カタールワールドカップ、グループEがダントツの死の組だったことの可視化

2023年01月02日

新海誠監督の『すずめの戸締まり』は公開から45日間で興行収入が100億円突破し、大ヒットを続けている。新海誠監督の作品は、『君の名は。』、『天気の子』に続けて3作続けて興行収入100億円を超える事となり、名実ともにヒットメーカーとなっている。



さて、以降は物語のネタバレを含むので、まだ鑑賞していない人はここでブラウザを閉じてもらいたい。


ストーリーの類似性


『すずめの戸締まり』を観た人は、後半芹沢と環と旅を始めたあたりで、あれ?この展開『君の名は。』 に似てるな?と思わなかっただろうか?『君の名は。』では、瀧が奥寺先輩と司とともに糸守町を探す旅に出る。『すずめの戸締まり』では、鈴芽が環と芹沢とともに最初の扉を探して旅に出る。

実際、2つの作品のストーリーを(少し恣意的に)並べてみると、ストーリー展開が類似していることに気づくだろう(環と芹沢がくっくかどうかは不明)。

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「行って帰る」物語


このストーリーの類似性は偶然ではない。この「行って帰る」物語はストーリーの基本パターンの一つなのだ(もう一つは「欠落したものが回復する」パターン)。瀬田貞二は『幼い子の文学』においてこの枠組を「行きて帰りし物語」と呼び、物語の最も基本的なパターンであると指摘した。「行って帰る」物語では、主人公が境界線を超えて「向こう側」に行き、そして「帰ってくる」ことになる。「向こう側」で未知なものに触れ、「帰る」ことによって主人公にとっての日常や現実の確かさが実感されるのだ。

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境界線である扉を強く意識させるコピー


この「行って帰る」物語に忠実なのが宮崎アニメだ。『千と千尋の神隠し』ではトンネルの先の世界に千尋が行くことで始まる。『天空の城ラピュタ』ではシータと出会うことでパズーが飛行石を巡る冒険に旅立ち、最後には帰ってくるのだ。もちろん、新海誠監督はこのセオリーを十二分に理解しており、入場者プレゼントの『新海誠本』には次の記述がある。

 だからせめて、本作では物語の基本的な役割を忠実に果たしたいと思う。「行って帰る」話を作るのだ。
 日常から出発し、そこから最も遠い場所(死)まで行き、また日常に帰ってくる。そのことによって日常の確かさを確認する。遊園地でジェットコースターに乗って、地上に足を下ろすとホッとするあの感覚。エンターテインメントで死に接近することで、自分は生きていて良かったと思える。それが物語の素朴で根本的な役割だし、僕たちのシンプルだけど難しい仕事だ。
新海誠本

ストーリーメーカー


大塚英志の『ストーリーメーカー』では、「行って帰る」物語を含む物語論を概観し、30の質問に回答していくことで物語のプロットを作成する方法論を紹介している。そこでは、クリストファー・ボグラーの『作家の旅 ライターズ・ジャーニー 神話の法則で読み解く物語の構造』において紹介されている<ヒーローズ・ジャーニー>の構造に基づいたテンプレートを掲示しているが、そのテンプレートに『すずめの戸締まり』を当てはめると次のようになる(あくまで一例であり別解釈も存在する)。物語論の基本に忠実に作られたストーリーなので、展開が似るのも当然と言える。

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ここに見てきたように、『すずめの戸締まり』は大ヒット作を求められた新海誠監督が基本に忠実に練り上げた作品だ。その上で過去最大の成功体験である『君の名は。』のストーリーラインを踏まえつつもそれを越えようとした作品だが、このまま推移すると『君の名は。』には及ばない程度の興行収入で着地しそうだ。これは『THE FIRST SLAM DUNK』という超強力なライバルが存在することも大きいが、椅子への変身というギミックが、男女の入れ替わりという定番に敵わなかったとも言えるかもしれない。

lunarmodule7 at 21:29│Comments(1)

この記事へのコメント

1. Posted by aki   2023年11月10日 00:54
この様な書込大変失礼ながら、日本も当事国となる台湾有事を前に 日本の国防を妨げる国内の反日の危険性が共有される事願います

今や報道は無法国の代弁者となり、日本の国益は悪に印象操作し妨害、反日帰化の多い野党や中韓の悪事は報じない自由で日本人の知る権利を阻む異常な状態です。

世論誘導が生んだ民主党政権、中韓を利す為の超円高誘導で日本企業や経済は衰退する中、技術を韓国に渡さぬJAXAを恫喝し予算削減、3万もの機密漏洩など数知れぬ韓国への利益誘導の為に働きました。

メディアに踊らされあの反日政権を生み、当時の売国法や“身を切る改革”に未だ後遺症を残している事、今も隣国上げや文化破壊等、

日本弱体と侵略に励む勢力に二度と国を売らぬ様、各党の方向性を見極め、改憲始め国の成長と強化が重要で、しかし必要なのは、
日本人として誇りを取り戻し、世界一長く続く自国を守る意識だと多くの方に伝わる事を願います。

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