2016年06月25日

直前の世論調査では残留派がリードという報道がなされていたため、英国民は無難な選択をするのだろうと思っていたら、なんと離脱派が勝ってしまった。世界経済は大混乱に陥り、少なくとも短期的には悪影響のほうが目立つことになるだろう。



上図は縦軸に離脱に投票した割合、横軸に投票者数をとった散布図である。赤は離脱が多く、青は残留が多いことを示している。イングランドでは首都であるGreater Londonのみが残留を支持し、その他は軒並み離脱支持だ。左に行くほど極端に上下による傾向がある事を見ると、狭い地域ごと離脱/残留に振れる空気が醸成されたということだろうか。

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上図はTelegraphのEU referendum results and maps: Full breakdown and find out how your area votedからの引用であり、投票行動をマッピングしたものだ。イングランドはほぼ全土に渡り赤く染まっており、EUからの移民流入が多くその影響を実感する地域ほど忌避感が深刻だったということだろう。医療や福祉などの社会サービスにただ乗りされ、仕事も奪われるとなれば我慢も限界だったに違いない。続きを読む

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2016年06月16日

米フロリダ州オーランドで起きた米国史上最悪の銃撃事件は世界がテロとの戦いの渦中にあることをまざまざと見せつける結果となった。また銃規制に関する議論が米国で盛んになると見られるが、あの国が市民から銃を取り上げることは無いだろう(銃乱射事件が2日に1回発生している銃社会アメリカ)。

銃撃事件など滅多に起きることのない日本は平和な国だ。実際どの程度平和なのかといえば、世界163の国と地域の中で、上位9位にランクされる程である。日本より平和な国はこの世界に8カ国しか存在しない。アイスランド、デンマーク、オーストリア、ニュージーランド、ポルトガル、チェコ、スイス、カナダの8カ国である。一方で米国は103位であり、カンボジアやウガンダと同レベルだ。

イギリスの経済平和研究所(IEP)は、6月10日に2016年の世界平和指数(2016 Global Peace Index)を発表した(プレスリリース)。GPIは23の指標にもとづき163の国と地域の進行中の国内/国際紛争、社会の安全とセキュリティ、武装化の度合いなどを指標化するもので、今年で10回目の発表となる。上述の順位は2016年のGPIに拠るものだ。

2016年GPIレポートに関しては、フル版ハイライト版が用意されているので、興味のある人は参照して欲しい。

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2016年06月09日

筆者は学生時代中学生相手の塾講師をやっていたことがあるのだが、「なぜ勉強しなくてはならないのか?」という中学生の疑問に対し、よく次の質問を返した。
Q.大学卒と高卒で一生にもらえる給料にいくら差がでると思う?
  1. 100万円
  2. 1000万円
  3. 1億円

こういう聞き方をすると、素直な中学生はだいたい2番と答えるので、実は3番の1億円も違うのです、なので勉強して大学には入りましょう、と説明をしたものだ(ただし、現時点では全体の給料レベルが下がっているので1億円は言いすぎである)。

ずっと昔から大学を卒業するということは、良い給与の職を得る上でほとんど必須の戦略であったし、それは現時点でも変わらない(少なくともいまのところは)。

賃金構造基本統計調査の結果を見ればそれは一目瞭然だ。というわけで、前回と同様に、一目瞭然になるように可視化したのが次のヒートマップである。左から順に中学卒、高校卒、高専・短大卒、大学卒に並べたものであり、右に行けば行くほど明るい色が増えていることが分かる。ソート版は、年齢計・学歴計で年収の降順に産業分類を並び替えたものだ。

【男性】産業分類別・学歴別年収テーブル(ソート版


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基本的には高学歴の方が給料は良いのだが、例外的に中学卒で極めて高い給料を得ている人がいる。母集団の極めて少ない例外的存在だが、身一つで成り上がる人も確かに存在するのだ。一方で、電気ガス水道などの公共系や金融系は学歴に関わらず高い給料が支払われている。勉強が苦手な人はこの辺りを狙うべきだろう。

【女性】産業分類別・学歴別年収テーブル(ソート版


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暗い色が多い女性のヒートマップを見ると暗澹たる気持ちになる。実際、高専・短大卒以下の学歴はほとんど評価されていない。日本の社会は女性に十分な活躍の場を与えていない、ということは否定しようがない事実だろう。

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2016年06月07日

厚生労働省は毎年産業分類別に賃金や労働時間の調査を行っている。10名以上の従業員を抱える5万余の民間事業所に対する調査をまとめたものであり、最新の調査結果は今年2月に公表された平成27年賃金構造基本統計調査だ。

そこで同調査にもとづき、産業分類別の年収、月間労働時間をヒートマップにしてみた。男性・女性の降順にソートしたバージョンも用意しているのでそちらも見て欲しい。サムネイルをみるだけで、男女に厳然とした差があることが一目瞭然だ。

産業分類別年収テーブル(男性ソート版女性ソート版


産業分類別年収テーブル


産業分類別月間労働時間テーブル(男性ソート版女性ソート版


産業分類別月間労働時間テーブル
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2016年06月03日

Google DeepMindによって開発されたAlphaGoが世界最強のプロ囲碁棋士の1人である李世ドルを4勝1敗で破ったことは世界に衝撃を与えた。現時点でAlphaGoは世界ランキングにおいて柯潔九段に次ぐ2位につけており、もし柯潔九段との対戦が実現すれば誰をも寄せ付けない孤高のトップに君臨することだろう。

もともと囲碁は将棋やチェスに比べて場合の数が膨大であり(チェス=10120, 将棋=10220, 囲碁=10360)、コンピュータには複雑すぎて人間よりも強くなるにはまだしばらくの時間がかかると見られていた。実際、将棋でプロを圧倒する実力を達成した(参考: コンピュータ将棋のトッププロを凌ぐ強さが確認されるまで)情報処理学会は、次の目標として囲碁を挙げていたところだった。最後に残ったグランドチャレンジ(大いなる挑戦)を始める矢先に突然現れたのが、AlphaGoだったのである。

AlphaGoに関してはNatureに論文が掲載されている(Mastering the game of Go with deep neural networks and tree search)。これによれば、AlphaGoは盤面を評価するのにvalue networkを用い、動作を評価するのにpolicy networkを用いる。これらのディープニューラルネットワークは人間のプロの棋譜による教師付き学習と自己対戦による強化学習の組み合わせにより学習される。さらにモンテカルロ木検索(MCTS)を組み合わせることで、他の碁プログラムに対し99.8%の勝率を達成し、ヨーロッパの碁チャンピオンを5-0で破り、そしてついに李世ドルを4-1で破ったのだ。
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lunarmodule7 at 07:30│Comments(1)TrackBack(0)││Computer Science