2009年01月15日

大いなる違和感

<お遍路日記 第9回区切り打ち 6>

三度めのお四国での年越し。
もちろん、除夜の鐘もしっかりつき、煩悩を払い飛ばすのだ。
今回は札所以外のお寺でつかせていただくので、これまでとは違い、あっさり順番が回ってきた。
お坊さんの唱える「なむあみだーぶつー」の「つー」のところにうまくあうように、ごーんと鳴らすタイミングが難しい。
せーのっ!

あけましておめでとうございます。

鐘を打ち終えたあとは、地元の方々が温かいこぶ茶を出してくださって、ありがたい。
するべきことをした気分で、安心してお布団に潜り込む。

除夜の鐘



今日は、ゆっくり歩くのだ。
だからゆっくり出発なのだ。
と、思って、朝からもりもり揚げ餅お雑煮を食べていたら、宿でご一緒したお遍路さんが、「ここからだったら仙遊寺まで行けるよー」と言う。
行けないはずがない、と。
仙遊寺の宿坊は、とってもきれいでごはんもおいしいし、ぜひ泊まったほうがよいと力説される。

え、だって4つもお寺があって、26キロは無理無理無理。ぜーったい、無理。
しかも、いま何時? すっかり日が昇ってますですよ。(日本語へん)
せっかくのアドバイスをいただいたけれど、まあ、自分のペースで行くしかない。
宿坊に泊まる機会はあまりないから、なんだかもったいないけれど、縁がなかったのだったら仕方ない。

さ、歩き始めよう。
雲がぽかりぽかりと浮く空のした、とんとん歩く。

道すがら出会ったおばちゃんに、あたたかい言葉をいただく。
お正月早々、よい歩き……と思ったら、何やら、そのおばちゃん、かばんから袋を取り出した。
「これ、お大師さんのことが書いてある本だから! やっぱり歴史を知って歩くのとそうでないのとは違うと思うわよ〜」とにこやかに手渡される。
ぎょっ、これ、ハードカバー……? 袋の外から触った感じから、随分しっかりした本のよう。
お遍路のときは、1グラムでも荷を軽くしようと、持ってくるろうそくやお線香の量も考え、道中もらうコンビニのレシートもためる前にさっさと捨て、どうしても重くてしかたないときは、持っている食料をもりもりと食べて負担を減らすようがんばっているのに、このリュックのなかに、ハードカバーの本っ!?
……でも、せっかくいただいたお接待、しかもお大師さんの本と聞いたら断るわけにはいきませぬ。
ありがたくちょうだいすることにする。 

が。
袋を開けてみたら、何やら違和感が……。
神々しい朝日だか夕日をバックにした表紙のその1冊。
「メシア」とか、なんたらの「法則」とか、書いてありますけど……?
「21世紀」ならぬ「21聖紀」って、いったい……??
……ううむ。
思い切ってさらにページをめくってみるけれど、お大師さんの「お」の字もでてこない。
こ、これは、やはり違うんじゃ……?

もともと本を読んだりすることを生業としていた者なので、本のもつ「気配」みたいなものはわりと敏感に感じる自分。
ページをめくっているうちに、だんだん気分が悪くなってきてしまった……。うえーん。
とりあえず自分にとってはあまりふさわしくないのは明らかなので、近いうちにさよならすることにし、リュックのなかに。……重っ(涙)

大きな船を造る町をながめつつ、ぽつぽつ歩く。
いつにもまして足が重い……

55番南光坊は、唯一「寺」という名前がついていない札所。
このあたりは、今治の駅前にあたるので、当然宿もたくさんある。
お正月だけれどなんとかなるかな、と思いながら、電話をしてみると……
つながらない。
つながらない。
お休み。
高い。
……のオンパレード。
空もどんよりしてきたし、「困ったなー、どうしよう」と思って座り込んでいたら、一人のおじさんが「まあ、納経所で調べてくれるよ」と声をかけてくれた。
「安いところがいいんでしょう?」と、納経所の方が何度も宿に電話をしてくれる。
さっき何度もかけてもつながらなかった宿なのに、なんとかおさえてくださった。ありがたいなあ……。
なんだか調子のでない一日だったけれど、最後にあったかい気持ちになれて本当によかった。

宿に入ったあと、コンビニで簡単なごはんをすませ、今日の二の舞はふまないようにと、明日のコースを考えて宿に電話をしてみる。
つながらない。
満室。
廃業。
お一人さま1万2千円!?
……2万円?? 
……も、もういいや、明日にしよ。
すっかりくたびれて、早々にベットのなかで眠り込んでしまった1月1日。

遍路道


m-02_16951 at 20:37│Comments(1)TrackBack(1)お遍路日記 その9 

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1. お遍路  [ 今治バリバリリンク集 ]   2009年01月15日 23:36
54番 近見山・延命寺から、55番 別宮山・南光坊、56番 金輪山・泰山寺、57番 府頭山・栄福寺、58番 作礼山・仙遊寺、59番 金光山・国分寺までが今治市内の札所です。 遍路のための新聞『同行新聞(どうぎょうしんぶん)』を発行していた56番 金輪山・泰山寺がある...

この記事へのコメント

1. Posted by Morningstar   2010年01月23日 13:17
>雲がぽかりぽかりと浮く空のした、とんとん歩く。

いやー、光景が浮かんできます(笑)。

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