お遍路日記 その1

2006年05月30日

お杖のこころ

≪お遍路日記 17≫

 穴から無事に一人欠けることもなくはいでたあとは、みんなでにぎやかにお弁当を広げる。
 おっきなおにぎりに、ぱりぱりの海苔を巻いてほおばる。おいしー!
 空は青いし、みんなで食べるお弁当は、最高だ。
 おやつや夏みかんまで配られて、気分は遠足。もうすぐ旅は終わろうとしているけれど、いま、ここにいることが、楽しくて、幸せだなぁって、思ってた。

 宿に戻り、シャワーを浴びてひと休み。
 バスの時間までのんびり過ごす。
 きっと、また夏に歩きにくるだろうな。そのときは、またこちらにお世話になろう。そう思える、あたたかい宿だった。

 そろそろ時間だ。
 荷物をまとめて、出発。
 …と、思ったとき、大変なことに気づいた。
続きを読む

m-02_16951 at 22:02|Permalink

2006年05月29日

暗闇のなかを

≪お遍路日記 16≫
 
 前日の雨が嘘のようにやんだ最終日。
 今日は、宿のみなさんといっしょに、奥の院、慈眼寺へお参りすることにする。
 いつもは、歩き遍路のわたしだけれど、「番外」ということで、ドライブ☆ 昨日の雨のせいか、緑がつややかでとってもきれい。洗われた空気もおいしくて、自然と車の中の会話もはずむ。
 
 慈眼寺に着くと、同じ宿に泊まっていた団体さんのバスがすでに停まっていた。
 きっと、いま、まさに「穴」で修行中なんだろう。
 いちどきにたくさん入れないそうなので、彼らが出てくるまで、わたしたちはのんびり待機。

 お大師さんは、19才のころ、ここの鍾乳洞で修行されていたらしい。その結願も近いある日、洞窟内に巣くっていた悪龍がお大師さんめがけて襲いかかってきたそうだ。お大師さんは、法力でその悪龍を洞窟の壁に封じ込めたとのこと。たしかに、何か出てきそうな感じの、鍾乳洞…。

 修行用白衣を貸してもらい、Tシャツの上に羽織る。
 清水をいただき、塩で身を清めたあと、案内をしてくださる女性にしたがって、一列になって鍾乳洞の中へ。一眼レフのカメラは穴にひっかかるし、メガネは壁にフレームをこするかもしれないとのことなので、どれも外に置いていくことにする。期せずして、何もレンズを通さずに、まっさらの目でものを見る状態に。
 修行という意味では、何も通さずにこころの目で見ればいいのだし、ここが「眼を慈しむ寺」慈眼寺であることを考えると、目には何もつけずに、この穴に入ることがいちばん自然のような気もする。きっと、だいじょうぶ。

遠く吉野川
続きを読む

m-02_16951 at 23:06|Permalink

2006年05月28日

なぜ歩いているの

≪お遍路日記 15≫

やまぶき
 ある日のこと。
 一人のお遍路さん(たぶんわたしと同世代ぐらいの男性)に会ったとき、たずねられた。
 「この旅終わったら、また続きを歩こうと思います?」
 わたしは、迷わず答えた。「うん、きっと歩くと思います。歩かないんですか?」
 すると、彼は言った。「正直、どーしようかなあ、と思ってるんですよねえ。さっきも、徳島のあたりを歩いていたとき、帰ろうかなーって思っちゃって。でも、みんなにも『お遍路行って来る』って言ってしまった手前、帰るのもなんだかなーって」
 「そうなんだ」
 「ええ。歩いていても、『なんでこんなことしてんだろなー』とか思っちゃうんですよ」
 
 そのとき、気づいた。
 たしかに、歩いていてつらいとき、何度もあったけれど、一度も「なんでこんなことしてんだろなー」って思ったことなかったな、と。

 それは、仲間がいたからかもしれない。
 ゆっくり歩いてきたからかもしれない。
 色とりどりの花や、萌える緑、真っ青な空に、きらきら光る川面、…とにかく、いろんなもの、見て感じていたからかもしれない。
 わからない、けど…

 でも、ここに道がある。
 だから、歩いてる。

 歩いていて、ときどき、悲しいことを思ったこともあった。
 ふだん開かないようにおさえつけている引き出しが、いとも簡単に開いて、いろいろなことを思い出し、どうしようもない気持ちになって、泣きそうになったことだって、あった。
 だけど、とにかく、歩くことだ。一歩踏み出すんだって、思って歩いてきた。
 ほら、こうやって、前に道はあるし、いままでだって、たどたどしくともちゃんと歩いてきたから、いま、わたしはここにいるんでしょう、って。
 だから、今回の旅のなかで、わたしには『なんでこんなことしてんだろなー』という問いは、なかった。
 それは、「なんで生きてるのかなー」って、問いと、ほとんど同義だから。
 
塔

m-02_16951 at 21:11|Permalink

2006年05月27日

雨の日に

≪お遍路日記 14≫

 今夜の宿は、廃校になった小学校を活用したコミュニティーセンターのようなところ。地域の人たちが中心になって創っている施設のためか、大きくてきれいな宿なのに、応対がとてもあったかい。人の顔が見える宿、っていう感じ。
 お風呂も広くて気持ちよい。ぶくぶくジャグジーで旅の疲れをとる。お風呂に入っているうちに、「ここに連泊して、お遍路の旅を区切ろう」とこころが決まる。
 
 明日は天気が崩れるらしい。
 地元の人が「ツルさん」と呼ぶ20番鶴林寺をうつか、それとも、奥の院慈眼寺をうつか、悩むところ。慈眼寺は、穴禅定といって、狭くて深い鍾乳洞に入っていくところがあり、大雨だとそこまでいけないらしい。最近は人気があって、団体さんがいると待ち時間もあるらしい…。いったいどんなところなんだろう?
 とりあえず、明日のことは明日考えよう。ふかふかのお布団にくるまって、おやすみなさい。


 朝起きると、それほど雨は降っていなかった。
 でも、天気の動きが遅れているのでは、とのこと。宿の人のアドバイスにしたがって、今日は「ツルさん」にお参りすることとする。

 昨日お迎えにきてくれた箇所(登山口)まで車で送ってもらい、杖を片手に歩き始める。雨に濡れたアヤメが美しい。石だたみの参道は、晴れた日は歩きやすいのだろうけど、雨の日はすべりやすく足元が危うい。何度も転びそうになり、そのたびに、杖にすがる。一応、ゴアのレインウェアを着ているけれど、防水性も通気性も劣化しているらしく、あまり快適ではない。

雨のあやめ続きを読む

m-02_16951 at 21:49|Permalink

2006年05月25日

マメ治療と、再会

≪お遍路日記 13≫

 一人でこつこつとお杖をつきながら歩いていく。
 昨日の足の痛みは、一晩休んだおかげで、少しやわらいでいる様子。でも、油断はできない。一歩一歩確かめるように歩く。
 恩山寺は、坂道のうえにあるお寺。木々が朝日に光って美しい。ここでしか手に入らないという、摺袈裟(すりげさ)のお守りを買う。なんでも、僧侶の用いる袈裟の内に梵字で曼陀羅を書いたもの、とか。持っていると、煩っているいかなる病気も治癒し、滅罪生善(悪いことを良いことに変える)ためにはこれ以上の功徳のあるものなし、と言われているらしい。
 昨日、同じ宿だった女性のお遍路さん二人組みとお札の交換。今日の宿をたずねると、わたしがちょっと気になっているお宿だった。でも、そこまでたどりつけるかどうか…。またの再会を期待して、お互いの道を進む。

 こつんこつん。
 お杖に励まされて、歩いていく。

 立江寺にたどりつく。
 きっと、Aさんは、随分前にここを通りすぎたのだろう。姿は、当然見えない。
 JRの駅が近いこのお寺を、今回の旅の終着点にしてもよかった。
 だけれど、なぜか、「ここじゃない」という気がしてならない。
 もう少し、進みたい。
 ゆっくり行けば、なんとかなるかも、と歩き始める。

立江寺
続きを読む

m-02_16951 at 20:27|Permalink

2006年05月24日

Aさんとの別れ

 Aさんとの別れは、突然だった。

 恩山寺のふもとにある宿についたとき、わたしの足はもう限界にきていた。
 夕食のとき、「明日、自分の足がどうなっているかわからないから、Aさん、先に行ってください。きっとAさんだったら、○○(宿)まで行けると思うし…」
 「そうか…」とAさん。
 それまでいっしょに歩いてきた人だから、やっぱりさびしいけれど、でも、お遍路の道は、自分のペースで行くのがいちばん。わたしにあわせてペースを乱すより、ここでお別れしたほうがいいと、思った。

 次の朝、いっしょに最後の朝ごはん。
 先に食べ終わったAさんは、「じゃあ、準備してくるわ」と席を立った。

 Aさんを見送ろうと思っていたけれど、自分もばたばたと準備をしているうちに、ふと気づいたら、Aさんはすでに出発したあとだった。
 なんだか急にさみしくなった。
 お別れ、ちゃんと言えなかった。
 あんなにお世話になったのに。
 昨日の道のりが、ぶわっと、いちどきに思い出された。

こだまり?

続きを読む

m-02_16951 at 21:38|Permalink

2006年05月22日

願うこと

≪お遍路日記 11≫

 うまく言えなかったんだ。最初は。

 お遍路をはじめてしばらく、お願いごとができなかった。
 まあ、もともと、願をかけにお遍路に出たわけではないのだけれど。
 お経を読んで、手を合わせ、お大師さんやほとけさまにお願いごとをする段になって、家族やお接待をしてくださった方々の健康と幸せを願う言葉は、素直に出てくるのに、自分自身のことについてのお願いは、うまく出てこなかったんだ。

 こうでありたい、こうなりたい、っていう思いが、ないわけではない。
 でも、どうしてか、すんなりと出てこない。
 そんな自分に、少しばかり驚いた。

 そして、気づいたんだ。
 ああ、わたしは、迷っているから、この旅に出たんだ、って。

 …たぶん、たぶんだけど、いろいろなことを引き受ける覚悟がないと、願いごとをいうことすら、おこがましいような気さえしてた。

 だから、言えなかったんだ。
 
 はじめは、もごもごお願いごとを言おうとしてたけど、そのことに気づいてしまって開き直ってしまった。
 「わたし、迷ってるみたいです。迷っているまま、四国の道を歩かせてください」って、お大師さんを前にして、こころのなかでつぶやいたら、少しだけ楽になった。

 自分の足で歩いてお参りしていると、一つひとつのお寺で手を合わせるときに、こころでつぶやく言葉は少しずつ変わっていった。
 どこからか忘れてしまったけれど、自分の願いをこころを定めて言えるようになった自分がいた。
 覚悟ができたわけではない。そんなに、すぐに腹はすわらない。
 迷いがなくなるわけがない。迷いながら歩いているよ。
 だけど、ここまで、自分の足で歩いてきたという事実。
 いま、ひとつだけたしかなものがあるとしたら、たぶん、その事実。
 そのたしかな道のりが、願いをつぶやこうとする自分を、支えていたような気がする。

 きっと、お大師さんも、見守ってくれている。

 ある方がお接待をしてくださったとき、別れ際にこうおっしゃった。
 「満願を期待しています」
 願が満ちる。
 わたしの願が満ちるときは、いつなのだろう。

青い花、花

m-02_16951 at 21:08|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2006年05月21日

錦のおふだに勝るもの?

≪お遍路日記 10≫

 その日は、ものすごく暑い日だった。
 それまでの疲れが一気にきたのか、どうも足の進みが遅い。
 無理せず、徳島市内で宿をとろうかと思っていたけれど、「もう少し行ってみようよ」というAさんの一声で、えいっ、がんばってみっか!と歩き始めた。Aさん、ほんと健脚だなぁ。…尊敬。

 車が多いアスファルトの道は、思った以上にきつい。ひざへの負担、道路からの照り返し、排気ガス、車からのプレッシャー。
 
 大きな交差点にさしかかったときだった。
 「あー、もう休もうっ!」
 とうとうわたしは、座り込んだ。

 キキキーッ!
 わたしたちが疲れのあまりぼーっとしていると、いきなり一台の車が歩道に乗り込んできた。
 白い小さな車。女性が二人乗っている。
 そのうち、後部座席に座っていた女性が降りてきて、わたしとAさんそれぞれに1000円札を手渡し、「ハイ、これ、二人からねっ!」と言って、運転席の女性を指さした。
 急なできごとにびっくりして飛び上がるわたしたち。こんなにいただいてしまって、ありがたく、そして申し訳なさを感じながら、「ありがとうございます!」と深々と頭を下げる。
 にこやかに去るその人は、さっと車に乗り込んだ。
 が、車の往来がはげしいこの交差点、なかなか出発できない。そんななか、わたしたちに目をとめて、わざわざお接待してくださったんだ…その気持ちが、うれしい。その間、わたしたちは、お二人を見送ろうと車の発進を見つめていた。

 そのとき、だ。
 いきなり、後部座席の窓が「うぃーんっ」と開き、何かが飛んできた! …ん? タオル?
 そうこうしているうち、車は、さわやかに出発。再度、深々と頭を下げて見送るわたしたち。
 近くにいたAさんが、車から投げられたものを、よいしょ、と拾い上げる。
 なんと、それは…

つつじ

続きを読む

m-02_16951 at 13:55|PermalinkComments(5)TrackBack(0)

2006年05月19日

アウトドアお遍路

≪お遍路日記 9≫

 真っ青な空! 
 鮎喰川ぞいの道をとるわたしたちにとって、今日は、絶好の川遊び日和。
 Aさん、Bさん、わたし、そして、燃山寺の前あたりから野宿お遍路の男性Dさんもご一緒することになり、総勢4名体制だ。
 適当な川辺に降りてお昼食べることに決めたわたしたちは、コンビニでお弁当を購入して歩き始める。わたしの杖の音も、Bさんの鈴の音も、なんとなく弾んでいる。だって、本当に気持ちいいんだもの。鮎喰川の水は、太陽の光にきらきらと輝いている。山の緑は深く、藤や山つつじがところどころに彩りをそえている。そんななかを気のあう仲間と歩いていて楽しくないわけがない。

 集落では、子どもづれのお母さんやおばあちゃんとすれ違う。
 「こんにちは〜」と会釈すると、「今日は暑いですねえ〜、お疲れさまです」とあったかい笑顔が返ってくる。そんな一言がうれしい。
 屋根には、高くたかく、こいのぼりがひるがえっている。ああ、5月の節句だね。こいのぼりも気持ちよさそうに青空を泳いでいるよ。

 てくてくてくてく。
 どこか、いい場所ないかなぁ…
 道路から川辺に降りられるポイントを探すわたしたち。
 すると、たけやぶのそばにとまる一台の自転車を発見、これはもしや…

だいこんの花
続きを読む

m-02_16951 at 22:38|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2006年05月18日

不思議だけれど、あったかい

≪お遍路日記 8≫

 仮に、彼をCさんとしよう。
 わたしの抱いたCさんの第一印象、「とても不思議な人」。

 あれやこれやと話をしてくれたことを総合すると、
1.どうやら3人ともおうちに泊めてくれるらしい。
2.明日、藤井寺まで車で送ってくれるらしい。
3.明日の、朝ごはんも、お弁当もいただけるらしい。
と、いうことは、わかった。
 なにより「お遍路さん大好き!」ということがすっごく伝わってくる。ご自身でも20回ほど遍路旅をされているそう。どこどこのお寺はこんな御利益があるなど、お遍路トークに熱が入る。あれよこれよという間に話は進み、泊めていただくこととなった。

 Cさん、おもむろに携帯を取り出し、奥さんに連絡する。
 つながって、第一声。
 「お遍路さん、3人つかまえたー!」

お花と空続きを読む

m-02_16951 at 22:34|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2006年05月17日

思わぬ展開?

≪お遍路日記 7≫

 仕事を辞めたことを機会に、通し打ちにきたという70代の男性Aさん。お遍路は2回めという、区切り打ち50代の女性Bさん。そして、若葉マークなわたし。一見ばらばらな感じなんだけど、なぜか一緒に歩くととても楽しい。
 いろいろな思いを抱えながらお遍路の旅をされているのに、いつもはつらつとした笑顔でお話するBさんは、とてもすてきな方だし、「泊まるとこは、みんなにまかせるよ〜」とのほほんとしながらも、じつは一番の健脚であるAさんは、なにかあるたびに「くふふ…っ!」と笑って場をなごませてくれる。
 おふたりと出会ったことで、わたしのお遍路旅は、何倍も楽しく、豊かなものになったなぁと、いまこの日記を書きながらしみじみ思うのだ。

なのはな
続きを読む

m-02_16951 at 22:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年05月16日

のんびりお遍路隊

≪お遍路日記 6≫ 

 安楽寺はびっくりするぐらいきれいな宿坊だった。ごはんも立派…!
 しかも、「温泉山 安楽寺」というぐらいなので、当然、温泉。一日中、歩き続けた足には、非常にうれしい。ゆっくりつかってマッサージ。こころもからだもほかほかしてお布団に入った。(「温泉山」といいながら温泉がなかったら、わたしは暴れてた…たぶん。(←お遍路にあるまじき行為…))

 ここで一緒になったお遍路くんも、GWの区切り打ち。やはり「23番薬王寺」までは行きたいとのこと。そのためにも、明日は「11番まで打っておきたい」らしい。そうしないと、あとで厳しくなる、とか。…う。そうなんだ…。またもや、こころが揺らぐ。

 でもね。
 人は人。
 わたしはわたしのペースで行こう。ゆっくり。いっぱい立ち止まってさ。

 ためしに、さっきの受け売りで「お寺は逃げないよ」って言ってみたら、「お寺は逃げないけど、休暇が逃げる」と返された。…あれ? ゆっくり歩くと、休暇は逃げるの?

 いやいや。
 人は人。
 どんなふうに思って、どうやって感じて歩くのかも、きっと自由。
 お互い、ぼちぼち行きましょか。
 
もみじ続きを読む

m-02_16951 at 22:08|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年05月15日

あの場所が

≪お遍路日記 5≫

 いまから思えば、あの場所がすべての始まりだった。

 その日は、朝からてくてくと歩いていた。
 そう。7時ごろには1番をお参りしていたのだから、その日の宿、6番安楽寺までは「余裕」のはずだった。
 だけど、なんでだろう。
 すでに16時にもなろうとしているのに、まだ5番。…おかしいな、歩くの遅いのかなぁ。たしかに、お参りはあいかわらず慣れなくてもたもたしているし、道ばたに花があればしゃがみこんで写真撮ってるし、おじちゃんがいたらおしゃべりしちゃうし。…ま、いいか。それにしてもおなか減ったなと思いながら、納経をすませる。
 ベンチに座ってお茶を飲んでいると、歩き遍路らしい方々が何人かいらっしゃる。若葉マークのお遍路としては、先輩からいろいろ教えてもらったほうがいいかなぁと思い、ちょっと休憩。どうせ6番の納経には間に合いそうもないし、のんびり行こうっと。
 
藤とお堂
11番 藤井寺のふじの花。
雨にしっとりとぬれて。

続きを読む

m-02_16951 at 20:04|PermalinkComments(3)TrackBack(0)

2006年05月12日

型を倣うこと

≪お遍路日記 4≫

 お遍路一年生のわたしも、札所を重ねるごとに、自分なりのお参りの「型」ができてきた。
 旅立つ前、不安を抱いていたわたしに「お経を読まなくても、手をあわせて自分なりにお祈りすれば大丈夫」とアドバイスをくださった方もいたのだけれど、それでも、今回は、ヘタはヘタなりにお経を読んでみたいなと思い、どのお寺でも「般若心経」「御宝号(南無大師遍照金剛)」「回向文」だけは読んでみることにした。
 それぞれのお寺には、まつられているご本尊の真言もある。でも、「のうまくさんまんだ…なんたらかんたら」なんじゃらほいほい、という感じで、さっぱり意味がわからない。だから、初めのうちは読まなかったのだけれど、だんだんお参りを重ねるうち、「このお寺さんにはどなたがいらっしゃるのかなぁ」なんて興味がわいてきて、そうなると、ご挨拶がてらこの「なんたらかんたら…」の言葉も読んでみようかな、という気持ちになってきた。とくに、薬師如来さんの「おんころころせんだりまとうぎそわか」なんて、「おんころころ」のところがなんともかわいらしくて気に入ってしまい、何度も唱えたくなってしまったりして。
  
屋根より高い続きを読む

m-02_16951 at 23:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年05月11日

同行二人

≪お遍路日記 3≫
 
 お杖をついて歩くのは、楽しい。

 そんなことを言ったら、不謹慎なのかもしれないけれど、本当にそう思う。
 アスファルトの道を歩くのは、ちょっとつらいけれど、お杖が「こつん!」といい音を立てると、自然と足が軽やかになる。こつん、こつん、こつん…心地よいリズムを刻む。いかにいい音を立てられるか、なんてことを考えながら歩いていたのは、わたしぐらいかもしれない。どうりで、ほかの歩き遍路さんよりお杖の減りが早いわけだ。
 「こつん!」という音は、お大師さんの励ましの声。そして、確実にさっきより一歩進んでいることの証しでもある。長い道のり、とくに17番井戸寺から18番恩山寺までの、はてしないアスファルトの道を水ぶくれの痛みに耐えながら歩き通せたのは、お杖の「こつん!」のおかげだったと思う。

あやめ続きを読む

m-02_16951 at 23:16|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年05月10日

お遍路さんになっていく

≪お遍路日記 2≫

 1番札所でお遍路グッズを買い求める。
 事前に、2番札所の売店が品揃え、値段ともによいらしいとの情報をネットで見ていたので、ここ1番では必要最低限のものだけ揃えることにする。
 勢いのいいおばちゃんの言われるがまま、白衣、納経帳、お線香(ケースが弱くて、ぼきぼき折れまくり…)、ろうそく(多すぎて重いっ)、白い納め札、経典をお買いあげ。ううむ、結構なお値段で。

 おばちゃんに、お参りの作法に関するパンフレット「四国遍路」をもらい、説明を受ける。あまりにてきぱきスピーディな説明で、2回も聴いたけど、結局のところ「ろうそく1本、線香3本」ということしか頭に入らなかった。ほかにもいろいろ言ってたけど、よくわからん。ろうそく1本、線香3本、ろうそく1本、線香3本…頭のなかで唱えながら、売店を離れる。

 買ったばかりの白衣に袖を通してみる。
 白衣を着た瞬間、きりっと身がひきしまった…と、言いたいところだけれど、なんだか着慣れなくて、おさまりが悪い。鏡がないからわからないけれど、たぶん、すっごい似合わないんだろうなぁ。いやいや、白衣が似合うって言われても、それほどうれしくはないかも…。しかし、売店の外にいる外人のマネキンのほうが、わたしよりよっぽどイキに着こなしているんじゃないか。

そらまめ

続きを読む

m-02_16951 at 21:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年05月09日

お四国へ

≪お遍路日記 1≫

 夕方発の飛行機に乗って徳島に着いた。
 バスと列車を乗り継いで板東駅に降り立ったときには、もうすっかり暗くなっていて、あたりはしん…と静まりかえっていた。お遍路さんらしき人は、わたし以外にはいない。みんなあっという間にそれぞれの家路につき、ふと気がついたら、周りには誰もいなくなっていた。空気がひんやりと冷たい。星がまたたく夜空を見上げて、なんだか急に心細くなる。とにかく、歩き出すしかない。

 今晩は、1番札所にほど近いところに、宿をとっていた。
 お遍路さんの夜は早い。
 8時すぎのこの時間、どこの観光地でもふつうはにぎやかな笑い声が聞こえそうなものだけれど、建物自体、眠りについているような静けさ。おそるおそる扉を開ける。

 「遅くなってすみませ〜ん、予約していた者ですが…」
 「え?」

 …忘れられていた。

 まあ、部屋はあるからどうぞ、と言われ、はぁ…と、おじゃまする。
 ひとまず、安心。宿はほかにもあるけれど、この時間帯に、しかも、この静かな町での「飛び込み」はさすがにきついものがある。断られなくて本当によかった。あんまり早くに予約しておくと、こういうことがあるんだなと、ちょっと学ぶ。

 さっそくお茶をいただき、買ってきた駅弁を食べて、お風呂に入る。親に「いま、徳島にいます。これからお遍路してきます」と事後報告のメールを打ち(すぐに「48箇所全部まわるの?」と返事が。かーさん、四国は88箇所だよ…(汗))、明日に備えて寝ることに。それにしても、今日は冷えるな。
 
おへんろさん


m-02_16951 at 22:17|PermalinkComments(2)TrackBack(0)