臨床感染症学

jmedmook07 いきなり名医!見逃したらコワイ外来で診る感染症 感染症診療コツのコツ

「jmedmook07 いきなり名医!見逃したらコワイ外来で診る感染症 感染症診療コツのコツ」が出ました。

いずれも「自分が是非教えて頂きたい」先生方にご執筆をお願いしたものです。早速机の上に置いています。

外来で診る頻度の高い感染症および感染症の問題を見渡せる書籍がほしいと以前から思っていました。これで外来診療もずいぶん見通しがよくなるはずです。

研修医の先生方の質問には外来というセッティングでの診療に関するものが非常に多いです。それは外来で診る疾患に関する知識がこれまでに十分に整理・提示されてこなかったこともさることながら、限られた時間内でのマネジメントの方法については全くというほどに説かれてこなかったことが理由だと考えています。

「まずはどうするか」「危険な状況とはどういうときか」「どういうときに転送すべきか」など、誰もが知りたいと思っていてもこれまでになかなかに言語化されてこなかった事項が、きちんと整理されています。

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第1章 症候で切った感染症診療のコツ
1 発熱─「感冒」としてよいのか愚直にチェック!
2 頭痛 ─コワイ頭痛は「最悪」「増悪」「突発」の3つを確認せよ
3 リンパ節腫脹─「局所性か? 全身性か?」「急性か? 慢性か?
4 「かぜ」の診かた─抗菌薬ではなく「納得のいく説明」を処方する!
5 咽頭痛─見逃し厳禁! 急性喉頭蓋炎,扁桃周囲膿瘍,咽後膿瘍,顆粒球減少症 
6  咳─気管支喘息,結核,異型肺炎,百日咳,悪性腫瘍は常に念頭に!
7 腹痛─消化器疾患以外の腹痛は要注意! 飯田幸生,山中克郎
8 下痢・嘔気・嘔吐─急性胃腸炎症状+αの病歴や身体所見が診断を示唆!
9 皮膚の発赤・腫脹─「壊死性筋膜炎」「ガス壊疽」「トキシックショック症候群」に注意!
10 急性の関節痛・関節炎─単関節炎で見逃してはならない化膿性関節炎
11 せん妄・意識障害─せん妄をみたら内因性疾患をまず検索!

第2章 感染症外来診療で絶対知っておきたいマスト15の知識
1 外傷と抗菌薬
2 小児の副鼻腔炎,中耳炎─未来に抗菌薬を残すために
3 気管支炎,肺炎
4 インフルエンザ
5 Red eye─眼の充血の鑑別
6 膀胱炎,前立腺炎,腎盂腎炎
7 内科診療の現場で遭遇する性感染症
8 外来で出会う輸入感染症─帰国者の発熱の鑑別・旅行者下痢症
9 高齢者と感染症
10 大人のワクチン
11 外来での微生物学的検査
12 外来感染対策
13 高齢者施設と感染症
14  抗菌薬をほしがる患者への対処法
15 外来抗菌薬事情

感染症診療役立ちコラム
その1 外傷のマネージメント:抗菌薬と破傷風予防策
その2 感染症を診るために何が必要か
その3 感染症の情報をどこで入手するか
その4 成人のパルボウイルス感染症“そのむくみ,感染症です!”
その5 眼科緊急度の高い疾患
その6 急性レトロウイルス症候群
その7 性感染症を鑑別に挙げるべき生殖器以外の症状・所見
その8 高齢者のサイレントシリーズ
その9 高齢者感染症診療に使える虎の巻
その10 ワクチンの概略
その11 渡航先と推奨されるワクチン
その12 外来診療で有用な迅速検査
その13 外注検査を使うコツ

MEMO 感染症に関連するお役立ちウェブサイト1,2

2010年3月27日第9回(静岡)東部感染症研究会 上田晃弘先生講演 配付資料

2010年3月27日土曜日に行われた第9回(静岡)東部感染症研究会における上田晃弘先生の特別講演ですが、上田先生のご厚意により要点を配付資料で掲載させて頂きます。

当時お話になった内容はもちろんこれだけではありません。気になる方は是非上田先生に声をかけて、講演にきてもらってはいかがでしょうか。

4月5日月曜日 日本感染症学会懇親会後 有志で懇親会

4月5日月曜日 日本感染症学会懇親会後 有志で懇親会を予定しております。感染症に関わる多くの方が一同に回する機会はなかなかありませんので、ご興味のある方は是非ご参集ください。

日時: 4月5日月曜日 日本感染症学会懇親会後
(懇親会は夜9時終了)
場所: 京都市内(現在鋭意選定中)
参加者:おそらく感染症関係者
応募方法:100405kyotoid(あっとまーく)gmail.com にメールで連絡
応募〆切:4/3の20時まで

2010年3月27日土曜日 第9回(静岡)東部感染症研究会 特別講演 上田晃弘先生

下記の予定で、第9回(静岡)東部感染症研究会が開催されます。
ご興味のある方は是非よろしくお願いします。

ケースカンファレンスでは、困った症例、相談したい症例、ありふれている疾患であるが考えを深めたい症例等、ざっくばらんにディスカッション致します。このような問題をきちんとディスカッションして少しでも日々の診療の悩みを解決していくことことが、重要だと思っています。

特別講演では、東海大学附属病院の上田先生(当科のOBです)に『総合内科外来で診療をして気づいたこと』と題してお話いただきます。上田先生は総合内科の外来で主に「紹介されてきたケース」を診ているのだそうですが、その立場から見えてくることについて、お話しいただく予定です。開業されている先生方にもお勧めの内容です。

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第9回東部感染症研究会のご案内

謹啓
時下、先生方におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
この度、第9回東部感染症研究会を実施する運びとなりました。本研究会は、感染症領域における基礎および臨床医学の専門知識の増進・普及と技術の交流に貢献することを目的としており、ケーススタディーを中心とした討論会形式にて進めて参ります。会員同士の親睦を通じて専門職能を発展させて頂く場として、本研究会を利用して頂けましたら幸いです。

謹白


日   時 : 平成22年3月27日(土)15:30〜
場   所 : 三島商工会議所 4F会議室
三島市一番町2-29 (三島駅南口より徒歩2分) 
? 055-975-4441
製品紹介 : キノロン系経口抗菌剤 「ジェニナック」について
ケースカンファランス 15:45〜16:30
症例提示1:静岡県立静岡がんセンター  感染症科
症例提示2:血球貪食症候群の治療中にCRPの持続高値を認めた1例
順天堂大学医学部付属静岡病院血液内科
松野圭、山田敦子、杉元啓二、小池道明

教育講演  16:30〜
座長 静岡県立静岡がんセンター感染症科 部長 大曲貴夫
『総合内科外来で診療をして気づいたこと』
〜感染症の観点から〜
東海大学医学部付属病院  
総合内科   上田晃弘先生

※会費500円を徴収させて頂きます。

お問い合わせ先 : アステラス製薬株式会社 沼津営業所 ? 055-964-0601

日本感染症学会 卒前・卒後教育企画 “症例から学ぶ感染症セミナー” 受付始まってます

日本感染症学会 卒前・卒後教育企画 “症例から学ぶ感染症セミナー” 受付始まってます。

卒前・卒後教育企画“症例から学ぶ感染症セミナー”
会期:2010年4月5日(月曜日)16時20分〜18時20分(予定)
会場:国立京都国際会館 アネックスホール1

http://www.kansensho.or.jp/meeting/seminar.html

自分で出来ないことを、人に強いることは出来ない

今年の日本環境感染学会も終わりました。
シンポジウムで抗菌薬適正使用についてお話ししました。
ご要望もありましたのでスライドを掲載します。

今回のシンポジウムを通じて思ったことはやはり、「適切な感染症診療を行える医療者の教育」がまずは必須であるということです。私たちの報告もその点を特に強調させて頂きましたが、沖縄中部病院の遠藤先生のご発表を拝聴し、重要性を再確認することが出来ました。

残念なのは、私たち感染症医がこのような話をすると「感染症医がいるところはそれは出来るだろうけど、うちではできない」と言われてしまうことです。その時点で、議論は立ち往生してしまいます。

しかし考えて頂きたいのは、「感染症診療とその教育は、感染症専門医でなければできないほど専門性を必要とすることなのか?」ということです。感染症の診療は多くの医療者にとって日常のことです。私が感染症診療についてお話しすると「抗菌薬の処方は別にアンタに習わなくても我々だって出来る」とおっしゃる方も非常に多いことが、この点を物語っています。もし本当にそうなのであれば、「抗菌薬適正使用の推進」という感染症診療の質改善運動の指導的な立場にある方は、適切な診療の方法を皆に示し、啓発することが当然出来るはずです。

ここで「私たちは感染症医ではないから感染症診療の方法はわからない、だから教育や啓発はできっこない」、「でも『抗菌薬適正使用』はやんなくちゃいけないから、院内で規制や届け出をやるんだ」といってしまうと、おっしゃっている方は大きな自己矛盾に陥ります。どういうことかといえば、「自分でも出来ていない」ことを「規制という形で人に強いる」ことになるわけです。これでは、現場の医療者の共感・支持は絶対に得られないでしょう。

抗菌薬の適正使用をリードするからには、現場で起こっている感染症の様々な問題に真正面から取り組む必要があります。ここに立ち向かうことなしに「わたくしにはわかりません」と逃げて、一方では抗菌薬の使用規制や届出制を敷いていては、現場の医療者の支持を得ることは出来ないのです。規制を敷くからには、そこに生じる現場の問題に正面から取り組む覚悟をもち責任を背負うことが必要なのです。

これを背負えないのであれば、規制を敷くことは出来ません。なぜなら、規制によって生じる現場の問題に正面から立ち向かう人がいなくなるのですから。使用規制とはそれぐらい重い責任を伴うものなのです。現場の医療を規定するのですから・・・。現場の臨床にこれほど明確に規制をかけようとしているのは感染症の分野ぐらいのものでしょう。規制を敷くことは実に軽く捉えられがちですが、これは重大事です。だからこそ、一言言わざるを得ないのです。

「そんなこと言っても、○○機構が言っているからしょうがないでしょ」とおっしゃる方もこれまでにありました。「しょうがない」かどうかはプロフェッショナリズムの観点からご自身でお考えください、としか言いようがありません。

平成22年3月13日(土)  PM2:50〜6:00 静岡感染症セミナー

恒例の静岡感染症セミナーのお知らせです。
前回よりケースカンファレンスも行うようになりました。
特別講演はあの山中先生です。診断のコツをつかみたい方にとっては逃せないご講演ですね。

※セミナー後有志での交流会を予定しております。追ってお知らせいたします。

第18回  静岡感染症セミナー(案)

謹啓
向春の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。さて、御好評を頂いております当セミナーもお蔭様で第18回目を開催させて頂く運びとなりました。今回は、講師として「藤田保健衛生大学 准教授 山中 克郎 先生」をお招きし、感染症領域における最新情報のご講演をお願いしております。是非、多施設の医療従事者の皆さん方にお気軽に御参加いただきたく、御案内申し上げます。
謹白

静岡済生会総合病院  院長 石塚 隆夫
代表世話人 さそう内科・呼吸器科クリニック 佐宗 春美

記 
日  時:平成22年3月13日(土)  PM2:50〜6:00
会  場:静岡済生会総合病院 地下1階講堂 ※時間外入口からご入場下さい
静岡県静岡市駿河区小鹿1−1−1
Tel 054(285)6171   
Fax 054(285)5179

『製品紹介』             
『 15員環マクロライド系抗生剤 ジスロマックSR 』
ファイザー株式会社 学術担当

総合司会  静岡市立静岡病院 血液内科 医長 岩井一也 先生

【症例検討】ファシリテーター 
静岡県立がんセンター 感染症科 部長 大曲 貴夫

『講 演』
座長: 静岡県立がんセンター 感染症科 部長 大曲 貴夫
藤田保健衛生大学 一般内科/救急総合診療部 准教授 山中 克郎 先生 

『「ひらめき診断術」 キーワードを探せ!』

(山中先生より)

ベテラン医師や専門医は病歴、身体所見、検査結果からいくつかの重要な「キーワード」を探し出し、鑑別診断をわずか2-3の疾患にグ〜と絞り込みます。その後、一気に診断の裏づけとなる根拠を、的を絞った身体所見や検査により集め確定診断を得ます。

感染症の診断にも、この方法は応用が可能です。このセッションでは「神のお告げ」のようにベテラン医師が何となく抽出している「キーワード」の探し方を、山中の失敗談を交えクイズ形式で楽しく学びます。                              
*当日のセミナーは日本医師会生涯教育講座3単位を取得予定です。
*尚、軽食をご用意しております。

共催  静岡済生会総合病院
静岡感染症セミナー研究会
ファイザー株式会社

ブログ紹介: 感染症科 不定期日報

感染症科 不定期日報

皆様まずはフォローしてみてください。


若手感染症医による新著:『抗菌薬について内心疑問に思っていることQ&A』(羊土社) 10月30日に発行

羊土社より今週『抗菌薬について内心疑問に思っていることQ&A』という書籍が発刊されます。

新しいイメージ


感染症診療、なかでも抗菌薬の使用法については、現場の先生方の悩みはつきません。しかし、教科書やマニュアルを見ても、抗菌薬の詳細の解説はしてあっても、実際の現場での使い方や困ったときの対応法、そもそも現場の医師の方々が抗菌薬に対してもっている素朴な疑問に答えてくれるものは、ありませんでした。

そこで、現場の医師特に研修医の先生方の気持ちをよくわかっている気鋭の若手感染症医の方々が、上記のような抗菌薬に対する疑問にズバッと答えているのが、上記の書籍です。

「素朴な疑問」とはいうものの、その質問内容は感染症診療上の重要な問題点をついたものばかりです。なかなか言語化されずに来た部分でもあります。各執筆者がわかりやすく解説してくださっています。

30日からの感染症学会東日本地方会をはじめ、アレルギー学会、救急医学会、臨床麻酔学会でも店頭に並ぶようです。是非、手に取ってみてください。

静岡がんセンタ−感染症科編集の新著です: 「感染症チーム医療のアプローチ −解決力・交渉力を磨く−」

静岡がんセンタ−感染症科の臨床部門が2004年3月に立ち上がって6年目になりました。2005年4月に立ち上げた感染症フェローシップも5年目を迎えています。

この間当科では、日本における感染症科のあり方はどうあるべきかを求めて日々試行錯誤しつつ実践して参りました。その中で学んだことは「感染症医が周囲に貢献していくためには、たんに個人の臨床医として優れているだけでは全く不十分であり、『専門医としての知識・経験を現場で生かしてもらえるための姿勢の持ち方』が重要であるということです。

ではどうすべきか。


感染症チーム医療のアプローチ
販売元:南江堂
発売日:2009-10
クチコミを見る
当科では、これに対する見解を、以下の書籍でお示ししています。
「感染症チーム医療のアプローチ −解決力・交渉力を磨く−」

本書では、感染症医が、感染症チームが如何にあるべきかについて、真っ正面から取り組みました。ただ、この内容はなにも感染症医だけが必要とする内容ではないと信じています。チーム医療にかかわる多くの医療者の方々に手にとって頂ければと、願っています。

救急外来でのキケンな一言―トラブル事例に学ぶ診療のピットフォールとTips

先日岐阜に伺いましたが、岩田 充永 先生のご講演を伺う機会がありました。素晴らしい内容でした。その岩田先生のご著作です。

救急外来というセッティングで、若い医師は、経験不足や様々なプレッシャーのためにEarly closureを起こしがちのように思います。

「トラブル事例に学ぶ」とあるように、このようなひやりとする例を本書のようにStoryの中で解説していただければ、まだまだ経験があまりない研修医の方でも大いに学べるものと思います。

とはいえ、診断推論上のエラーのなかには経験年数を経ても起こすリスクが変わらないものもあるそうですから(!) 経験のある方にも学ぶところ大、であると思います。

救急外来でのキケンな一言―トラブル事例に学ぶ診療のピットフォールとTips救急外来でのキケンな一言―トラブル事例に学ぶ診療のピットフォールとTips
著者:岩田 充永
販売元:羊土社
発売日:2008-09
おすすめ度:5.0
クチコミを見る

感染対策ICTジャーナル(ヴァンメディカル)の増刊号で、「新型インフルエンザA(H1N1)対策」が刊行

感染対策ICTジャーナル(ヴァンメディカル)の増刊号で、「新型インフルエンザA(H1N1)対策」が刊行されました。

掲載項目はこちらに詳しいです。

情報が多く流れていく中での、現時点でのまとめ、という位置づけですね。

Vol.4 Suppl.1 2009  −主な内容−

Special feature
新型インフルエンザA(H1N1)対策
医療現場のストラテジー

■Prologue 新型インフルエンザ対応戦略のコンセプト
■Basic
 (1)新型インフルエンザウイルスの今後の推移に関する考察
 (2)新型インフルエンザ感染症の臨床像
 (3)サーベイランスデータからみた新型インフルエンザ流行の感染疫学
■Feature article
 (1)新型インフルエンザに関する国の行動計画とその運用指針の変更
 (2)新型インフルエンザA(H1N1)病院感染対策の考え方
■新型インフルエンザA(H1N1)第1波―その時医療現場は?
 (1)流行地の医療現場の実際―大阪
 (2)流行地の医療現場の実際―神戸
■現場の戦略・具体策―季節性プラスαの対策は何か
 (1)受付・待合室における受け入れ体制
 (2)新型インフルエンザとトリアージ―リスク・重症度に応じた対応
 (3)通院患者対策―ハイリスク患者の発熱対応を含めて
 (4)来院者へのリスクコミュニケーションのポイント―見舞い制限などを含めて
 (5)医療従事者の配置・受け入れ体制のポイント
 (6)流行期における医療従事者のPPE
■Topic 南半球における新型インフルエンザの流行状況



【改訂しました】「新型インフルエンザとは」啓発ポスター (監修:静岡がんセンター、制作:協和医科機械株式会社)(ご自由にお使いください) 

監修:静岡がんセンター、制作:協和医科機械株式会社 にて「新型インフルエンザとは」啓発のためのポスターが出来上がったことは以前ご紹介しました。この改訂版が出ましたので掲載します(9月12日版)

みなさま、ご自由にお使いください。監修:静岡がんセンター、制作:協和医科機械株式会社 であることが明示されていれば大丈夫です。

De-escalationとEscalation

De-escalationとEscalation
静岡がんセンタ−感染症科 大曲貴夫

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異論もあるかも知れないが、あえて触れておきたい。

現在、抗菌薬治療の選択方法の一つとしてよく用いられる概念に、De-escalationというものがある。最初にEmpiric Therapyを選択する段階では、原因微生物は同定できていない。一方で患者が重症であれば、初期治療が不適切であれば、その予後は不良であることはわかっている。このような状況では治療が「外れない」ように、最大の努力を払う必要がある。このような場合によく行われるのは、Empiric Therapy選択時には、原因微生物としての可能性のある微生物を、広域スペクトラムの抗菌薬で広くカバーすることである。やがて原因微生物が判明すれば、その微生物をカバーする狭いスペクトラムの抗菌薬で治療することが可能となる。このように抗菌薬を広域抗菌薬から境域抗菌薬に変更することをDe-escalationとよぶ。

 では、抗菌薬治療の選択は、全てDe-escalationで「なければならない」のか? 筆者はこの点、異を唱えたい。

 De-escalationが必要となるのは、多くは患者の病態が急速に進行ししかも重症の場合である。しかし状態が落ち着いていて、しかも進行がゆっくりであるので情報が揃うまでに待てる場合には、何も必ずしもDe-escalationをする必要はないと考える。逆に最初は境域抗菌薬で開始し、その後情報が揃ったら必要に応じて広域抗菌薬に変更する、いわばEscalationがあってもよいと考える。

「Empiric Therapyの妥当性を担保し」、「耐性菌を生まない」ための戦略としてDe-escalationを行うことに異論はない。しかしあらゆる状況でこれを適用しようとすれば、そればいびつな医療となりかねない。

例えば膀胱炎の治療を考える。膀胱炎診療で問題となっているのは、その主たる原因微生物である大腸菌の抗菌薬耐性化が進んでいる点だ。例えばキノロン系薬剤の耐性化は大問題だ。では、失敗なく治療しようとおもったら、どうすべきか? 一つ考えられるのは、2世代のキノロンでは耐性をとられるリスクが否定できないのなら、4世代とも言われる新規キノロンを使う、ということだ。これなら耐性をとられているリスクは低いだろう・・・というものだ。
この考え方は極めてもっともらしいが、危険な面もはらんでいる。

「耐性菌感染も見越して新規抗菌薬を頻用する」という風潮が、頻度の高い疾患である膀胱炎の領域ですすんでしまったら、どうなるだろうか? それは、今後耐性菌感染の際に重要な武器となる新規キノロンが、膀胱炎の治療で頻用されるが故に社会的に使いつぶされて、本当に必要な重症患者の治療には使えなくなることが起こる、ということも意味する。一度こうした新規抗菌薬を特定の疾患の第一選択薬として使用することが容認されたら、また旧来の抗菌薬が第一選択薬に返り咲くことは、まずないだろう。このように、「まずは原因微生物候補を、広域スペクトラムの抗菌薬で広くカバーすし、原因微生物が判明すれば、狭いスペクトラムの抗菌薬で治療する」とするDe-escalationを、どのような状況でも原理主義的に当て嵌めていくと、その呪縛から離れられなくなり、広域抗菌薬の濫用→使いつぶしに繋がりかねないのだ。

では、どういう手があるか?

 現実を、そしてこれまでの医療のあり方から学んでみよう。間合いをとりつつ、もっとゆったりと構えて診療を行ってもいいのではないか。患者の状態が軽症である、あるいは進行が緩やかなのであれば、まず初期治療選択の段階で原因微生物が推定できたら、それを7−8割の確率でカバーする抗菌薬で治療を開始してはどうだろうか。忘れてはいけない、特定の抗菌薬への感受性が70−80%なのであれば、その治療は適切な用法用量が担保されていれば、治療失敗する確率はざっくりと考えても2−3割程度なのだ。また、急性副鼻腔炎で、どうしても抗菌薬が必要な場合を考えてみよう。主な標的はS. pneumoniaやH. influenzaeだ。ここで抗菌薬としてampicillinを使うと考えてみよう。「ちょっと待った! H. influenzaeは今や3−4割がampicillin耐性でしょう? 使っちゃまずいんじゃないですか?」という人がいるかも知れない。でも実際には十分に聞くことが多い。これで、最初からそのampicillin耐性H. influenzaeの完全カバーを考えていたら、高次セフェムやキノロンを使わねばならなくなる。
 これでは、古くからある抗菌薬がどんどん活躍の場を失ってしまう。そればかりか、新規抗菌薬が使いつぶされるのだ!

 私は、古くからある抗菌薬の活躍の場を確保し、新規抗菌薬を温存するためにも、場を選んでEscalation戦略を用いることを強調したい。

10月10日: 第6回静岡東部感染症診断・治療・制御研究会のご案内 特別講演:『ここでしか聞けない新型インフルエンザ対策の実情』

下記研究会の続報です。
地域の方々のご参加を心よりお待ちしております。今回は会場も広くしております。

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第6回静岡東部感染症診断・治療・制御研究会のご案内

謹啓  
秋晴の候、先生方におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて、第6回静岡東部感染症診断・治療・制御研究会を下記の日程にて開催する運びとなりました。今回は、西神戸医療センター 臨床検査技術部 臨床検査技師チーフ 山本剛先生に特別講演をして頂く予定です。ご多忙中とは存じますが、万障お繰り合わせの上、ご出席賜りますようお願い申し上げます。
                                                 謹白
          記

時  間 :平成21年10月10日(土)15:00〜17:30
場 所 :静岡県立がんセンター研究所 内 しおさいホール 
(↑↑会場が前回とは違いますのでご注意ください)
静岡県駿東郡長泉町下長窪1007

一般演題 :15:00〜16:00 
座長 順天堂大学医学部附属静岡病院 血液内科 小池 道明 先生

一般演題1『関節スポロトリコーシスの一症例』
沼津市立病院 臨床検査科 細菌検査室 
 ○渡辺弘美
   
一般演題2『細菌検査室の有無が及ぼす院内感染管理への影響について』
1)国際医療福祉大学熱海病院 臨床検査部、2)国際医療福祉大学熱海病院 薬剤部 、3)国際医療福祉大学熱海病院 看護部、4)国際医療福祉大学熱海病院 脳神経外科 、5)国際医療福祉大学病院 臨床検査部
○佐々木由香 1) 、鈴木高弘 2) 、古河原やよい 5 ) 、春山幸延5 ) 、種市敏子 3) 、〆谷直人1)、篠永正道 4) 、伊藤章 5)

一般演題3 ケースカンファレンス 
静岡県立静岡がんセンター感染症科
                
情報提供:16:05〜16:20
「IDSAガイドライン他」大日本住友製薬(株)

特別講演:16:20〜
座長 沼津市立病院  呼吸器内科 吉田 康秀 先生

『ここでしか聞けない新型インフルエンザ対策の実情』
西神戸医療センター 臨床検査技術部 臨床検査技師チーフ
山本 剛 先生 

当日、会費として¥500円徴収させて頂きます。
『当研究会は静岡県病院薬剤師会の生涯研修として認定(1単位)されております。』

当番世話人:沼津市立病院 吉田 康秀 
共催:静岡東部感染症診断・治療・制御研究会
:静岡県病院薬剤師会
:大日本住友製薬株式会社
[お問い合わせ先]
大日本住友製薬株式会社 担当 重久(しげひさ)

※ このページを見てご参加希望の方は、参加人数把握のため当ブログのコメントフォームで、参加の旨送信頂ければ幸いです。

「新型インフルエンザとは」啓発ポスター (監修:静岡がんセンター、制作:協和医科機械株式会社)(ご自由にお使いください) 

監修:静岡がんセンター、制作:協和医科機械株式会社 にて「新型インフルエンザとは」啓発のためのポスターが出来上がりました!

みなさま、ご自由にお使いください。監修:静岡がんセンター、制作:協和医科機械株式会社 であることが明示されていれば大丈夫です。

情報の錯綜する新型インフルエンザですが、わかりやすくできていると思います。

次回は今年の10月17日土曜日 地域での活動: 静岡赤十字病院 感染症カンファレンス

上記のようにご連絡頂きました。まずはご報告まで。

地域での活動: 静岡赤十字病院 感染症カンファレンスの報告

本日は恒例の、静岡赤十字病院での感染症カンファレンスに行って参りました。

このカンファレンス、早いもので2006年に開始となってもう4年目となりました。感染症の総論・各論のレクチャー+ケースカンファレンスの組み合わせでやってきましたが、今日の様子をみますと、ずいぶんとこなれてきてレベルが上がっている印象を強く受けました。

臨床感染症の学びは各論的な知識をパッチワーク的に継ぎ合わせてもそれほどうまくいきません。原則的な考え方の流れを常に辿りつつ、学んで実践していくのが王道です。今日の様子を見ますと、各論的な質問の室が格段にあがっていることもさることながら、私が場をガイドしなくても、ファシリテータ(八木先生)の仕切りの元、参加者(多くが初期研修医です)が活発に意見交換していたのが非常に印象的でした。もはや私のリードは全く必要なく、コメントするのみで済みました。

私は学習者の自発的な目標設定と、自主的なプランニング、そして積極的な参加こそがこのようなセミナーで成果を上げて日々の実践につなげていく要点であると考えていますが、このサイクルが軌道に乗ってきました。開催するなかで、場をコーディネートしあるいは場の雰囲気を盛り上げるリーダー格が育ってきているのはうれしいことです。当科で研修した鳥井先生・杉澤先生(二人ともこの春新天地に向かいました)・木村先生・八木先生(現在のコーディネータ)らがうまく盛り上げてくださっています。つまりはリーダーが育ってきており、これはうれしいことです。もちろん今は目立たなくてもいつかはがんばれる人もいるはずですから、楽しみにしています。彼ら自身にはあまり自覚はないかもしれないですが、こうやって少しずつ積み上げていくことによって、彼ら自身の研修プログラムの文化・伝統を創りあげていくのでしょう。微力ですがお手伝いしますので、今後も頑張ってください。

当科では地域での活動をその重要なミッションの一つと考えていることはすでにご紹介しました( http://blog.livedoor.jp/lukenorioom/archives/51509672.html )。このようなカンファレンスやセミナーもその一つと位置づけていますが、ずいぶんと形になってきました。感染症科・感染症医が地域で出来る活動として、引き続き提示していきたいと考えています。他にもお伺いしているところがありますので、また別の機会にでもご紹介出来ればと思っています。

本邦の感染症対策を広く捉えて考えた場合、第一線の現場をどう変えていくか、これは極めて重要な課題です。規範や規則でだけでは変えがたいものがあります。では、どうするか? 日々の活動の中で提示していきたいと考えています。

(以下 カンファレンスの様子:POSに基づく臨床推論の方法も着実に身につけています)
20090906 静岡赤十字

20090906 静岡赤十字2

レビュー:新型インフルエンザ感染症の臨床像 (回覧転送ご自由に)

新型インフルエンザA(H1N1)感染については合併症例・死亡例の報告も本邦でみられるようになってきています。この感染症については新規の情報が多く流れては参ります。しかし、大量の情報があるからといって判断がしやすくなるかと言えば、そうではありません。整理して咀嚼をしないと、現状の把握と今後の行動立案につながる情報には到底なりえません。日々耳目に飛び込んでくる情報を、如何に整理していくかが重要となります。

しかし、新型インフルエンザについては、このような形での情報整理がなされていません。見渡す限り総説などは見あたりません。今後の罹患者の増加が見込まれ、これとともに重症化の増加も見込まれる中で、私たち自身が今どのような感染症に対峙しようとしているかを知ることなしには、対応のしようもありません。

本来はしかるべき筋から速やかにこのような情報・見解の提示がなされるべきですが、今現在出てきていません。もはや待っている余裕はありません。感染症を専門とする者としては、ここで知見を整理して提示する責任があると考えました。そこで作成したのが、本総説です。

以下の総説は、現時点での新型インフルエンザA(H1N1)についての情報をまとめ、これに対して考察を加えたものです。院内などでの回覧に用いたいといったお申し出を頂いておりますが、このような形で公にしていますので、是非ご自由にお使いください。

もちろん最終的には、自らの置かれた環境とリソースを把握しつつ、その場に対応できる策を考えていくと言うことになります。皆様方のご参考になれば幸いです。

なお、内容については、今後出てくる新しい情報等を元に改訂していく予定です。改訂時にはVersionを明記しますので、その点お気をつけください。

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新型インフルエンザ感染症の臨床像
2009年8月26日
静岡がんセンタ−感染症科
大曲 貴夫

1. 症状および所見
【症状および所見についての知見】
国立感染症研究所の島田らは本邦での新型インフルエンザ症例401例について、その臨床情報を報告している。年齢の分布については2009年6月9日時点では、15-19歳代が64%を占めており、1-14歳の10%が続いていた。60歳以上は4名であった。 症状についての情報が得られた確定診断例217例のうち、発熱が95%、咳が59%、咽頭痛が85%に診られた。下痢を訴えていたのは6%、嘔気があったのは2%であった(図1参照)。この報告の中では肺炎や呼吸不全のケースはなく、多臓器不全の報告もなかった。医学的な理由で入院を要したのは3例のみであった。確定診断例のなかで、基礎疾患を有していたのは6例であり、そのうち2名が60歳以上の年齢であった。その他の基礎疾患としては、喘息3名、アスベスト-シス1名、てんかん1例、筋萎縮症が1例であった。妊婦も1例含まれていた。

【臨床像についての考察】
本邦及び米国の報告いずれにおいても発熱、咳、咽頭痛等が高頻度で見られた。特にインフルエンザ感染症は気管支炎を来しやすく、それ故に咳の発現頻度が高いものと考えられる。これは河合らによる本邦における季節性インフルエンザ症例の報告内容と合致している[1]。
新型インフルエンザ感染症の特徴として、諸外国の報告では消化器症状がみられやすいことが指摘されており、米国からの報告では下痢・嘔吐も25%でみられたとしている[2]。一方本邦での新型インフルエンザの報告では下痢を訴えていたのは6%、嘔気があったのは2%と米聞くの報告とは乖離がある[3]。河合らによる本邦での季節性インフルエンザの報告[1]では、消化器症状は嘔吐が7−15歳代で14.3%、16−64歳代で7.7%、下痢が7−15歳代で10.5%、16−64歳代で8.8%となっている。新型インフルエンザ感染における消化器症状の発現頻度ついてはこのようにややばらつきがあり、消化器症状の出現頻度が季節性インフルエンザよりも高い傾向にあるか否かは現時点では判断しがたい。
本邦においては発症者の年齢分布は10代の若年者に集中している。これは流行早期の段階では、中学・高校・大学での授業やクラブ活動など、集団生活を行う若年者中心に感染が広がったことが原因であると推測される。しかし2009年8月時点で本邦を含め諸外国でも65歳以上の年代の罹患者の重症化も報告されており、死亡例の年齢分布も国や地域でばらつきがある[4]。よって現時点で「若者だけが罹患する疾患」と結論づけてしまうことは不適切である。

2. 新型インフルエンザの検査
【検査についての知見】
米国での検討では、迅速検査は、RT-PCR分析の新型インフルエンザH1N1の陽性例39例に対して20例が陽性であり(感度51%、95%信頼区間 35−67%)、RT-PCRに対する特異性は99%であったと報告している[5]。同研究では季節性インフルエンザについても検証しており、RT-PCRのH1N1季節型インフルエンザ陽性に対して19例中12例陽性(感度 63%、95%信頼区間 39-81%、RT-PCRで確認されたH3N2インフルエンザ陽性例19例中6例で陽性であった(感度 31%;95%信頼区間 14-57%)。 本邦からは西神戸医療センターによる検討結果が報告されている[6]。同センターでは迅速検査キットとしてエスプラインFlu A&B-N(富士レビオ)を用いて患者スクリーニングを行った。その結果Real-time PCRで新型インフルエンザ感染と診断されたケースでの迅速検査の陽性率は全体で75.9%であった。内訳としては、発症後24時間以内での検査例の陽性率は64.7%(17例中11例)、24時間以降の陽性率は90.9%(12例中11例)であった。

【検査についての考察】
新型インフルエンザの確定診断はRT-PCRで行われるが、これは一般の医療機関での診療目的に用いることは現実的には難しい。よって実際の医療現場ではインフルエンザ検出用の迅速キットを用いて判断の一助とされる。従来よりインフルエンザ迅速キットについては感度の低さが指摘されてきたが、今回の新型インフルエンザキットにおいても感度は50-80%の間で報告されており、感度に限界があることが示されている。なかでも、発症後早期にはインフルエンザ迅速検査は陽性となりにくいことが指摘されてきたが、本邦からの報告でもこの事実が確認されている。

3. 治療
【治療についての知見】
今回の新型インフルエンザの流行において、各国で抗インフルエンザ薬がどのように用いられたかを検証する。実際のインフルエンザ薬の使用率については、各国毎の統括的な統計は見出しがたいため、既存の報告における症例での抗インフルエンザ処方率を見ていくしかない。EurosurveillanceではEuropean Union (EU) および European Free Trade Association (EFTA)諸国からの報告では、報告例の88%に使用(258例/292例)されていた。内訳はOseltamivirが255名、Zanamivirは3例に処方されていた[7]。本邦ではoseltamivir もしくは zanamivirは確定診断例217例の約90%に処方されていた[3]。
入院例における抗インフルエンザ薬の使用についてはメキシコと米国からの報告がある。メキシコからの肺炎による呼吸不全での入院例の報告では、入院例18例が新型インフルエンザ感染と同定されたが、入院までに抗インフルエンザ薬を投与されていた患者はいなかったと報告されている[8]。米国カリフォルニア州での入院例30例の報告では15例(50%)が抗インフルエンザ薬による治療を受けた。そのうち5例は、症状発現後48時間以内に抗インフルエンザ薬が投与開始されていた。治療を受けなかった15例のうち6例では、症状発現後48時間を超えてから医療機関を受診していた。

【治療についての考察】
季節性インフルエンザについては、抗インフルエンザ薬の内服で発熱期間が短縮されることが示されている。一方、インフルエンザ感染では肺炎などの合併症の発症が問題となる。このために抗インフルエンザ薬の使用が合併症のリスクを下げるのではないか、と言う点が期待される。季節性インフルエンザにおいては、抗インフルエンザ薬を処方されない例と比較して、処方された例でで死亡率リスクが下がるとの報告が複数ある[9]。治療は速やかに開始することが望ましいが、遅れて投与を開始しても死亡リスクを下げうることが示されている[9]。これらの知見は新型インフルエンザにも当て嵌まる可能性は高く、合併症のリスクの高い患者群においては、抗インフルエンザ薬の早期の投与開始が望ましいと思われる。

4. 合併症のハイリスク者
【合併症ハイリスク者についての知見】
米国カリフォルニア州での入院例30例の報告では19人(64%)が基礎疾患を有しており、その内訳は、慢性肺疾患(喘息や慢性閉塞性肺疾患)、免疫不全疾患、慢性心疾患(先天性心疾患や冠血管疾患)、糖尿病及び肥満であった[10]。ミシガン州の病院のICUに入った10例についての報告では[11]、9人がBMI30以上の肥満があったと報告されている。EurosurveillanceによるEuropean Union (EU) および European Free Trade Association (EFTA)諸国からの1128例の報告では、併存疾患は24例で報告されていた。内訳は肺疾患12例、心疾患4例、腎疾患3例、HIV感染3例、てんかん2例であった。Eurosurveillanceでは、2009年7月16日の時点で情報収集可能な全世界の死亡例についてその背景を解析しており[4]、基礎疾患名が判明している死亡例193例においては、代謝系疾患(肥満、糖尿病を含む)が57例に、呼吸器疾患が37例、心疾患が36例、インフルエンザ以外の感染症が19例、免疫不全が16例、腎・肝臓疾患が11例に見られた。
一方合併症の年齢分布については、メキシコでの肺炎例の報告では[12]、死亡者の87%および重症肺炎例の71%を5-59歳の年代の患者が占めていた。 これは通常の季節性インフルエンザであると、それぞれ17%、23%に過ぎない。Eurosurveillanceでは、2009年7月16日の時点で情報収集可能な全世界の死亡例についてその背景を解析している[4]。死亡例のうちで情報入手な503例のなかで、男性は257名、女性は246名であった。343例の死亡例のうち。年齢の平均及び中央値は37歳であり、その範囲は0歳から85歳に及んだ。死亡例の51%は20-49歳代の患者であったが、国や地域によって死亡例の年齢分布は異なっていた。60歳以上の死亡例は全体の12%を占めていたが、カナダにおいてはこの年代が死亡例の36%を、オーストラリアでは28%を占めていた。記録のある241例のウチ218例が基礎疾患を有していた。基礎疾患の有無には年齢層で差があり、0−9位歳代の27%および20-29歳代の22%でしか基礎疾患がないのに比較し、60歳以上の死亡例では60%に基礎疾患が存在した。

【合併症ハイリスク者についての考察】
一般に季節性のインフルエンザでは基礎疾患のある人(糖尿病 循環器 呼吸器慢性疾患 自己免疫疾患なども)や妊婦では重症化及び合併症の発生リスクが高いとされている[13]。今回の新型インフルエンザでは、肥満が合併症発生のリスク因子であるとの見解がある。これはミシガン州の病院のICUに入った10例についての報告では[11]、9人がBMI30以上の肥満があったなどの報告によると考えられる。従来より著しい肥満は重症呼吸不全のリスク因子であることが指摘されてきた[14-17]。著しい肥満は冠疾患など主要臓器疾患の罹患リスクを上げ、入院患者においては肺塞栓のリスクも高くなると思われる。著しい肥満は古典的な呼吸不全の重症化因子であり、よって肥満と新型インフルエンザの重症化との間に特異的な関係があるかどうかは現時点では不明である。  
これまでの知見を踏まえ、合併症のハイリスク者の提示が複数の機関からなされている。アメリカ合衆国ニューヨーク市のNew York City Department of Health and Mental Hygiene では、インフルエンザ罹患に伴う合併症のリスクの高い人々を以下のように示している(表1)[18]。
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表1  New York City Department of Health and Mental Hygieneによるインフルエンザによる合併症のハイリスク者

年齢>65歳 もしくは2歳未満
妊婦
喘息や肺気腫などの慢性肺疾患を有する
慢性の心疾患・腎疾患・ 肝臓疾患・血液疾患を有する
呼吸不全を起こしうる神経疾患を有する
糖尿病
疾患や薬剤で免疫不全状態にある
18歳未満で長期間のアスピリン治療を行っている
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米国CDCは5歳未満、65歳以上 慢性呼吸器疾患(喘息含む)、慢性心疾患、腎疾患、肝疾患、血液疾患、神経・筋疾患、代謝異常(糖尿病含む) 免疫抑制状態 妊娠中の女性 長期間アスピリン療法を受けている19歳未満の者 介護施設居住中 、をリスク因子として挙げている[19]。

5. 重症例の臨床的特徴
【重症例の臨床的特徴についての知見】
新型インフルエンザ感染の死亡率は、2009年8月25日朝8時56分現在の報告では、メキシコでの事例を検証結果の報告では0.4%との死亡率を報告している[20]。
メキシコの肺炎・呼吸不全例18名の報告[8]では、98例の入院例の中で、18例が新型インフルエンザ感染と同定。 高血圧が3名、NIDDM[8]. 16例が人生ではじめての入院であり、他の2名は転院例であった。 全において発熱、咳嗽m呼吸困難・呼吸不全、血清LDH上昇、胸部レントゲン写真上の両肺野の巣状陰影が見られた。クレアチニンキナーゼの上昇が62%に、リンパ球減少が 61%にみられた。 18例中12人が人工呼吸管理を必要とし、7名が死亡した。入院時にはノイラミニダーゼ阻害薬を使用しているものは一名もおらず、14人では入院後に開始になった。 発症からノイラミニダーゼ阻害薬開始までの平均時間は8日間であった。 生存した4人の患者はタミフルを使わなかった。 6人が腎不全となり、そのうち5人が死亡した。 7人が多臓器不全を発症した。 DICや神経学的合併症はなかった。 4人が人工呼吸器関連肺炎を起こした。死亡例は発症から10-23日で死亡しており発症から死亡までの平均日数は14日間であった。死亡患者は入院後4-18日で死亡しており、入院から死亡までの平均日数はは9日間であった。
米国ミシガン州の病院のICUに入った10例についての報告[11]では、9人がBMI30以上の肥満あり。 5人が肺塞栓を起こしていた。 9人が多臓器不全を起こし、3人が死亡した。 ステロイドは5人が使用され、その目的は4人が敗血症性ショックのためにであり、一人はCOPDの治療のためにステロイドを使用した。 症状発現からノイラミニダーゼ阻害薬を開始するまでの時間は中央値8日(レンジ 5―12 日)と推測された。剖検が行われたのは2例で、いずれも出血性の激しいウィルス肺炎でびまん性肺胞障害を起こしており、肺塞栓を併発していた。
重症化が懸念される患者群として妊婦が挙げられており、妊婦の罹患例につての報告も出てきている[21]。 米国の報告[21]では妊婦例とその死亡例 PCRで確認されたケースが対象 34例が 13州から報されている。11例(32%)が入院しており、一般市民よりも入院率が高いと指摘されている(0.32 per 100 000 pregnant women, 95% CI 0.13-0.52 vs 0.076 per 100 000 population at risk, 95% CI 0.07-0.09).) 4月15日から 6月16日の間で6例の妊婦死亡例が報告されている。 全てが、基礎疾患の無い若い女性のケースであった。 全例ともに肺炎を発症し人工呼吸が必要であった。

【重症例の臨床的特徴についての考察】
報告されている新型インフルエンザの死亡率は、一般的な季節性のインフルエンザよりは高く、アジア風邪の死亡率0.5%と同じ程度とされている。
重症化するケースでは発症後6-8日経過してから呼吸不全が重症化し入院となり、程なくICUに転床になっている。一般的にインフルエンザはその症状のピークは発症後2-3日でその後急速に改善していくが、人工呼吸を要するような呼吸不全はそのまま改善なく1週間程度かかって呼吸不全に進行しているようである。従来同時的・二次的細菌感染(S. aureus, S. pneumoniaeなど)による肺炎が重症化の主要な原因になると推測されていたが、実際にはウィルス肺炎が殆どであった。しかしICU入室後人工呼吸器関連肺炎に罹患する例の報告も一定数見られており、注意が必要である。
重症化が懸念される患者群として妊婦が挙げられており、これまでの報告でも一般市民よりも入院率が高い。妊婦は合併症のリスクが高い可能性がある。

1. 河合直樹, et al., 2002/2003年のインフルエンザ流行時における臨床症状の検討. 感染症学雑誌, 2004. 78(8): p. 681-689.
2. Novel Swine-Origin Influenza, A.V.I.T., Emergence of a Novel Swine-Origin Influenza A (H1N1) Virus in Humans. N Engl J Med, 2009.
3. Shimada, T., et al., Epidemiology of influenza A(H1N1)v virus infection in Japan, May-June 2009. Euro Surveill, 2009. 14(24).
4. L Vaillant, G.L.R., A Tarantola, P Barboza, Epidemiology of fatal cases associated with pandemic H1N1 influenza 2009. Eurosurveillance, 2009. 14(33): p. URL: http://www.eurosurveillance.org/ViewArticle.aspx?ArticleId=19309.
5. Faix, D.J., S.S. Sherman, and S.H. Waterman, Rapid-Test Sensitivity for Novel Swine-Origin Influenza A (H1N1) Virus in Humans. N Engl J Med, 2009.
6. 山本剛, 大., 熊木まゆ子, 松原康作, 仁紙宏之, 高蓋寿朗, 西神戸医療センターでの新型インフルエンザの報告. 日本感染症学会 ウェブサイト, 2009. http://www.kansensho.or.jp/news/090522nishikoube_report.pdf.
7. Av, E.w.g.o.i., Preliminary analysis of influenza A(H1N1)v individual and aggregated case reports from EU and EFTA countries. Euro Surveill, 2009. 14(23): p. 19238.
8. Perez-Padilla, R., et al., Pneumonia and Respiratory Failure from Swine-Origin Influenza A (H1N1) in Mexico. N Engl J Med, 2009.
9. Antiviral Therapy and Outcomes of Influenza Requiring Hospitalization in Ontario, Canada. Clinical Infectious Diseases 2007. 45.
10. Centers for Disease, C. and Prevention, Hospitalized patients with novel influenza A (H1N1) virus infection - California, April-May, 2009. MMWR Morb Mortal Wkly Rep, 2009. 58(19): p. 536-41.
11. Centers for Disease, C. and Prevention, Intensive-care patients with severe novel influenza A (H1N1) virus infection - Michigan, June 2009. MMWR Morb Mortal Wkly Rep, 2009. 58(27): p. 749-52.
12. Chowell, G., et al., Severe Respiratory Disease Concurrent with the Circulation of H1N1 Influenza. N Engl J Med, 2009.
13. Harper, S.A., et al., Seasonal influenza in adults and children--diagnosis, treatment, chemoprophylaxis, and institutional outbreak management: clinical practice guidelines of the Infectious Diseases Society of America. Clin Infect Dis, 2009. 48(8): p. 1003-32.
14. Bercault, N., et al., Obesity-related excess mortality rate in an adult intensive care unit: A risk-adjusted matched cohort study. Crit Care Med, 2004. 32(4): p. 998-1003.
15. O'Brien, J.M., Jr., et al., Body mass index is independently associated with hospital mortality in mechanically ventilated adults with acute lung injury. Crit Care Med, 2006. 34(3): p. 738-44.
16. Akinnusi, M.E., L.A. Pineda, and A.A. El Solh, Effect of obesity on intensive care morbidity and mortality: a meta-analysis. Crit Care Med, 2008. 36(1): p. 151-8.
17. Yaegashi, M., et al., Outcome of morbid obesity in the intensive care unit. J Intensive Care Med, 2005. 20(3): p. 147-54.
18. New York City Department of Health and Mental Hygiene, H1N1 (Swine Flu) Information. website. http://www.nyc.gov/html/doh/html/cd/cd-h1n1flu-data.shtml: p. 日本時間2009年8月26日18時40分にアクセス.
19. Centers for Disease Control and Prevention, Interim Guidance on Antiviral Recommendations for Patients with Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection and Their Close Contacts. 2009. http://www.cdc.gov/h1n1flu/recommendations.htm: p. 日本時間2009年8月26日18時40分にアクセス.
20. Fraser, C., et al., Pandemic Potential of a Strain of Influenza A (H1N1) : Early Findings. Science, 2009.
21. Centers for Disease, C. and Prevention, Novel influenza A (H1N1) virus infections in three pregnant women - United States, April-May 2009. MMWR Morb Mortal Wkly Rep, 2009. 58(18): p. 497-500.


地域でのネットワーク

感染症科を立ち上げて、6年目になりました。幸いスタッフの皆様の理解と、チーム医療を行うという病院の文化に後押しされ、院内で感染症科は多くの仕事をさせて頂いています。幸せな限りです。

しかし外を見渡しますと、まだまだ社会には感染症医が充足しているとは言えません。医療現場での感染症専門医師の重要性を認識してくださる医療機関の数は増えていますが、現実的には実際にそこにすぐ伺える感染症医の数がまだ揃っていないと言う問題があります。一方で、全ての規模・タイプの医療機関(例えば小規模の医療機関など)がそれぞれ感染症医を揃えるのは現実的には難しい面があります。このように、感染症の専門医療を日本に根付かせるには、超えねばならないハードルが複数あります。

ここでこそ、地域でのネットワークが生きてくるのではないでしょうか。

私は、感染症医・感染症専門家は一病院内での活動に自身の仕事の場を限るべきではなく、地域の要請に応えて出て行って、リソースとなって貢献する必要があると考えております。そうすれば、例えば小規模の医療機関でも感染症の専門医療を受けることが出来るでしょう。地域単位でのネットワーキングを積極的に行い、リソースとしての感染症専門家(医師ばかりではありませんよ! 感染症を専門とする各職種の方々、全てです)を共有すればいいのです。データの共有、地域での感染対策の取り組み、出来ることはいくらでもありますね。医学生教育・研修医教育・専門医教育も、地域で共同して行うことが出来ますし(ちなみにこちらはこの地域では少しずつ実績を積み上げています)、そこに「活気がある」と若い方々が思ってくれれば、集まってくれることでしょう。

でも仕組みがすぐに出来上がるわけではありません。まずは草の根の共同の活動が重要と考えています。既に多くの方々と仲よくさせて頂いており、この結びつきをもっと強くそして広げて行ければと考えています。結果として、感染症の専門家がいることで地域に何かを還元できれば、と考えています。

 ということで、お世話になっている皆様方、今後ともよろしくお願いいたします。またこれからお世話になる方々、お気軽にお声かけください。
(大曲 貴夫)

ST合剤内服中のPCP BREAKTHROUGH INFECTION

日々の科内のディスカッションの様子を、時折、流していきます。
今日は、ST合剤内服中のPCP BREAKTHROUGH INFECTION について。

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ST合剤内服中のPCP BREAKTHROUGH INFECTIONについて勉強しました

Prevention of infection caused by Pneumocystis carinii in transplant recipients.
Fishman JA.
Clin Infect Dis. 2001 Oct 15;33(8):1397-405. Epub 2001 Sep 14. Review.
PMID: 11565082

ブレイクスルーはほとんどない
ST合剤以外の予防のbreakthroughでは、非典型的な経過を示す
→BLAが陰性のことが多く、診断には生検が必要

BREAKTHROUGH INFECTIONが起きるのは
1) 二次予防前の治療が不十分(初感染の時の治療が不十分)
2) コンプライアンス不良
3) 量が不十分(吸収の問題、至適血中濃度に至る前に感染、早期の代謝)
4) 2nd line予防薬使用中の急激な免疫不全(抗リンパ球療法…リツキサンなどのこと?)
5) コミュニティ内での高レベルの暴露
6) 抗菌薬耐性



A Randomized Trial of Daily and Thrice‐Weekly
Trimethoprim‐Sulfamethoxazole for the Prevention of Pneumocystis
carinii Pneumonia in Human Immunodeficiency Virus‐Infected Persons
El-Sadr WM, Luskin-Hawk R, Yurik TM, Walker J, Abrams D, John SL,
Sherer R, Crane L, Labriola A, Caras S, Pulling C, Hafner R.
Clin Infect Dis. 1999 Oct;29(4):775-83.
PMID: 10589887

予防内服(160mg/800 mg)
中もしくは中断30日以内の患者でPCPを発症したのは、毎日内服群で28名、週3回内服群で50名(adjusted RR, 0.59; 95%
CI, 0.37– 0.95; P 5 .03).
しかし、いずれのグループも発症した大部分はもともとの内服ができなくなってから。
(正確な人数の記載なし)


Intermittent trimethoprim-sulfamethoxazole compared with
dapsone-pyrimethamine for the simultaneous primary prophylaxis of
Pneumocystis pneumonia and toxoplasmosis in patients infected with
HIV.
Podzamczer D, Salazar A, Jim���nez J, Consiglio E, Sant���n M, Casanova A,
Ruf��� G, Gudiol F.
Ann Intern Med. 1995 May 15;122(10):755-61.
PMID: 7717598
HIVでCD4 200未満の、PCP未感染患者
trimethoprim-sulfamethoxazole [160 mg-800 mg]1日2錠週3回
2年のフォローでPCP0例

Predictors for failure of Pneumocystis carinii pneumonia prophylaxis.
Multicenter AIDS Cohort Study.
Saah AJ, Hoover DR, Peng Y, Phair JP, Visscher B, Kingsley LA, Schrager LK.
JAMA. 1995 Apr 19;273(15):1197-202.
PMID: 7707627
本文にアクセスできませんでしたが、以下の一文がabstractのresultにあり
Use of TMP-SMX as the prophylaxis regimen was protective but did not
eliminate failure (ie, a time-dependent risk ratio of 0.55; P = .03)
失敗がないわけではないということなんですね。

Aerosolized pentamidine as pneumocystis prophylaxis after bone marrow
transplantation is inferior to other regimens and is associated with
decreased survival and an increased risk of other infections.
Vasconcelles MJ, Bernardo MV, King C, Weller EA, Antin JH.
Biol Blood Marrow Transplant. 2000;6(1):35-43.
PMID: 10707997
BMT後の患者
(TMP/SMX) 160/800 mg orally b.i.d. 3 times per week
でPCP発症は0/105

やっぱり、頻度は少ないけれど、ないとはいえない というのが答えでしょうか。

静岡がんセンター感染症科 感染症 Core Curriculum (感染症マネジメントの基礎)のお知らせ

静岡がんセンター感染症科
感染症 Core Curriculum (感染症マネジメントの基礎)

2008年度 第23回目 開催のお知らせ

静岡がんセンター感染症科では院内向けに感染症マネジメントの知識を基礎から勉強することを目的とした「感染症科 Core Curriculum」 を行って参りました。これまで院外への告知は特に行っておりませんでしたが、ご要望を頂きましたので、公開することと致しました。次回は、2008年度 第23回目 となります。

日程は 2009年3月25日(水曜日)午後7時00分 より、
静岡がんセンター 研究棟1階 中会議室1・2 にて
内容は 当科 岸田医師による 『MRSA感染症』 です。

感染症に興味のある方は職種を問わずご参加ください。
また、院外より御参加の方は、事前に静岡がんセンター感染症科 大曲(E-mail n.ohmagari(あっとまーく)scchr.jpまでご一報頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。(椅子机の準備がございますので)

ざっくばらんな会ですので、皆様お気軽にお越しください。

連絡先:
静岡がんセンター感染症科 大曲 貴夫
TEL 055-989-5222 (代表)
E-mail: n.ohmagari(あっとまーく)scchr.jp

「第5回静岡東部感染症診断・治療・制御研究会」演題募集のお知らせ

「第5回静岡東部感染症診断・治療・制御研究会」演題募集のお知らせ

当番幹事 静岡県立静岡がんセンター 大曲 貴夫

謹啓 余寒の候、先生には益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
この研究会は、静岡東部地域で感染制御および感染症の診断・治療に携わっている方々のネットワーク作りを目的としています。感染対策の事例発表・臨床症例の検討を中心に情報交換・意見交換を行い、お互いの日々の実践に役立てることを目指しています。職種の垣根を越えた有意義な研究会にしたいと考えています。
今回は演題募集3題と、東京大学大学院医学系研究科 生物統計学/疫学・予防保険学分野研究生 藤田 烈先生を講師にお迎えしまして「いまさら聞けない . . .感染対策の常識」 ついてご講演を賜る予定になっております。藤田先生は前任地の国立病院機構名古屋医療センターご在籍時から感染管理認定看護師としてご活躍で、院内感染対策をわかりやすく面白く伝えるそのご講演は好評を博しています。
                                         謹白

第5回の開催
平成21年4月25日(土)15時〜17時  静岡県立がんセンター 内 やまびこホール 
静岡県駿東郡長泉町下長窪1007 

演題募集:3題
学会形式での発表: 本研究会では感染対策の事例発表・臨床症例の検討等の演題を随時募集致しております。 MRSAなどの耐性菌対策、微生物学的検討の報告、ICTの組織作り、難治感染症の診断治療など、テーマは限りません。1演題あたりの持ち時間は10分です。
ケースカンファレンス: 本研究会では皆様に自由なディスカッションを楽しんでいただくケースカンファレンスも行います。ケースカンファレンスへの提示症例も募集しております。
皆様奮ってご応募ください。
演題応募にあたってご質問ある場合は、以下の症例応募先まで遠慮無くお尋ねください。本研究会の主旨に是非ともご賛同頂き、多数ご参加頂きますようお願い申し上げます。
プログラムができましたら再度ご案内させていただきます。
【症例応募先】大日本住友製薬株式会社   担当 重久(しげひさ)
TEL 055-954-0721 Fax 055-962-0552
e-mail: hideshi-shigehisa(あっとまーく)ds-pharma.co.jp  
(平成21年3月25日締め切り)

タミフルばかりに目を奪われるな! 適切な予防策は講じているのか?  某番組の放映をふまえて再掲

今年度の現在のところまでの社会的なインフルエンザ対策は失敗しています。何故かと言いますと、現在の流行を食い止めインフルエンザの被害者を減らすために行うべきことは「予防」、つまり個人レベルでの手指衛生をはじめとした予防策と、拡大を防ぐための発症者の咳エチケットの施行・休業等であるのに、世論は結局そこに関心を持つに至っていないからです。社会一体化した予防運動・感染抑制運動など、ほど遠い状況です。

 マスコミはインフルエンザウィルスのタミフルの耐性化ばかりを話題にしています。これは主に発症したあとの事後処理の話であって、現在の流行を押さえ込む根本的な手段ではありません。インフルエンザウィルスのタミフルの耐性化の重要性は別の切り口からは極めて重要な点でありますが、今は他にもっと必要なことがあるのです。

 今一番必要なのは、皆でつまり社会全体で一丸となって適切な予防策を講じることです。では本当に重要な予防の正しい知識のキャンペーンは今なされているでしょうか? なされないままです。結果として、社会の人々は一番重要な「予防」のことを忘れてしまい、事後策であるタミフルのみに関心を持つようになってしまいました。これは、社会がインフルエンザに持つべき態度の醸成過程としては、大失敗とえいます。本当にやるべきことではなく、タミフルの問題のみに関心を持つようになってしまったのですから・・・。

この大失敗が何を意味するのでしょうか?

 それは新型インフルエンザが襲来したその時には、今のままでは社会は適切な予防策を講じるとができないことを意味します。今流行している季節性のインフルエンザ一つ取っても正しい感染予防策がとれないのに、有事である新型インフルエンザ発生時にはこれではとても対応できない・・・ということが今シーズンの社会の様子で明らかになってしまいました。テレビ等で根拠に乏しい荒唐無稽な予防策を披露している方も居ますが、大問題です。なぜ、タミフルの耐性と言った専門的な話題はマスコミに出てくるのに、適切な予防の知識を啓発する情報は前面に出てこないのでしょうか・・・。見た目にどんなに系統だった対策を立てても、結局は前線で適切な行動をとれなければ、それは絵に描いたモチに終わってしまうのです。

 我々医療者は、情報を積極的に発信し、この流れを何とか正しい方向に向けなけれなりません。まだインフルエンザの流行はその真っ直中なのですから。

追記:

某国営放送ではインフルエンザ対策について放送が行われたようですが、この内容については専門家から異論がわき起こっています。この極めて重要な情報の伝達時に、単に「目新しい」と言うだけで、科学的妥当性についてはこれから検証されるべき予防法を、あたかも万能の確立した予防策として提示したのは、非常に浅薄。この時期に人々を啓発するために国営放送が流した内容としては、不適切でしょう。もっと強調すべきことがあったはずです。

みなさんの声です。Googleより、ご参考までに。

ちなみにその放送内容の要約はこれ。みなさんどのように思われますか?

 いちいち目くじらを立てなければいけない。しかし見過ごせない。感染症への対処法があまりに軽く見られ、ないがしろにされている。感染症の領域で仕事している者として、その状況を強く憂えています。
 以前SARS発生時にカナダでは感染が想像以上に拡大してしまったことが報じられました。感染拡大の要因として、誤った感染対策情報などの流布が挙げられています。その際に人々にあやまった行動を取らせた原因の一つとして、テレビなどでの「識者」のコメントがあったことが指摘されています。様々な私見が披露されたようで、結果として市民を混乱させたことが厳しく批判されています。
 新しいものを紹介すればいいというものではありません。それは時に大きなリスクを生み出します。

追記その2:
その中でも、一貫して適切な感染対策の啓発に努められている方々がいらっしゃいますし、適切な「まとめ」を提示するメディアも出てきました。ネットキャンペーンのほうが、よほど適切な情報を提示できると思います。ということで、ごくごく一部ですが、以下に引用させていただきます。妥当な対策の啓発が進むことを願って。。。

http://newinfluenza.blog62.fc2.com/blog-entry-360.html
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090208ddm005070028000c.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090204-00000005-cbn-soci
http://hcsquare.justblog.jp/blog/
http://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/kenkokanri/infuru_yobou.htm

2/21 静岡感染症セミナー

これは、静岡の人なら出席は必須でしょう。
静岡以外の人でも、そうでしょう。今から本当に楽しみです!
私達ももちろん出席します。

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「内科医のための性感染症講義(と症例)」
 感染症コンサルタント 青木眞先生

「臨床で取り組む予防:患者とパートナーへの説明」
 都立駒込病院感染症科/国立感染症研究所 感染症情報センターFETP 堀 成美先生

日時 平成21年2月21日(土)14:50〜18:00
会場 静岡済生会総合病院北館地下1階講堂
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元情報は青木眞先生のブログを御覧ください。

血液培養結果の解釈: 真の原因微生物か コンタミネーション(汚染菌)か

1. 血液培養結果の解釈
血液培養の結果の解釈で最も臨床的に重要であるのは、検出された微生物が菌血症の真の原因微生物かどうかである。その判断基準には2点ある。一つは検出された菌の菌種から、汚染菌かどうかを判断する方法であり、二つめは複数セット採取した血液培養の全ての結果から、検出された菌が原因菌かどうかを判断する方法である。
まず検出された菌の菌種から、汚染菌かどうかを判断する方法について述べる。これは統計により導き出される。血液培養から検出される菌が汚染菌である頻度は以下のようである。Propionibacterium spp.、Bacillus spp.、Corynebacterium spp.、Coagulase-negative staphylococci、Clostridium perfringens などの菌群は50%−100%の頻度で汚染菌である。よってこれらの菌群が一回のみ検出された場合には、多くの場合汚染菌と判断することが妥当である。

表1 . 血液から分離された菌における汚染菌の頻度 
(院内感染対策サーベイランス(JANIS)ウェブサイト1)より

表1













次に、血液培養を標準通りに複数セット採取していれば、その結果から検出された菌が原因菌かどうかを判断することができる。これは、一般的に汚染菌といわれる菌が血液培養から検出された場合に極めて有用である。例えば、S. epidermidisは血液培養の代表的な汚染菌の一つである。よって1セットのみ血液培養が採取されて同菌で陽性になっても、得られる情報は「おそらくはコンタミネーション」というのみである。しかし一方で、S. epidermidisをはじめとするコアグラーゼ陰性ブドウ球菌は、医療関連血流感染症の原因微生物として最も頻度が高い6)。ではこの乖離をどう埋めればいいのだろうか? このときにこそ、血液培養の複数セット採取が有用である。以下に、S. epidermidisが血液培養から検出された場合の、採取セット数と陽性セット数及び陽性結果の臨床的意義付けを検証したものを提示する2)。

表2












これに見るように、血液培養を1セットのみ採取してそれがS. epidermidisで陽性となっても、コンタミネーションとしか意義付けできない。しかし2セット採取されていて両方とも陽性であれば、その結果が有意である可能性は60%まであがり、コンタミネーションである確立は3.3%、まで下がるのである。このような結果があれば、S. epidermidisを血流感染の真の原因微生物として考えることが出来る。しかし、この判断が出来るのは、「血液培養が複数セット採取されているからこそ」である。


1) 「院内感染対策サーベイランス(JANIS )」 公開情報 検査部門.
2) Weinstein MP, Towns ML, Quartey SM, et al., The clinical significance of positive blood cultures in the 1990s: a prospective comprehensive evaluation of the microbiology, epidemiology, and outcome of bacteremia and fungemia in adults. Clin Infect Dis. 1997; 24: 584-602.
3) Roberts FJ, Geere IW, and Coldman A, A three-year study of positive blood cultures, with emphasis on prognosis. Rev Infect Dis. 1991; 13: 34-46.
4) Gatell JM, Trilla A, Latorre X, et al., Nosocomial bacteremia in a large Spanish teaching hospital: analysis of factors influencing prognosis. Rev Infect Dis. 1988; 10: 203-10.
5) Weinstein MP, Reller LB, Murphy JR, et al., The clinical significance of positive blood cultures: a comprehensive analysis of 500 episodes of bacteremia and fungemia in adults. I. Laboratory and epidemiologic observations. Rev Infect Dis. 1983; 5: 35-53.
6) O'Grady NP, Alexander M, Dellinger EP, et al., Guidelines for the prevention of intravascular catheter-related infections. Centers for Disease Control and Prevention. MMWR Recomm Rep. 2002; 51: 1-29.

IDATEN 感染症ウインター・スプリングセミナー2009


      感染症ウインター・スプリングセミナー2009
   −病院内感染症、免疫不全関連感染症の臨床的アプローチ−

目的:
 今まで一般感染症や免疫不全の感染症を中心に感染症セミナーと題して
夏、冬にセミナーを開催してきました。毎回盛況でとても感謝しています。
 今回第28回目となるこのセミナーでは、病院内で遭遇する機会の多い
感染症および免疫不全患者での感染症について、臨床的アプローチを中心
に扱いたいと思います。
 医師になると感染症患者のマネージメントは臨床の現場で必須です。
”どの部位の感染症か?”、”どの微生物を起因菌と考えるのか、また考える
べきでないのか?”、”どの抗菌薬を選ぶか、ドレナージ・デブリドメントは
どうするか、chronic suppressionはどうするか?”、”どのようにモニターし
ていくのか?”など考えることは沢山あります。
これらの病院内感染症ならでは、免疫不全患者の感染症ならではの臨床的
アプローチについて系統だって学べるよう2009年3月に全国の研修医・医
師に対しセミナーを企画しました。
 今回、神戸大学を会場にして、感染症セミナーを盛大に開きたいと思い
ます。

場所:
神戸大学病院神緑会館
http://www.kobe-u.ac.jp/info/access/kusunoki/index.htm#themap

日時:
 2009年3月13日(金)午後(PM13:00開場)〜3月15日(日)昼(PM13:00終了)

主催:
 日本感染症教育研究会
 (Infectious Diseases Association of Teaching and Education of Nippon:
IDATEN)

インストラクター予定(敬称略):
青木眞 サクラ精機
矢野晴美 自治医科大学感染症科
細川直登 亀田総合病院総合診療・感染症科、臨床検査科
岩渕千太郎 旭中央病院感染症科
松永直久 東京医科大学感染制御部
笠原敬 奈良県立医科大学感染症センター
堀 賢 順天堂大学大学院感染制御科学
岩田健太郎 神戸大学感染治療学
大曲貴夫 静岡がんセンター感染症科
大野博司 音羽病院ICU/CCU、感染症科、総合診療科、腎臓内科
ほか

募集人数・参加資格:
 病院内感染症および免疫不全関連感染症に関心のある研修医・医師:約80人

費用:
 研修医・医師:40,000円 (宿泊費込み)

内容:
・主な病院内感染症および免疫不全患者での感染症の考え方について:
  レクチャーおよびディスカッション
・レセプション (1日目夜)
・2日目午後はフリータイム
・2日目夜に選択でスモールグループディスカッション

レクチャー・ディスカッション内容詳細 (予定):
3月13日:1日目
0. アイスブレーク 13:30- 13:50
1. 病院内発熱へのアプローチ 13:50- 14:30
2. 人工呼吸器関連肺炎 14:40- 15:20
3. 病院内下痢症 15:30- 16:00
4. カテーテル関連血流感染症 16:10- 16:50
5. カテーテル関連尿路感染症 17:00- 17:30
6. 手術部位感染症 17:40- 18:20

3月14日:2日目
7. 肝硬変患者の感染症:特発性細菌性腹膜炎を中心に 8:00- 8:40
8. 血液透析患者の感染症:シャント感染症を中心に 8:50- 9:30
9. 人工物感染症  脳室シャント関連髄膜炎 9:40- 10:20
10. 人工物感染症 ◆Э郵関節感染症 10:30- 11:10
11. 人工物感染症 :人工弁感染性心膜炎 11:20- 12:00
12. 固形悪性腫瘍患者の感染症 12:10- 12:50

2日目夜のセッション:
1. 耐性菌とその治療薬の使いかた
2. 真菌と抗真菌薬の使いかた
3. 外科系感染症のアプローチ

3月15日:3日目
13. 免疫不全患者の感染症  О貳姪なアプローチと考えかた 9:00- 9:30
14. 免疫不全患者の感染症 ◆Ч髄移植での感染症予防 9:40- 10:10
15. 免疫不全患者の感染症 :発熱性好中球減少症 10:20- 11:00
16. 免疫不全患者の感染症 ぁД好謄蹈ぅ錨衢心擬圓隆鏡症 11:10- 11:50
17. 免疫不全患者の感染症 ァхEΩ綵転百鏡症 12:00- 12:40
18. まとめ、記念撮影など 12:40- 13:00

注意事項(必ず読んでください):
・募集開始は2008年11月12日(水)からです。
・宿泊場所、時間割、資料などの詳細については参加者におって連絡します。
・原則として3日間フル参加可能な方を優先します。
・可能な限り全員参加可能を目指しますが、同一施設から応募が重複する場合や
むを得ず選考させていただくことがあります。また今回のセミナー応募がはじめ
ての方を優先したいと思います。
・セミナーは現地集合・現地解散の形になります。

参加申込みは、
1. 氏名 (ふりがな)
2. 所属施設、役職
3. 住所、電話番号
4. e-mailアドレス
5. セミナーへの参加動機
6.日常診療での疑問に思った・困ったケースや当日聞いてみたい質問
 を必ず記入の上(上記をもれなくご記入ください)、大野博司 e-mail:
QWI03166 (あっとまーく)nifty.comまで。
メールは必ずテキスト形式を遵守してください(テキスト形式以外のメールは自動的
に受け付けず登録されません)。参加決定者およびセミナー当日の資料(PDFファイル
で送ります)など詳細について2008年12月31日(水)までにメールで連絡します。

 今回の企画が臨床感染症への醍醐味を一緒に体験できるよい機会になれば
と思っていますので、全国各地からの多くの方々の参加を期待しています。
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日経メディカルオンラインで「感染症診療の手引き」のディスカッションが継続中です

日経メディカルオンラインで「感染症診療の手引き」のディスカッションが行われています。

「感染症診療の手引き」は、科学的な妥当性を保ちながら、なおかつ、日本の現場の医療者の方々に無理なく使っていただけるように配慮して作成しています。内容には検討を加えてきました。

しかしこうしたマニュアル類はやはり現場で揉んでみないと問題が見えてこないことが多いです。この数年で様々な知見が集積し、ガイドラインも書き換わっていますから、そうした知見を踏まえたうえでの見直しも必要です。つまり 包括的な検討の機会が必要であると考えておりました。そこでこの「手引きを」揉んでいただくために、日経メディカルオンライン上で、「手引き」について広く御意見を頂くこととしました。

これまでに急性咽頭炎、肺炎などが議論されまして 多くの方々に貴重な御意見を頂くことが出来ています。これまで見てこなかった多くの臨床上の問題点が明らかになってきたことは、大きな収穫です。

現在は尿路感染を中心に熱いディスカッションが交わされています。
皆様、もしよろしかったら是非ご参加ください。私も可能な限りコメントを残そうと思っております。

サイトの入り口は http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/oparts/infectious/ です。日経メディカルオンラインへの会員登録が必要とのことです。

静岡がんセンター感染症科 感染症フェローシップ 2009年度生を募集しています

静岡がんセンター感染症科の大曲です。

本日は当院における感染症フェローシップの紹介です。
2008年度より正式に感染症専攻修練医(感染症フェローシップ)を名乗って独立コースとなりました。
これまでは他診療科のレジデントと同じ枠内での採用でしたが、院内他科からのあたたかい支援や助言あって晴れてこのような形になりました。

募集要項がいよいよ公開されましたので、ご報告いたします。
申し込み〆切は本年11月4日(火曜日)です。以下ウェブサイト御覧ください。

http://www.scchr.jp/boshu&kango/boshu/boshu_Dr_resi_kansen.html


実際の研修規定は長文でウェブサイトには掲載しておりませんので、大曲までお尋ねください。見学も随時受け付けております。

上記告知に記しましたように、2009年度も1-2名を募集しております。

よろしくお願いいたします。

書籍紹介: 「誰も教えてくれなかった診断学」

本の紹介です。日本にもとうとうこういう本が出たんだ! それぐらいの感激を持って読ませていただきました。

「誰も教えてくれなかった診断学」(医学書院)です。

私は一介の感染症医ですが、感染症診療を行う医師の質問や疑問に触れたり 指導をしていますと、強く感じることがあります。
それは、感染症をきちんと診れないのは、感染症の知識不足もありますが 結局は基本的な診断推論が出来ていないからではないだろうか、ということなのです。

よく見かけるのは、患者さんが来た場合に(問題の定式化もしないまま つまり問題点の具体的把握をしないまま)いきなり漠然と数個の鑑別診断だけをあげて検査に突入!! そういうスタイル方です。このスタイルには、慣れていればそれでも何とかなるかもしれないが、ちょっと変化球が来たら全く対応できない そういうもろさを感じます。そこでまず患者さんの問題点を挙げて定式化させようとするのですが、このあたりの施行訓練を受けていない方が多く、結局はPOSに基づく情報収集→推論→診断→治療 の流れを愚直に教えている毎日です。

若い先生方に感染症を教えていて足りないな思うのは、実は「微生物や抗菌薬の知識がない」ことではありません。実は適切な情報収集から患者さんの問題点を的確に定式化して、可能性高さ・緊急性・アウトカムの重大性を考慮しつつ鑑別診断を的確に立てて、それらを臨床疫学的手法を用いて適切に診断・除外 していく技法なのです。

ということで 感染症の診療と教育を行いながら感じるのは 若い医師達における基本的な診断学の学びの欠如であり、この領域はどなたかプロの先生が書いてくださらないかと 心待ちにしておりました。

これは是非是非 大学・初期研修で医学生に教育していただきたい内容です。
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