IFRS最前線

IFRS(国際会計基準)のコンサルティング実務を行っている筆者が、現場で感じたことを書き綴ります。

2014年05月

三菱ケミカルホールディングスがIFRS任意適用

三菱ケミカルホールディングスが、IFRS任意適用を発表致しました(2017年3月期第1四半期より)。

任意適用の理由は
・資本市場における財務諸表の国際的な比較可能性の向上
・グループ内での会計処理の統一

IFRS任意適用を次期中期経営計画のタイミングに合わせたそうです。
業績評価にも用いることを予定した移行のようですね。

三菱ケミカルは投資家とのコミュニケーション活動に熱心な企業ですから、どのようなリリースをなさるのか楽しみです。

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遂にアメリカがIFRS適用に向けて動き出す?

米国証券取引委員会(SEC)のMary Jo White議長が、アメリカのIFRS適用の可能性について言及しました。アメリカの動向についてはよくご質問を受けますので、この機会に再度確認をしてみたいと思います

SECのウェブサイトに記載されたコチラの資料の”IFRS”のパラグラフを参照します。

As you know, since 2007, the SEC has permitted foreign private issuers to report under IFRS without requiring reconciliation to U.S. GAAP.  Today, over 500 companies representing trillions of dollars in aggregate market capitalization report to us under IFRS with no reconciliation.
このスピーチからもわかるように、米国は2007年から外国企業に対し、US GAAPとの調整表をつけずにIFRSで報告することを認めています。
この結果、米国市場では500社以上(時価総額では数兆ドル相当)の企業がIFRSで財務報告をしています。日本が約40社ですから、数だけを見てもおおよそ10倍以上。米国はIFRSのノウハウは十分に持っているでしょう。日本と同様、IFRSを強制適用していないといいながら、状況は全く異なるわけです。

They also said three other important things: first, the interests of U.S. investors would remain front and center as the Commission considers IFRS; second, the FASB would remain front and center as the ultimate standard setter of accounting standards for U.S. companies; and third, the role the United States plays in the development of global standards must be an important consideration.
一方で、米国(国内)企業には、いまだに任意適用さえ認められていません。White議長は、IFRS適用の検討を重要課題としながら、以下3つを具体的にあげ、アメリカ主導で進める事が必要条件であると改めて表明なさっています。以前に比べてアメリカの影響力が低下している現状を鑑みての事でしょうか。

①委員会がIFRSを検討する際に米国投資家の利益を中心に考える
②FASBが米国企業に対する会計基準設定主体であり続ける
③国際的な基準の開発において米国が果たす役割は、重要な検討事項でなければならない

They want to know whether, and, if so, when and how is the United States – and more particularly the SEC – going to incorporate or otherwise speak again as a Commission to the issue of further incorporation of IFRS into the domestic capital markets.
また、関係者が、米国(SEC)が米国資本市場にIFRSを組込むのか、もしくは再度議論するのか、その場合はいつ、どのように行うのか、を知りたがっている、とおっしゃっています。 質問しているのはIASBでしょうね。さて、質問にどのように答えるのでしょう?

I cannot answer these questions tonight – while we continue to consider the issue.  But they are important to answer and I hope to be able to say more in the relatively near future.
当該事項について検討中であり、今晩この質問に答えることはできませんが、答えなければならない重要なものであり、比較的近い将来さらに進んだ発言が出来る事を望んでいる、と明確な答えは避けています。また、スピーチの中では、検討事項の中のIFRSの優先順位を上げるともおっしゃっています。

具体的な時期や方法について言及なさっているわけではありませんが、ここしばらくアメリカからは目立ったコメントがなかったので、この発言によってアメリカもいよいよ動き出すかという期待が強まることでしょう。さて、relatively near futureとはいつになるのでしょうか?


ついに新たな収益認識基準が公表されました

2014年5月28日、ついに新たな収益認識基準
IFRS15  Revenue from Contracts with Customers が公表されました。

最初の公開草案が出たのが2010年6月ですから、約4年の月日が費やされた事になります。
この基準は、FASBとの共同プロジェクトで開発された基準であり、同時にUS-GAAPに関してもこの基準が適用されます。

すべての業種に影響がある基準のため、準備の時間を十分にとり、新基準の発効日は2017年です。
新基準はIASBのウェブサイトで有料会員のみ参照できます。

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GCAサヴィアンがIFRS任意適用延期

GCAがIFRS任意適用の延期を発表しました。

2014年3月3日に2014年12月期第1四半期(2014年1~3月)より任意適用開始のリリースを行ったばかりでしたが、決算発表と同時に延期を発表しています。

GCA


























グループの実態をより適正に開示するためには投資事業有限責任組合(ファンド)を連結除外することが妥当。IFRSを任意適用しなくてもファンドを非連結にすることができるのでやめたと言っています。

切り替え要因が無くなったとはいえ、準備を進めていたでしょうに、ずいぶん急ですね。

当分の間、任意適用はなさそうですね。

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2014/6/5 下線部変更しました。

IFRS任意適用によって株価は上昇するか

本日2014年5月27日の日経に、IFRS任意適用企業の株価が上昇しているという記事が出ております。IFRSを採用し、海外投資家との対話を深めようという経営者の意思の表れが投資家から評価されているとの事。

アナリストは、「自己資本利益率(ROE)の高い銘柄が上昇した後、さらに選別を進めていく際に、海外投資家が理解しやすいIFRSで決算を開示している企業が選ばれた可能性が大きい」と分析しています。
「海外展開する企業にとってIFRS適用は必要条件」という認識が広まりつつあるように思います。

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