[Tableau] あなたのvizにフィットする所望の位置、回転角のテキスト画像を作成する方法 / How to create a text image with the desired position and rotation angle that fits your viz.老人の国

2022年01月27日

かつて無いほどに緊張感が高まっている米中関係。中国は海洋進出の野望を隠そうともせず、米国はウイグル自治区での人権問題を理由に北京オリンピックの外交ボイコットを表明した。一国二制度の下当面維持されるはずだった香港の自治権は大きく揺らいでおり、台湾侵攻が未来永劫起こらないとは誰も言えない状況になっている。

スタンフォード大学フーバー研究所のMichael R. Auslinは、The Sino-American War of 2025において、近い将来起こりうる米中戦争の顛末を記している。現在の地政学、軍事力から導き出される予想は、(途中の経緯には大いに異論があるだろうが)いかにもありそうな決着を見せてくれる。

本エントリでは上記の概要に地図などの図表を加えてわかりやすく構成したものだ。詳細については原文に当たっていただきたい。また、艦船等の写真はWikipediaからの引用である。

はじめに


2025年、米国と中国が軍事衝突を起こした際に、核戦争はおろか全面戦争を回避できたのはいくつかの幸運が味方をしたからだ。米国はアジアにおける地位の一部を失い、中国は獲得した利益が予想外の重荷となった。火種を将来に残すことにはなったが、この結果は人類にとってはマシな方だったのは明らかだ。核戦争で人類が絶滅することは回避されたのだから。ただし、現実も同じように回避できるかどうかはわからない。

政治的背景


この米中戦争の種を蒔いたのはバラク・オバマ政権だ。オバマ政権の間に、中国は南シナ海の紛争地域に島を建設し要塞化を進めた。2013年以降、中国はスプラトリー諸島で大規模な埋め立てを開始し、港湾施設や滑走路を整備、レーダを設置し、対艦・対空兵器を配備した。


防衛白書2021-1
令和3年版防衛白書より南シナ海の中国軍事拠点化の例


世界貿易の70%が通過し、日本のシーレーンにかかるこの南シナ海の要衝に、中国は軍事力を投射することが可能になった。オバマ政権は中国に有効な圧力をかけることができず、結果的に中国のこの暴挙を見逃した(もちろん日本は何もしなかった)。もしここで中国にこの海域を自由にさせない、という強い意志を示すことができていれば、結果は違ったかもしれない。しかし現実は航行の自由作戦(FONOP)を控えめに実施しただけに留まり、アメリカが中国の進出を防ぐ意志があるのか、アジアの同盟国──とりわけフィリピンに疑念を抱かせる結果となった。

ドナルド・トランプは中国に対して史上最も強硬な態度をとった大統領だ。巨額な関税の掛け合いが発生し、中国のテクノロジー企業は米国市場から排斥された。米国による南シナ海のFONOP・空中飛行の実施回数は急増し、両国は水面下で戦争への準備を進めることとなった。

ジョセフ・バイデンは、基本的に中国への圧力を維持し、習近平を専制主義者と名指しで批判し、「中国は世界のリーダーとなり、最も豊かで強い国になるという目標を持っている。私が大統領でいる限りそうはさせない。」と警告した。米国は北京五輪の外交ボイコットを主導し、非難の姿勢を明確にした。一方で、サプライチェーンの対中依存度脱却を図ることや、中国に依存しない5G産業の立ち上げは上手くはいかなかった。

2022年11月に開催された中国共産党第20回全国大会では、習近平の最高指導者としての地位が延長され、2049年までに南シナ海の派遣を目指すとの政策方針が決定された。2024年に実施された世論調査では、中国、米国ともに相手国に対するポジティブな評価は一桁まで低下し、相手国を仮想敵国とみなしていた。すなわち、2025年には米中の政治的関係は修復不可能なほど悪化していた。





2025年9月6日~9日:灰色のサイ


2025年の米中戦争は、南シナ海のフィリピンに近いスカボロー礁付近の空と海での偶発的な遭遇から始まった。2025年7月にフィリピンの安保条約による要請に応じて、第47代米国大統領カマラ・ハリスはスカボロー礁上の飛行回数を増やすとともに、空母Gerald R. Fordを護衛艦とともに短期間のトランジットに派遣し、北京に対して強行措置をとる意思があることを明らかにした。

スプラトリー諸島やパラセル諸島でのFONOPの増加に対応して、北京はスカボロー礁も要塞化することを決定した。警戒度を上げるフィリピンに呼応して、米国インド太平洋軍は、9月6日、ミサイル駆逐艦Deweyとインディペンデンス級沿海域戦闘艦Charlestonをスカボロー沖に派遣し、空母John C. Stennisにワシントン州ブレマートンの母港から真珠湾に向かうよう命令した。また、ミサイル駆逐艦Stethemと掃海艇が台湾海峡を通過するよう命じられた。

SinoAmericanWar2025pic01

9月7日、中国は南シナ海全域に防空識別圏を設定し、中国以外の航空機は飛行計画を中国当局に提出してから航行するよう要求した。

SinoAmericanWar2025map01


9月8日現地時間18時30分頃、日本を発進した米海軍のEP-3偵察機がスプラトリー諸島のフィアリー・クロス礁を離陸した中国人民解放軍空軍(PLAAF)のJ-20に迎撃された。J-20は米軍機に対して警告を行った後、米軍機の上でバレルロールを試みたところ接触、EP-3は尾翼とスタビライザーを失い、海に墜落した。EP-3に乗っていた22名のアメリカ人全員が死亡した。

SinoAmericanWar2025pic02

その30分後、まだEP-3墜落の情報が届く前に、共同訓練からの帰還の途にあった米国沿岸警備隊の哨戒艦Bertholfと海上保安庁の巡視船もとぶが、スカボロー礁の北西13海里の地点で、武装した中国海警局(CCG)の哨戒船に接近された。中国船は2隻に現場からの退去を命じ、Bertholfの前に出て船首を回転させようとした。ここで不幸な事故が起こり、中国船がBertholfの船体中央部に衝突、食堂と乗組員用の区間を破壊した。中国船は救助を行うことなく現場を離れた。後に米国の水兵6名が行方不明となり死亡と推定され、中国船の水兵3名もまた行方不明となった。

SinoAmericanWar2025pic03

墜落したEP-3に最も近い位置にいたミサイル駆逐艦Deweyは墜落地点に急行する一方、沿海域戦闘艦Charlestonが傷ついたBertholfの救助に向かった。現場はすでに陽が落ちており、双方の救助活動や哨戒活動に混乱が生じた。中国人民解放軍海軍の2隻の船が、Bertholfの安定化作戦に協力していたもとぶ、そして数時間後に到着したCharlestonに接近してきた。日米の艦船は救助活動の妨げになるとして、中国艦船に近づかないよう警告し続けた。

SinoAmericanWar2025map02


数回の接近戦の中で、中国の昆明級駆逐艦太原が火器管制レーダーを作動させ、もとぶをロックオンした。 もとぶは無線でレーダーの停止を要求したが、中国側の反応は無く、救助活動が続いていたため、もとぶ太原の艦首に向けて甲板砲の警告射撃を行った。これに対し、近くにいた中国のフリゲート艦が攻撃されたと思い、もとぶに向けて魚雷を発射した。しかし混雑した海域において、魚雷は射線上を横切ったCharlestonに命中し、喫水線の下に穴を開けた。9月9日早朝、50名の乗員を乗せたCharlestonはわずか25分で沈没し、多くの犠牲者が出た。

このような偶発的な衝突に関するリスクは誰もが認識していたが軽視されてきた。このようなリスクは灰色のサイ(グレーリノ)と呼ばれている。2025年米中戦争はこうして始まったのである。

2025年9月9日~11日:戦争の選択


SinoAmericanWar2025map03


第7艦隊の旗艦である揚陸指揮艦Blue Ridgeやハワイの太平洋艦隊司令部に情報が伝えられ、直ちに救助活動が命じられた。20分以内に空母Gerald R. Fordが発進し、救助活動と、南シナ海における米国及び同盟国の船舶の保護が命じられた。

SinoAmericanWar2025pic04


同日、日本から飛び立った2機の米軍のF-35が4機の中国軍のJ-20戦闘機と遭遇した。短時間の空中戦であったがドッグファイトに発展し、米軍機1機を犠牲にして中国軍機がすべて撃墜された。中国の参謀本部は沖縄の米軍基地へのミサイル攻撃を提案したが、中央軍事委員会(CMC)主席である習近平はこれに拒否権を行使した。ここで日本攻撃を行わなかったことが、中国の完全な勝利を妨げた戦略上の誤りであった。

ハワイの米太平洋艦隊司令部は、ミサイル駆逐艦DeweyBertholfを守り、進行中の救助・修理作業を妨害する中国船を無力化にするよう命じた。米太平洋空軍は、中国の戦闘機が事故現場の半径20マイル以内に侵入することを阻止するよう命じられた。同時に、任務を遂行できるすべての第7艦隊戦闘部隊は、日本の横須賀からスプラトリー諸島に向けて全速力で航行するよう命じられた。グアムに駐留するB-52がスプラトリー諸島にある中国の基地を定期的に上空飛行し始めた。さらにハリス大統領は、ハワイから空母John C. Stennisと駆逐艦3隻、原子力潜水艦(SSN)3隻を南シナ海に派遣することを承認した。

同時にアメリカは軍事力を行使する作戦地域を限定し、中国との争いを拡大させることを自重した。9月10日夜にはハリス大統領と習主席の電話会談が行われたが、事態の収拾にはつながらなかった。同日、中国の国営メディアはBertholfへの衝突を加工した映像を流し、事故の責任はアメリカにあると主張した。この報道に呼応してアメリカと日本の大使館の門前には、補償を求める群衆が集まった。

アメリカの追放を求める群衆が天安門広場に集まり、中国のインターネット上では戦線の拡大を嫌う習近平の消極策を批判する言論が支配的になった。中国共産党の統一戦線工作部のプロパガンダ部隊の指導を受けた中国人留学生や挑発者が、世界各国で抗議活動を始め、米国の大学に通う中国人留学生のグループがデモを行い、メディアで大きく報道された。下院議員の中にも米軍の撤退を要求する声が出始めた。

9月11日、中国共産党の常務委員会と中央軍事委員会(CMC)の緊急会議の後、習近平はそれまでの慎重な路線を一変させた。彼は南シナ海の歴史的水域に米軍艦船が侵入することを阻止し、残存する米軍艦船を追い出すか拿捕するよう命じた。スプラトリー諸島とパラセル諸島の上空に飛行禁止区域を設定し、南シナ海に進出した米艦隊に同行する自衛隊の艦艇を標的にすることを約束した。しかし、習近平は、日本にある米軍基地や自衛隊吉を直ちに弾道ミサイルの標的にするという提案を拒否し続け、中国人民解放軍内の不満を増幅させた。

2025年9月12日~15日:台湾海峡の封鎖


9月12日、台湾海峡通過を命じられていた駆逐艦Stethemと掃海船Patriotは、海峡のほぼ中央で、米国の漁船、ミサイル巡視船、中国沿岸警備隊の艦船群に巻き込まれた。Stethemの威嚇射撃に対応して、中国人民解放軍海軍の小型巡視船がミサイルを発射、戦闘状態に移行した。米艦は2隻とも死傷者を出し、大きな損害を受けたが、最終的には包囲から抜け出し台湾の高雄に向かった。

SinoAmericanWar2025pic05


これにより9月13日、北京は台湾が交戦国になったとして台湾海峡の閉鎖を発表した。中国は高雄に封鎖軍を派遣し、台湾の12マイルの領海のすぐ外側に居座った。さらに2隻の駆逐艦を台湾海峡上の対空任務のために配置し、台湾上空の戦闘空中哨戒を開始した。

SinoAmericanWar2025map04


これより3日間、戦域は膠着状態に陥る。米中首脳による電話会議が何度も重ねられたが、ハリスも習近平も宣戦布告をする意思こそ無いものの、どちらも軍の撤退には同意しなかった。大統領令を受けてサンディエゴから駆逐艦10隻と巡洋艦2隻が日本に向かったが、到着にはあと2週間を要する。嘉手納飛行場にF-22の2個飛行隊がオーダーされ、ミズーリ州のホワイトマン飛行場からはB-2爆撃機2機が尖閣諸島の上空を大洋横断した。

SinoAmericanWar2025pic06


9月15日、中国人民解放軍海軍南海艦隊の機動部隊が、スプラトリー諸島沖で傷ついたBertholfを守っていたDeweyに到達した。中国軍はDeweyの周囲を取り囲み、この2隻を孤立させた。一方、フィリピンでは中国の諜報機関に誘導された反米運動が高まり、ドゥテルテ元大統領がデモ隊の先頭に立って中国との関係回復を要求した。結果的にフィリピンの現大統領がクラーク空軍基地の米軍機利用を拒否したため、米軍の南シナ海での航空支援は事実上中断することとなった。

2025年9月16日:バシー海峡の戦闘


SinoAmericanWar2025map05


9月16日フィリピン・ルソン島の北西175海里にいた中国の空母遼寧は、沖縄の南東にいるGerald R. Fordを威嚇しようとジェット機を発進させた。これらの中国機はGerald R. FordF-35と沖縄から発進したF-22によって撃破された。これにより、遼寧とその船団は事実上、前進することができなくなった。

SinoAmericanWar2025pic07


同時に米国の船団も中国の東海艦隊の目視範囲内で停止した。これ以上は戦争をエスカレートさせ収拾がつかなくなる恐れがあった。米太平洋艦隊は、Gerald R. Fordに対する陸上発射のDF-21D対艦弾道ミサイルの使用を予想しており、実際、空中戦の約4時間後に中国領内から2発発射されたが、目標を外れた。ワシントンの一部では、このミサイル攻撃の失敗は意図的なものであり、北京はGerald R. Fordが南シナ海に進出すると撃破するというメッセージを送ったのではないかと考えられている。DF-21の攻撃が試みられてから3時間以内に、ワシントンからGerald R. Fordに、「バシー海峡の東側で待機せよ」という命令が出された。

Gerald R. Fordが停泊したことが台湾に伝わると、台湾の国民党総統は9月17日、台湾は今後、紛争に中立であり、中国の海軍によるシーレーンのパトロールや上空飛行を受け入れると発表した。

9月17日:中国の電子戦


SinoAmericanWar2025map06


9月17日、Gerald R. Fordを除く米艦船は、1日の駐留後、スプラトリー諸島に向けて前進した。これに対し中国の戦略支援部隊は、米国システムに対する広範な電子戦措置とサイバー攻撃を開始した。その結果、GPSを何度も中断させ、マルウェアを使って情報・監視・偵察(ISR)フィードを含む米国のさまざまなコンピュータおよび通信システムを停止させることに成功した。米国の電子戦用航空機もシステムを妨害され、米国の指揮官は衛星や潜水艦からの不完全な情報に頼ることになった。このため、米艦隊のスプラトリー諸島への進撃は大幅に遅れることとなった。ここで中国は日米の民間システムをサイバー攻撃の標的にすることを自重したが、将来の潜在的な脅威が再認識される結果となった。

9月22日:尖閣諸島の戦い


SinoAmericanWar2025map07


ここで自衛隊が意外な役目を果たす。9月22日未明、尖閣諸島の南西に潜航していた潜水艦そうりゅうが、中国空母遼寧を攻撃し魚雷2本を命中させたのである。さらにそうりゅうは浮上してハープーン・ミサイルを6発発射、そのうち4発が命中し空母を航行不能に追いやった。その後、台湾海域にいた中国の攻撃型潜水艦4隻がそうりゅうを追い詰め、そうりゅうは65人の乗組員全員を乗せて沈没した。

SinoAmericanWar2025pic08


遼寧が航行不能になったという連絡が東海艦隊司令部に届いたとき、遼寧はアメリカの潜水艦に攻撃されたと判断された。これに対し、尖閣沖での戦闘の報を受けてバシー海峡から北上してきた米空母Gerald R. Fordを標的にした報復命令が出された。中国は先日と同様にDF21D対艦弾道ミサイルを発射した。今回は対抗措置が奏功せず、2発のミサイルが命中した。Gerald R. Fordは致命的な被害を被り日暮れ時に沈没した。沖縄から派遣された日米の艦艇が23日深夜に現場に到着し救助活動を開始した。アメリカの2隻目の空母John C. Stennisは翌日には視界に入ってきた。

9月23日~30日:平和への選択


両国の空母への攻撃が成功したことはこの戦争の転機となった。両国の政策立案者は全面戦争になりかけていることを認識していた。米戦略軍は9月10日にデフコン4に、9月12日には911以降初となるデフコン3に引き上げ、地下のミサイルサイロの準備を強化し、核武装した爆撃機を地上待機させた。同時に中国のロケット部隊は9月11日に厳戒態勢に入った。

次の想定される段階は陸地の人口密集地に戦争を拡大することだったが、米国の指導者はそれを嫌がった。中国の対艦ミサイルの脅威から艦船群を守るためにアメリカが移動式発射装置を標的にした攻撃を行った場合、中国は地上目標を攻撃し、グアムやハワイ、日本の米空軍・海軍基地を標的にするかもしれない。

意外かもしれないが、停戦に向けた最初のオファーは中国側からだった。習近平は、もしもう1隻の米空母を攻撃すれば、アメリカは中国の陸上ミサイル目標やドック、造船所、航空基地に対する大規模な作戦を開始する可能性が高いと判断した。そこまで戦闘が拡大すると事態の収拾はますます困難になる。北京は南シナ海でのアメリカのプレゼンスを減少させ、台湾を中立化して台湾海峡を支配するというこれまでの成果を失うことになりかねない。習近平は9月23日の朝にハリスに即時停戦を打診した。

一方のハリス大統領も問題に直面していた。米海軍はすでに空母を1隻失っており、後9隻ある空母の内フル稼働できるのはわずか2隻だ。あと2隻を準備するのに数週間、さらに2隻を配備するのには数ヶ月を要する。もしミサイル攻撃による損失が増えれば、米国の水上戦力は深刻なまでに低下する。航空戦力こそ圧倒していたが、ミサイルの備蓄量も限られており、長期的な戦争に対する備えなど殆どなかった。

国内に目を向ければ、中国との全面戦争に突入することを恐れる人々が増え、世論が割れていた。反戦運動の高まりを受け、ハリスは中国側に拘束されているすべての米軍関係者の即時解放を条件に、習近平の提案に同意した。両者は、北京時間の9月24日11時にすべての戦闘行為を中止し、すべての軍がその場で待機することで合意した。

余波:冷え切った平和


双方ともに領土を獲得していないため、ハリスと習は停戦時の軍事的現状を承認することで合意した。アメリカのインド太平洋軍司令官は、9月26日にシンガポールで中国人民解放軍の中央軍事委員会統合幕僚長と会談し、9月28日に恒久的な停戦に合意した。

黄海、東シナ海、南シナ海における海・空の活動を互いに相手国に知らせることが合意された。米国は南シナ海を米軍艦船が通過する際には北京に通知し、中国は東シナ海における米海軍の活動を制限するが停止しないことを約束した。さらに米国は、中国がスプラトリー島とパラセル島を支配していることを認め、南シナ海における中国の「歴史的利益」を認めた。中国側は、日本が東シナ海での平和的な中国の軍事活動を妨害しないことを条件に、日本を侵略したり攻撃したりしないことを約束した。5年後に明らかになった極秘契約書には、アメリカが台湾へのすべての軍事・情報支援を終了することが書かれており、1979年の台湾関係法は事実上消滅した。

停戦合意の公表後、ハリス大統領は、在日米軍のグアム及びハワイへ撤退を発表した。アメリカは、日本にF-16飛行隊1個と誘導ミサイル駆逐艦2隻という形だけの部隊を残すが、沖縄からは完全に撤退する。代わりに、日本への軍事援助を強化し、UKUSA協定に従い完全な情報共有を行うことで、日米同盟を維持する。朝鮮半島の平和維持のために、在韓米軍を28,000人から7,000人に削減し、そのうち3,500人は戦闘部隊とし釜山に配置する。同盟国を安心させるために、ハリスは核の傘が引き続き有効であることを繰り返し強調した。

中国は今回の勝利を足がかかりに非同盟諸国に対して圧力を強化したいと考えていた。しかし北京はすぐに、新しい同盟国が、中国の政治、経済、軍事資本の投資を必要とする、憤慨した不本意なパートナーであることを知った。これは北京の行動の自由を制限することとなった。

米国はその戦略目標を日本の保護に限定することとなった。米国はハワイとグアムに戦力を集中するオフショア・バランサーへと大きく変貌したのだ。アメリカと日本やオーストラリアとの同盟関係は、本質的に戦前よりも弱体化した。

結果的に次の3つの地政学的ブロックが出現することとなった。

  • 米国と日本、オーストラリアからなるブロック
  • 中国が主導し、その新しい衛星国である台湾と韓国、そして北朝鮮を含むブロック
  • ASEANのほとんどの加盟国とインド、ロシアを含む非同盟のブロック

米中のブロックが敵対している間で、非同盟のブロックは優位に立っていた。

東アジアには冷たい平和が訪れた。地域内の貿易は減少し、ASEANなどの外交イニシアティブやメカニズムは非難の応酬の舞台となった。米中間貿易の減少は両国を揺るがし、米国は3年に及ぶ不況に陥り、中国では大規模なデモが報道され国内の不安を増幅させた。その後、両国の貿易は徐々に安定を取り戻したが、非同盟ブロック、特にインド、ベトナム、マレーシアなどが、世界のサプライチェーンの中で中国にとって代わるために経済を立て直し、欧米への輸出を増加させた。

米中のブロックは、アジアにおける覇権を巡る長期的な駆け引きを始めた。北京は経済成長の鈍化に伴い、ペースは落ちたものの軍事力の増強を続けた。アメリカの防衛計画担当者は、無人システム、極超音速兵器、水中システム、サイバー戦争能力への依存度を高めた。双方ともにスパイ活動を活性化させ、東アジアの空と海で定期的に追いつ追われつの駆け引きを行った。

おわりに


──さて、以上が2025年米中戦争の結末である。荒唐無稽な妄想だろうか?それとも起こりうる未来だろうか? 著者のMichael R. Auslinは、スタンフォード大学フーバー研究所の現代アジアにおけるペイソン・J・トリート特別研究員である。このエッセイは、同氏の著書Asia's New Geopolitics: Essays on Reshaping the Indo-Pacific (Hoover, 2020)に掲載されている。

Asia's New Geopolitics: Essays on Reshaping the Indo-Pacific (English Edition)
Auslin, Michael R.
Hoover Institution Press
2020-04-29



少なくとも1つ確実なことは2025年には米中の軍事力バランスは中国が圧倒することとなるということであり、米国そしてもちろん日本にも十分な抑止能力がないということだ。台湾有事が発生した場合、日本はどのように対応するのか。もし米中の衝突が現実のものとなれば、たとえ核兵器が使われなかったとしても、多くの国を巻き込み、世界規模の甚大な被害に繋がりかねない。衝突を避けるために、日本が果たすべき役割は何か。これから10年は正念場となるだろう。


lunarmodule7 at 20:00│Comments(0)││国際 

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
[Tableau] あなたのvizにフィットする所望の位置、回転角のテキスト画像を作成する方法 / How to create a text image with the desired position and rotation angle that fits your viz.老人の国