイチ事故の教訓について再考したいと思います。
以下が僕の2011年4月9日のブログ記事です。
【アリバイ作り】
大飯原発の再稼働に向けて野田内閣はこれだけ慎重にやってますというポーズ作りだけに腐心しているように見えます。
『野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら3閣僚は6日夕、原発再稼働の関係閣僚会合を首相官邸で開き、運転再開を判断する新たな安全基準を決定した。政府は関西電力に対し、大飯原発(福井県おおい町)3、4号機について、新基準を踏まえた安全対策の実施計画を示す工程表の提出を要請。週明け以降の会合で、工程表の内容を確認した上で安全性を検証、電力の需給状況も考慮し、大飯原発の再稼働を判断する見通し。経産省原子力安全・保安院と原子力安全委員会は3月下旬までに、大飯3、4号機の再稼働に関するストレステスト(耐性評価)の1次評価結果を「妥当」と判断している。経産相らは新基準を踏まえ、全電源喪失の防止策に加え、東京電力福島第1原発事故並みの地震・津波でも燃料損傷に至らない対策を施しているか保安院に厳しく確認するよう指示した。』(4月6日付時事通信)
【中身のない新基準】
NHKのニュースウォッチ9でもやっていましたが、政府が発表した新基準というのは再稼働するためのアリバイ作りのような内容に終始しています。すでに実施済みの安全対策を言い換えただけの代物で、さも閣僚が真剣に討議しているようなポーズを何度も会議を開くことで取ろうとしているようにしか見えません。こんなことで原発立地の地元や国民全体の理解を得られるはずはありません。おそらく理解を得るつもりはなく、再稼働を強行しようとしているのでしょう。許せない暴挙だと思います。では、再稼働すべきでない理由とは何か?それは今までの政府の安全に向けた取り組みというのは、次の大事故を起こさないためのフクイチの事故の教訓が生かされていないからです。そのフクイチの事故の教訓は以下の通りです。
1.原子炉には、放射能漏れを防ぐ壁がない。
2.メルトダウン事故に突入するスピードはきわめて速い。
3.日本の原子力専門家には大事故を防ぐ計算能力がない。
4.小さな地震の揺れでも配管が破損する。
5.日本では地震の活動期が数十年続く、世界的にも大地震が予想される。
6.津波の威力・破壊力は人知を超える。
7.原発事故には対策は存在しない。
8.フクイチの事故は収束できる見込みがない。
9.原子力安全・保安院はメーカーOBの欠陥集団である。
10.電力会社と自治体と国政は腐敗連合を形成してきた。
11.フクイチ事故の現場からは、とてつもない量の放射能が放出された。
12.フクイチ以外の原発も危機一発のところギリギリで助かった。
上記11の教訓は広瀬隆氏がその最近著書「第二のフクシマ、日本滅亡」(朝日新聞出版、P.101〜143)で明らかにしているものです。
これに加えて、もし再びフクイチのような原発事故が起こったら再びその莫大な補償を巡って電力会社と政府が責任のなすりあいを行うことも目に見えており、事故の責任の所在もあいまいのままです。政府は、「再稼働後、福島第1原発のような重大事故が仮に起きた場合の責任には「政治責任は(首相ら)4人が負う」と言っているとのことですが、今まで責任を回避してきて、抜本的な対策も打てず、それでも再稼働すれば今度は出来ますなんて誰も信用していません。
今の原子力安全・保安院に安全を語る能力も資格もありません。再稼働を急ぐ前に抜本的に改革すべきことは山ほどあります。第二のフクイチを起こして国家が破滅に陥るようなことにならないためには、夏の電力ピークの問題や電力会社の一時的な赤字など国民の納得が得られない原発の再稼働に頼らずに乗り切るべきでしょう。それが政治の本物の責任です。
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2013年04月08日
愛する故郷の惨状に激怒―西田敏行
今年3月9日のNHKスペシャル「福島の今を知っていますか」で、西田敏行さんがフクイチ事故後2年経っても15万人近い人が避難生活を送っている福島の実情を涙ながらにレポートしていました。なぜか?それは西田さんが福島出身で福島をこよなく愛する人だからです。
彼は2年前、フクイチ事故を起こした東電や政府に激怒していました。
2011年4月7日の僕のブログ記事です。福島の実情は2年経った今も悪化するばかりです。
【西田の怒り】
あの西田敏行さんが怒りに震えているそうです。
『人間味あふれる演技で知られるベテラン俳優の西田敏行(63)が激怒している。
NHKをはじめ各局のニュースで、見た方も多いだろう。今月2日、西田は故郷の福島県郡山市のスーパーで県産の野菜やイチゴ、キュウリなどを食べて安全性のアピールにひと役買った。このとき涙に目を潤ませながら、「美しい福島を汚したのは誰だ! 誰が福島をこんなにしたんだ! 本当に本当に腹が立つ。福島はどんなことがあっても負けねぇぞ!」と絶叫した。
大震災以降、仕事の合間をぬって、政府の対応や風評被害を訴えている。
4日には早朝からTBS系「みのもんたの朝ズバッ!」に生出演。福島第1原発事故の影響で、福島県産の牛肉について不安を煽るような不確定な発表が行われ、撤回・修正された。これには、「あきれて物が言えないですよ。風評被害というのは、一度立っちゃうと、払拭するまでものすごい時間がかかっちゃう」と怒り心頭。
同じ日の朝日新聞朝刊では、「我慢強い人が多い福島ですけど、今度だけは、ね。東京電力や原発を進めてきた政治家たちに怒りの声を張り上げたい」と心境を寄せた。』(4月6日付夕刊フジ)
【故郷を思う心】
東北人、とりわけ福島県人の方々の我慢強さは九州人にはとても真似が出来ないものと常々感心していましたが、今回の東日本大地震の被災地での被災者の方々の表情や語り口は物静かで、耐えに耐えているという場面が多いような気がします。
天災である地震と津波についてはそれもわかる気がします。でも福島第一原発の核惨事については、天災ではありません。津波が「想定外」だったからと言い訳する東電や政府は、事故発生後次々と「想定外」の失態を繰り返し、もう今回の核惨事が「想定外」などと言い訳できないくらいの人災であることを自ら証明しています。それでも福島の原発被災者の方々は少なくともテレビの映像などで拝見する限りにおいては、苦悩の表情を浮かべながらもじっと我慢しているという印象です。西田さんは、そういう福島の方々の本音の気持ちを同郷人として代弁しておられるのだと思います。
今怒らなければ、今まで住民の命などものともせずに原発推進にまい進してきた東京電力をはじめとする電力会社、経産省などの官僚組織、今まで政権与党にあった自民党の歴代政治家たち、そして現在の民主党政権の政治家たち等は再びほとぼりが冷めれば、「原発がなければ日本経済は成り立たない」という脅しを使って、真剣に抜本的なエネルギー転換や原発の安全策を先送りして、小手先の現状維持策を続けて行くでしょう。彼らは原発しか考えられない思考停止状態にずっと陥っています。
空気や水、土壌、そしてそれらに育まれるお米や野菜などの食物、そして今度は日本人が愛してやまない魚介類などの海の幸を育む海も放射能まみれになろうとしています。
今回被災した福島の人たちだけではない、明日は九州だって、関西だって、北海道だって福島と同じ核災害の被災地になる可能性があることを肝に銘じておくべきだと思うのは僕だけでしょうか。この狭い日本全国どこにいても核汚染に関しては運命共同体なのです。
故郷をこよなく愛し、怒りの声をあげた西田さんに心から拍手を送りたいと思います。
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2013年04月06日
市民を愚弄する国家の犯罪―放射性物質の拡散予測非公開
2011年4月6日の僕のブログ記事を再度掲載します。事故から1カ月あまり経って出てきた気象庁による放射性物質の拡散予測。ドイツ気象庁や台湾の気象庁など世界のいくつもの機関が福島第一原発の事故後の放射能の拡散予測をすでにネット上に流していたのに、事故の当事国の日本政府だけが市民を無視して情報を出していなかった。
あのとき、ハラワタが煮えくりかえるような怒りを覚えたのを記憶しています。市民を見殺しにする政府。これはいつか来た道ではないでしょうか。
彼らが忘れているのは、放射能被害は自分たちにもいづれ降りかかってくると言うことです。今でもその傲慢ぶりは原子力ムラを形作る自民党政権も官僚も大手メディアも御用学者たちもみな変わっていないと思うのはぼくだけでしょうか?
以下はその怒りのブログ記事です。
【ようやく公開】
気象庁がようやく公開に踏み切りました。
『気象庁は5日、東京電力福島第1原発の事故を受けて、国際原子力機関(IAEA)に提供している放射性物質の拡散予測を公表した。枝野幸男官房長官の指示を受けた対応だが、より詳細な政府の予測システム「SPEEDI」の情報は、1度公開されて以降は非公表というちぐはぐな対応となっている。
※写真はドイツ気象庁の予測
気象庁は、世界気象機関(WMO)が86年のチェルノブイリ原発事故を受けて作った枠組みに基づき、事故直後から4日までに計23回、IAEAに情報提供した。予測の基になるデータは放射性物質放出の実測値でなく、IAEAが示す仮定の条件を使っている。
同庁は「予測は周辺国への影響を調べるためのもの。100キロ四方ごとに計算した大ざっぱなもので、国内の原子力防災に利用できるものではないと考えている」と説明する。
気象庁は今後、予測を不定期に同庁ホームページに掲載するが、「実態を表したものではないので注意してほしい」としている。』(4月5日付毎日新聞)
【市民を愚弄する政府】
一体、こんな先進国がどこに存在するのでしょうか。先ず自らの市民、自らの国民に具体的なデータを提供して、市民を守るのが国家というものではないのでしょうか。こんなことが戦前も戦後もずっと当たり前としてまかり通ってきた結果のひとつがこの放射性物質の拡散予測の非公開措置だったのではないでしょうか。気象庁は「仮定の数値の為予測の精度が低い」からといった言い訳をしているようですが、ドイツや英国、オーストリア、フランスなどの気象当局や原子力関係機関は同様の予測を公開しており、きちんと説明して公開すればいいことだと思います。
※写真は台湾政府の公表した予測図
そもそもこれほどインターネットでの情報がどこでも得られる時代に自分たちの都合のいいように情報が隠せると信じていたこと自体、市民の感覚からすれば信じられないことです。そして不安を抱えたまま市民の被ばくは広がりました。さらに情報を公開しない政府への不信感の高まりも一役買って、放射線の危険はますます流言飛語によって市民の不安感を増幅することになったのです。
国は福島第一原発の放射能に関するあらゆる情報を市民に今すぐに公開するべきです。それはもちろん今の情報だけでなく、3月11日の地震発生以降の過去も含めたすべての情報です。その際出される文書のあちこちに黒い隠ぺいの跡や必要なデータが白紙となっているようなでたらめは許されないと思います。命の危険にさらされている市民のためは言うに及ばず、世界への放射能汚染の拡大を阻止するために、世界中の英知が必要とされているときにそれらのデータが最も重要になるのですから。
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2013年04月05日
異なる基準に翻弄される住民―飯舘村
2年前の僕のブログ記事には飯舘村の放射能汚染に対する当時の原子力安全委員会と国際原子力機関IAEAの見解の相違について書かれています。国際的な原子力推進機関であるIAEAさえも飯舘村の放射能汚染の状況に危惧をいだいていたときに、日本政府がいかに危機感が薄かったか、当時もそして2年経った今はなおさら明らかになっています。あまりにも無責任、あまりにも市民軽視、日本という国の先行きを本当に危惧します。
折しも昨日は日銀の大胆な金融緩和方針に多くの日本人が浮かれています。どんなに浮かれても原子力の抱える問題は日本人の喉元に突き刺さったままだということを決して忘れてはいけません。
以下は2011年4月4日付の僕のブログ記事です。
【IAEAの見解】
国際原子力機関(IAEA)と日本政府(原子力安全委員会)の見解が異なり、混乱しているようです。
『福島県飯舘村で検出された高濃度の放射性物質を含む土壌を巡って、国際原子力機関(IAEA)と内閣府・原子力安全委員会の見解が分かれ、混乱が広がっている。
IAEAは独自の土壌調査を行い、日本政府に避難勧告を検討するよう促したが、安全委は「判断基準の物差しが違う。日本の方が総合的に判断しており問題ない」と反論している。
飯舘村は福島第一原発の北西約40キロに位置し、屋内退避を勧告された20〜30キロ圏内の外側にあたる。IAEAは同村で、土壌の表面に付着している放射性ヨウ素131とセシウム137ほか、空気中の放射線量の割合を調査。放射性ヨウ素131が、土壌表面の1平方メートル当たり2000万ベクレルで、IAEAの避難基準の約2倍に相当するとしている。
これに対し、日本は土壌を深さ約5センチまで掘り、採取した土壌1キロ・グラム当たりの放射性物質濃度を調べている。このほか、空気中の放射線量の割合、空気中のほこりや飲食物に含まれる放射性物質濃度なども測定し、人への影響を考慮している。』(4月1日付読売新聞)
【生き地獄】
IAEAの実際の発表は見ていませんが、原子力安全委員会の代屋という委員が自分たちの基準の正当性を説明している場面の映像はテレビで見ました。それを見て感じたのは、この人たちは住民の安全を本気で考えているのだろうかということです。代屋委員は「我々の方が人体の影響についてはより正確な数値である」と説明をしていましたが、人体の影響といった抽象的な話ではなく、個別具体的な飯舘村の人たちについてどこがどう安全なのかもっと血の通った言葉で話してほしいと思ったのは僕だけじゃないのではないでしょうか。
TBSのニュース映像
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20110401-00000015-jnn-soci
この原子力委員会とIAEAの見解の相違について、飯舘村の農家のある60代女性は、J-CASTニュースの取材中3度も「生き地獄」という言葉を繰り返したそうです。飯舘村は人口が6千人あまりの福島県の山間部に位置する小さな農村です。福島第一原発からは約40キロ離れており、政府の屋内退避地区(20〜30キロ)にかかるのは村の一部です。
しかし、3月24日頃に海外から伝わってきてあわてて原子力安全委員会も公表した「緊急時迅速放射能
影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の試算結果によれば、事故直後からしばらくは原発から北西方向に放射能の拡散地域が広がり、その中に飯舘村も入っていた時期もありましたし、その後も高い放射線量が測定されていました。
問題は、どのくらい長期にわたって放射能を浴びると人体に悪影響があるか、相当精緻に観測し、村人の健康状態もフォローし続けなければ実態はわからないということです。
【村人の実態と真摯な姿勢】
先ほどとりあげた飯舘村の農家の女性は、「農家はね、土をなめるように、はいつくばるようにして働くの。1日に10時間も12時間も外にいるの。作業も10日なんかじゃ終わらない。100日は続くの」と訴え、土壌表面の検査結果や「長期間における健康への影響」にも高い関心をもっておられたそうです。
1日10時間も12時間も屋外にいて、土をなめるようにはいつくばって農作業をする農家の人たちのことを考えれば、数値が正確であることに加えて、そこに住む住民の生活における行動特性なども考慮に入れた安全性がしっかり確保されなければならないのではないでしょうか。
そういう意味で原子力安全委員会のあまりにも簡単な見解や説明は到底納得できるものではありません。映像を見ても、とても命を賭けて住民を守る姿勢などあるとは思えないのです。国際機関との見解の相違に対して自分たちの数値の正確さに意気軒昂に自信を示すよりも、飯舘村に飛んで行って住民の方々に丁寧にその真意を説明するくらいの覚悟があって初めて「安全委員会」などという名前を使えるのではないでしょうか。
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2013年04月04日
事故後3週間経った福島第一原発
今日も2年前の2011年4月3日に書いた僕のブログ記事を再録します。事後3週間経ったフクイチ事故に対する自分の見方をまとめています。
以下がそのブログ記事です。
【圧力容器損傷?】
事故後3週間が経過しましたが、2号機の圧力容器の損傷など事態の重大さは変わっていないようです。
『福島第1原発について、内閣府原子力安全委員会は29日、高い放射性物質を含む汚染水が漏れ出している2号機の原子炉圧力容器が損傷している可能性が高いとの見解を示した。
会見した代谷誠治委員はその理由について、「圧力容器内は高温なのに圧力が上がってこない。どこかが損傷している可能性がある」と説明した。
圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄製で、核燃料を封じ込めるための最も重要な防護壁と言える。
しかし、2号機では表面の放射線量が1時間当たり1000ミリシーベルト以上の汚染水がタービン建屋やその外で見つかった。これまで、政府や東電は漏えい経路について、「原子炉内で破損した核燃料に触れた水が、何らかの経路で漏れた」とみている。』(3月29日付毎日新聞)
【次々と重大事態】
4月2日にはこの圧力容器が損傷していると見られる2号機の取水口付近のピットから毎時千ミリシーベルトという高濃度の放射能汚染水が海に流出していることもわかりました。
出口が見えない福島第一原発の核惨事。3月11日の地震・津波による事故発生から今まで、自分なりに刻々と変化するこの事故の重大性と緊急性について、テレビや新聞、インターネット等のメディアが報道する内容を確かめながら、自分なりの見通しをこのブログに書いてきました。事故発生日から今まで1日も欠かすことなく、毎日このブログをご覧になっている方々にこの原発事故に対する認識をお伝えしてきたのですが、今までの事故の進展具合を見る限り、自分が予想していた以上に深刻さの度合いを加えて行ったのではないかと思っています。
ここ数日の報道ではフランスやアメリカなどの国際支援体制が少しずつ整ってきたこともあり、原子炉の再臨界による爆発→大量の放射性物質の放出という最悪の事態には至っていませんが、それを避けるための作業は一進一退を繰り返しており、依然として予断を許さない状況が続いていると思います。
【次々と出てくる醜悪な事実】
この週末も自分の事故に対する事実認識を確かめようと、本屋に行っていくつかの週刊誌等を読みました。週刊文春や週刊現代などかなりセンセーショナルな記事もありますが、それなりの真実も含まれていると思います。現場に近いところで取材してきたり、各メディアが総力を挙げて調べているので、相当多くの証言や事実が記事の裏付けとなっています。これらメディアの取材力には僕が敵うわけはありませんが、ただ、自分でこの3週間考えてきた事故に対する大きな見方や予測についてはそれほど間違っていなかったし、メディアよりも先にブログで伝えることが出来たと考えています。
週刊誌等の記事の中でいくつか気になったことがありますのでご紹介しておきます。
1. 菅首相の事故後の対応について大きく評価が分かれていること。僕自身は少なくとも菅首相が事故後ほどなくして原発に赴いたことはリーダーとして評価していたのですが、あれはただのパフォーマンスで現場を混乱させただけという批判も多くありました。もしそうだとしたら、僕の菅首相の初動対応に対する考え方も180度変えざるを得ないと思います。これは後日現場で見た人たちの証言などを丹念に分析しなければならないでしょう。
2. 政府・東電の今までの原発推進のあり方、さらには今回の原発事故対応については、ほとんどのメディアが猛烈な批判をしています。東電、原子力安全保安院、原子力安全委員会、経産省、官邸等どれをとっても硬直化して適切な判断を下せなくなった官僚組織のとてつもなく醜悪な姿が日々メディアで報じられていますので、敢えて個別の事象を取り上げる必要はないと思います。
特に東電に関しては相当厳しい批判がされています。特に原発で命を賭けて闘っている現場の作業員、自衛隊、消防隊等に対するあまりの配慮のなさには驚愕します。具体的にはその方々が宿泊している「Jヴィレッジ」という施設には90室もの宿泊部屋があるにもかかわらず、それらにはカギをかけ、食堂や大講堂に雑魚寝させているというものでした。「指示がないからそうしている」という東電の姿勢には呆れてしまいます。
これから、福島第一原発の核惨事のとりあえずの収束にも年単位、最終的に放射能汚染の心配がなくなるまでには何十年というとてつもない時間がかかることが予想されます。その間にも再臨界に至らなくとも4つの原子炉、使用済核燃料プールから放射能は放出されつづけ、空気と水と土壌の汚染、そして食物連鎖を通じて生物の体内に蓄積される放射性物質の危険は継続・拡大していくことになるでしょう。これからはそれらの汚染について長期的な監視が必要になってきますし、それらの監視結果が適切に市民に公開されるかどうかについて市民が監視していく必要があります。ただ、今の段階では、もうただ少しでも被害が小さく収まることを祈るのみです。
今後はこの福島第一原発の核惨事を巡るレポートは回数を減らしていこうと考えています。人間は緊張状態を持続するのには限界があるものです。これからは元の元気が出るニュースを少しずつ増やしていきたいと思っています。
≪追記≫
今朝、図書館から借りてきた「原子力発電で本当に私たちが知りたい120の基礎知識」(広瀬隆、藤田裕幸著、東京書籍 2000年11月18日発行)を読んでいたらスリーマイル島原発事故の記述の中に興味深い個所(p.257)を見つけました。
スリーマイル島原発はニューヨーク州に近いペンシルバニア州にあったため、事故が発生した1979年3月28日以降、原子炉が爆発するのではないかという懸念でニューヨーク、首都ワシントンも大パニックに陥ったものの、「結果的には、NRC(原子力規制委員会)が原子力の専門家を集めて内部解析を進め、水素爆発を防ぐために膨大な計算を迅速に成し遂げ、危機一髪で爆発を食い止めた。日本であれば、NRCのような高度解析は不可能で、爆発したと言われている。」
この本が書かれたのは10年ほど前ですが、スリーマイル島原発事故から30年あまりたった今、福島第一原発事故ではまさにこの記述どおり、原子力安全委員会も原子力安全保安院も政府全体も東電もNRCのような高度解析など出来ず、慌てふためいて水素爆発を招いてしまったのです。米国はこの事故の後も原子力発電所の事故や核戦争に備えて着々と危機対応能力を高め、今回の日本での核惨事に対しても迅速で大規模な有事即応体制を取りました。その後のメディアに出てくる御用学者や原子力関係の指導層の見解などを聞いても一体この人たちは今まで何をしていたのだろうかと不信感ばかりが募ります。日本とアメリカ、なんという違いか。僕たちも含めて社会全体として、日本には原子力発電を管理する能力が本当にあるのでしょうか。根源的な問い直しなしには日本の未来はありません。
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2013年04月03日
第二の敗戦―福島第一原発と国際支援の意味するもの
今日は再び2年前の僕のブログ記事をアップします。2011年3月31日の産経新聞の記事によると、フランス原子力大手のアレバ社のCEOが海江田経産相を訪問したことが伝えられていました。このときは、まだまだ福島第一原発の危機的な状況は続いていたので海外からのどんな支援も必要としていました。しかし、アレバの思惑はもちろん、支援によって何とかフクイチ事故が世界の原子力市場に出来るだけ悪影響を及ぼさないようにしたいと考えていたことは間違いありません。
以下は、僕の2011年4月2日の記事です。
【アレバも救援】
フランスからサルコジ大統領が来日、菅首相と会談するとの歩調を合わせてフランスの原子力大手企業「アレバ」も動きました。
『東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて、仏原子力大手アレバのアンヌ・ロベルジョン最高経営責任者(CEO)は31日、経済産業省で海江田万里経産相と会談した。ロベルジョンCEOは「日本が必要とするなら、いくらでも専門家を派遣する」として、事態の収束に全面協力する意向を示した。
ロベルジョンCEOは会談で、アレバが米スリーマイル島での原発事故で燃料棒取り出しにあたったことや、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故、英国での軍施設での事故にも対応した経験があることを明らかにし、「日本にアドバイスできるよう努力したい」と述べた。』(3月31日付産経新聞)
【国際支援の広がり】
フランスだけではありません。アメリカは事故当初から空母等の艦艇を中心に放射能汚染に対応できる軍隊が全面的に応援に来ています。また放射線防護服などだけでなく31日には海兵隊の放射能専門部隊約140人の派遣も決めました。国際原子力機関(IAEA)もすでに天野事務局長を先頭に放射線の専門家が大勢来日して活動するなど、国際的な支援は日を追うごとに広がっています。
4つの原子炉と使用済核燃料プールが損傷し、大量の汚染水のためそれらの冷却が思うに任せない中、事故から3週間近く経った今でもさらなる放射能汚染の拡大が心配されており、国際的支援によってこの危機を乗り切ることが最後のカードとなるでしょう。そういう意味で今はとにかく各国の動きに感謝しなければいけないと思います。
【複眼思考】
しかしながら、同時にこれらの国際支援の広がりは今後の原子力発電の方向性に深く関わっていることも忘れてはならないと思います。すなわち、原子力大国のフランスはこれ以上日本の福島第一原発事故が深刻になり、世界の原発市場が委縮することを懸念しており、アレパが全面協力するのも自国の原子力産業にとっての死活問題と捉えているからです。
また、アメリカのオバマ大統領は30日に今後のエネルギー政策について演説し、「米国は電力の5分の1を原子力エネルギーから得ている。原子力には大気中の二酸化炭素を増やすことなく電力を作る重要な能力がある」と指摘して、原発推進の姿勢を堅持する考えを表明しています。米国が早々に日本への全面協力を打ち出し、実際に「ともだち作戦」と銘打って地震・津波被害だけでなく原発事故に対しても軍人1万5千人、艦船12隻、航空機100機以上の大部隊で支援を行っている背景のひとつは自国のエネルギー政策への影響の最少化という意味もあるのです。さらには、これほどの大部隊を即座に展開できたというのは、米国が今回の福島第一原発のような原発災害あるいは核戦争による核汚染を想定した有事即応体制を整えていたからだということでもあります。
こういう動きを見ていると、まさに原子力発電というのはたんなる電力供給の問題ではなく、国家のエネルギー戦略そのもの、軍事戦略と密接に結びついていることをまざまざと見せつけられる思いです。日本国内ではガリバー的な東京電力でも、こんなとてつもない原子力という「怪物」を扱うにはあまりにも稚拙だったと言わざるを得ないでしょう。日本政府も同じです。
もうひとつ想像力を働かせて気をつけて見ておくべきことがあります。それは今後事故の鎮静化とともに、国際的な動きと相まって、今は息をひそめているものの、原発見直しの動きを阻止しようとする原子力産業界とそれを擁護する政府官僚組織の執拗な反撃が強まってくるだろうということです。(これから出てくるニュースを注意しておいてください)
住民や市民の命を守り、適切なエネルギーも確保していくための中長期的な方向性をどこに定めたらいいのか、どの人間が人間として信用できるのか、よくよく見定めていく必要があると思います。市民の命などものともしない人間の醜悪な姿が紳士然とした背広の背後に潜んでいるのを見抜いていかないといけません。
例えば31日に、青森県六ケ所の再処理施設を運営する日本原燃(株)の川井吉彦氏(東電出身)が、まだ福島第一原発事故がどうなるかわからないという今の時点で早々に「原発は今後も資源の乏しい日本には必要だ。これからも原発は推進していかなければならない。」と記者会見したそうです。こういう人たちの言動を個人個人がよく観察しておかなければなりません。ちなみに日本原燃の会長は病気療養中の東電の清水社長だそうです。
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2013年04月02日
見直された南海トラフ地震の規模
【最大34メートル】
なんと、最大で34メールの津波の恐れがあるということです。
『内閣府の有識者検討会は31日、西日本の太平洋沖にある海底の溝「南海トラフ」で巨大地震が発生した場合の震度分布と津波高に関する推計結果を公表した。東日本大震災と同等のマグニチュード(M)9.0規模の地震が発生した場合、10県153市町村で震度7を記録すると予想。また、高知県黒潮町の34.4メートルを最大に、6都県23市町村で満潮時に20メートル以上の津波が起こると推計するなど、関東から四国、九州地方にかけての極めて広い範囲が大きな揺れと津波に見舞われる恐れがあるとしてい
る。原子力発電所関連では、静岡県御前崎市の浜岡原発付近で、最大21.0メートルの津波が発生すると推計した。
南海トラフの巨大地震は、近い将来発生する可能性が高いと指摘されており、政府の中央防災会議は2003年、M8.6だった宝永地震(1707年)をモデルに震度や津波を予想した。しかし、東日本大震災で想定を超える災害が発生した反省を踏まえ、検討会が昨年8月から見直し作業を進めていた。』(4月1日付時事通信)
【これでも原発を動かすのか?】
内閣府の有識者検討会といえば、まさに政府からお墨付きを得ている検討会ですから、原発を推進している経済産業省と同じ「政府」そのものです。そこが南海トラフ地震の可能性について昨年の東日本大震災の結果を踏まえて再検討したのが今回の予測です。これは一体何を意味するのか?
対象となった地域の防災対策の見直しを早急にすることが必要なのは言うまでもありません。その中でも特に、対象となった地域の中にある浜岡原発と伊方原発は即刻廃炉にすべきでしょう。もう防潮堤を作るといった対応では原発の安全性が保てないのは明らかです。したがって、現在十数メートルの防潮堤を突貫工事で作っている中部電力は即刻工事を中断して地元の市町村と静岡県知事と再度協議して、浜岡原発の廃炉に向けた動きを始めるべきです。
四国電力は、これほどの大津波と巨大地震に伊方原発は耐えられないことを素直に認めて伊方原発の廃炉に向けて地元と話し合うべきです。これらは一刻の猶予も許されないと思います。南海トラフ地震はいつ来てもおかしくないと言われているわけですから、原発の廃炉だけでなく、廃炉後の使用済み核燃料の厳重保管に早急に取り組むべきでしょう。津波や地震によってフクイチの4号機のように使用済み燃料プールが崩壊寸前になれば稼働原発よりも悲惨な状況になるからです。
今回の予測のように超巨大な地震や津波のリスクがとてつもなく大きい日本では、原発の立地というのはあり得ないということが改めて日本人ひとりひとりに突きつけられたということです。これは、ある意味日本人にとって生き残るための最後のチャンスかもしれません。
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2013年04月01日
地に堕ちた東電―市場の評価
「フクシマ・アーカイブ」21日目。一年前の4月1日の報道で、東京電力の株価が連日ストップ安を繰り返し、とうとう上場来の安値である393円に近付いたと伝えていました。その時点で東電の株式時価総額は2011年3月10日の約3兆5千億円から7千4百億円に暴落しました。
2年後の今、東電の実質国有化が現実のものとなり、株価はアベノミクスで株式市場全体が浮かれている中、217円ほどと1年前とあまり変わりません。破たんはしていないので株券は紙くずにはなっていませんが、原発事故というものが電力会社にとっていかにリスクが高いかが企業価値を計る株価でも明確にわかります。
電力は今日々の暮らしに欠かせません。でも考えてみればたかが電力です。電力のために、一度事故を起こしたら悪魔のように暴れまわる放射性物質を鎮めるのは至難の技で、企業の存立まで脅かすようなとてつもないリスクになぜ電力会社という一私企業が向き合わなければならないのでしょうか。
東電は言うに及ばず他の電力会社の経営陣も今一度しっかりと考え抜く必要があると思います。目の前の赤字に目がくらんで、本気で原発の安全対策を施すこともしないならば、国民も市場もそんな電力会社の傲慢にもリスクにもはっきりと「NO」を突き付けるときがくるでしょう。
以下は、2011年4月1日の僕のブログ記事です。
このとき僕が思った東電や電力会社の経営陣に対する認識は今でも間違っていないと思います。原子力をなめきった東電や原子力ムラの人間たちはたとえ社会からの責任追及は逃れられても、将来人類の歴史を振り返ったとき、人類の歴史上最も大きな汚点として刻み込まれることは間違いありません。(もしも原子力によって人類が滅んでいなければですが・・・・)
【連日ストップ安】
東電が市場でも奈落の底に落ちています。
『東日本巨大地震で原発事故を起こした東京電力に対する市場の評価が厳しさを増している。
株価は連日ストップ安を繰り返し、社債の利回りも上昇(価格は下落)している。被災者への損害賠償額の規模が不透明で、東電の経営の先行きが見通せないことが原因だ。
◇ストップ安
30日の東京株式市場で、東京電力株(東証1部)は値幅制限の下限となる前日比100円安の466円まで売られ、3日連続のストップ安で取引を終えた。株価の500円割れは1962年12月28日(499円)以来、約48年ぶり。東日本巨大地震の前日の10日には終値で2153円あった株価は、わずか約3週間で旧商法時代の額面価格である500円も下回って下落し、1951年に付けた上場来安値(393円)に近づいている。
この結果、東電の株式時価総額は、10日時点の3兆4599億円から、30日は7488億円まで縮小。企業価値が8割近く失われた計算だ。』(3月30日付読売新聞)
【原発の怖さ】
今回の福島第一原発の事故は、「想定外」の地震と津波が直接の引き金だったとはいえ、原発周辺に住む方々はもちろん、近隣県、首都圏、さらには日本全国、世界まで放射能の恐怖をまき散らし続けています。それだけではありません。当然のことではありますが、電力会社の存在そのものを脅かし続けています。東電は今企業価値はなくなり、存続そのものが風前の灯です。
電力は今日々の暮らしに欠かせません。でも考えてみればたかが電力です。電力のために、一度事故を起こしたら悪魔のように暴れまわる放射性物質を鎮めるのは至難の技で、企業の存立まで脅かすようなとてつもないリスクになぜ電力会社という一私企業が向き合わなければならないのでしょうか。
東電は言うに及ばず他の電力会社の経営陣も今一度しっかりと考え抜く必要があると思います。ただ、国策だからと推進してきた原子力発電を経営のリスクという観点から見直し、国と真剣にリスクの取り方について議論すべきでしょう。
これほどの大災害が原発で起こった以上、今後政府や電力会社がいくら声高に「地球温暖化のために」「クリーンなエネルギー」として原発を増やしましょうと叫んでも、このとてつもないリスクを担保するには莫大な保険・再保険が必要となって、経済原理からますます外れ、事実上市場から原発そのものが締め出される可能性が高まっています。当然の帰結でしょう。現代資本主義社会では経済原理が社会の最も基本的な行動原理なのですから。アメリカで原発建設がなかなか進まない最大の原因は、この市場原理にあります。日本では東電が今回その最初のケースになったと思います。
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2013年03月31日
菅首相の率先視察をどう見るか―福島第一原発
それにしても2年経った今も安倍自民党政権は、被災地のことも、次の地震が来れば日本を崩壊させかねない福島第一原発のことも黙殺し、危険な原発をなくすどころか次々と再稼働させることばかり公言しています。3月28日には自民党は政府の電力システム改革案について、大手電力の発送電分離は努力目標に、原発の再稼働を条件にするなど中身を骨抜きにして了承しました。電力の安定供給が大事などと言っていますが、単に発送電分離などしたくない電力会社に媚びているだけです。これで次の原発事故が起こったら、自民党の政治家たちは原発に命がけで視察に行った菅前首相とは反対に全員われ先に逃げ出すのは目に見えています。今夏の参院選で自民党に過半数を取らせたら日本は本当に終わってしまうでしょう。
そんなことを思いつつ、2011年3月31日のブログを振り返ります。
【視察への批判】
菅首相の初動対応に自民党が噛みつきました。
『菅直人首相は29日午前の参院予算委員会で、東日本大震災の影響で東京電力福島第1原発を襲った津波について「(原発設置)当時の津波に対する認識が大きく間違っていたのは否定しようがない」と述べ、津波の想定を今後の検証対象とする考えを示した。一方、同原発を視察したことが放射性物質を含む気体を原子炉から排出する「ベント」の遅れにつながったとの指摘に対しては「(初動対応が)遅延したという指摘はまったくあたっていない」と反論した。首相の国会答弁は震災後初めて。
【官房長官もフォロー】1号機の排気「再三指示」 枝野官房長官
津波に関し、首相は「(1960年の)チリ地震の後にできた原子炉でありながら、チリ地震の基準も満たしていないとすれば相当問題だ」と述べた。視察がベントの遅れを招いたとの指摘には「政府は12日午前1時半にベントすべき姿勢を明確にし、一貫してその方針を東電に伝えてきた」と強調した。
原発事故への対応では「予断を許さない状況が続いている。最大限の緊張感を持って取り組む」と表明した。
同原発を廃炉にするかについては「専門家の意見を聞いて決めるが、その可能性は高い」と語った。』(3月29日付毎日新聞)
【菅首相の現地視察】
政権交代してからの民主党の体たらくに国民は失望していたところに、今回の大地震と大津波、さらには原発の事故と未曾有の災害に見舞われて、菅政権がその対応に右往左往しているのを見て一層不安感を高めているのは事実だと思います。
しかしながら、僕は地震と津波が起きて福島第一原発事故が起きた後、早い段階で原発を視察した菅首相の行動は、正しかったと思っています。もちろんその後の指導力や実行力という面で首相というにはお粗末なこともたくさんあるのですが、少なくとも初動の対応として現地に行ったのは評価されるべきだと思います。
あのとき、首相が行ったために放射性物質を含む気体を原子炉から排出する「ベント」の遅れにつながったというのは、報道だけで判断するしかないのですが東電や原子力安全保安院の都合のいい言い訳ではないかと思われます。その後の対応を見ても東電や原子力安全保安院とその監督をする経産省がいかに今まで国民から事実を隠し、癒着してきたかがわかりますし、そういう体質が今の危機を大きくさせているかが誰の目にも明らかですので、そういう点からも首相がもし最初に現地視察をしていなかったら、その後の対応はもっと混乱していたのでないかと想像できます。
【トップの役割と問題の所在】
平成7年1月17日に発生した阪神大震災の際、当時の村山富一首相は阿鼻叫喚の地獄のような被災地・神戸が助けを求めているときに何ら決断せず、現場にも行きませんでした。国家のリーダーが逃げたために、自衛隊を所管する防衛庁長官、警察を統率する国家公安委員長、消防を所管する自治大臣など当時の首相直下の部下たちがどれだけ初動が遅れたか、そのためにどれだけの助かったかもしれない命が失われたかはかり知れません。(今回の事故では、東電の清水社長も13日の記者会見以降姿を見せず、ついに30日には高血圧とめまいで入院という発表となりました。村山元首相同様、最悪のリーダー像だと思います。)
未曾有の国難のときに、その現場にまずトップが行くことは当然のことです。行くだけでもその場の状況がある程度読めますし、その後の対処の仕方も違ってくるはずです。そしてトップが来てくれたという信頼感を現場が持てば、現場は現場の指揮官のもとで必死で対応してくれるでしょう。そんな指導層と現場の信頼感さえ失われているのが今の日本の「惨状」です。
繰り返しますが、有事の指揮官として現場に急行するのは当然のことです。もともと電力会社、経産省、原発メーカーと一緒に原発推進を過去数十年にわたって進めてきた自民党の政治家たちが、もしも政権党としてこの原発事故の対応に当たっていたら、現場に行くどころか、今より事実が国民から隠ぺいされ、もっともっと酷い状況になっていたのではないかと思います。そういう意味では世間の批判はありますが、管内閣のほうがマシだと言えるかもしれません。
自民党の政治家たちは「俺だったらちゃんと現場に先ず行った」と菅首相に言えないから、ちょこちょことイチャモンをつけるだけしか出来ないのです。残念なことです。
それからもうひとつ。3週間近く経ってから東電がフランスに泣きついたとか、事故当初は米軍の救援を断ったとかいろいろな話が伝わってきていますが、初動対応という意味では東電も原子力安全保安院も、経産省全体も、官邸も、民主党も、今回の事故対応に当たっている当事者幹部はみんなあまりにも甘すぎます。こんな体たらくでやれ「温暖化対策に有効だ」とか、「必要不可欠なエネルギー源だ」とか、「絶対安全だ」といった宣伝を繰り返し、いったん事故が起こったら「想定外だ」と言って責任を回避し、日本国の住民、いや世界中の人々の命を蹂躙しようとしているのです。事故の広がりと深刻さを考えれば、これはほとんど旧ソ連の指導層と同じだし、犯罪的だと思います。自分たちで安全を守れないなら、即刻救援を求めるべきでしょう。命を守るのに恥も外聞もありません。
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2013年03月30日
最強の放射能プルトニウム検出―福島第一原発
「フクシマ・アーカイブ」19日目。フクイチ事故から1年以上が経った2012年3月29日の西日本新聞の朝刊の一面に「九電、1200億円経費削減 玄海原発1号機「運転60年可能」」の大見出しが躍っています。なんと無反省で愚かしい会社の経営陣でしょうか。あれだけの原発の大事故が日本であったにもかかわらず、そして「やらせメール問題」であれだけ会社の信用が失墜したにもかかわらず、会長と社長の辞任は「引責ではない」と強弁し、原発の安全に対する説明は一言もせずに再稼働の必要性だけを強調し、市民の不安をよそに老朽化原発の60年運転を語る姿勢に次の大事故は九電が起こすのではないかとの恐れを抱くのは僕だけでしょうか。
この1年一体この会社は何をしていたのか、何を学んだのでしょうか。ありふれた経営不振の事業会社なら勝手につぶれてしまえばいいのですが、ひとつ間違えば九州も日本も吹っ飛ぶようなリスクを持つ原発を抱えた「公益企業」であることに背筋が凍るような恐怖を覚えます。フクイチ事故を経て、多くの市民の意識は大きく変わったのです。それさえ感知できずに3/11以前と同じようにやりすごせると思っているとしたら即刻退場すべきでしょう。それほど大きな変革がひとりひとりの個人にもひとつひとつの企業にも求められているのです。明日を生き残るために。
以下は、2011年3月30日の僕のブログ記事です。フクイチからプルトニウムが出ていたということを取り上げていました。
【プルトニウム検出】
予想されていたとはいえ、実際に検出されると背筋が寒くなるような戦慄を覚えます。
『東京電力は28日、福島第1原発の敷地内5カ所で21、22両日に採取した土壌から、微量のプルトニウム238と同239、240を検出したと発表した。このうち1号機から西北西へ約500メートル離れたグラウンド付近と北へ約500メートル離れた固体廃棄物貯蔵庫前の2カ所で検出されたプルトニウムは、今回の事故で損傷した核燃料棒から出てきたと考えられる。
記者会見した武藤栄副社長は「ご心配をおかけしておわび申し上げる」と謝罪した。
東京電力によると、濃度は過去に海外で行われた大気圏内核実験により国内各地に降ったプルトニウムと同様のレベルであり、人体には問題なく、復旧作業にも影響ないという。
原子炉と使用済み核燃料プールのどちらから放出されたかは不明。3号機の原子炉は一部に通常のウラン燃料と異なるウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)を使っていたが、どの燃料棒から出たかも特定できないという。武藤副社長は「全体として放射性物質が出てくる量を少なくしたい」と述べた。
グラウンド付近の土から検出されたプルトニウム238は1キログラム当たり0.54ベクレル、239と240が同0.27ベクレル。固体廃棄物貯蔵庫前の土は、238が0.18ベクレル、239と240が0.19ベクレル。
分析は日本原子力研究開発機構が23日から実施。プルトニウムの検出には1週間近くかかるという。東電は今後も3カ所で週2回土壌を採取し、分析を続ける。
経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は29日未明の記者会見で、「人体に影響ない濃度だが、楽観はしていない。本来の閉じ込め機能が破られているという意味で、憂うべき事態だと考えている」と話した。』(3月29日付時事通信)
【故郷を捨てるとき】
東京電力が言う、「濃度は過去に海外で行われた大気圏内核実験により国内各地に降ったプルトニウムと同様のレベルであり、人体には問題ない」というのは明らかにまやかしです。まともな心を持つ人間の言うことではない。今検出された量ではその通りかも知れません。しかし、それが継続して放出されれば今の量では済みません。自分たちの都合のいいことばかりを強調するのはどうかと思います。プルトニウムの負の側面もきっちりと国民に知らせるのが責務ではないでしょうか。
プルトニウムは「人類が初めて作りだした放射性核種であり」、「かつて人類が遭遇した物質のうちでも最高の毒性」を持つ放射性物質だと言われています。半減期は2万年以上と、ほとんど半永久的で一度人間の体内に入ると排出されにくいという特徴があります。
今回、燃料内にしか存在しないプルトニウムが原子力発電所周辺の土壌から検出されたことで、福島第一原発の原子炉、格納容器など5重の壁が破られたことが証明されました。また、3号炉はプルトニウムを使ったプルサーマル燃料が装填されていたと聞いていますので、通常の燃料よりもプルトニウムが多いのではないかと素人ながら心配になります。
いづれにしても、たとえ微量であってもプルトニウムが土壌に含まれれば間違いなくほぼ永久に農作物は作れません。したがって、その土地は放棄せざるを得なくなるでしょう。もしも福島第一原発がこれから長期にわたってプルトニウムを大気中に放出し続けるような事態となれば、「放棄せざるを得なくなる」土地が拡大していくことになります。こんな狭い日本の国土に農作物が作れなくなり、当然人も住めなくなる土地が拡大していく、これほど悲惨なことはないのではないでしょうか。
今はとにかく政府は全力で出来るだけ早くプルトニウムなどを含む放射能物質の拡散を防ぐ対策を取ってほしいと願うばかりです。
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2013年03月29日
ついに出てきた基準緩和の動き―福島第一原発
「フクシマ・アーカイブ」18日目。みなさんは2年前の3月11日以降、少なくなったとはいえ、おびただしい量の福島第一原発関係のニュースが日々テレビや新聞などを通じて流れていたことに、いかにあの事故が日本の在り方を日々問い直し続けているか肌で感じるのではないでしょうか。
放射性物質の基準値はその中でも日々の食事や暮らしに直接かかわってくるだけに神経質にならざるを得ません。特に内部被ばくについては、広島・長崎の原爆投下以来、核兵器の負の側面を出来るだけ隠したいアメリカを中心に健康への影響が無視され続けて今に至っています。スリーマイル事故もチェルノブイリ事故も、そして今回のフクイチの事故においても、国際原子力機関や世界保健機構も内部被ばくについては出来るだけ健康への影響を過小評価したいという姿勢は変わっていません。日本政府がどういうスタンスにあるかは日々の動きを見ていればわかるでしょう。
では僕たちはこの放射線被ばくにどう立ち向かっていったらいいのか?ここに原爆症認定集団訴訟で内部被ばくについて証言した矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授の「内部被爆」(岩波ブックレットNo.832)という本があります。この中に同氏の提言が書いてあります。少し長くなりますが、心に響く言葉なので引用します。
「この時代を生きていくうえでの私の提言は『怒りを胸に、楽天性を保って最大防護を』です。」
「〜事態がこうなった限り、能動的に立ち向かうことが大切です。内部被ばくの恐ろしさを学んで、それでもだめだと考えてしまうのでは何の意味もありません。そうではなくて、恐ろしさをきちんと知ることで、政府の発表を鵜呑みにしないようにし、私たちのいま、なすべきことを見出していくことができるのです。私たちは、もはや「汚染される覚悟」が必要です。しかし、悲観して恐怖のうちに汚染を待つのはよしましょう。この怒りを胸にしっかりと収めて、開き直って、楽天的に、知恵を出し、最大防護を尽くしつつ、やるべきことはすべてやるのです。」(同書 57ページより引用)
「汚染される覚悟」・・・重い言葉です。
以下は、2011年3月29日の僕のブログ記事です。
【厳格すぎる?】
民主党から放射性物質の基準緩和を求める声が出てきました。
『民主党の岡田克也幹事長は27日、農産物の出荷停止や摂取制限の目安となる放射性物質の基準値について、「少し厳格さを求めすぎている」と述べ、風評被害を招かないためにも見直しが必要との認識を示した。青森県八戸市で記者団に語った。
現在適用されている食品衛生法の基準値は暫定的な数値で、食品安全委員会が体内に取り込んでも健康に問題がない数値について議論している。岡田氏は「心配ないものは心配ないときちっと言えることが必要だ。科学的な厳格さを求めすぎれば風評被害になる」と指摘した。 』(3月27日付朝日新聞)
【現状追認】
農産物の出荷制限などが長引いてくると、放射能の風評被害と相まって、それらの作物を生産している農家にとっては死活問題となってきます。したがって、時間が経てば経つほど放射性物質の基準値に対する不満が高まってくる事態は今後ますます増えてくるでしょう。
しかし、一方で福島第一原発からの放射性物質の放出が止まらなければ、広範囲に日々変化していく風下地域において葉物類などの野菜、水、土壌等への放射能汚染は半減期の長いものがどんどん残留・蓄積していく結果となります。
『文部科学省は28日、福島第1原子力発電所から北西約40キロの福島県飯舘村で26日に採取した雑草1キログラム当たりから、過去最高値の放射性セシウム287万ベクレルを検出したと発表した。北西約45キロの川俣町でも過去最高値のセシウム57万1000ベクレルを検出。これまで減少傾向だった放射性物質が2地点で急増した。文科省は「採取場所が全く同じではなく一概に評価できないが、高いレベルの放射性物質が残留していることは確かで、農作物への影響を注視する必要がある」と説明した。
飯舘村の雑草のこれまでのセシウム最高値は20日採取分の265万ベクレル。セシウムの半減期は約30年で、採取地点付近では拡散しないで残留している可能性が高い。一方、放射性ヨウ素は20日採取分の254万ベクレルから103万ベクレルに減少。半減期が8日のためとみられる。』(3月28日付毎日新聞)
福島第一原発の3号機や2号機の水たまりで高濃度の放射線が見つかり、本格的な復旧には長い時間がかかると予想されています。その間にも放射性物質の放出が続くのであれば、農産物や水、土壌への汚染の蓄積をしっかりとモニターし続ける必要があります。そして監視すべきことがもうひとつあります。それは冒頭の政治家の発言のように、時間が経つにつれて放射性物質の基準値緩和の動きが次々と出てくるだろうということです。事故現場周辺地域の方々は、自分たちの健康を守るのは自分たちしかないという覚悟を持って、しっかりと基準緩和の動きを監視しておくべきだと思います。
今日の記事参考になりましたか?
2013年03月28日
信じられないような数値―1千万倍の放射能
「フクシマ・アーカイブ」17日目。2011年3月28日に原子力安全・保安院から発表された、福島第一原発2号機地下にたまった水が通常の炉心の水の約1千万倍の放射性物質の濃度という驚愕すべき数値は、しばらくして当の保安院によって間違いだったと訂正されました。
しかし1千万倍ではなかったものの、訂正後も恐るべき放射能汚染だったことには変わりありませんでした。そして、現在もその2号機のからは毎時200万ベクレル、一日にすると4800万ベクレルもの放射性物質が放出されています。また、昨年の報道では格納容器内部の線量は毎時最高73シーベルトで8分で死に至るほどの高線量だということでした。これだけでも今後のフクシマの廃炉がいかに困難かが想像できるでしょう。
さらには、昨年末に成立した安倍自民党政府は、民主党が曲がりなりにも国民からの切実な訴えを背景に進めようとした原発ゼロ政策を見直すことを公言し、なんら本気で原発の安全対策を進めることなく、ただ再稼働を念仏のように唱え日本国を次の原発事故による自殺に突進させようとしているのです。アベノミクスによる経済の一時的な好転に浮かれ、安倍自民党政府による既得権益擁護の原子力推進政策に目をつぶるマスコミ、そしてわたしたち多くの国民。日本はこれだけの原発事故を経ても国民の意思を無視して原発再稼働にまい進する狂気の国とみられているのは間違いありません。
以下は、2011年3月28日の僕のブログ記事です。
【驚愕の数値】
出てくる数値のあまりの大きさに驚愕してしまいました。
『東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故で、東電と経済産業省原子力安全・保安院は27日、2号機地下にたまった水の放射性物質(放射能)の濃度が、通常の炉心の水の約1000万倍だったと発表した。1号機や3号機の地下にたまった水と比べても1000倍程度で、2号機では燃料棒や格納容器が大きく損傷しているとみられる。
26日に2号機のタービン建屋地下1階で採った水の放射性物質濃度は1立方センチ当たり29億ベクレル。炉心の水は通常、200〜400ベクレルにすぎない。
この影響で水表面の放射線量は毎時1千ミリシーベルト以上となり、24日に作業員が被曝(ひばく)した3号機の同400ミリシーベルトを大きく上回った。東電によると、線量が高すぎるため測定を途中でやめており、線量はもっと高い可能性がある。
水からは、放射線を出す力が半分になる半減期が53分と短いヨウ素134など燃料棒の核分裂反応で排出される物質を検出。2号機では2回、燃料棒が全面露出した上、格納容器も損傷しているとみられている。』(3月27日付産経新聞)
【見えない出口】
1千ミリシーベルトと言えば、吐き気やおう吐が出る急性放射線障害が発生するというレベルです。しかもたまった水を検査した検査員の話によると、線量計の針が振り切れたのでそれ以上は測っていないということですから、1千ミリシーベルトよりも高い可能性があります。
放射能の人体への影響度合いを見ると、2千ミリシーベルトでは5%の方が亡くなり、3千〜5千ミリシーベルトになれば半数の人が死亡するレベルだとのことです。これでは、建屋の中に入って復旧作業をすることはおろか、ほんの数分だけ放射線量を測りに行くだけでも命がけの仕事になるでしょう。テレビに出た専門家もスリーマイルよりもチェルノブイリよりも大きな数値だと言っていましたが、本当に驚くべき数値です。
そしてもうひとつ。福島第一原発の南放水口では、26日に法令基準濃度の1850倍のヨウ素131が検出されました。原子力安全保安院は、「魚などの体内に取り込まれるまでには相当程度希釈される」として、人体への影響を否定しました。こんなことを信じる人がいるでしょうか。海の放射能は食物連鎖を経て多くの魚の体内に蓄積されていくことは間違いないでしょう。
チェルノブイリ原発事故の後、スウェーデンの湖に住む魚から強い汚染が検出されました。例えば、スズキ科のパーチという魚からは、事故の年、最高1キロあたり4800ベクレルのセシウムが検出され、2年後には最高8万2000ベクレルもの汚染が検出されているのです。(「食卓にあかった死の灰」P.83, 高木仁三郎・渡辺美紀子著、講談社現代新書) 今回検出されたヨウ素131は半減期が短いものの、ヨウ素以外にも半減期の長いセシウムなどが放出された可能性があることを考えれば、海洋汚染も食物連鎖を通じて先々深刻なものとなると思われます。
当事者能力を無くしつつある東京電力や国。出口の見えない福島第一原発の事故処理に不安が募ります。今はとにかくひとつひとつの事実をしっかり捉えていくことが最低限必要です。
2013年03月27日
原発事故後に見えてきたもの―福島第一原発
「フクシマ・アーカイブ」16日目。事故から1年近く経った2012年3月26日に東電柏崎刈羽6号機が定期検査のために停止、日本の原発は北海道の泊原発3号機を残して53機が停止した。読売新聞や産経新聞などのメディアや自民党の谷垣総裁、経団連会長などはこのままでは夏の電力不足は必至だと再稼働を催促していたが、本当にそうなら電力会社に本当に原発なしでは電力不足に陥るのかすべてのデータを公開するように要求するべきでだったのではないか。なぜそんな努力もせずに一旦事あれば日本を壊滅させるかもしれないほどの原発のリスクを無視してまで、夏の数時間の電力需要のピークを満たすために原発の再稼働に走ろうとするのか。
本当は原発を稼働しなければ電力会社の経営がもたないからではないのか、それならなぜそれを真正面から言わないのか?日本の原発を巡る状況は疑問だらけです。
そしてその後、昨年6月には大飯原発が再稼働、その後衆院選で自民党が大勝し、安倍自民党政権が成立した後は、まるで歯車を逆回転させるかのごとく原子力ムラの抜本的な見直し、原子力の安全の確保などは忘れたかのごとく電力業界や原子力業界の既得権益擁護のために原子力推進路線に突っ走っています。
2年経ってもう一度福島第一原発の核惨事とは何だったのか根源的な問い直しをすべきだと思います。2011年3月26日にこの事故を振り返って問題点を整理したのが以下の僕のブログ記事です。
【怒涛のような2週間】
3月11日に東北関東大地震が発生して16日が経過しました。地震と津波による死者・行方不明者は2万人を超えてまだまだ増えて行きそうだとメディアは伝えています。現代日本が未だかつて経験したことのない大災害です。2週間以上経過した今、助かった被災者の救援が最優先の課題となっています。
そしてもうひとつの大きな災害である福島第一原発の事故。こちらは直接の死者こそ出ていませんが、原発周辺の住民の方々、福島県をはじめとする近隣県、そして関東・首都圏を中心に日本全国、世界にまで放射能汚染の恐怖のどん底に陥れました。
この二つの災害の大きな違いは、地震と津波は災害発生後の救援にステージが移っているのに、原発事故は未だ救済どころか恐怖が現実のものになるかも知れない、出口の見えない状況に陥っているところです。
怒涛のように経過したこの2週間。僕自身はチェルノブイリ事故以来、日本での大規模原発事故を心配していたので、それが現実となったことに衝撃を受け、この未曾有の原発事故の経過を追い続けています。
【見えてきたもの】
昨日は本屋に行って週刊誌を中心とした雑誌メディア(AERA、週刊朝日、週刊文春、サンデー毎日等)が地震と原発事故をどう報道しているか、いくつかの週刊誌を手に取って見てきました。事故から2週間近くが経過した今、テレビ、新聞、そして雑誌、さらにはインターネットという媒体を通して、ここで一度事故発生から今までに見えてきたもの、未だ見えないものが何かについて考えてみたいと思います。
1. 福島第一原発事故は天災ではなく、人災だということ
事故発生当初から僕は今回の原発事故は、東電や政府の言う「想定外」の津波が直接の引き金とはいえ、「原発は安全」としてきた原発に携わる当事者の方々の原発そのものや防災、危機管理、そして市民社会に対する認識の甘さ、傲慢さ、怠慢がもたらした「人災」であると思っています。それは事故後の東電、原子力安全保安院、原子力安全委員会、政府官邸等の対応があまりにもお粗末で見るに堪えない狼狽ぶりだったことからもうかがえます。しかもそれは政府・電力会社・原子炉メーカーが三位一体となって進めてきたわけですから、東電だけを責めるのは事の本質を見誤る可能性があります。いづれにしても、それら当事者たちの上層部の怠慢のために現場で必死で作業している人たちや近隣住民の方々がどれだけ命を脅かされていることか。そしてそれは今も続いています。
以前にも書きましたが、スリーマイル事故やチェルノブイリ事故、さらには国内での無数の重大事故、専門家の巨大津波の警告等をないがしろにし、特にチェルノブイリ事故の鳴らした警鐘を文明観の転換に結びつけることもせず、事故後25年間という貴重な時間も無駄にしてしまったことが今回の事故の原因だと思います。
こんなに酷い事故を起こしてなおも情報を隠そうとし、「想定外だから」と言い訳をし、国家のエネルギー政策の抜本的見直しを怠るようなことがあれば、国民は黙っていないでしょう。もちろんその際忘れてはならないのは、国や電力会社に対して、今まで何十年も怒りの声を上げずに見て見ぬふりをしてきたのは他でもない電気の恩恵だけを受けてきた都市を中心に住む僕たち国民だということです。(3月19日に書きました)
2. インターネットによる情報社会の存在の大きさと国際的な情報発信の貧弱さ
もうひとつ見えてきたものがあります。それはツィッターやフェイスブックといったソーシャルネットワークを中心にインターネットによる個人を中心とするメディアが巨大災害の発生後、とてつもない役割を果たしているということです。
先ずは負の側面。僕も経験しましたが、地震発生直後から数日にわたってチェーンメールやツィッターのRT(リ・ツィート)を使って様々な流言飛語が飛び交い、インターネットがなかった時代には考えられなかったスピードで拡散していったことです。特に被災した現地よりも、被災地以外の地域での間接情報に基づくチェーンメール等が流言飛語を増幅したのではないかと推測します。幸いなことに、日本人の国民性でしょうか、比較的多くの人が冷静に対処したのではないかと思いますが。
プラスの側面もあります。それは僕自身が経験したことですが、福島第一原発事故についての政府発表の真偽、事故の進捗・拡大の可能性、メルトダウンの可能性、専門家の意見などについて様々な考え方や事実、参考となるデータなどがツィッターやブログ、各機関のホームページ等を通じて公開され、個々人が判断する材料が比較的多く得られているということです。枝野官房長官や東電、原子力安全保安院の記者会見などと比べながら真実はどこにあるのか、見極める手掛かりが少しでも得られるということはパニックを防ぐうえでも重要だと思われます。
具体例をひとつ申し上げます。3月22日に配信された村上龍のメールマガジン「ジャパンニースメディア」で環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏のレポートが紹介されました。村上龍自身も福島第一原発の状況に不安と疑心暗鬼が深まるなか、事故がどこまで進むかについてこのレポートは貴重な示唆といくらかの安心を与えてくれたとのことでした。僕も読んでそう思いました。
以下から、pdf.でダウンロードできます。
http://www.isep.or.jp/images/press/script110320.pdf
もうひとつ国際的な情報発信の問題があります。海外のメディアの福島第一原発に関するニュースを見ていると、日本に対する不安感がものすごく大きくなっているということと、日本に対する不信感が大きくなっていることを感じます。その原因のひとつは、政府から出てくる情報があまりにも統一性がなくて信頼感に乏しいこと、さらにはそれらの公式発表が英語でしっかりと出来る人がいないこと、英語での文書による資料も極端に少ないことが挙げられます。特にBBC、ABCやNBC、CNNといった欧米のテレビやiPadの放送で放映される枝野長官等の政府発表に女性の同時通訳の声がかぶさっているのですが、それらも信頼感を損ねている一因かもしれません。
世界に発信できるかどうかについては政府・東京電力の当事者能力が低いことから考えると今すぐに対応するのは難しいでしょうが、であればIAEAなどの力を借りて世界に向けた一貫性のある発表を急ぐべきです。もちろん、その前提となるのは信頼できる公開情報を出来る限りだすことが必要です。
3. 福島と首都圏、九州の温度差
3つ目に福島第一原発の周辺地区、首都圏、そして九州の事故に対する温度差についてです。東北の方々は辛抱強いと昔から言われていますが、今回の地震・津波災害、原発事故においても、テレビを見る限り現地で被災された方々や原発の放射能被害に遭われている方々、自治体の関係者などのインタビューで感情を抑えた表情で語っておられるのが目につきます。しかし、実際にはこの後に及んでも情報を出し渋ったりする東電や政府関係者の対応にハラワタが煮えくりかえる思いだと察します。
そして首都圏。これも関東に住む知人に聞いたり、テレビなどで見たりする情報に限られますが、首都圏の方々は福島第一原発の事故の進展具合では大規模な首都圏での放射能汚染の可能性も指摘される中、平静を装いつつも相当緊張感を持って事故の状況を心配して見ておられるのではないかと思います。すでに首都圏の水や食品の放射能汚染も起きています。場合によっては、プルトニウムという半永久的に残留する猛毒物質を含むMOX燃料(プルサーマル用)が装填されている福島第一原発3号炉等の放射能のさらなる拡散といった事態が来れば、首都圏も無傷ではいられない差し迫った状況も考えられるからです。
これに対して福島や関東からは遠く離れた九州、福岡ではそれほど差し迫った危機感は感じられません。友人や知人や家族が福島や関東におられる方は相当の懸念を持ってあると思われますが、多くの一般の人々は現地の人たちに比べれば不安感は低いと思います。
この福島、首都圏と九州あるいは北海道など他の地域との温度は僕は実は事故収束後に大きな影響を与えると考えています。なぜなら日本全国には高速増殖炉を含め55基の原発があり、福島と同じ事態はどこの地域でも起こる可能性があるからです。これから原発を中心とするエネルギー政策の見直しは必至です。そうした中で、福島原発周辺地域と関西・四国・九州・北海道などとの事故に対する温度差は、原発の是非についての大きな意見の相違につながってくる可能性があります。ただ、全国の電力会社の頂点に位置する東京電力、事故に大きな責任のある経済産業省が事故の被害を被る可能性のある首都圏にあるということは今後の原発の議論に大きな意味を持ってくると思います。
【見えないもの】
そして最後に見えないものについてです。それは事故の最終的な出口です。福島第一原発は事故を起こした現在1号機から4号機まですべての原子炉の状況が東電や政府にさえ明確に詳細までは把握されていないのではないのでしょうか。しかも、高濃度の放射能汚染の中、現地での効果的な作業までも滞っている状況です。炉心の状態がどうなのか、使用済燃料プールは大丈夫なのか、自信を持って答えられる人が事故の当事者にいない。これは身の毛もよだつ事態です。普通の事故ならまだしも、大規模な放射能汚染のさらなる拡散の可能性がある原発が1機ではなく、4機もあるのです。
原発事故がこれほどの規模で起こったために、政府も民間も本来救援を急ぐべき地震と津波の被害に遭った他の東北の地域の初動対応から今まで相当の遅れが生じていることは間違いないと思います。
これから福島第一原発の放射能汚染をどう食い止めていくのか、政府と東電は全力で対応してもらわなければなりません。そして僕ら国民は事態の推移と対応を厳しく監視し、事故の推移について想像力を働かせて次に取るべき行動を自ら判断していく必要があると思います。
今日の記事参考になりましたか?
2013年03月26日
出口の見えない闘い―福島第一原発
「フクシマ・アーカイブ」15日目。2年前の3月26日の毎日新聞の記事には、福島第一原発内での高濃度放射能汚染水の水たまりが見つかったと報道していました。メルトダウンによって格納容器が損傷し、原子炉も損傷しているところに大量の放水を続けていたわけですから、それらの大量の水が水たまりをつくり、一部は海に流れ込み、ついに4月4日には東電が「意図的に」大量の彼らが言うところの「低濃度」の放射能汚染水を放出するに至りました。この東電による意図的な放射能の海洋放出は世界各国から猛烈な非難を浴びたことは記憶に新しいところです。
また、海洋研究開発機構の試算によると、東京電力福島第一原発の事故で、原発から海に流出した放射性セシウム137の総量は最大で5600テラ・ベクレル(1テラは1兆)にのぼり、実に東電の推計量の約6倍にあたるとの報道もありました。これからの日本近海の放射能汚染がどれくらいの健康被害をもたらすか誰もわかりません。
そして先月も福島第一原発の港湾内で獲れたアイナメから、1キロあたり51万ベクレル(基準値の5100倍)のセシウムが検出されました。
以下は、2011年3月26日の僕のブログ記事です。
【また重大局面】
作業員が被ばくした水たまりは1号機〜4号機すべてに見つかりました。
『東京電力は25日夜、東日本大震災で被災した福島第1原発1号機のタービン建屋地下でも水たまりが見つかり、採取した水から1立方センチメートル当たり約380万ベクレルの放射能を持つ放射性物質が検出されたと発表した。原子炉の冷却水の約1万倍の濃度。ヨウ素131やセシウム137などで、溶融した核燃料の一部が漏れ出した可能性がある。24日には3号機のタービン建屋地下で3人が被ばくし、2人が放射性物質に汚染された水たまりに足を入れて被ばくしている。3号機の水について東電や経済産業省原子力安全・保安院は25日、原子炉から燃料の一部が漏れ出したとの見解を明らかにした。
【図説】被ばく量と健康への影響の目安
東電によると水たまりは24日までに1〜4号機で見つかった。タービン建屋の地下は2区画に区切られているが、配電盤などがある区画はすべて津波で水没しており、その水深は▽1号機約40センチ▽2号機約1メートル▽3号機約1.5メートル▽4号機約80センチ。もう一つの区画に浅い水たまりが点在しているという。東電は2、4号機の水たまりについても調べている。
3号機で見つかった水について東電の武藤栄副社長は25日、「原子炉側から出てきた可能性がある」と話した。保安院も「原子炉から何らかの理由で放射性物質が漏れている可能性が高い」との見方を示しており、厳重に閉じ込められているはずの核燃料の一部が原子炉建屋の外に漏れ出た可能性がある。』(3月26日付毎日新聞)
【刻々と悪化】
3号機での作業員3人の被ばくで明らかになったのは、1号機から4号機すべての建屋で放射能汚染されたかなりの水たまりがあり、しかも高濃度だということでした。そしてもっと重大なことは、その放射性物質の中に原子炉の炉心にしかないセシウムもあったということです。すなわち、汚染水は原子炉内から漏れている可能性が強いということです。
高濃度の放射能汚染水が「炉心のメルトダウン→原子炉爆発」という最悪の事態を回避する作業を大幅に遅らせる可能性が高くなってきました。福島原発1機であれば、チェルノブイリ原発3号機のような大惨事と比較すれば小さいかも知れませんが、4機すべてが炉心溶融や燃料プールからの大量の放射能放出となると単純に考えても事故の規模はチェルノブイリを上回る可能性が出てきます。身の毛もよだつ事態です。
【日本全土から世界へ】
すでにこの福岡でも微量ではありますが、23日から24日にかけて自然界には存在しないヨウ素131が検出されています。また、中国の港で日本の船が放射能汚染されているという理由で足止めされたり、アジア諸国で日本からの食品輸入に制限をかけたりという動きも出ています。
福島第一原発の事態収拾の目途が立たない中、世界は日本発の放射能汚染の世界への拡散に警戒を強めて行くでしょう。
今、福島第一原発の現場は地獄というか放射能の修羅場そのものです。一番末端の作業員の人たちをこんな危険な仕事に従事させている、今まで原発を推進してきた幹部の人たちには激しい怒りを覚えますが、今はとにかく幹部の人たちに命を賭けてでも福島第一原発の最悪の事態を回避してもらいたいと思います。もう「想定外だったから」とうそぶくようなことは誰ひとり許さないでしょう。
そして無力な僕らは日本発の大規模放射能汚染が世界に広がらないようにひたすら祈りたいと思います。
2013年03月25日
地球より重い責任―東京電力
「フクシマ・アーカイブ」14日目。みなさんもしっかり覚えておられると思いますが、東京電力の清水社長は事故後しばらくして高血圧などの病気を理由に病院に「敵前逃亡」しました。日本をもしかしたら経済・社会もろとも崩壊させかねないほどの未曾有の大惨事を引き起こした当事者のトップがです。日本国民の誰もが耳を疑ったのではないでしょうか。しかもその東京電力の傲慢は今も変わりません。やはりあのとき「死亡宣告」をしておくべきだったと思います。
当時僕がブログで書いていたことは今でも正しいと思っています。福島第一原発の核惨事は日本というちっぽけな国家が文明のパラダイムを変えるくらいの決意で方向転換しなければならないことを教えました。
そういう大きな転換が出来るかどうかという意味で、日本の中枢である首都圏に近い福島原発が事故を起こし、その責任者が東京電力であったということは重大な意味を持つと思います。日本の電力会社の頂点に位置し、他の地方電力会社を事実上引っ張ってきたのが東京電力であり、ここが首都圏の近くでこれだけの大災害を起こしたということは、最も日本の中枢に近い人たちに原発事故の重大性を認識させ、大きな転換が必要だと思わせたのではないかと考えるからです。
以下は、2011年3月25日の僕のブログ記事です。
【謝罪行脚】
東京電力の幹部が事故後初めて原発周辺の住民に謝罪行脚をしているとの報道がありました。
『東京電力の皷(つづみ)紀男副社長が22日、福島県田村市の市総合体育館に設置された大熊町の町災害対策本部を訪れ、渡辺利綱町長や町民に謝罪した。
また福島市内で記者会見し、福島第一原発1〜4号機の廃炉について「収束に全力を尽くしており今は考える状況でない」と述べ、農作物などの被害に対する補償についても「どういう場合に可能か方向性を検討している」と話した。
原発の事故以後、初めて福島県入りした皷副社長は同日午後、渡辺町長に「ご心配をおかけして申し訳ございません。一刻も早くこの事態を収束させたいと思っています」と謝罪。渡辺町長は「一刻も早く危機的な状態を脱してもらいたい」と訴えた。
皷副社長は、約670人の避難住民に頭を下げて回ったが、「何しに来たんだ」と住民が怒りをぶつける場面もあった。』(3月22日付読売新聞)
【本当の謝罪】
これより前、福島県の佐藤雄平知事は22日午前に東京電力から清水正孝社長による謝罪訪問の申し入れがあったが、断ったことを明らかにしました。当然だと思います。謝って済むような問題ではない。ましてや福島原発の事故の直接の被害だけでなく、放出され続けている様々な放射性物質による農産物の被害が顕在化し、福島県の農業まで破局に瀕している今、どんな言い訳をされても許される事態ではないと思います。
では東京電力がこれからやるべきことは何か。それは先ず福島第一原発の核惨事の一刻も早い収束であることは間違いありません。次に、収束後の事故前の原状回復の努力です。そして最後に過去何十年にもわたって住民を懐柔したり騙したりしながら、「絶対に起こらない」と強弁していた原発事故を起こしたことを踏まえ、これからのエネルギー供給のあり方をどうしていくのか、国とともにしっかりとした青写真を書いて、それを着実に実施していくことです。
もちろん、それは文明のパラダイムを変えるくらいの決意で、中長期的な核エネルギーから自然エネルギーなどへの本気の転換を図ることが出来るかどうかです。
【東電が事故を起こした意味】
そういう大きな転換が出来るかどうかという意味で、日本の中枢である首都圏に近い福島原発が事故を起こし、その責任者が東京電力であったということは重大な意味を持つと思います。日本の電力会社の頂点に位置し、他の地方電力会社を事実上引っ張ってきたのが東京電力であり、ここが首都圏の近くでこれだけの大災害を起こしたということは、最も日本の中枢に近い人たちに原発事故の重大性を認識させ、大きな転換が必要だと思わせたのではないかと考えるからです。
九州や北海道でこんな核惨事が起きても首都圏に遠ければ遠いほど、エネルギー政策の大転換を図るのは困難が伴うでしょう。そういう意味でも、今回の福島第一原発の核惨事の意味は重大だと僕は考えます。
あと一ヶ月ほどで1986年4月26日に起こったチェルノブイリ原発事故からちょうど25年になります。日本にとって2011年3月11日は旧ソ連のチェルノブイリ以上のものになる、そしてこれを契機に文明の転換に匹敵する転機にしなければ日本の未来はないと思います。
今日の記事参考になりましたか?
2013年03月24日
急速に進む「恐れていた事態」―食品・水・土壌の放射能
「フクシマ・アーカイブ」13日目。2011年3月24日。テレビや新聞は東京都の水が規制値をはるかに超える放射能に汚染されていると伝えていました。あの後、福岡の知人の中にも東京の孫や子供たちのために、大量の水を送ったという話をあちこちで聞きました。遠く離れている福岡でも放射能汚染はそれほど身近な問題となったのです。
先日紹介した米国の原子力専門家アーニー・ガンダーセン氏によれば、福島第一原発から漏えいした放射性物質はチェルノブイリの5倍〜10倍だったとしてもおかしくないと述べています。(同氏の予想では2倍〜5倍で、原子力安全委員会と原子力安全・保安院は2011年4月11日の会見で10%と言っていました。)
政府がそんな誤魔化しをしている間にも福島だけでなく、関東も深刻な放射能汚染が広がっていたのです。首都圏の方々がこれから長期にわたって被る健康被害は相当なものになると思います。そしてベクレル表示さえされない食品流通の問題や、放射能に汚染された瓦礫の処理問題などは、本来汚染物質を出来るだけ拡散させないことが世界の常識なのに、日本では情緒的な対応ばかりが先行して科学的なデータや分析は後回しになっているのが現状です。被害は関東だけではなく、濃淡はあっても全国に飛び火していくのは間違いないでしょう。
以下は、2011年3月24日の僕のブログ記事です。
【驚愕の数値】
恐れていた事態が次々と現実に起こっています。
『東京都は23日、都内に水道水を供給する浄水場から、乳児が飲む規制値の2倍を超える放射性ヨウ素を検出したと発表した。
都は、乳児が水道水を飲むことを控えるよう呼びかけている。
呼びかけの対象地域は東京23区、武蔵野市、町田市、多摩市、稲城市、三鷹市。
検出されたのは、葛飾区の金町浄水場で、22日午前9時に採水したところ、210ベクレルを検出した。食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な規制値は100ベクレルとなっている。
都では、この水道水を乳児の粉ミルクなどに使うことを控えるよう呼びかけている。ただ、指標は乳児が長期にわたり飲み続けた場合を想定しており、他の飲用水が確保できない場合は飲んでも構わないとしている。』(3月23日付読売新聞)
【水も食品も土壌も】
福島から200キロ以上離れた東京のど真ん中で、しかも水道水がここまで汚染されていると聞いて本当にびっくりしました。国や東京都の乳児に対する注意は適切だとは思いますが、関東におられる方々、特に乳児や幼児をお持ちのご家庭の心配に心が痛みます。冷静に行動することは必要ですが、出来る限りのデータやアドバイスをインターネットやテレビなどあらゆる情報源から得て自ら判断していく必要があると思います。
もうひとつ驚愕したのは、数日前に福島原発周辺の原乳やホウレンソウの放射能汚染が報じられた後、23日の時点ではそれが様々な葉物類、そして地域も広範囲になっていることです。すでに相当広範囲に放射性物質が広がっていることがわかります。
最後に23日夜のNHKニュースで報じられたセシウムによる土壌汚染です。福島原発の北40キロほどの場所で何と通常の1600倍近いセシウム137が土壌から発見されたと報じられていました。これはチェルノブイリ原発事故現場から数10キロから50キロ付近で検出された放射能量に匹敵する値であり、高濃度であることは間違いありません。また、セシウム137は土壌に残る可能性は高いものの、半減期は30年近くあり、食品から人体に取り込まれると筋肉に付着しやすく外部被ばく、内部被ばくを長期にわたり及ぼす可能性が高いものです。
NHKも民放もキャスターやアシスタントの表情がこわばっているのがわかります。冷静を装っているけれども、「すぐに健康に影響が出るわけではありません。」、「安全です。」といった専門家の言葉に救いを求めているような声のトーン、表情。テレビは正直です。
【日本全国どこも可能性あり】
次々と明らかになる毎日の生活に欠かせない水、食品への放射能汚染の広がりに、恐れていたことが現実のものになったという驚きを隠せません。被害の度合いは桁違いかもしれませんが、状況的には25年前に経験したチェルノブイリ原発事故の光景が福島周辺から関東のあちこちに広がっているという印象です。
福岡から見ている分は毎日ニュースで報道される数値を冷静に見ることが出来ますが、東北や関東の方々は気が気ではないと思います。とにかく様々な情報源からデータを出来るだけ集め、パニックにならずに自らの判断をしていくことしかないと思います。
それから東北、関東以外の地域でこのブログ、あるいは放射能汚染のニュースを見てられる方も安心は禁物だと思います。福島第一原発からの放射能は様々な条件で放射能雲となって風下に流れ、思わぬ高濃度の放射性物質を広範囲に運んでくることを肝に銘じておくべきです。また、日本には狭い国土に55基もの原発が全国にある原発過密国であり、今回の食品や水の汚染の原発からの距離が100キロから200キロ近くに及んでいることを考えればどこにも逃げ場はないということです。(ちなみに玄海原発から福岡までは50数キロしかありません)
今日の記事参考になりましたか?
2013年03月23日
破局寸前も政争?―自民と民主
「フクシマ・アーカイブ」12日目。東日本大震災とそれに続く福島第一原発の核惨事のときに日本の政治の情けないまでの無能力さが白日の下に晒されました。僕ら日本人だけでなく、世界にその恥をさらしたのです。日本の政治家も政府も官僚も、そしてそれを擁護しようとする原発利権に群がる産業界や御用学者そしてメディアは、このとき国民の信頼を完全に失ったと言っていいと思います。それが原発の再稼働を巡る混乱の中で一層明確になってきています。国民の命を一顧だにしない政治家たち、そして目先の利益のためにそれを後押しする一部の経済人たち。国家が沈没しようが、国民の命がどれだけ失われようが彼らにとっては問題ではないのです。
そんな人間たちの集団に黙っていたら、間違いなく次の原発事故によって日本は終わります。それでもあなたは彼らを見過ごし、怒りの声を上げませんか?
以下は、2011年3月23日に原発事故に何もなす術をもたなかった無能な政治家たちについて書いた僕のブログ記事です。
【入閣拒否】
菅首相の入閣申し入れを谷垣総裁が拒否したそうです。
『菅直人首相は19日午後、自民党の谷垣禎一総裁と電話で会談し、東日本大震災への対応に関し「国家的危機への責任分担をしてもらえないか」と述べ、副総理兼震災復興担当相としての入閣を要請した。これに対し、谷垣氏は「あまりにも唐突な話だ。今は体制をいじるときでなく、被災者支援、原発対応に全力を尽くすべきだ」と拒否した。子ども手当など民主党の主要政策に反対していることを踏まえ、連立政権への参加は有権者の理解を得られないと判断した。
ただ、谷垣氏は「これからも震災復旧に惜しむことなく閣外で協力する」と述べ、被災者の生活支援や被災地の復興には積極的に取り組む考えを伝えた。
首相が入閣を要請したのは、震災や福島第1原子力発電所の放射能漏れ事故に対応するには、「大連立内閣」をつくり、与野党の総力を挙げる必要があると考えたためだ。一方、谷垣氏には入閣した場合、深刻化した原発事故の責任を共に負わされかねないとの強い警戒感もあったとみられる。』(3月20日付時事通信)
【政治への怒り】
一体政治家たちは何を考えているのでしょうか?3月11日の東北関東大震災の発生から昨日まで、とてつもない被害を受けた被災地。そして福島第一原発を襲った恐怖の核惨事。とりわけ福島第一原発の緊迫した状況は福島周辺だけでなく、日本全国を恐怖のどん底に突き落とし、全世界もその危機的状況に震えています。僕も事故発生から昨日までずっと福島第一原発の危機をブログに書き続けてきました。
その間菅首相をトップとする官邸は、危機的状況に陥ったニッポンを何とか立ち直すべく必死の努力をしています。地震・津波被災地の救済も、原発危機への対応も、正直、あまりにも経験不足で、あまりにも失敗続きで、とても満足できるようなものではないかもしれません。しかし、とにもかくにも必死でやっていることは確かだと思います。
その最中に入ってきた菅首相の谷垣総裁への入閣要請のニュース。物別れに終わったとのことですが、正直呆れ、怒りがこみ上げてきました。なぜか?それは菅首相の要請も、谷垣自民党がいろいろ屁理屈をつけて協力を拒むのも、平時のやり取りならともかく、これほど国家が危機的状況にあるときに、日本の政治のトップが政争をやっている場合かということです。
谷垣総裁は、国家的危機にあたって政策の一致が必要と言うなら、自ら民主党に乗りこんで必死でそういう接点を模索したらどうでしょうか。ちょろちょろと自民党幹部と話して、「やっぱり駄目です」なんて言ってる場合でしょうか。地震と津波という自然災害については防げなかったかもしれませんが、原発についてはここまでずるずると国民から真実の情報を隠し、電力会社や経産省の体質を歪めてきた責任の一端はそもそも自民党にあるのではないでしょうか。福島原発の危機回避にむけて自民党がやることは山ほどあると思います。
放射能の恐怖に怯えて屋内待機したり、着の身着のままで自宅を放棄して退避する福島の方々のことを本当に真剣に考えているのでしょうか。
もちろん、自民党だけでなく民主党や他の野党にだってこんな事態に至ったことに対し政治家としての責任はあります。こんな危機の最中には小沢氏も鳩山氏も死に物狂いで政権を支えるべきだと思います。なのに彼らの顔も行動も何も見えません。これほどの危機に際して、政治家たちの顔がまったく見えないのは一体何なのかと問いたいです。
国民は間違いなく、この危機が去った後この政治家たちを見放すと思います。
2013年03月22日
安堵と不安の連鎖続く―福島第一原発
「フクシマ・アーカイブ」11日目。2011年3月22日の僕のブログには福島第一原発3号機の使用済燃料プールの記述がありますが、このときは3号機の爆発が1号機とは本質的に違うものだったことなどまったく知るよしもありませんでした。ここに福島第一原発をはじめ日本に数十基あるGE製の欠陥原子炉マークI等について豊富な知見を有するアメリカの原子力技術者で、福島の事故の際もいち早くメルトダウンが起きたことを明言していたアーニー・ガンダーセン氏が書いた「福島第一原発−真相と展望」という本があります。ここには現在進行中のフクシマの核惨事の真実が明らかにされているのですが、中でも戦慄を覚えるのがこの3号機の状況です。
3号機の爆発は1号機と違い原爆のきのこ雲のようになっていた映像を記憶されている方も多いと思いますが、それは同氏によれば「3号機の使用済み核燃料プールで不慮の臨界が起きていたと考えるのが自然だ」とのことでした。また、もしこの爆発がデトネーションと呼ばれる即発臨界に達し格納容器が破壊されていたら、日本列島がほとんど分断され、何世紀にもわたって居住に適さず、高濃度汚染を前提とした特別な車両でしか移動できないような土地が広範囲に広がっていたというのです。そして今でも3号機や4号機ではその可能性があるのです。フクシマでさえこんな状況でも原子力関係者は日本全国の原発を再稼働するつもりなのでしょうか。信じがたいことです。
以下は、当時の僕のブログ記事です。
【続く不安な状態】
ここ2日くらい福島第一原発の3号機の使用済燃料プールを中心に自衛隊、消防隊、警察の現場担当者の決死の放水を続けたことで、放射能の大量放出の継続という最悪の事態が僅かながら改善できる一筋の光明が見えてきたと多くの人が思ったのではないでしょうか。しかし、3号機の一部破損があると見られる格納容器の圧力が上昇しつつあり、もし炉の破損が広がればプルトニウム等の大量の燃料が放出されるという新たな危機が始まりつつあります。複数の原子炉で危機的な状況が進行しているために、複合的な事態が危機回避を難しくしているのです。
電源の復旧も今のところ進展しているように言われていますが、はたしてあれだけの津波と水素爆発などを乗り越えて、冷却装置等の機器が動くのかどうかもまだ未知数です。原子力安全保安院の言うレベル5の事態は、一気に6や7に進み、炉心が稼働を停止しているとはいえ、チェルノブイリのような核事故に進む可能性を誰も否定できないのではないのでしょうか。
【対外被ばくと体内被曝への備え】
すでに福島周辺の空気中には連続的にヨウ素やセシウムといった放射性物質が放出され、原乳やホウレンソウがかなり高濃度に汚染されているという報道がありました。例えばヨウ素(131)は半減期は8日と短いものの、ホウレンソウなどの葉っぱや牧草に付着し、それを食べる牛を通して食物連鎖で濃度が高まり、原乳に高い放射能が溜まっているのです。
発表では「「今すぐ」健康に影響があるレベルではない」ということですが、もうここまで現実が進んでいる以上、不測の事態に備えて個人個人でしっかりと事実を把握し、福島との自分との距離もよく考えて、空気からの被ばくと食物の摂取による体内被曝両方について事前の準備をしておく必要があると思います。主な点は以下のとおりです。
1. 時々刻々、自治体や原発団体などから発表される放射線の種類や濃度について正確な情報を収集し、原子力安全保安院の食品安全基準である「飲料水や牛乳に含まれる放射性ヨウ素の量が300ベクレル/kg、野菜類で2000ベクレル/kgとどれくらいの差があるかを知ること。→体内被曝への備え
特に赤ん坊や小さな子供さんはヨウ素等が大人の何十倍も蓄積されますので出来るだけ原発から離れることが必要です。
2. 対外被ばくを避けるため、屋内退避の勧告が政府から出されれば基本的にはそれに従う。水も汚染するのでポリバケツや水筒なども用意して水を保存しておくこと。また雨合羽やビニールシートも用意して放射能に出来るだけ当たらないようにすること。
3.ガーゼマスクや懐中電灯、小型トランジスタ等を用意しておくこと。原発周辺ではヨウ素が大量に放出される可能性があるので自治体などからヨウ素剤をもらうのを忘れないこと。
※詳しくは脱原発団体の原子力資料情報室(以下、CNIC)のホームページをご覧ください。→ http://www.cnic.jp/
【あまりにもお粗末な当事者】
福島第一原発の最前線の現場で決死の思いで放水等の作業を行う自衛隊や消防隊員、警察、そして保安作業員等の人たちには、僕ら市民はただ、ただ感謝の思いでいっぱいです。
それに対して、この後におよんでもトップが出てこない東京電力、住民の安全を確保するためにあるはずなのに情報をスルーするだけに見える原子力安全保安院(この機関のホームページの「原子力災害発生時の住民としての対応」というページのお粗末さには絶句しました。いかにもお役所的な体裁だけで、市民を守る真摯な姿勢など見えません。それに対して、CNICのほうが市民の防災の観点からしっかり書いており極めて充実しています)、未だに政争を繰り返して事態の重大さを認識しているとは思えない与野党の政治家たち(少なくとも官邸は必死に見えます)などを見るともう絶望的にさえなります。
さらに加えて、先週末に記者会見を開いた一部の地方電力会社のトップは、これほどの深刻な事態が福島原発で進行しているさなかに、「自分の原発で想定外のことはないと思うが、」とか、「万が一不測の事態があっても、炉心などに水がいかないようなことは絶対に防ぐ」といった発言をしています。大自然の猛威や人間のヒューマンエラーは想定外ばかりであり、「絶対に防ぐ」などというのは原子力広報や精神論では言えても、市民に信頼の得られる言葉ではないことは明らかです。これは彼らの考え方が事故前から何も変わってないことを暴露したようなものです。ましてや事故が起きて「想定外だからごめんなさい」なんて冗談ではないです。もう彼らには頼れない、自分たちは自分たちで守るしかないと強く思います。
≪参考≫
・日本各地の放射線量がわかるマップ →
『東日本大震災・非公式・放射性物質モニタリングポストMAP / Japan quake radioactive material monitoring post MAP』
http://ow.ly/4dGhQ
・各地の放射線量がわかるリンクまとめ →
http://getnews.jp/archives/104544



