IFRS最前線

IFRS(国際会計基準)のコンサルティング実務を行っている筆者が、現場で感じたことを書き綴ります。

2017年上期 IFRSの動向

2017年ももう半分が過ぎてしまいました。
ここ最近のIFRSを取り巻く環境について記載しておこうと思います。

1.任意適用企業の増加
3月から6月は決算発表の時期と重なる事もあり、任意適用の発表が増えました。
かつてはIFRSへの移行に慎重な姿勢を見せていた住友化学の任意適用が決定し、
三菱電機など、米国基準からIFRSへの移行も増加しています。
2017年8月末現在、上場企業3560社のうち、IFRS適用企業は154社(東証)でありますが、
時価総額ベースですと30%程度とそれなりの規模になっています。
任意適用「予定」企業のストックが減って来ていますので、今後どれだけ増加するかは
未知数の面があります。

2.収益認識の会計基準(日本基準)公開草案
IFRSそのものの話ではありませんが、IFRSの影響を受け、
日本基準においても「収益認識に関する会計基準」の公開草案が出ました。
こちらはIFRS15 Revenue from Contracts with Customers
を基礎として作成されています。

今まで日本基準では売上高に関する詳細な会計基準がありませんでしたので、
会計関係者の間では、「遂に」という声が各所からあがっています。
とはいえ今までの実務慣行を無視するわけにはいきませんから、
基準化までにはまだまだ相当に慎重な議論がなされることでしょう。
現在最終基準化に向けて意見募集中ですので、思うところあれば今のうちです。

3.その他
弊社が関与しているIFRS関連業務の内容にも少し変化が生じてきました。
従来は、任意適用に移行するに際しての助言業務が多かったのですが、
2017年になって以降はIFRS適用を前提としたDD(デューディリジェンス)、
会計監査やレビューのご依頼も増えています。

M&Aの際には”のれん”をはじめとしたIFRSの知識が欠かせませんし、
最近ではあちらこちらから、「上場企業はもちろん、ベンチャーにもIFRSの知識は不可欠」
というお話も聞くようになりました。
事前の検討で手を抜くとその後ずっと苦しめられることになりかねません。

「IFRS」と言っても会計関連の業務に携わっている方にしか通じなかったのに、
もはや一部の人だけに関係ある特別なものではなくなったようで、
最近は通じないという事もなくなりました。
このようにIFRSが求められる業務の範囲は増えているにもかかわらず、
関与する実務家、専門家の数は相変わらず不足しているようです。

花王が売上高に関する基準を前倒し適用!


1/5の日経新聞に、花王がIFRS第15号を1年前倒しで適用との記事が出ていました。

花王は複数帳簿の導入など、システム面の整備に関しても先駆者的に取り組まれていましたが、
新しい事に先陣を切って取り組まれる会社なのですね。素晴らしい。

IFRS第15号に関しては、一番重要な売上高に関する重要な基準であるため、
監査法人も慎重な(言い換えると、、やや保守的な)見方をなさっているな、という印象を受けています。

いずれにしても、公表はされていないものの、既に詳細な検討段階に入っている企業は多いのですから、
速やかに実務を積み上げる事で、スムーズに適用が進んでゆく事を期待します。



2016年後半のIFRS動向


新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

2016年は、静かではありますが、着実にIFRSが浸透した年でありました。
年始に100社に到達し、2016年12月時点での任意適用企業の数は130社(任意適用予定も含む)
http://www.ifrs-luminous.com/trend

弊社ではIFRSコンサルティングを創業当初の2009年から行っていますが、
今年はお問い合わせ内容に大きな変化が見られました。
特に以下の業務における増加が特徴的でした。

①中堅企業からのご依頼
2014年度までは主に売上高1000億円以上の企業を対象としたコンサルティングが主でありましたが、
2015年頃からいわゆるベンチャー企業や売上高が数百億程度の上場企業の案件が増加しています。
この傾向は現在もとまっておりません。

②M&A関連業務
M&Aに際し、買い手側の企業様よりIFRSの視点でのコメントを求められる機会が増加しています。
IFRSベースでのデューディリジェンスの機会も今後ますます増加するのではないかと感じています。

③同業や類似の業者からのお問い合わせ
今年に入って特に増加したのが、会計事務所やコンサルティング会社からのお問い合わせです。
案件の内容とタイミングにより、アドバイザーや顧問として関与する機会が増えました。

という事で、2017年は、本格的にIFRSが「来そう」な予感がしています。




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