2008年12月

2008年12月31日

2008年12月決算

12月も終わりですのでまとめを。

1.「“文学少女”と神に臨む作家 上・下」【感想】
2.「バカとテストと召喚獣 5」【感想】
3.「とらドラ! 9」【感想】

惜しくも選外は次の通りです。
「超自宅警備少女ちのり」【感想】
「ばけらの!」【感想】
「彼女は眼鏡HOLIC 2」【感想】

“文学少女”はまあ鉄板ですので。バカテスととらドラは今勢いのあるシリーズですね。とらドラはクライマックスが近いとのことですが。

超自宅警備少女はちのりのキャラが良かったですけど、ダメ人間好き用ですね。
ばけらのも同じくダメ人間のために。
眼鏡HOLICもある意味ダメ・・・

なんだか、自分が一番ダメな気がしてきました。

では、来年もよい読書を。

“文学少女”と神に臨む作家 上・下 感想 5


bk1“文学少女”と神に臨む作家 上 (bk1)

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bk1“文学少女”と神に臨む作家 下 (bk1)

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作者は野村美月さん。イラストは竹岡美穂さん。

※最終巻ですのでネタバレは考慮しません。
 基本的に上下巻はまとめて感想を書きます。

本書の特徴
・“文学少女”最後にして最初の事件
・ライトのーべる賞
・本編は終了ですが、コラボアンソロジーや短編集が出ています。

さて、“文学少女”の最終巻ですが、この2枚の表紙絵を見てもらえれば十分かと思います。
“文学少女”の追想画廊」も出版された竹岡さんグッジョブといったところです。

以上で終わっても良いのですが、それだけではなんなので続きを。
と、その前に。
逆境ナイン 全力版 [DVD]」という映画があります。原作は島本和彦さんの漫画です。
この映画についてはさておいても良いのですが、その島本和彦さんの作品に「新吼えろペン 1 (1) (サンデーGXコミックス)」という作品があります。
“新”と付くだけあって、無印の吼えろペンもあるのですが、あえて新のことについてです。
というのも、この「新・吼えペン」、現実で「逆境ナイン」が映画化されるのに合わせたネタから始まります。主人公の炎尾燃はもちろん島本さんとイコールで結ばれるわけではないのですが、作暦や作風からしてもご自身を投影されているのは間違いありません。漫画は漫画として割り切る部分と、島本さんがこの漫画を描いたからこそ伝わる部分とがせめぎあって、異彩を放っている作品です。
というか、新になってから現実とのリンクがより強くなったのかなという感じもします。映画化ネタというリアルタイムに近いエピソードのせいでそう思うだけかもしれませんが。
読み返すと、最近話題になった編集者問題などにも触れていたりしますが、まあそこら辺は深く考えない方向で。
「逆境ナイン」その他の創作が島本和彦像を作り、その作られた偶像自体が作品となり、またそのフィクションから「逆境ナイン(映画)」へ新たな視点が提供される・・・作中と現実とが相互に影響されゆくのを描いたドキュメンタリー・・・としても読めるものだなとちょっと再読で考えが変わりました。

さて、本書ですが、心葉と遠子先輩との交流を描いたシリーズの最終巻です。
今までは、小説になぞらえて現実の事件を紐解いてきた遠子先輩ですが、彼女自身の事件ということもあってその活動は控えめです。
「神に臨む作家」でもノーベル賞作家を題材に、傷ましい事件に小説読み的な空想力を働かせて別側面を照らし出すことで、少しでも良い想像を描いていきます。

しかし、これはその元となった現実は小説に負けていることになるという見方もできるような気もしますが、その小説自身が生まれ出てくるためには、より強い光を放ち、より暖かな眩さに包まれた存在があってこそなのかもしれません。一面を照らし出すだけでは、削ぎ落とされてしまう複雑で多彩な宝石のような−−たとえば本を食べてしまうような奇妙な人物が。
そして、物語というのは小説になる前から存在していて、関わった人の中には小説を書かせてしまうほどの強い力を持っているのではないかとも思えます。

読んでいて良かったと思えるシリーズでした。

評価[8/10]

2008年12月27日

超自宅警備少女ちのり 感想 3


bk1超自宅警備少女ちのり (bk1)

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作者は小幡休彌さん。イラストはしゅーさん。

本書の特徴
・仕事は自宅警備です
・趣味はつきまといです
・自宅警備っぽいことをするのは仕事をしていても同じようです。

ロリコンフェニックス 1 (1) (角川コミックス ドラゴンJr. 103-1)」という漫画があります。作者は松林悟さん。簡単に説明すると「セイギのロリコン」。
悪のロリコン組織と戦うガチムチ系マスクマンを描いたギャグ漫画なのですが、「ヒーローって普段は何をしてるんだろう?」というこども心あふれる素朴な疑問に、

「ニート」

という答えを与えてくれるステキな作品です。
主人公はどうしようもないロリコンですがちゃんと好きな女の子(小学生)を守る、“いいひと”でもあるのですが、時折はさまれる自由な生活とそれを疎ましく思う母親とのダブルバインドが微妙な切なさを伴っています。
まあ、ギャグ漫画ですので、主人公の人としてのダメっぷりは面白く読めます。

さて、本書ですが、わかる人にはわかる“自宅警備”という要素を前面に押し出したタイトルでありながら、「どうせ香り付け程度でそこらのヒロインと変わらないんだろ」などと思っていたのですが・・・いやあ、本気でダメなヒロインでした。
特撮ヒーロー的なフォーマットもあるにはあるのですが、このヒロインは良かったです。

というか、私はダメ人間が出てくる作品が結構好きみたいです。

あるのであれば、続刊も期待です。

評価[6/10]

2008年12月25日

2008年12月のお買い物リスト

いつものように自分用です。続きを読む

2008年12月24日

キャラふる 2 感想 3


bk1キャラふる 2 (bk1)

(amazon)
作者は葛西伸哉さん。イラストはゆきうさぎさん。

本書の特徴
・夏の定番ネタ
・理想のヒロイン
・とりあえず閉幕

バクマン。 1 (1) (ジャンプコミックス)」の話になってしまいますが、あ、おおひなたごうさんの方でないバクマンです。以前の記事を読んだことが前提になってしまいますが。
とりあえず、そのジャンプ連載の方のバクマンですが、ヒロインがなにやら大変なことになりそうで心配です。今のジャンプでそこまでやるのでしょうか。どちらにせよ期待します。
というのは置いといて、主人公コンビには「強敵」と書いて「とも」と呼べそうな新人作家がいるのですが、興味深い発言をしています。
趣旨としては「主人公っぽい目だから伸びる」というものなのですが、これ、結果と要因が逆転しているというか、負の評価だとそれなりにダメな発言でもちろんそのままでも別な意味でダメ発言なのですが、人物を見抜くと言い換えれば別段普通なのかなあとも思わないでもないです。
結果というのは、実はついてくるものでもなくて、ある程度の道の先につながっているだけで、ソコへ向かって歩くことが単に努力とか評価されるだけなんじゃないかなあ・・・ということはそこそこに、「ヒロインの性的な場面」なんかも現段階から色々決まった道かもしれないなということばっかり考えてしまいました。あそこだけ3回読み直しました。

さて、本書ですが、キャラのふるさとへ迷い込んだ少年が、なんとかしよう・・・という話なわけですが、キャラにはキャラの事情もあるわけで、今回は海です。

まあ、なんで海なのかとかは考えてもしょうがないのでスルーしましたが、定番ネタの宝庫であることは間違いなく、それだけ需要のある良く使われるシチュエーションであるともいえます。

で、なんやかんやあって、この巻で一旦終了です。終わってたり終わってなかったりするわけですが、今後は売上とか人気次第ということでしょうか。
夢と希望を仮託されるキャラたちも泥臭い生活もあるというような視点を入れた本作ですが、やはり現実はもっと厳しいのかもしれません。
もっと続いて欲しかったんですが。

評価[5/10]

2008年12月20日

アスラクライン 11 めぐりあい異世界 感想 3


bk1アスラクライン 11 めぐりあい異世界 (bk1)

(amazon)
作者は三雲岳斗さん。イラストは和狸ナオさん。

※前巻までのネタバレは考慮しません

本書の特徴
・裏と表、内と外、そして
・アニメ・コミック版も進行中
・三雲さんの運が誰かに食われているようです。

「マッシュ ―時代より熱く―(参考:マッシュ 6 (6) (少年サンデーコミックススペシャル))」という漫画があります。作者は山田貴敏さん。簡単に説明すると「オヤジこわい」。
この作品は、画家を題材としていて、週刊少年サンデー連載作らしく、主人公の少年がオトナを圧倒するような絵を描いていくという趣向になっています。
漫画という“絵が直接見られる”作品形態で、絵のすごさを伝えていくというある意味意欲作でもありますが、テーマ性や演出により、「すごい絵を描いたんだな」というのは伝わってきます。
特定のモチーフであっても、どのような表情を写し取り、どのような場面を描き、どのように照明をテーマに当てていくのかというようなことによって、作品としてがらっと変わってしまうというわけですし、その辺りをストーリー込みの漫画で表現するというのは可能なわけです。
ところで、この作者さん、“Dr.コトーの山田さん”と言った方が通りは良いかも知れません。コトー(参考:Dr.コトー診療所 22 (22) (ヤングサンデーコミックス))はよくできた作品ですし、ヒットするのも頷けるのですが、私はさほどヒットしなかったマッシュの方が好きだったりします。
作品というのはある程度は作者を削りだしていくようなものだと思いますが、同じ山田さんから生まれたものでも、どのような作品になるかは切り出し方次第ということかなとも思ったりします。

さて、本書ですが、まずはあらすじについての愚痴・・・だったのですが、今回は私基準では理想的な範囲のあらすじでした。まあ、あらすじに目を通さないと決めた時点で最後に読むことになったあらすじに意味はないのですが。

ところで、漫画でもアニメでもドラマでも映画でもそうですけど、実際に絵に切り出すシーンというのは時間の都合や製作者の意図諸々で限られてきます。だから、「ああ、なんでここ描かない」のかなあということも往々にしてあります。
ライトノベルはもうちょっとシビアで、本文からさらに限定した10シーン程度がイラスト化されるに留まります。これ以上見たかったら、漫画化やアニメ化を応援しろよということなのかもしれないとかも思ったりもしますが、

「なんでここ描かない!」

と思う頻度は高いと言えましょう。主にエロス方面で。

本書でも、そういうシーンがあって、読んでる時は「わかってないなあ」などとも思ったのですが、大体読み終わる頃になってカラーイラストに目を通したらしっかり描かれていました。
カラーイラストも、見ただけで展開がわかったりすることが多いのですっ飛ばしていたのを忘れていました。

まあ、この巻に関しては、その心配は杞憂・・・でもなかったですが、本文だけでも予想がつくことが多かったです。

2巡目の世界という設定も段々と意味を持つようになってきて先は楽しみなのですが。

評価[5/10]


2008年12月16日

タロットの御主人様。ぷちふらぐめんと。 感想 3


bk1タロットの御主人様。ぷちふらぐめんと。 (bk1)

(amazon)
作者は七飯宏隆さん。イラストはYUKIRINさん。

本書の特徴
・アルカナラブコメ短編集
・3巻あたりからの流れ
・初めての方にもおすすめした・・・ごにょごにょ

「カードキャプターさくら」のBlu-rayBOXが発売になります。
原作はCLAMPさんの漫画で、NHK教育などでも放送された超有名作品です。
作品を知っていることが前提の話になりますので説明は割愛させていただきます。

※アニメ・カードキャプターさくらを知っていることが前提の感想です。

まあ、いわゆるアレな方々御用達というイメージもついているかもしれない作品ですが、内容的には王道に近いものですのでどなたがご覧になっても問題ないはずです。
「今まで興味があったけど、手を出せずにいた」という人にはまたとない機会かもしれません。
まあ、全部で10万円超えるのですけど。

・・・さすがに初めてでポンと10万出すというのはつらいでしょう。
でも、大丈夫です。このカードキャプターさくらという作品は作品に大きな切れ目があり、BOXも分割されて発売されます。


62,244円(2008/12/16時点)

あ、こっちはちょっと安いです。

37,506円(2008/12/16時点)

まだこんな値段ですか。
ていうか、さくらカード編は3期ですし。区切りは良くても、初見はつらいかもしれません。
とはいえ、全70話(1〜46話と47〜70話)で、定価なら81,900円+49,350円です。単純計算なら別に高いことも・・・?
なんだか高いんだか安いんだかもう正常な判断もできなくなってきました。そもそもBDBOX買ったことないのでわからないです。
それ以前にBDデッキなんて持ってないです。

さて、本書ですが、タロットバトルを続けてきたシリーズも短編集でちょっと一息はいりました。
構成的には、初めて読む人でも入っていける・・・ということを作者さんも口を濁してしまうくらいの微妙さです。ある程度のネタバレは覚悟の上といったところでしょうか。
内容的には無難さを感じましたが、「いきなりここから読めないこともない」というのを意識しすぎたのか、若干ブレーキがかかりすぎているようにも感じました。タロットの力もあまり関係ないですし、全体的には個性が削られてしまったという印象です。
とはいえ、気軽に楽しむ分には問題はないのですが。

評価[4/10]

2008年12月14日

とらドラ! 9 感想 4


bk1とらドラ! 9 (bk1)

(amazon)
作者は竹宮ゆゆこさん。イラストはヤスさん。

※既刊分のネタバレは考慮しません。

本書の特徴
・2月といったら
・進路と退路
・ゆゆこさんのお部屋は大河クラスなのでしょうか。

TVアニメの「CLANNAD AFTER STORY」もやっと真に“AFTER”になってひと安心しているわけですが、この「CLANNAD」という作品、学園ラブコメっぽい作品として認知している人も多いかもしれませんが、主人公が学校を卒業した後=AFTER編は下手したら学校編よりも長いのではないかという大長編であり、CLANNAD本編と言っても差支えがないほどに内容も充実としています。
だから「学園ラブコメなの?」と聞かれたら、ちょっと言葉を濁してしまうところがあるわけです。
あえて言うなら“人生”しかないのでしょうか。
いや、それもどうかと思いますが。

さて、アニメも絶好調のとらドラの最新刊です。帯とかあとがきを見ると「これから始まりますよー!」という空気に満ち溢れていますが、もう12月も前半終わろうとしています。割りと油断して積みっぱなしになるケースだったかもしれません。危なかったです。

物語は、スキー場で衝撃の事実を誰あろう本人の口から告げられてしまった竜児が煩悶とするところから始まります。
8巻では実乃梨にフラれて煩悶としたり、実に悩み多き青春です。
今回はそれに進路決定まで加わったりと、誠に青春しております。

とはいえ、青春モノなんて青春している内が本編であることに変わりはないわけで、クラス編成が変わったりと、学校ならではの節目によって、いつものメンバーでわいわいとやることにも終焉が見え始め、とらドラ!自体もそろそろ終盤なのかなあと寂しさも出てきました。
今まで奇数巻は大河が表紙でしたが、今回はご覧の通りばかちーこと川嶋亜美となっています。これも、「最終巻は大河で」という思惑の一つかななどと良くない想像をしてしまったりもします。

とりあえず、1月は10巻ではなく、すぴんおふの2巻ということでそちらも楽しみです。

評価[7/10]

2008年12月11日

雲上都市の大冒険 感想 3


bk1雲上都市の大冒険 (bk1)

(amazon)
作者は山口芳宏さん。

※注意

一応、ミステリ作品はネタバレを考慮して、読みたい人だけ見れるようにしておきます。読みたい場合は「評価」までの間を反転してください。隠してる部分が見えちゃってるよ!って人はごめんなさい。IE6で確認しています。Google Chromeでも大丈夫です。
真相に触れない部分はsilverで隠しています。致命的なネタバレはありません。
真相に触れている部分はblackで隠しています。致命的なネタバレを含みます。
ネタバレの程度は個人によって異なりますので保証の限りではありません。

本書の特徴
・義手探偵と弁護士助手
・戦後のどさくさ活劇
・【鮎川哲也賞(第17回)】

二十面相の娘 1 (初回限定版) [DVD]」という作品があります。漫画原作は小原愼司さん。簡単に説明すると「おじさんっ」。
毎回、番組の最後に平野綾さん演じる20面相の娘ことチコが一言「おじさん」と様々な心情で呼びかけることで有名かもしれないアニメです。
「二十面相」自体は江戸川乱歩さんの創作であり、その怪盗をモデルにした作品でもあります。アニメでは「遺族に許可を取っている」というような注意書きも出ていました。
残念ながら原作は未読なのですが、小原さんは「菫画報 1 (1) (アフタヌーンKC)」でも二十面相テイストの話を描いていたような気もしますし、「二十面相の娘」も原作の世界観に通じる怪人・超科学が跋扈し、陸・海・空を背景に大活劇を繰り広げたりといった、荒唐無稽ならではの胸躍る展開の佳い作品でした。
そんな荒唐無稽さも、太平洋戦争前後の混沌とした世情を想像して逆に今は受け入れやすいという面も強いのかもしれません。実際には過ごしていないからこそ、余計にそんなことも思ったりもします。

さて、本書ですが、第17回鮎川哲也賞を受賞した作品であり山口芳宏さんのデビュー作でもあります。
雲上都市と言っても、雲上の楽園を謳った鉱山街を舞台としているだけで、青く輝く石で空に浮かんでいるとかそういうことではありません。
ですが、作品にちりばめられた謎もさることながら、その解決編もなかなかに荒唐無稽な清々しいほどの探偵小説です。
この時代でもいくらなんでもハチャメチャすぎるだろうということも言えますが、リアリティの要求性はある程度低い作風ですし、男と女が逆ならまだ予想できたかもしれませんがなかなかに意外性のある真相で楽しめました。
本書が出版されたのは1年くらい前ですが、なかなか続きがでないなーと思ったら、すでに2作目(豪華客船エリス号の大冒険
)は出ていたようです。そちらもちょっと読んでみたいかなという感じです。


評価[5/10]

2008年12月09日

ばけらの! 感想 3


ばけらの!

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作者は杉井光さん。イラストは赤人さん。

本書の特徴
・ラノベ作家楽屋ネタ
・作品のクォリティを重視して美少女に
・2巻は1月で沖縄旅行

青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス)」という漫画があります。作者は小林まことさん。簡単に説明すると「漫画家人生は漫画」。
週刊少年マガジン50周年を記念して、今年短期集中連載されていた作品です。作者の小林まことさんは「1・2の三四郎」などでマガジンとは浅からぬ縁を持っている方ですが、残念ながらリアルタイムでは読んでいませんし、作品自体もほとんど知らないのですが、作家も編集者もいい加減な時代のエピソードは、枠に収まりきらない破天荒さが詰まっていて非常に面白く読めました。
しかし、仕事に関してだけではなく、同世代の漫画家との奇妙な友情などもつづられていて、底抜けの笑いと一抹の切なさを運んでくる物語でもあります。一つのことに打ち込んでいった者たちなりの絆というものも出てくるということでしょうか。

さて、本書ですが、電撃大賞第12回銀賞でデビューした杉井光さんのGA文庫デビュー作です。なぜ電撃大賞にわざわざ言及したかといえば、同期で銀賞を取り、デビュー作「狼と香辛料」で狼長者となった支倉凍砂さんのことがあるからです。
本書のヒロインは「葉隠イズナ」という化け狼の少女であり、主人公「杉井ヒカル」と同期の作家でもあります。
作中でも予備知識がなくても十分にわかる程度には支倉さんがモデルとわかる程度の人物像なわけです。
他にも何人か実在の作家をモデルにした人物も出てきて、元ネタを知っていればそれなりに面白さがプラスになる趣向になっています。

そういうネタを除いてもラブコメや人情を混ぜつつの手堅い作品で、2巻も楽しみです。

しかし、実情はさておき、割りとあけすけにダメ作家ライフを送る様をネタにされまくっていて、良い関係だなあとか作品外にも感想が漏れてしまったりもしました。

評価[6/10]

あまぞん
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