2012年12月01日

月1連載の楽天koboちゃん、先月号の発表日に新機種投入を行い、早くもテコ入れに余念が無い。一方でそれ以外のニュース性には乏しく、Kindle発売後にあって急激にその存在感を失いつつある。果たしてkoboちゃんはこの先生きのこれるのか?

コンテンツ数73,000コボ突破

2012年11月30日時点の日本語書籍数は73,308コボ(楽天koboの独自単位系コボについては、月刊楽天koboちゃん 2012年10月号参照)。12月末のコミットメント200,000コボまで後1ヶ月で130,000コボも必要だ。あと1ヶ月でコンテンツ数を3倍にしなくてはならないのだ。どんな魔法を使えば可能なのか年末が楽しみで仕方がない。

それではその内訳を見てみよう。

  • 日本語コンテンツ総数73,308コボ(前月比111%)
  • 青空文庫を含む無料コンテンツが17,701コボ(前月比102%)
  • ギターコード譜が14,230コボ(前月比100%)
  • 画像1枚だけからなるバーチャルアートが1,997コボ(前月比86%)
  • パブーの有償コンテンツ(バーチャルアート除く)が3,654コボ(先月より集計、前月比131%)
  • 残りは35,726コボ(前月比121%)

パブーのコンテンツは10,164。そのうち4,513が無料コンテンツ、バーチャルアートが1,997あり、残りは3,654となる。今月の増数はほぼ通常の書籍となっており、まっとうな手段で前月比111%を達成しているのは評価できる。しかしながら、あと1ヶ月で20万冊を達成するには2700%が必要でありもはや絶望的といっても良い



新機種kobo glo, kobo mini投入

楽天は11月1日に新機種であるkobo glo及びkobo miniを投入した。既にカナダkobo社が同端末を発表していたから投入は時間の問題と思われていが、それにしても3ヶ月で旧機種になるとは、定価で買った人はなんと思っていることだろうか? 発表会の中で楽天三木谷社長は記者の辛辣な質問に答えているが、突っ込みどころが満載なのでここで幾つか取り上げたい。以下はINTERNET Watchからの引用である。

――量としては、これまで目標として挙げていた20万冊という数を年内に目指すのか、それともある程度近い時期に、また別の数字を出されるのでしょうか。

20万冊を目標として掲げていて、今現在は6万5000冊ということで、あと2カ月で13万5000冊ということになります。今後、結構大きな塊で、1万冊、2万冊という単位で入ってくる予定があり、そのタイミングが年内であれば20万冊までいけると思うが、それが多少ずれれば、(来年)1月になってしまうということもあるかもしれない。

客観的に見てどう見てもヤバげな20万冊というコミットメントを固持する三木谷社長。さすが三木谷社長、一度言ったことは何があってもやり遂げる。やはり組織の上に立つ人の発言には重みがある。

――コンテンツの中身について。先般、点数を過大表示したということで、消費者庁からの行政指導もあったと思うが、こういった状況になってしまった原因についてはどのように認識しているか。また、現在の6万5000点の中には、純粋に書籍と呼べないようなものも含まれていると思うが、20万点という数字はチャレンジングではないのか。そうした点についての見解を伺いたい。

当初、点数は3万冊という発表で、実際には約2万冊でスタートしたが、これは当初の予定としては3万冊のコンバージョンが終わるという予定だったが、実際にはオペレーションの手間が多少かかり、少し遅れてしまった。これについてはお詫びしなければならない。

現在のコンテンツの中身については、作家さんがどういった本を書いているかというような、たとえばWikipediaの情報が500ぐらいあると思う。これについてはウェブ上でも公開しているが、それ以外のものについては純粋な書籍、そしてコミックになっている。

Wikipedia情報(DRMは外されたようだ)以外は「純粋な書籍、そしてコミック」ということだが、彼には画像1枚だけからなるバーチャルアートが純粋な書籍に見えるのだろうか?1万4,000譜という豊富なラインナップを誇るギター譜は純粋な書籍と言えるだろうか?また20万コボの目標達成については何も答えていない。まあ、1か月後には三木谷社長がやったことは確実にやり切る漢か、できもしないことを安易に約束する大嘘つきか答えが出るので、焦らず待つことにしたい。

――kobo touchを楽天プレミアムカード会員に送付した件について。その狙いと、いつまで続けるのか、どのくらい送ったのかを教えてほしい。

どういう販売促進をしているかということについては、残念ながらお答えすることができません。申し訳ございません。

たった3ヶ月であっという間に旧機種になったkobo touchが楽天カード会員に突然送りつけられる事案に付いては先月号で取り上げたが、三木谷社長は言及を避けた。一方、本件に関しては楽天広報部が送付の事実を認めている。

条件にあった楽天プレミアムカード会員のそれほど多くない人に10月下旬から送付したもので、今後プレミアムカード会員になることでkobo touchがプレゼントされるとも限らないとのことだ。今から見れば旧機種の在庫処分という感じもするが、Kindleの発表とも関係がなく、特段狙いがあったわけでもないという。仮に本当に特段の狙いもなく7,000円の端末を無料配布したとしたら、単なるバカか、不当な利益供与にあたるのではないかと思うが、何を考えているのだろう?

そして誰もいなくなった

しかし、今回の発表において真に憂慮すべきはその内容ではなく──それを聞く側の変化であった。

上記写真はGIGAZINEの記事からの引用だが、グランドハイアット東京で開催されたkobo glo, miniの発表記者会見は悲しくなるほどガラガラだったようだ。始まる前だから単にまだ集まっていないだけかとも思うが、ネット中継見ていたというユーザから肯定するコメントもある。

いずれにせよ本命のKindleが上陸した時点でkoboがその他大勢に成り下がったのは紛れもない事実だ。誰もkoboが電子書籍の本流になるとは思っていない。人々が期待しているのはKindleであってkoboではない。この流れにあって、koboから急速に人々の関心が薄れるのは道理だ。新デバイスの発表でさえも誰も関心を払わなくなったとすれば、koboにとって脅威というしかない。

とすればkoboに求められるのは全方位ではなくニッチなセグメントを狙った差別化戦略ということになる。現在のラインナップから見るに、koboは業界一のギターコード譜を揃えたギタリスト御用達デバイスの座を狙っているのではないかとみられる。このようにポストKindleにおけるkobo販売戦略は着々と布石がうたれている状況なのだ。きっと。たぶん。もし本当にこんな戦略だったら担当者をクビにすべきだとは思うが。

楽天koboが今後自らの立ち位置をどこに据えるのか、今のところその方向性は見えないが、おそらく数ヶ月のうちに大きな動きがあるだろう。それが無いとすれば、1年少しでサービス継続を投げ出したRabooと同じ運命をたどることになる。

イーブックが楽天Rabooのユーザ救済サービスを実施

10月号で取り上げたように楽天はkoboの前に進めていた電子書籍サービスRabooをわずか13ヶ月で終了することを発表した。もともとはkoboとの統合が予定されていたにもかかわらず、それは実現されず不十分な救済策が用意されるにとどまった。これは楽天のみならず、電子書籍サービスに対する不信感を抱かせる象徴的な出来事となった。

かかる状況において、イーブックが楽天とは全く何の関係もなく独自にRabooユーザの救済策を発表した。5,000円を上限としてRabooで購入した電子書籍代金をイーブックで利用できるポイントとして応募したユーザに提供するという。以下、【PC Watch】 イーブック、楽天がサービス中止する「Raboo」のユーザー救済サービスを実施 ~Rabooで購入した電子書籍代金をイーブックのポイントとして肩代わりより引用する。

イーブックは今回、「立ち上がりつつある電子書籍市場に多くの企業が参入し、電子書店が乱立状態となっています。そのような中で、読書好きのユーザーが迷いに迷った挙句にいずれかの電子書店を選んで使い始めたものの、企業側の都合でサービスが終了されてしまうと、そのユーザーは大迷惑を被ることとなります。このままだと、未だ電子書籍を利用するか迷っている多くの潜在ユーザーに冷や水を浴びせることとなってしまい、電子書籍業界にとっても大打撃となることを懸念していました」との声明を発表。

UT-PB1は、発売後のアップデートでイーブックの電子書籍リーダが搭載され、イーブックのサービスも利用可能となっているため、同社では、これまでUT-PB1ユーザーがRabooで購入した書籍代を肩代わりしてでも、業界の健全な発展の礎を築きたいと考え、「電子書籍お助けサービス」を開始することを決断したという。

これにより楽天の被害者が少しでも救済されることを願いたい。また、楽天にはユーザを裏切るような真似は断じてすることのないよう、重ねてお願いしたい。

P.S. kobo gloの発表を受けて、当初8,480円と案内されていたKindle Paperwhiteはkobo gloと同価の7,980円に値下げされた。Amazonは「競合製品への対抗策ではない」としているが、koboが日本の電子書籍市場にもたらした一つのメリットと言えるだろう。

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lunarmodule7 at 00:03│Comments(1)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by うそこばん   2012年12月20日 17:36
5 はじめまして。グノシー経由でやってきましたが、大変におもしろかったです。

ふと思い立って(miniの発売延期で笑ったせいで思い出したので、の婉曲表現)今日、ひさしぶりに「koboストアの品揃えを見守るページ」さんに行って12月19日の新刊を見るとあり得ない数字が!
どうやら
『今後、結構大きな塊で、1万冊、2万冊という単位で入ってくる予定』
は嘘ではなかったようです(いや、「冊」じゃなくて「コボ」ですからやっぱり嘘か?)
これは1月号でも切れ味鋭い文章を期待せざるを得ません。楽しみにしております。

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