書庫で1時間。本編およびプロット作成。400字詰×230。+-0。
ハードボイルド方面へのドラマ作りを継続。
このブログでは小説の執筆状況を、私自身のモチベーション維持のためにつらつら書き連ねて来ました。あくまで自分のための備忘録であって、他人が読んでも面白くもなんともない(何しろ作成中の小説のことだから読者には訳が分からない)モノなので、今までは結構スルーされていたのですが、Twitterでお知り合いになった方々には意外と読まれているらしく。へぇ〜って感じです。いや、メフィスト賞の投稿者以外にはずっと無視されてきたので、レスポンスがちょっと新鮮。
これまで書いた10作分の苦悩の日々が全て綴られているので、興味のある方はどうぞ(笑)。

先日は、ハードボイルドっぽい物語構造についてちょいと書きました。そして、その構造が特にハードボイルドではなくとも、別のジャンルでも活用できるということも。つまり構造だけではまだハードボイルド風味ではないわけです。
では、ハードボイルドらしさとは何か? まぁ、私もあまり詳しくはないので(チャンドラーとハメット、飛んでエルロイくらいしか読んでいません)大言はできませんが、主たる構成要素としてはやはり文体を上げることができると思います。
凄く原理的な話をしますが、小説の文体構成は基本的に二種類あります。カギ括弧(「」)付きの会話文(直接話法)と、地の文です。そして地の文は、更に二つに分類されます。「ナレーション」と「モノローグ」です。
「ナレーション」はその場の風景や状態を説明する文章、「モノローグ」は登場人物の心中を描きます。
更に「ナレーション」は「描写」と「説明」に分けられるのですが、それはまた次の機会に。
図式化すると下記のようになります。

小説の文章-------会話文(直接話法)
        |
        |---地の文-------ナレーション-------説明
                |          |
                |          |-------描写
                |---モノローグ

当たり前の話ですが、これらの分類は便宜的なモノでしかありません(その上、私が大学で学んだことのうろ覚えw)。実際の小説中には、これらがごちゃ混ぜに絡み合って判別できない場合が多々あります。なので概念的な話に過ぎないことを承知の上で。
ハードボイルド小説では、モノローグを極力避ける傾向にあります。主人公の思索は直接書かれない。代わりに行動や状況をナレーションとして客観的に表していきます。どんなにドラマチックな、またはショッキングな場面であっても、感情的な描写がほとんどなく淡々と物事が推移するので、一見すると登場人物たちはとても冷酷な人間のように読めます。情け容赦のない非情な人物が跋扈する世界観が、文体によって形成されます。このような静的でかつ硬質な印象が、一般的にハードボイルド小説というジャンルを特徴付けている要素のひとつでしょう。
しかし、この「非情」さは、実は表向きの顔であって本質ではありません。モノローグの欠如は、逆説的に、登場人物の内面を露わにしていきます。一体何を考えているのかさっぱり分からない異星人ではなく、往々にして、その無言の行動によって彼らの倫理観が浮き彫りになっていくのです。ハードボイルド小説が、単なる残酷物語にならないのは、結局のところ、その内面(倫理観)を担保しているからに他なりません。
そして、彼ら固有の倫理観は、極めて分かりやすい「義理と人情の板挟み」の価値観に基づいていたりします。私は「高楊枝メソッド」と呼んでいますが(笑)、大体は恋人や友人、もしくは自身の信条に対して、義理を立てるために世俗的な利益を放棄する、というような展開が好まれたりします(その際、恋人や友人は既に他界していることが多い)。
もちろん、極めてカリカチュアライズされた段取りに過ぎず例外は山ほどあるでしょうが、凡そハードボイルド風の「物語」とは、このような風貌をしていると、私は考えています。
このように端的に説明してしまうと、「なんだ、ハードボイルドってお約束っぽくてツマラナそうだな」と考える人が少なからず出てくるのですが、そういう方は根本的に「物語」を楽しむ資質を欠いているので(笑)、早々に読解を諦めるか、私のように勉強して下さい(何度も書いていますが、私は「物語」を重視していないので、理屈を後付で考えています)。

それで、自作の話に戻りますが、今、私が作っている小説の、全体像を把握するのに、この構造がとても都合が良いことに気付いたのですね。
今作は、私としては珍しく三人称小説なので、「モノローグ」よりは「ナレーション」が主となりますし、『キミコロ』が「モノローグ」を主題にしていたこともあって、次は別のことをしてみたいと思っていたのでした。何より「モノローグ」を排除することで一層エモーショナルな効果を上げるハードボイルドの手法が、今作の雰囲気に合致しているように感じるので、取り敢えず、この型に当て嵌めてみようかと。
トリックは、全体を見渡せるようになった後で捩じ込めればイイかな、程度の考えで。
まぁ、上手く行くかは分かりませんが、この方法しか今のところ進めようがないのですね。
正直なところ、こんな説明を書いている場合ではなく、煮詰まってます(笑)。