2006年03月09日

ゴルバチョフ氏の回想 4

【深い衝撃】

つい数日前、ゴルバチョフ元ソ連大統領の回想についての短い報道があった。

ゴルバチョフ氏「事故は私に深い衝撃を与え、地球(環境)に対する私の態度を変えた」。ゴルバチョフ元ソ連大統領は75歳の誕生日の2日、ロシア週刊紙ノーバヤ・ガゼータとのインタビューで、20年前に起きたチェルノブイリ原発事故が、政界引退後の環境保護活動への取り組みのきっかけになったと述べた。同氏は環境団体「グリーンクロス・インターナショナル」(国際緑十字)の総裁を務めている。
 事故はゴルバチョフ氏がソ連共産党書記長時代の1986年4月に旧ソ連ウクライナ共和国で発生。同氏は「平和目的の核施設でも、事故が起きればこれほどの大きな被害を与えることを示した」と強調し、この教訓が後に故レーガン米大統領らと進めた核軍縮と東西冷戦の終結につながったと語った。(3月2日付共同通信)

チェルノブイリ原発忘れもしない1986年4月26日。遠いウクライナからの放射能漏れが世界各地で観測され始めたという小さなニュースはみるみるうちに大きくなって、あの地球規模の放射能災害が明らかになっていった。それはチェルノブイリ原発事故の悲劇の「始まり」だった。その後、まさに地球に重苦しい黒い雲が覆いつくされた瞬間だった。放射能の不安と恐怖。あの時、僕自身の人生観も変わった。そしてその事故の災禍は今も続いている。

あの事故の真実と事故のもたらした被害は未だに未解明の部分が多い。事故の起きた原発は「石棺」と呼ばれて封印密閉されていると言われるが、事故を起こした原子炉の半径30キロの範囲や300キロも離れた「ホットスポット」と呼ばれる高濃度汚染地帯は永久に居住禁止となり、500もの村が消え、40万人もの人々が故郷を失った。当時浴びた放射能汚染により、夥しい数の子供達が甲状腺などのガンに侵されており、今でも苦しみの中にある。

ゴルバチョフ氏が当時の大統領職にあってこの大災害に大きな衝撃を受けて、西側との融和へ向かったというのは嘘ではないだろう。

【世界は再び危険な選択をしつつある】

あれから20年。人々の事故の記憶は被害者やその周辺の人たち以外は急速に消えつつある。

そして、原油の高騰と中国を始めとするBRICS諸国の高度経済成長に背中を押されるように、再び熾烈なエネルギー争奪戦のなか、原子力エネルギーという一度はその拡大に一定の歯止めをかけようとしていた禁断の果実に世界が再び手をつけようとし始めている。

2月27日のタイム誌「フランスのエネルギー再編」("Re-Energized in France")と題して、国営電力会社Arevaが積極的な原子力推進を行いつつあると伝えている。Arevaの国際部門担当役員Jean-Jacques Gautrot氏は今後20〜25年で世界の原発は800基増加し、1200〜1500基に達するだろうという。

たった一基の原発事故でも地球規模の破壊的影響が出る可能性は今でも否定できないのだ。チェルノブイリはしかも最悪の事故ではなかった。最悪といわれるメルトダウンも水素爆発もまだ人類は経験していない。

もう一度、市民ひとりひとり、そして企業も行政も政府も国際機関も、原子力推進をするのならどう市民と地球の安全を確保するのか真剣に考え直すべきではないだろうか?未来の子供達のためには、小手先の対症療法は許されない。

チェルノブイリ20年目にあたる4月26日までじっくりと考えてみたい。みなさんはどう思われますか?

≪参考記事≫

「チェルノブイリ事故20年、放射能なお許容の90倍」(3月7日付読売新聞)

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コメント一覧

1. Posted by アジア人<mikionz>   2006年04月07日 20:52
luckymentaiさん、今晩は!1ヶ月遅れのコメントです(4月7日付けのゴルバチョフ氏についての記事からここにたどり着きました)。

私は長い間、原子力発電は過去のものになりつつあると思っていたのですが、再び息を吹き返してきたんですね。このことを教えていただいて有難うございます。それにしても、いや〜な感じです。

原子力発電は、副産物として出る半減期が2万年以上の猛毒のプルトニウムの安全管理など未解決の問題が多くて、永遠に未完成の技術だったはずですが、このことはどうなってしまったんでしょうね。(続く)
2. Posted by アジア人<mikionz>   2006年04月07日 20:52
また石油の代替エネルギーみたいに言われますが、燃料の濃縮ウランを得るために莫大な石油を使う必要があり(ウラン鉱の採掘に使う機械の燃料、濃縮過程その他に使われる石油の量など)、「原子力発電は姿を変えた石油発電」だったはずですが、この問題はどうクリヤーされたんでしょうね。

佐賀県知事は玄海原発3号機のプルサーマル計画を承認しましたが、その大きな理由が、「石油代替エネルギー」ということの他に「環境にやさしいから」だそうで、知事の感性と私の感性には大きな隔たりがあるようです。

この計画、博多の人々の生活にも大きく影響する可能性がありますが、今のところ人々の反応はどのようなものでしょう?
3. Posted by luckymentai   2006年04月08日 07:56
mikionzさん、丁寧なコメントありがとうございました。
プルトニウムの安全管理の問題も「石油をがぶ飲みする」原子力の問題も全く解決していないと思います。手元に「日本の論点2006」(文芸春秋編)がありますが、その中にも原子力そのものの話題はありません。どちらかというとエネルギーの安全保障という立場から内藤正久氏という元通産官僚で現在の日本エネルギー経済研究所理事長が述べているだけです。

みんな当面の問題解決に忙しくてそれどころじゃないのかも知れません。でも僕は地球温暖化のところで申し上げましたように日本に「行き過ぎによる突然の崩壊」がやってくるとすれば地震も含む原子力による大事故ではないかと危惧しています。

博多の人たちも表向きは無関心のようです。

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