ちょっとあまりにも、創作界隈の人たちのリテラシーの低さとか覚悟のなさとか、お気持ちでしかものを見られない視野狭窄とかに絶望してしまって、こんな人がまがりなりにもイラストレーターを名乗れていたのなら私ももっと軽薄に活動しとけばよかったみたいな謎の欲求に揺さぶられてしんどいので気を落ち着かせるためにブログを書きます。
あと当初から危惧していた通り生成AI問題を表現規制につなげたい層がちらちら目立つようになってきたので、その話をします。
まずは2月22日、pocoさんという生成AIユーザーがXに投稿した初音ミクのファンアートに対し、「miku's sick of your ai bullshit」という発言と共に投稿されたchiyoさんの初音ミクのファンアート「Pick it up.」についての話から。
投稿はこちらです。

個人的にセンシティブな内容だと感じたのでブログトップに出ないようにしました。
私のこの感想だけで、私がどっち側の人間かということを考えてしまう人は以下を読まないでいただきたいです。

この投稿が20万いいねを超え、「生成AIは海外でも反感を買っている(諸手を挙げて歓迎しているのは日本くらいだ)」という意見が拡散していました。
すると今度は呼応するように「これは初音ミクの政治利用ではないか」「VOCALOIDの政治利用はクリプトンの規約違反」という批判が出てきました。
それを決めてよいのはクリプトン・フューチャー・メディア株式会社だけなので、外野がとやかく言うことではないのですが、イラストが二次創作であったがために初音ミクのキャラクター性に関する解釈違いで気分が悪くなる人が現れたのでしょう。
不快であるという個人的見解を正当化するために公式の規約を持ち出すのは卑怯で幼稚でナンセンスな表現規制だと私も思いましたが、国内外の生成AI規制派はその批判を笑い飛ばし「Pick it up.」を担ぎ上げ、ある種の人にとっては快・一方の人にとっては不快を催す関連二次創作(マリオやエミネムが鉛筆を投げる「Pick it up.」オマージュ)が次々に投稿され続けました。

そして4日後、青猫さんという方が同じ初音ミクを用いてchiyoさんのファンアートと同じ構図・異なる画風で印鑑と婚姻届けを突き付けるイラストを生成AIで作成して投稿し、それを自身で引用しながらこう述べました。

私は青猫さんのお気持ちはわかるが行動はお行儀が悪いと思いました。
理由は「初音ミクがAIユーザーを叩くのってのは、自分的には絶対に「なし」のライン」という自分の解釈を解釈違いの人間に届けようとするのは、相手の嫌いなものを無理やり食べさせようとするのと同じだからです(本人はchiyoさんのポストに直接投稿していないことを理由にこれを否定するでしょうけどね)。
ただ青猫さんが怒るのももっともだとも思いました。
なぜかというと、そもそもchiyoさんもミクに対する解釈が彼女と異なるミクファンに対して配慮がなかったからです。
彼女は「Pick it up.」はミクの政治的利用では?との質問に、中指を突き立てた初音ミクの絵をレスして質問者をブロックしたりもしていて、大変お行儀が悪かったです。
そしてchiyoさんのファンアートを「海外ではこんなにAIが嫌われている」という主語デカ文脈で拡散し、「Pick it up」オマージュを歓迎した人たちも、解釈の違うファンに配慮がない点はchiyoさん以上でした。

そしてそれとは別にchiyoさんの「Pich it up」が投稿された翌日、23日にCygamesがウマ娘に関して「不適切な二次創作を確認しております」「競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現は固く禁止しております」と発表しました。
すると生成AI規制を訴えている人の中から「ウマシコ(ウマ娘のR18作品)は9割AIだからやっぱりAIを規制すべき」という雑な発言が飛び出しました。
私はこれを行間を勝手に読み過ぎの飛躍解釈からの論点ずらしだと見なしました。
まず『不適切な二次創作』がそもそもウマシコのみを指すとは限らないうえに、生成AIの発達以前から手描きのウマシコはあったわけです。
生成AIのおかげで簡単に量産されるようになったというのは、わかるしその通りだと思いますが、『不適切な二次創作』が流通する本質的な原因は、買う人間がいることなんですよ。
儲かるからやるんですよ。
問題なのは、『不適切な』ウマ娘二次創作を消費する側の人間に、自分もCygamesの規約の違反行為に加担しているという自覚がないか、あっても軽く見ている輩が多いことなんですよ。
この問題は、瑞島フェレリというAIユーザーが生成AIによるファンアートに積極的でないホロライブのAIファンアートを投稿していて、それを平気でいいね・リポストするホロライブファンが多いこと、またホロライブが生成AIによるファンアートを嫌がっている旨をメンションした人をブロックする人がいること(ほんねのーと✿Honne Note.さん参照)にも同じ本質を見ることができます。
これってつまり自分好みのキャラ絵を見て自分が気持ちよくなることができれば、公式のお気持ちなんてどうでもいいという人が多いということですよ。
ようは界隈の質が異様に低下してないか?という懸念なんですけど。

話を戻します。
私と同様の意見を持ったのかわかりませんが、上記の「Cygamesが嫌がっている二次創作とはAIウマシコのことである」言説に対しては当然「そうとは限らない」という反論が始まりました。
するとそこで「著作権者の意向を無視した二次創作という話なら、反AI垢は原作無視のBL同人や児童向けアニメの二次エロを平然とやっている」という、これまた論点ずらしの援護射撃に乗せて「エロ二次自体が原作リスペクトのない金儲け目的の盗人行為・生成AIと同じ」という、攻撃対象をAIイラストからエロ二次へスライドさせる発言をポストする者が現れ始めました。

二次創作を嫌う層というのはなんか以前からいます。
規制派叩きしている層の中にも当初からやたらと「反AIの絵師は二次創作しているのがダブスタ」を主張している人はいました。
2020年11月頃に『二次創作が嫌いだ』というnoteが話題になりましたが、その時もnoteに理解を示す意見がそこそこありました。
彼らはようは、自分の好みから外れた解釈違いの表現が世間に認められているように感じて許せない人たちなんだと私は当時判断しました。
そういう人は創作者にとっては敵です。
じっさいnoteが話題になると、複数のクリエイターが「自分は自作品の二次創作好きだよ・いやじゃないよ」と発信しました(椎名高志氏や柳野かなた氏など)。
こういう発信自体、『二次創作が嫌いだ』の著者と共感者にとっては「今日本で創作を行っている個人クリエイターは、二次創作活動を認めることを強要されている」と信じ続ける根拠にしかならなかったでしょうが、おそらく大抵のプロクリエイターは自身の作品の二次創作に寛容です。
理由は、あくまで私の予想ですが作品をどう解釈するかは読者の自由であり、その発露として二次創作があると考えているからです。

私は真面目にプロをやったことがないのでこれはなんとなくの直感なんですけど、作品がどんなものなのか『正しい解釈』を読者全員に強要していたら幅広く公開することへの精神的苦痛・恐怖が半端なくてプロを続けられなくなると思います。
だからプロは必然的に『正しい解釈』に拘らなくなる傾向があるのではないでしょうか?
原作者や著作権者が二次創作に制限を設けるのは、ファンに対し「あなたとは違う属性のファンもいて、その人たちは作品をあなたとは異なる目で見て異なる解釈をしているかもしれないから配慮してね」ってことなんですよ。
ウマ娘も「モチーフとなる競走馬のファンの皆様や馬主の皆様、および関係者の方々が不快に思われる表現、ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現」と規定しています。
ぶっちゃけて言えばもともと萌えヲタ外のコンテンツを萌え化してるものなので、萌え嫌いもいるから萌え消費発言はほどほどにねってことです。

原作者や版権元がやめるよう呼び掛けている内容や手法のファンアートを公開したり販売していても、よほど悪質でないと著作権者は訴えを起こしません。
ウマ娘というある種のナマモノコンテンツですら二次創作ガイドラインは「ご遠慮ください」という控えめな表現になっており、「やむを得ず」という言葉も使って、訴えるのは最後の手段という印象を与えています。
なぜかというと二次創作規制は表現規制につながるからです。

絵でも写真でも小説でもなんでもなんですが、発表すること・あるいは作成すること自体に『これはOKこれはNG』と仕訳すること自体、本質的に表現規制です。
性的マイノリティーな内容や差別思想になると、考えること自体が悪という内心の自由まで平気で侵害してくる輩がいるのが本当に恐ろしいのですが、例えば「男は全員性犯罪をするので去勢したほうがいい」とか「今電車で目の前に座っている女の子のおっぱいを揉みたい」みたいなの、現実で実行するのは犯罪ですけど考えるのは全然かまわないんですよ。
だからウマシコも脳内でやるぶんには自由です。投稿するなって話です。

『現実で実行』と『脳内で考える』の間には、『口に出す』という段階があります。
『口に出す』時、TPO、ゾーニング、相手や場所を選ぶことって大事ですよね。
創作物を発表することは一次二次を問わずこの『口に出す』に含まれます(『現実で実行』ではありません)。
前述したように、二次創作は本来的に読者の解釈に基づく感想の発露です。
したがって表現の自由を尊重する日本のクリエイターたちは、それ自体の発表をなるべく禁止しないことにしたのです。

だからね、二次創作者は原作者が表現の自由を優先して解釈違いに寛大になってくれていることを忘れずに、モラルとマナーを守って行儀よく活動しなければいけないんですよ。
これよく「お目こぼししてもらってんだからコソコソやれ」みたいに言う人いますけど、違うと思います。
自分と解釈の異なる他人がいることに配慮し、自分の好みでない表現の存在を許容しましょうということです。みんな仲良くしてってこと。
それができない人は二次創作界隈にいてはいけないし、なんなら創作者や創作物に関わるべきでありません。
自分が気持ちよくなれれば著作権者の意向を軽んじても何とも思わない人や、そういう人を相手に他人のふんどしで金儲けをする人は確かに論外ですが、上記の「配慮できない人」「許容できない人」も「自分の好みでない表現は見ただけで不快になるし、不快な気分にさせられることは被害であり、人に危害を加えるのは犯罪なので取り締まるべき」って言い出す二次創作嫌い・表現規制派と性根が一緒だし、そういう人は創作に関わらないべきです。
というか、そもそも社会活動をしないほうが社会のためになるでしょうね。

日本社会でフェミニズムが浸透しないのは、「許容できない」類の偽フェミニストのせいって話は前もしましたが。
彼らは『女性オタクの棲む暗い池について』で解説されている『男だけど異常に胸がデカいキャラが苦手』の増田と同じ大人赤ちゃんです。
このポストが出た頃ちょうど三重交通が燃やされててタイムリーだったんですけど、私は『二次創作が嫌い』の人もこれだし、生成AIで騒いでいる連中もこれじゃんと思いました。

「配慮できない」「許容できない」大人赤ちゃんは、生成AI規制派にも推進派(反反AI)にもどっちにいます。性別も関係ないと思います。
ただどちらかといえば規制派のほうが全体的に「許容できない人」の傾向が強く、反反AIな人は当初は特に「配慮できない人」だった気配がします(「Pick it up」で反対の傾向になったのはAI以前に二次創作だったからだと思います)。
あとAI絵師やAI推進派は「これは危機だ」とは思っていない人が多かったからでしょうね。
なんかね、生成AI規制を訴えている人たちは「これは危機だ」と叫んでいながら、「個人的には好きだし使うけど、生成AIには問題があるとは思っている」という人と連携しようとしないし、なんなら敵視したりしていて、私から見て生成AIがもたらす問題を本気でなんとかする気があるように思えない人がとても目立つんですよ。
エンジニア系の人たちはAIユーザーだからこそ問題点の話もしているのに、生成AI使っているってだけで敵認定速攻ブロック。その話題を口にする他人をとにかく好ましいか好ましくないかで見ている感じ。
二次創作は『世間に受け入れられている』が、生成AIは『みんなから反発されている』から二者は違うと反論するところとかもね、さいたまさんの言う女オタク論法ですよ。
二次創作ガチで嫌いな人いるからね?自分に好ましくない存在を透明化するなよと。ここに関しては急に「配慮できない人」になってる感じですね。自分の好みが正義なんですよね。

その辺の態度を見て、この人たち本音のところ生成AIやAIイラストあるいはAIユーザーに対してただただ嫌悪感があって、その個人的感覚を正当化するために著作権侵害だの無断学習だの持ち出しているだけだなって私は判断しました。
その原因がフェレリのような悪質なAIユーザーだったとしても、だからといって生成AIを使ってるだけの他人や生成AIそのものを攻撃していい道理はないです。
「配慮できない人」は教育しなければいけないものであって、攻撃したり拒絶したりするのは逆効果です。
個人ならカジュアルブロックでもいいけど、まがりなりにも生成AIをなんとかしたい!と言うなら、考え方の違う相手とどこまでも辛抱強く対話する覚悟を持ってください。

相手が拒絶してきた!自分たちが攻撃的になってしまったのは悲痛な叫びを透明化されたから!っていう他責思考しかなくて相手に応じて自分の戦略を変えることのできない人は、黙っててください。
真面目にやっている人の迷惑になるから。
このまま赤ちゃんがのさばっていると、彼らの言うとおりAI規制は進まないし創作業界は衰退すると思います。
日本にフェミニズムが浸透せず、男女間の不均衡が解消しないのと同じ結果になると思います。

衰退するというか、少なくともクリエイターを見る世間の目が冷たくなり、地位が下がる確率が高くなりますね。
ただでさえ感情的な人が多くて扱いにくいと思われているっていうのに、クリエイターって自分が一番じゃなければすぐヒステリー起こす幼稚な人たちでしょ?っていうツイフェミと同じ評価になっちゃいますよ。
これは「世間はクリエイターをないがしろにしている!」と叫び続ける連中の自己予言成就です。
「日本は女性差別が横行している!」と叫ぶ人が女性差別を蔓延させているのと同じです。
少なくともそういう類のクリエイターもどきは地位が下がるし、世間は面倒くさい人間のクリエイターより生成AIを上手く扱えるプロンプター(実際には描画の技術もある)と契約するほうがいいなってことになって、彼らは仕事を失うかもしれません。
まあそれは、狭い範囲で考えると競争者が減って個人にとっては都合がいいのかもしれないけど……
なんか「今高校生なんだけど将来に絶望している」みたいなポストも見たけど、私がいま急に肉体年齢だけ高校生に戻れるならむしろ絵の勉強めっちゃやります。
イラストレーターもアニメーターも漫画家も生成AIに取って代わることはないと思うから、むしろ成り上がりチャンスですね。
それより今はもっと本質的な部分で創作界隈に「自分と解釈の異なる他人がいることに配慮し、自分の好みでない表現の存在を許容しましょう」を徹底しないと、内部から表現規制が起こってしまう危険があると思いました。
それができない・わからない人が増えることは、それこそ本当に創作と表現の衰退につながります。

とはいえ。
「配慮のない人」は時にマジで実害があるのも事実だし(ウマシコ同人がDLsiteに並んでいるのはウマ娘運営とって実害だと思います)、たとえ自分を不快にしてくるだけのものでも存在することを許容するのって難しいです。
私はchiyoさんと青猫さんの態度が本当に見苦しいと思ったので、ここで愚痴を垂れてしまうんです。
あと二次創作叩きに反応してグッズの神棚の写真を投稿していたyapoさんとかね……
あんなにお行儀よくできない人たちがやっていけるんなら、私も暴れ回りたい人生だった。
Skebでリクエストもらうようなキラキラ万垢絵師になってAI絵師に絵柄Loraされて泣き叫んでみたかったなw