2015年11月02日

イギリスのチャリティー団体Charities Aid Foundation (CAF)は毎年、世界寄付指数 (World Giving Index)と呼ばれる、人助け、寄付、ボランティアに関する指数を公表している。世界寄付指数は、その国の住人がどれだけ他人に対して暖かいか、あるいは、冷たいかを知る目安となる。

世界寄付指数は下記の行動をここ数ヶ月以内に行ったかどうかのアンケート調査を世界各国で行い、その回答結果を処理し指数化したものだ。
  • 人助け指数: 異邦人、助けを必要としている見知らぬ人を助けたか?
  • 寄付指数: 宗教団体や政治団体、慈善団体等に寄付を行ったか?
  • ボランティア指数: 組織的なボランティアに時間を捧げたか?




そこで最新の2014年版世界寄付指数を元に世界そして日本のあたたかさを見てみよう。

左最上部のリストによって総合/人助け/ボランティア/寄付指数を切り替えてみることができる。地図はその指数の値により暖色から寒色に色分けされている。つまり、国の色を見ればおよそその国のあたたかさを知ることができる。また、地図右部のラジオボタンで地域ごとにフィルタして見ることができる。地域ごとの特色を見る場合に利用してほしい。

次に、「貧すれば鈍す」という言葉があるように、懐に余裕がある方が他人に優しくなるのかと思い、縦軸に指数、横軸に一人あたりの購買力平価(PPP)をとってみた(PPPが10万ドル近いルクセンブルクはグラフの枠外に位置する)。円の大きさはGDPの大きさを表している。赤いラインは平均値を、青い線は傾向線を表している。それぞれマウスをポイントすれば詳細情報を知ることができる。

最下部には選択した指標における順位で並び替えた全指標のリストを示した。リストの背景色は地図と同じように指標値により色分けした。





総合指数の結果を見ると、米国とミャンマーが1位タイとなった。この2カ国は一人あたりの購買力平価では10倍以上の差があるが、共に最も他人を気遣うことができる国であると言える。ミャンマーは寄付指数が91%となっており、寄付が広く一般的に行われていることが分かる。これは50万人の僧侶を抱える上座部仏教の影響が大きい。布施を行うことがご利益を得る一番の方法なのである。宗教が人々の寄付行動に大きな影響を与えている例と言える。一方、米国は3指標全てでトップ10に入った唯一の国である。困っている人を助けようとする意識が社会に根付いているように見える。

全体的に見れば、一人あたり購買力平価とはP値0.0001以下で正の相関があり、懐に余裕がある方が他人に優しくなれるようだ。地域的には北アメリカ、西ヨーロッパ、オセアニアが他人に優しい。経済的な理由の他にも、キリスト教などの宗教も大きな影響を及ぼしていると考えられる。また、特に15-29歳の若年層の失業率が寄付指数に大きな影響を与えていることがわかっている。

G20のうちトップ20に入ったのはわずか5カ国。11カ国はトップ50にも入れず、内3カ国はトップ100圏外である。ノブレス・オブリージュという考え方があるが、力をもつ国はそれに見合う高潔な精神を有していてほしいものだ。日本を棚に上げて言えば中国の低さが気がかりで、国力の急速な増強に中身が追いついていない印象を受ける。

翻って日本を見ると、次のような状況だ。見事に緑である。

総合指数
26%
(90位)
人助け指数
26%
(134位)
ボランティア指数
28%
(39位)
寄付指数
24%
(62位)

世界でも有数な豊かな国の一つであるはずの日本は他人に対して冷たい国である事が一目瞭然だ。特に人助け指数が135カ国中134位とカンボジアに続き世界ワースト2位だ。大震災が起こった2011年にピークに達して以降、寄付指数は減少を続けている。逆にボランティアに費やす時間は増加傾向にあって、実は日本は3つの指標の中でボランティアが最も一般的な唯一の国である。

日本の世界寄付指数が90位と残酷な状況にある理由としては複数考えられる。寄付をアピールすることを良しとしない傾向、チップ文化の不在、ムラ社会を基盤とした文化背景、弱者救済を積極的に行うキリスト教の低い普及率、他人を思いやる心を醸成する教育の不足、長い不況にあえぐ経済、じわじわと高まる失業率、国力を奪う少子高齢化──いずれにせよ、世界で最も他人に冷たい先進国、それが今の日本なのである。

日本は生活保護などの貧困対策への反発が高い国である。前回のエントリのようにひとたび生活保護の充実を訴えれば、自己責任論が幅を効かせることになる。民間による支援の受け皿が発達している欧米と異なり、日本では民間支援を期待できる状況になく、文字通り行政による支援が最後の砦となっている。

貧困問題が深刻化しつつある今、長期的視野に立ってこの状況を改善していかなければ待っているのはディストピアだ。経済的・精神的余裕の無さの現れか、ネット上ではこの傾向を助長するかのようなコメントが溢れている。どうも悪い方向に向かっているように思えてならない。もっと皆他人に優しくしても良いんじゃない?

例年通りなら今月中にはおそらく2015年版世界寄付指数が発表される見込みだ。少しでも改善の兆しがあれば良いのだけど。

lunarmodule7 at 10:00│Comments(9)TrackBack(0)││社会 | 視覚化

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この記事へのコメント

1. Posted by 日本男児   2015年11月02日 16:45
1 幼稚な記事。
口当たりのいい事ばかり言っている偽善者のですね。
私は寄付や人助けをうたいお金を集めることに疑念を持っています。
なぜあなたが貧困の原因を書かないのか不思議です。
2. Posted by yokosuki   2015年11月02日 19:04
1位の米国が天国みたいに思ってるんですかね。金のない人がアメリカで病気になったらどれだけ不幸か。盲腸で600万円かかるんですよ。医療費で破産する人がとても多い。かたや日本の生活保護の場合は自己負担が0なので逆に保険診療より濃厚診療。税金の負担でかなり貧富の差を埋めている実態を理解しないと。
3. Posted by bamboo   2015年11月04日 06:35
4 この記事は日本をもっとよくしたい、という意味では納得します。若い頃バックパッカーとして24カ国くらい回りました。多くの国で暖かく受け止めてもらった経験があります。日本人はどこか窮屈な感じを受けます。アベセイケンになってから憎悪が渦巻いているよな言葉が悪くなりヘイトスピーチが増えてきました。弱者に冷たくなってきましたね。強い者に寄り添うけど弱者には冷たい傾向があるような。
4. Posted by 名無しさん   2015年11月04日 20:52
米国って寄付優遇減税政策がいきすぎて富裕層が寄付すると減税のお陰でかえって得するって冗談みたいな状況になって長いんだが。お金持ちはロビー活動予算も豊富だし、政治家にとっても寄付減税政策撤回なんて口当たりの悪い政策は推進しづらい。
結果的に税収不足になって低所得者のための政策に廻す予算がないってパラドキシカルな状況なんだが真似たいの?
5. Posted by 難波   2015年11月04日 21:54
「あくまで目安」で逃げたつもりだろうけど、こういう指標を丸呑みにしてあーだこーだ言うのは
○○がユネスコに登録されたのされてないのと政治問題化して一喜一憂する「グローバリズムの豚」そのもの。
ODAや国連への拠出金を「指標」として日本人はやさしい!スゴイ!エライ!って言ってる人がいたらどうすんの?拍手すんの(答えようがないのは知ってて聞いてる)?
6. Posted by 自由主義者   2015年11月06日 14:20
5 否定的なコメントが目立ちますね。事実を紹介したまでですよ。まずはそれを素直に受け止めるべきではないでしょうか。反論があるならば数字で示さなければ意味がありません。
政策的な理由で日本が寄付しなくても良い国家と言っている方もいますが、寄付をしないから公的社会福祉を充実させる必要があったのかもしれません。社会主義者の人たちに何を言っても無駄かもしれませんが。
7. Posted by 難波   2015年11月08日 21:52
糾されてるのは事実の切り取り方とその評価部分の恣意性ですよ。
「黒人は危険だという事実を示したまでです」「反論があるならば数字で示さなければ意味がありません」差別のテンプレかよw

って、この素朴な御仁はブログ筆者?じゃないよねえ?
8. Posted by カルロス   2015年11月09日 22:40
日本sageの記事を書くと注目されてイイネ!
9. Posted by     2016年02月01日 06:57
このコメント欄そのものが日本人の他者への冷たさを表していますね。

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