「忠実な羊飼い」のコンサートが終わってあれよあれよという間に1ヶ月以上が経ち、もう3月ですね。
コンサートの報告もしないままになっていましたが、 ご来聴の皆様ありがとうございました。教会の座席数を超える人だかりで、補助椅子もたくさん出したりして、まあともかくたくさんの方々にきていただきました。うれしい限りです。
いつも思うのだけど、僕らの演奏を聴いて喜んでくださる方々がいらっしゃるというのは、ほんとに幸せです。なんと感謝していいかよいやらです。重ね重ねありがとうございました。
次は4月のデュパールですが、その前に再来週バルサンティのレコーディングです。どちらも着々と準備していますので、ご期待ください。4月のデュパールのご案内も近日中に掲載します。
ほんとに遅くなりましたが、「忠実な羊飼い」のプログラムノートをここに載せておきます。楽しいコンサートになったので、いずれ再演できればいいなあと思っているのですが。
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シェドゥヴィル一族は、フルートの製作演奏で有名なオトテール一族とも血縁関係にある一族であり、18世紀前半から中頃にかけてのフランスで、ミュゼット(小型の宮廷バグパイプ)の製作演奏に携わっていました。なかでもニコラ・シェドゥヴィル(1705〜1782)は、当時から「音楽史上最高のミュゼット奏者」と評されていました。そういう点から、同時代のほかの楽器の名手たち、例えばヴィオラ・ダ・ガンバのフォルクレやヴァイオリンのルクレールらと比肩するような音楽家であると言ってよいでしょう。フランスバロックにおけるミュゼットという楽器の重要性を考えると、シェドゥヴィルは今後いっそう注目を集めるべき音楽家だと言えます。
シェドゥヴィルは、ミュゼットや同じくドローン(持続音)をともなう楽器であるハーディガーディのための作品を数多く残していますが、その中で今日最も知られているのは本日取り上げた「忠実な羊飼い IL PASTOR FIDO」でしょう。このソナタ集は、当時のフランスでヴィヴァルディの作品と考えられていたものをモチーフとして編作した楽章を中心に組まれています。原曲となっている作品についてはまだ一部の楽章についてしか判明していないようですが、ヴィヴァルディのほか、メックやアルベルティのようなヴィヴァルディから強い影響を受けた作曲家たちのものもあります。いずれにしてもシェドゥヴィルはこれらの原曲がすべてヴィヴァルディのものと信じていたのであり、「忠実な羊飼い」はシェドゥヴィル自身の作品としてではなく「ヴィヴァルディの作品13」と銘打って出版されています。そのため、長い間ヴィヴァルディの作品と考えられていました。皮肉なことに、ヴィヴァルディの作品とされていたがために、現在、シェドヴィルの作品の中で突出する人気を得ているわけです。しかし、これはイタリアバロックの作品ではなく、まぎれもないフランスバロックの作品なのです。つまり、ギャラントム(優雅な人)が不可欠の属性として備えるボン・グー(気品と節度を持った良い趣味)を追求するというフランス古典芸術の方向性を持った作品に見事にまとめられているのです。また、はっきりと打ち出されている田
園趣味も特にフランスの宮廷文化に顕著なものです。
「忠実な羊飼い」の楽器編成については、通奏低音をともなうミュゼット、ヴィエール(ハーディガーディの仏名)、フルート(おそらくリコーダーとトラヴェルソの両方を指す)、オーボエ、ヴァイオリンが指示されています。これらのうち、どれか一つの楽器のためのソロソナタとして演奏することもできますし、当時のフランスの演奏習慣として頻繁に行われていたことですが、いくつかの楽器を重ねてコンセール(合奏)の形で演奏することも考えられます。本日のコンサートでは2番をミュゼットのソロソナタ、4番をヴァイオリンのソロソナタ、残り4曲をコンセールの形でお聴きいただきます。
本日のコンサートを通じて、シェドゥヴィルという音楽家の作品の一端に触れ、イタリア趣味と田園趣味の融合というフランスバロックの重要な側面を感じ取っていただき、新たな魅力を発見していただければ幸いです。