2014年11月21日

「奥深く幅広いリコーダーの世界へ」

リコーダー教育に熱心に取り組んでいらっしゃる小中学校の先生方の集まりで、毎年全日本リコーダーコンテストを主催している「全日本リコーダー教育研究会」で、「リコ研だより」というのを発行しているのですが、今年分の原稿を今朝さっきまで書いていました。

この「全日本リコーダー教育研究会」は、昨年が創立40周年で、それを機に「リコ研だより」にコンテスト審査員からコンテストに関連する原稿を募るということになったようです。

今年分は、未発行なので、今書いた原稿をここに載せるわけにはいきませんが、去年の創立40周年を記念した原稿は、もう公開にして良いのかなと思うので、ここに載せておきます。

ではでは。


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奥深く幅広いリコーダーの世界へ

全日本リコーダー教育研究会、創立40周年おめでとうございます。十余年過ごしたアムステルダムから日本に拠点を戻した2001年、全日本リコーダーコンテストの審査に初めて呼んでいただきました。それ以来十数回に渡って拝聴していますが、先生方の熱意あふれるご活動と生徒さんたちの活き活きとした演奏に毎回感じ入っています。
ご存知のように、リコーダーは、13世紀まで遡れる長い歴史を持ち、中世、ルネサンス、バロックから現代に至るまでの幅広いレパートリーがあります。また非西欧の音楽語法も取り入れたような現代作品もあります。長い歴史と多様なレパートリーは、他の楽器にはないリコーダーならではの特長の一つです。リコーダーを学び楽しむということは、リコーダーを通して、多岐にわたる様式での演奏表現に親しみ、音楽観を広げていくことに他なりません。このような奥深く幅広い世界の入り口に立つ子どもたちは、未だ知らなかった様々な音楽に新鮮な驚きを感じるに違いありません。音楽とともに歩むこれからの人生の中で、その世界を探求することを、かけがえない喜びとしてもらいたいと思います。
その観点から、毎年のコンテストについて申し上げるとすれば、音楽について高得点を目的として活動を組み立てるなら残念ではないかということです。そうではなく、未知の様式に接して、試行錯誤しながらその表現を探り、音楽観を広げ、技術を高めて自分のものにしていく過程の繰り返しこそが大切です。様々な未知の曲に取り組み、難曲に苦労したり表現に悩んだりしている最中であれば、なかなか良い賞を取ることは出来ないかもしれませんが、その過程自体が素晴らしい体験です。わかりやすく聴きばえする曲を選んでそれだけに集中する方が良いと思ってしまうかもしれませんが、重要なのは普段の取り組みの質の高さであり、良い賞をとるためにはどうすればよいかということではなく、日ごろの音楽活動そのものを喜び多く感銘深いものにすることが第一です。そして、それが子どもたちの一生の楽しみとなって行くようなリコーダー教育を、これからも創り出していただけることを願ってやみません。また次の10年でどんな素晴らしい展望が開けるか、とても楽しみなことです。  
Posted by lusthofmeester at 10:18Comments(3)TrackBack(0)よたばなし

2014年08月12日

気持ちと技術

あまりにも久しぶりの更新で気恥ずかしいのですが、ツイッターで連続投稿したらブログにも転載するという方針だけは守るようにしなければ、と思い立ったので、転載します。

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技術的にこのようなことをやると感情が溢れ出ているような演奏になるというレッスンをしたところ(僕のレッスンは割といつもそういう傾向)、「へえ、こころの持ち方で感情が溢れ出るということではないんですね!」みたいに言われてしまった。いや、気持ちの持ち方も大事だと思うし、僕のレッスンも→
→技術寄りじゃなくて気持ち寄りにした方がよいような気もしなくはないのだけど、どっち寄りの方が伝わるかは生徒さんの資質とか時と場合に依るのかな。技術寄りに説明して伝わるならそっちの方が確実な気がして、ついつい技術寄りに説明してしまう傾向が僕にはあるのだけど。ともかく、まあそれで、→
→今日僕が答えたのは、「外国語と同じで、最終的には目指すのは気持ちが言葉に直結することなんだけれど、そこに至るまでは、文法とか語彙とかを知ってじっくり考えながら話すという過程は不可欠」というようなこと。早い段階で気持ちと直結させるのがよいという考え方もあるのかもしれないけど。

↑あ、でも、「じっくり考えながら話す」という喩えは、ちょっと誤解を招くかも。言葉なら、たどたどしくしゃべっても意味は通じるけど、演奏はタイミングがたどたどしいと意味が通じない。音は多少間違ってもいいけど、タイミングは少しでも淀むとダメです。
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では、またね。

追伸:
前回(昨年11月)の記事を久しぶりに読み返したら、決定的な誤記があったので、書き直しました。こんなに経ってからですみません。この手順は、今は単純化して、1−4は滅多にやらず、よっぽどのことがない限り5から開始します。(参考まで)  
Posted by lusthofmeester at 01:05Comments(0)TrackBack(0)レッスン

2013年11月06日

最低音を出す

リコーダーの最低音を出すのは、場合によっては、一番難しい課題です。演奏経験長く、素晴らしい演奏をなさる方でも、最低音が苦手という方は少なくありません。そういう僕自身も、サイズが大きく、慣れない楽器の場合、最低音が確実に出せるような指の開き方押さえ方を見つけるのに苦労することはよくあります。特に手の小さい方、指の細い方ににとってはなかなか難しいことなので、最低音が確実に出せるようになる練習は、レッスンの最重要課題の一つです。

最低音を出すための問題は、指孔がしっかり塞げるかどうかという問題です。息やタンギングの問題もあると思われるかもしれませんが、それはあまり大きな問題ではないと思われます。その証拠に、指孔全部をセロテープで塞いで音を出してみてください。容易に最低音が出せるはずです。タンギングが鋭すぎるとでないということはあるかもしれませんが、息は強すぎなければ大丈夫で、そんなに難しいものでもないです。なので、最低音が出せるようになるには、セロテープで塞いでいるのと同様にしっかり孔を塞げるようになるということが目標になります。

レッスンにいらっしゃる方には、手の形や指の具合を拝見しながら、この指がもっと上とか手首の角度がどうとか足部管の角度がこのぐらいが良いとか助言するわけですが、手の形、指の長さなど人それぞれで、すべての人に通用するコツを書くのは困難ではあります。それでも、最低音が苦手な方のために僕がやっているレッスンの手順をいずれ公開したいものだと思っていました。

ちょうど、昨日ツイッターで、最低音がでないという話題を書かれている方がいらしたので、この機会にと思って、電車の中の暇つぶしで、とりあえずささっと書いてみたのが、次のとおりです。(見返して、昨日の状態より改行など変えています。)

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右手の形の作り方(普通のアルトの場合)以下の練習は「動かす指以外は動かさない」ように注意しながら、すべてスラーでやる。:

1.右手の中指、薬指の孔をセロテープで塞ぐ。(左手指孔も全部塞いでしまってもよい。)

2.人差し指を閉じるとg'が出る。その状態で小指を開閉すると、g'-f'が交代する。やりやすいように足部管の角度を調整する。

3.薬指のセロテープをはずし、中指のセロテープは残して2と同じようにすると、a'と低めのa'が交代するはず。

4.3で低めのa'が出ている状態で薬指を開閉すると、低めのa'とf'が交代するはず。f'が出せるように薬指の位置(指の腹で押さえるのが良いとは限らない)を調整する。必要に応じて、足部管の角度も再調整する。ここで、どうしてもf'が出ないなら、1に戻るか5に進む。

5.薬指の孔のセロテープをはずし、中指の孔のみをセロテープで塞いだ状態のまま、人差し指と薬指を塞ぐとg'が出る。確実にg'が出るように薬指の位置を調整して、薬指を開閉すると、a'-g'が交代する。

6.5でg'が出ている状態から、小指を開閉すると、g'-f''が交代するはず。うまくf'が出るように、足部管の角度を調整したり、薬指の位置を調整したりする。どうしてもこれでf'が出ないようなら、1に戻って、1〜6を繰り返し、ともかく、右手の中指をセロテープで塞いでいれば最低音は出せる状態をめざす。

(補足1.息について自信がなければ、すべての指孔をセロテープで塞いでf'を出してみる。それで出るなら息は大丈夫。)
(補足2.1〜6を繰り返しても絶望的に出せないようなら、指が閉じやすい楽器を探すとか個人製作家に作ってもらうとか。指の細い人にとってはシングルホールの方がずっと吹きやすいと思われる。)

7.中指孔をセロテープで塞いで、f'が出せるようになったら、セロテープを剥がすと、b' flatの指がしっかり塞げているはず。その状態から中指を開閉すれば、b' flatとf'が交代するはず。中指をがしっかり塞げないとしたら、多くの場合は、中指と薬指の指間が広がっていないことが考えられるので、そこを注意する。うまく行かないようなら、足部管の角度を変えるなどして1〜6に戻る。b' flatとf'の交代を安定して吹けるようになれば目的達成なので、そのときの右手の形を体に覚えさせる。

8.仕上げとしては、b' flat - f' - g' - f'という音形を安定して繰り返すのを毎回のウォーミングアップの課題にする。中指と小指は指孔を叩くようにしっかり動かし、他の指は全く動かないという状態を目指す。できるようになれば毎回10秒で終了する練習なので、しばらくの期間それをやっていると最低音は恐くなくなるでしょう。がんばってね。

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書き落としたのは、4のときの薬指の位置(指のどのあたりで押さえるか)と5、6のときの薬指の位置は同じでないといけないことです。手が小さい方の場合は、薬指は指の腹より関節辺りで押さえるほうがうまくいくこともあります。

ポイントは、指の間を広げて指の間隔と指孔の間隔を揃えることです。キーの付いた管楽器の場合、指を広げなくても押さえられるように出来ていますし、指でなくキーで穴を閉じるため、しっかり塞ぐという意識は特に重要ではないですが、リコーダーは少し指の間を広げ、指を少し孔に押し付けることになるので、単純に「指の力を抜いて」というイメージではうまくいかないかもしれません(イメージの問題なので、それでうまくいくならもちろんそれでよいのですが)。なので、しばらく練習していると指が痛くなったりすると思います。痛いと思ったら無理せず中止して、翌日以降にまたやればよいです。この練習は1回で集中してやるより、少しずつ継続的にやるほうが効果的だと思います。楽器に慣れるに従って、指の間をわずかに広げた手の形が楽に維持できるようになると、スムーズに指が動くようになります。


  
Posted by lusthofmeester at 11:55Comments(1)TrackBack(0)レッスン

2013年06月25日

レッスン報告(130624)

また間が開いてしまいましたが、とりあえずレッスン報告復活させます。昨日は5コマでした。

1コマ目
シックハルトのリコーダーの原理、2. Preludioほか

4拍子の付点音形が4小節のみのプレリュード。付点音型って、付点8分音符と16分音符の音価は3対1な訳だけど、2対1のようになってしまいがち。2対1では駄目なのかというと、バロック以前の場合、曲の流れによってそれでも構わないこともある。なのだけど、練習曲としては、16分音符から次の付点8分音符に向かう速さを出来るだけ機敏にというのが目標になる。なので最初は複付点になるぐらいのつもりで出来るだけ速くと思ってよい。でも、舌ではじき飛ばす感じにならず、短い音符もしっかり息が流れるように、というようなことを丁寧にやって行きました。付点音形の練習はものすごく大事なので、練習の手順や勘所についてはそのうち書きたいなあ。(「そのうち」っていつですか?笑)

2コマ目
オトテールの組曲作品5の2プレリュード(アルトでホ短調)
このプレリュートはいわゆるフランス風序曲になっていて、笛1本でやるにしても華やぎが必要。曲想が沈鬱なので、引きこもった表情になりがちだけど、繋留和音が次々にぶつかって行くのを活かして聴く人の耳を強く惹き付けるようにする。この曲それが結構難しいので、息づかい、フラットマン、付点の勢い、装飾のタイミングなど、そのためのテクニックでやるべきことが満載。大変だったけど、最初のLentementはなかなか良い感じになって来てすばらしい。

3コマ目
ディヴィジョンフルートのPauls Steeple
16分音符パッセージでの息づかいの安定というのが中心になりました。ロングトーン、単音のテヌートスタッカートなど、いちいち基礎に立ち返って練習していただくと手間はかかるけど、そこで技術的なことが整えられていくと、息も長く続くようになって1フレーズ一息の感覚も出て来るし、そうするとフレーズ感も伸びやかになるし、同時にテンポ感もよくなるしで、レッスン終了のときには曲全体を通しての流れもとても良くなっていました。

4コマ目
ロングトーンの練習を中心に
かなり経験のある方なのですが、僕のレッスンにいらしてからまだ間もなく、基本からというご希望に応えて、コラールの旋律から始めて、それに必要なロングトーンの練習をやっていただきました。去年から季刊リコーダーにも呼吸とロングトーンについて書いていたのですが、近いうちにこのブログにも書きたいなあ。(「近いうち」っていつですか?笑)

5コマ目
シックハルトのリコーダーの原理、37. Preludioと38. Aria Allegro
プレリュードは舞曲ではないので、拍のタイミングが一定になることより、横の流れがスムーズになって、フレーズごとの輪郭が明瞭になるようにしましょう、というようなレッスン。そうまとめれば簡単だけど、そのための具体的なことをいろいろ。アリアの方も舞曲ではないけど、Allegroらしくキビキビと進んで行くべきで、そのためには速くなったり遅くなったりしない安定感が必要、ということでもたつかない慌てないというようなことを具体的にいろいろやりました。

では、また。  
Posted by lusthofmeester at 14:10Comments(0)TrackBack(0)レッスン

2013年06月14日

指の力(連ツイまとめ)

このところ、指の力について、ツイッターの方で連投していたので、誤字もそのままにここにもまとめておきたいと思います。

きっかけは、学校などで「指には力を入れないように」と指導されているようだというのを見かけたことなのですが、それで、こういうツイートを。


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リコーダーの導入指導で、「指に力を入れない」がお決まりになっている気配があるのだけど、なんでだろう??僕の経験では、初心者はもちろんきわめて多くの「上級」の方が、指孔をしっかり塞げていないことが原因で音程が上ずるという問題を抱えている。「指に力を入れない」は弊害大きくないですか?
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これをきっかけに、@mitaka_fueさんとおっしゃる方と対話が開始。(各ツイートの後ろの方が@mitaka_fueさんの発言です。)


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簡潔さが必要なら丸ごと書かなくてよさそうですけどね。“@mitaka_fue: 小3の教科書に「指に力を入れすぎないようにしよう」と書いてあります(教育出版・平成22年検定)。執筆は金子健治さん?教科書だと簡潔に書かないといけないから、こういった表現になってしまうのでしょうか?”
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それでうまく行きますか?ということです。“@mitaka_fue: 吉澤実「絶対うまくなるリコーダー100のコツ」P45に最低音ファを上手に吹くコツとして「ポイントは指に力を入れないことです」とあります。力任せに押さえつけてはいけないと言いたいのだと思いますが…。”
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補足しますが、指孔を漏れなくしっかり塞ぐには、そのための力が必要です。そこに無頓着でうまく行かない人が多いという状況で、力を抜くという指導をすることにどういう意義があるのでしょう?と疑問を呈しているわけです。 @mitaka_fue
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こういうツイートは、Facebookやmixiにもそのまま流しているのですが、Facebookの方で、鈴木楽器のリコーダー製作家で、アマチュアリコーダー奏者としても盛んに活動されている徳永隆二さんからコメントいただき、そこでも対話がありました。


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リコーダーの指孔をしっかり塞げていない人がとても多いので、「指に力を入れない」という指導は問題あるのではないかという話、Fb上でリコーダー製作の徳永隆二氏とやりとりがありました。知り合いと思って僕の鼻息荒いですが(笑)ご覧ください。http://www.facebook.com/mutsuyuki.motomura/posts/673187822697756
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Facebookの方のリンクもどなたでも見られるようにしてあるので、どうぞご覧ください。

で、ちょっと捨て台詞っぽくこんなツイートを(笑)


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「この力が必要」は、経験の裏付けがないと言えないけど、「脱力が大切」は誰でも簡単に言えて、即効的な暗示効果はあるので、多くの人に広がるのかな。で、みんな言ってる偉い先生も言ってると強固になって行くのかな。うまく行くならいいけど、上達を阻害することもあるので要注意だよってことです。
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こういうやり取りが合ったあと、昨日のレッスンで、指孔がしっかりと閉じないせいでうまく行かないという場面があったので、指孔の閉じ方をしっかりレッスンしようと思い立ち、指に思い切って力を入れて指孔を押さえつけるようにしてみてくださいと言ったら、それをきっかけにすんなりうまく行き始めて、あまりのスムーズさに僕自身もびっくりして(そうはいってもすんなり行くには時間がかかると思っていたのだけど)、また連ツイしました。


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指孔をしっかり閉じられず音程が上ずる傾向がある生徒さんに、今日は、僕も腹をくくって「指には力が要ります。ガチガチでも構いません。閉じてる指は孔を押さえつけ、閉じる指はぶっ叩き、開ける指は跳ね上げてください」というレッスンをしました。それで予想以上にスムーズにうまく行きびっくり!→
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→僕のこういうレッスンは極端に思われるかもしれないけれど、僕自身は指についてはそういう意識だし、それをそのまま生徒さんにお伝えしてうまく行くなら、これが妥当だということと思います。キーのついた管楽器だとキーノイズがうるさいと駄目など、リコーダーと同様にはならないと思いますが、→
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→リコーダーではそうです。力は必要だけど入れ過ぎては駄目という課題の習得は困難ですが、リコーダーの指に関しては入れ過ぎては駄目ということもないので、そういう困難さはないように思います。もちろん、強大な力が必要ということもないので、慣れるに従って無駄な力は抜けて来るでしょうけど、→
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→最初から無駄な力を抜きましょうという必要せは全く感じないし、そんな教え方だと必要な力を身につけないまま何年も経過してしまうリスクが大きいと思います。呼吸に関連して息の流れを阻害する力を抜かないといけないとか、力を抜かないといけない課題も当然あるわけですが、リコーダーの指は→
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→脱力がポイントになる課題ではないです。僕は過去1万回ぐらい(てきとー)のレッスンで、生徒さんに指の力を抜きましょうと言ったことは一度もないです(たぶん)。これについての、ご意見、ご質問、ご批判等、引き続き歓迎です。力を抜きましょうというのは人口に膾炙して何にでも適用しようと→
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→されがちですが、そのためにかえって上達が阻害される場合もあるというのは注意するべきでしょう。(ここまで)
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指に力が入り過ぎている感覚でうまく行かないと感じる方もきっといらっしゃるでしょうから、そういう方には別のアプローチが必要になるでしょう。ただ、僕のレッスンで指に力を入れないようにということはなく、楽器の支え方をしっかりさせて(右手親指と唇で支える)、指が楽器の支えを担わない状態を作り、その状態で指の上げ下げ(ぶっ叩き跳ね上げる)をやっていただく流れになります。

楽器の支えがしっかりしていないと「ぶっ叩き跳ね上げる」で楽器がグラグラしてしまうこともあると思います。楽器の支えは、右手親指と唇のみでなく、左手中指(2の孔)も補助的に働くので、2の孔を押さえつけてみるとよいです。アルトのe2-d2のトリルなど、2の孔を開閉するときは左手中指で1の孔を押さえつけるとよいです。f2-e2のように1、2の孔の両方を開閉するときには、右手の小指をジョイントのあたりに置くとか楽器を水平にするとかが必要です。

このように、必要な力は何かわかって行ってそれが無意識化されて行けば、好き好んで無駄な力を入れる人はいないと思いますし、上がったりしてガチガチな力が入ってしまっても必要な力は働かせることができるので、上がっても困らないという風にもなると思いますよ。
  
Posted by lusthofmeester at 09:58Comments(0)TrackBack(0)

2013年06月11日

6月18日に使うリコーダー

6月18日(火)のコンサート、ブログの方ではまだ書いていませんでしたが、パリ在住のチェンバリスト三和睦子さんとフランスバロックプログラムです。三和さんとは学生時代からの知り合いですが、今回が初共演です。三和さんが近々ラモーのクラヴサン作品を集めたCDをリリースされるということだったので、その機会に、三和さんソロのラモーと同時期のフランスのリコーダーの曲というプログラムを組みました。

フランスバロックのピッチは、現在の440より一音低い392で演奏されることも多いのですが、今回はそれより4分の1音ほど高い405でやります。当時の資料からも室内楽のピッチは聖堂やオペラのピッチより4分の1音高かったようです。

でも、405でやってみようと思ったきっかけは、現存する状態の良いリコーダーのピッチが405前後のものが多く、それを拡大縮小せずにコピーする方が、音色も鳴り方もずっと魅力的になるので、出来るだけ機会を見つけてそういう楽器でコンサートをやって行こうと思ったからです。

右の写真は、左からステインズビーシニア(403ぐらい)、ブレッサン(408)ぐらいと、右はブレッサンのアルトを拡大して作った415ヴォイスフルートに405になるような長い中部管の替え管を付けたものです。アルト2本はともかく、ヴォイスフルートの方は「拡大縮小せず」と真反対のもの作り方ではあるのですが、なぜか415の管より405の管の方がずっといい音に感じます。
画像1

今夏場なので、403の笛も405ぐらいで行けそう、408の笛も抜けば405で行けそう(ここまでは過去にやったことある)、ヴォイスフルートは405か406の様子なので、これも大丈夫ということで、コンサートではこの3本を使います。

あと、フランスの曲なのにイギリスの笛?と思われるかもしれませんが、ブレッサンはフランス人ですし、フランスの管楽器製作がイギリスに伝わったと考えられているので、それもありと思います。と言っても、僕はあんまり時代考証には拘ってないですし、いい音だから聴いてねと思ってるだけではあります。

というわけで、来週火曜日、千駄ヶ谷、昼夜2公演、どうぞご来聴ください。予約残席まだあります。
http://mutsuyukimotomura.com/130618/index.html  
Posted by lusthofmeester at 10:54Comments(0)TrackBack(0)コンサートやCDについて

2013年06月10日

今日明日はリハーサル

昨日の発表会、楽しく終了しました。参加の皆様、ご来聴の皆様ありがとうございました。

「お楽しみ会」として気後れせずに演奏してくださればよいかなとと思っていたのですが、午前中から夕方までどの演奏を聴いても素晴らしく、何人かの方々は打ち上げで「私は本番が一番いいんです」とおっしゃっていて感心しました。確かに「あまり上手でないんです。ごめんなさい。」的な雰囲気で演奏なさる方は一人もいらっしゃらなかったです。上がってそうなってしまったという方もいらっしゃらなかったです。その場の力が発揮されている演奏が多く楽しめました。発表会前のレッスンは、気後れせず、ひるまず、守りに入らずということが主眼でしたが、どの方もしっかりそれを受け止めて本番に臨んでいただけた様子でした。聴く人が一緒に楽しむためには、ミスがあるとかないとかよりも、そこが大事ですね。「私は本番が一番いいんです」はプロでもなかなか言えることではないので、僕も見習いたいと思います。

さて、今日と明日は、チェンバロの三和睦子さんとリハーサルです。ピッチ405の笛を3本使ってやります。415でも392でもなく、その間ぐらいで、リコーダーの音はその辺りが一倍魅力的に聴こえます。本番は千駄ヶ谷で来週の18日昼夜。まだどちらも予約空いていますので、是非おいで下さい。
http://mutsuyukimotomura.com/130618/index.html  
Posted by lusthofmeester at 09:26Comments(0)TrackBack(0)コンサートやCDについて

2013年06月09日

本日は発表会

発表会の準備レッスンが立て込んで、またしばらくブログを書けませんでしたが、明日(本日)が発表会です。28コマのエントリーで、全体を4部に分けます。第1部が10:20開演、第2部は12:00頃、第3部は13:40頃、第4部は15:20ごろの開演で、終演は16:45頃の見込みです。間の休憩は15分程度です。

もちろん入場無料で、どなたでもご自由にお聴きいただけます。演奏中を除いて出入り自由です。ご都合の合う方は、どの時間帯にでも是非おいで下さい。東京オペラシティ3階の近江楽堂です。  
Posted by lusthofmeester at 00:03Comments(0)TrackBack(0)活動報告

2013年06月01日

レッスン報告(130531)

今日のレッスンは3コマ

1コマ目
3月からレッスンを始められた70代男性、全く楽器経験のないところからスタートして3ヶ月弱。特に古楽に関心があるということでもなく、ともかく何か楽器をやってみたいと思い立って開始されたそう。うちから電車で少しのところにお住まいで、近くにリコーダーが習えるところを検索してうちを見つけられたそうだ。このブログを昔から読んでいらっしゃる方は、僕が完全な初心者の方にレッスンしたいのだけどなかなかご縁がないと言い続けて来たことをご存知と思う。この1、2年、ぼちぼちとそういうゼロスタートの方もいらっしゃるようになった。願ったり叶ったりであります。
僕が、ゼロスタートの方を歓迎したい理由は2つ。一つは音楽は音楽家や音楽通の人々のためのものではないし、僕がやっている音楽(ややもすると、わかる人にしかわからないという様子になりかねない)が、そこから縁遠い位置にいる方の心にどのように道筋で届いて行くか、いろいろな方と接しながら捕まえて行きたいということ。もう一つは、楽器を演奏するための基礎というのを、才能があるとかないとか、小さい頃からやってたから知らないうちに身に付いたんだろうとか、そういう得体の知れないものに頼らず、誰でも順を追って訓練して行けば身につけられるようなことに解きほぐして行くことに関心があるということ。そういうことがわかるというのは、結局、今演奏している自分がどういう状態で本当のところは何をやっているのかをわかるということと密に重なることだし、そこを少しずつ解いて行きながら前に進みたいという思うわけです。
前置きが長くなりましたが、最初は楽器をぐらぐらしないように支えて、息漏れなくくわえて、穏やかに持続する息を流すというような所から、箇所箇所難航しながら進んでいるこの方のレッスンは、すごく面白くて、出来なかったちょっとしたことが出来るようになるのことを一緒に喜べるのを幸せに感じます。
最初の頃、ずっとタンギングするということが掴めなくて、最近ようやく同音反復でのタンギングは出来るようになり、少しずつ息も安定して来て、でも、曲を吹いて指を動かすとタンギングがわからなくなってすべてスラーで吹いてしまう。前回までそういう状態だったのが、今日のレッスンで、ついに、全部の音にタンギングしながら、かつブツブツにならないで旋律としてつながるように吹くということ、掴んでいただけました!!すごい進歩です。これであとはやさしい曲からどんどんいろんな曲に取り組んで行けます。大きな一歩でした。大変うれしいです。

2コマ目
発表会準備レッスンで、サンマルティーニのトリオソナタをコンティヌオ付きで。時間を取る所はしっかり慌てず、先に進む所はよどみなく、慎重にならず曲の流れにのるというような、まとめてしまえばそういうレッスンでした。

3コマ目
この方もゼロスタートで始めた方で、今はギースベルトのリコーダー教本にある曲から適当に見繕って吹いている所。低い音に跳躍下降するときに低い音が出ない。そういうのの原因は、端的に指孔がきちんと塞げてないからです。大体塞げていても、たくさんの指のうちのどこががわずかに漏れていても低い音は出ません。息が強すぎてもひっくり返って出ませんが、セロテープで指孔を塞ぐなどして吹けば、どなたもちゃんと低い音が出せるので、実は息は大きな問題ではありません。指がちゃんと塞げているかがともかく問題です。手の小さい方はそこはほんとに苦労されると思います。手の形を作る練習をたゆまずやって行くしかないと思われます。レッスンでは、手の形をよく観察して、どの指が塞げてないか、どの指の形がうまくないか、いろいろやっていただきながら発見して修正して行きます。それで、最終的には曲を吹くときには低い音が外れても一切気にせず拍通りに淀みなく進むようにします。運が良ければ低い音が鳴るので、こつことと練習するうちにうまく行く確率を上げて行くという気持ちで練習を続ければよいと思います。このところ、低い音を出すということに結構進展が見られていたのですが、今日は何かの調子がうまく行かなかったのか、なかなか出なくなってしまっていて、手の形を作るという方向で時間をかけたので、結構ハードなレッスンだったかも。最後はゆっくりとしたテンポで集中して吹けば低い音も外さずに吹けるようになったので、よかったです。  
Posted by lusthofmeester at 01:51Comments(0)TrackBack(0)レッスン

2013年05月31日

レッスン報告(130528-30)

少し間が空きましたが、この3日間でのレッスンは4コマのみです。その間、バイクで房総を走ったり、ラファエロ展に行ったり、昨夜は25日に共演してくれた木村さん、廣海さんらのコンサートに行ったりしてました。バイクツーリングなどはツイッターに書いてますので、ご覧頂けるとうれしいです。過去のツイートは、http://twilog.org/lusthofmeester/

1コマ目
ファン・エイク:Een Spaanse voys(スペインの声)など
ファン・エイクの曲のほとんどは、原曲の歌や踊りの旋律に対する変奏。これは、2回目のレッスンで、1回目は、原曲の旋律と変奏された旋律を1、2小節の短いフレーズに分けて、交互に吹いて行くというようなレッスンで、だいぶよく出来るようになっていました。この回は、その仕上げのようなレッスンでしたが、結局最後は、原曲の旋律を魅力的に吹くということに戻りました。それが出来ると変奏の方にも生きて来ます。この曲、3拍子の拍子感やフレーズ感を身につけるのに最適と思いました。

2コマ目
発表会準備で、ゲントのルイエの2重奏ソナタト長調(作品1の3による)。もう大分仕上がって来たので、何も言うことないですという感じでしたが、「出来ればこういうところはこう」と言い始めるとすぐ時間が経ちますね。「出来ればこういうところはこう」というのは、慎重になってしまうと、少し指の動きなどがややこしいと僅かに立ち止まってしまい、そこで流れがぎこちなくなるというようなところが中心です。表現として立ち止まるが必要なところはいくつかありますが、フレーズが流れているところで慎重さから立ち止まるのは良くありません。とはいえ、発表会初参加で、この2ヶ月ほどの上達ぶりはすごく、参加をお勧めしてよかったなあと思っています。

3コマ目
これも発表会準備レッスンで、テレマンのソナタメトディカ第2集第1番。大変素晴らしいできなのですが、やはり、最後のレッスンは慎重さに起因する流れの悪さを解くという方向になりますね。拍の進みが淀みなくということ、1フレーズを形作る息の伸びやかに流すこと。常に言っていることですが、それをあちこちで確認して行くようなレッスンでした。

4コマ目
チェンバロの方も一緒に発表会準備レッスン。オトテールの組曲作品2の4。リコーダーの方にこれまでのレッスンで言って来たことをチェンバロの方にもお伝えするという感じのレッスンでした。とてもゆっくりの3拍子でも1小節一つで進んで行って4小節フレーズを作るとか、2楽章目のGravement(重厚な)のイネガルは付点でよいとか。


ではでは。  
Posted by lusthofmeester at 08:36Comments(0)TrackBack(0)レッスン