お遍路日記 その10

2010年01月22日

この人に会うために。

<お遍路日記 第10回区切り打ち 13>
 
「おじゃましますー」と声をかけてドアを開けてみると、さきほどの女性が笑顔で迎えてくれた。
 わたしの好きな梨木香歩の小説が、カウンターに飾られている。やっぱり、だ。――題名だけ見るとちょっと近寄りがたいけれど、とてもすてきな作品。わたしは、ここに描かれている空気感が好きだ。この名前をお店につけるあたり、感覚が似ているかも……と、ぐっと親近感が増す。
 カウンターの椅子に腰かけ、あたたかいお茶をいただく。「さっき、笑顔で『こんにちは』って言ってくれたから、声かけちゃった」とのこと。お遍路さんは先を急いでいる人が多いから、寄ってくれるかな?と思ったんだけど、と。いやはや、先を急がないお遍路なんです、わたし……と、笑って返す。
 お遍路のこと、お接待のこと、あれこれ話しているうちに、女性が言った。
 「このお店はね、本当に不思議なお店でね、いろんなおもしろいつながりが生まれるのよ」
 えっ、つながり……? 今回のお遍路では、自分なりに「つながり」がテーマだっただけに、この一言に、びびっ!とアンテナが立った。

 そして、……やはり、きた。

ろうそく

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2010年01月21日

そのときは、そう思ってた。

<お遍路日記 第10回区切り打ち 12>

 別格延命寺に着いた。さらさらと流れる水の音が心地よいお寺。
 早速お参りを、と思ったけれど、もう日暮れも近づいているので、道をはさんで向かい側にある「いざり松」の撮影を先にすることにする。
 それにしてもこの幹のすごいこと。いまにも動き出しそうな躍動感。実際に大地に根を張っている姿を見てみたかったなあ、と思う。どうやったらこの幹がうまく撮れるのかな、あっちに行ったりこっちに行ったりカメラをかまえてうろうろすること数分、ようやく境内に戻り、お参りグッズをごそごそリュックから取り出していると、着物姿のすてきな女性が通りかかった。自然と目が合う。
「こんにちは」「こんにちは」
 その女性が、ふと足をとめて言った。
「もし時間があったら、となりでお店やってるからお茶でもどうぞ」
「ありがとうございます」
 そう、それは、ちょっとした出会いだった。……そのときは、そう思ってた。

いざりまつ

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2010年01月20日

裏口からどうぞ。

<お遍路日記 第10回区切り打ち 11>

 サービスでついた朝食を食べるも、なにやらはしがすすまない。疲れがたまっているのか、動きもスローモーションだ。今日は、ゆっくり歩いていくか……。少しでも負担を減らしたくて、また、このビジネスホテルが案外居心地よかったのもあって、荷物を置いていくことにする。そう、連泊。幸い、今日の歩きは鉄道にそっているので、列車をつかって戻るという技がつかえるのだ。
 
 ほかのお遍路さんよりも遅めの出発。ただただのんびり歩く。
 行き交う人にあいさつをしたり、桜の木のしたでお昼を食べたり。たんたんとした歩み。
 ところで、このお遍路では、まったくもって間食をしていない。いつもなら、ちょっと座ってはチョコレート、ふと立ち止まってはみかん、せっせせっせと行動食をとっていたのだけれど、まったくのゼロ! ……ダイエット? いや、ちがう。
 じつは退職前に、ふと思い立って歯医者にいったところ、「虫歯」宣言されてしまったのだ。がーん!! 人生初、要治療虫歯? 削るの? 埋めるの? まじで! いやだ! ぜーったい、ぜったい、やだーっ!……と、思ったわたしは、とりあえず経過観察にしてくださいと懇願し、自主的に「歯の再石灰化プロジェクト」を発動したのだった。
 そう、まだなりかけの虫歯ならば、きれいに歯をみがき、自分のだえきで再石灰化することができるのだよ、みなさん。ふっふっふ。この30年適当な歯みがきで虫歯ゼロだったワタクシ、みずからのだえきに命運をかけ、とにかく食事をとったらすぐに念入り歯みがき、夜になったらクロスを通す。口に物が入っていない状態をなるべく保つ。どうやら、そのあいだに石灰化されるらしいので、間食なんてもってのほかなのであーる。
 ……有休中でヒマヒマ星人であったことをいいことに、12月中はひたすら歯のケアにいそしんでいたワタクシ。そんな状態で迎えたお遍路。旅しているからって、なまけていたら、口のなかで虫歯菌が「わーいわーい」と大喜びするに違いない。したがって、お遍路中も間食ゼロ! お昼食べたらすぐみがく! 疲れていても夜はクロス! という、なにやらとっても不便きわまりない旅をしていたのだった。
 そういや、ある札所でお昼をとったときも、トイレの前で10分近く「しょわしょわ」していたら、行き交うお参りの人が「あらあ、歩き? 大変ねえ」と口々に言ってくださる。いつもなら「ええ。ありがとうございます」なんて返すのだけれど、歯ブラシくわえて修行中っていうのもなんだし、「いや、いまは、ただの歯みがきする人ですから……ははは(汗)」と苦笑するしかない。ただいま、再石灰化に励んでおります〜、と心でつぶやきながら。

お線香


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2010年01月18日

本日のお泊まりは…

<お遍路日記 第10回区切り打ち 10>

 ときどき、ビジネスホテルに泊まりたくなる。
 昔から旅が好きで、こじんまりとした宿やユースホステルを使ってふらりと旅を続けて来たわたしは、お遍路旅でも、極力、小さなアットホームな宿を選ぶようにしている。「今日のお宿は、どこにしようかな」と、お遍路協会の本を見て予約をするときは、たいてい「民宿→旅館→ビジネスホテル」の順番で電話をかける。民宿は、そのお宿の色がよく出ていて、オーナーの人柄にふれることもできるし、なによりお値段がリーズナブルなのがうれしい。ほかのお遍路さんとの交流ができるのも、大きな魅力だからだ。
 基本、そんなわたしだけれど、ときどき無性にビジネスホテルに泊まりたくなるときがある。
 それは、にぎやかな駅のそばだったり、到着時間が遅くなりそうなとき、そして、「民宿づかれ」してしまったとき。
 泊めていただくのに「つかれ」なんて言ったら語弊があるけれど、お風呂やごはんの時間がはっきり決まっていて、やはり気をつかう部分もあり、「あー、今日は食欲ない……とにかく、ばたんって寝たい! それからごはん……お風呂はとにかく後回し……」みたいなときは、好き勝手にできるビジネスホテルの方がなにやら気楽だったりするのだ。あと、カウンターの方のサービスはたいてい均一で、それほど深入りしてこない距離感が、なんだかこころ休まるという場合も。
 民宿のメリットの一つ、「しっかりしたおいしいごはん」という要素も、年末年始のあたりは欠けてしまう(素泊まり)というケースもあって、そうなると、もうビジネスホテルで……みたいな気分になってしまうこともある。
 さて。伊予西条にたどり着いたわたくし、もう、ここに挙げたすべての理由が積もり積もって、迷わず「ビジネスホテル」に決定! 到着早々、ベッドにごろん……日が暮れるまで、一眠り。むにゃむにゃ。

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2010年01月14日

石鎚山はどこだ?

<お遍路日記 第10回区切り打ち 9>

 このお遍路のあいだ、あたまから石鎚山のことが離れなかった。
 本当は、登りたかったのだ。途中、鎖場もあるらしく、大変そうではあるけれど、夏だったら、間違いなくアタックしていたと思う。
 未練たらしくロープウェイまでのアクセスを駅で聞いてみたりしたけれど、こんな装備では成就社に行くのでさえも危ういと思い直し、下から拝むだけで満足することとする。……ということは、どれが石鎚山か、とにかくはっきりさせなければっ! 
 そこで、町で出会った郵便屋さん、お地蔵さんのお世話をしていたおばあちゃん、ヒマそうなおっさん、あらゆる「知っていそう」な人にたずねてみた。
 が。
 結局、よくわからなかった……。
 郵便やさん「ぼくも地元じゃないんでー。でも、海側に郵便局があるんですケド、そこからじゃ見えない、って言われてるから、見えないんじゃないですかー」
 おばあちゃん「あれかねえ。いや、あっちかも……ごめんねえ。あっはっは」
 おっさん「いやー。よくわからん」
 ちょっと待ってよ。石鎚山って、神さまの山なんでしょ! そんな、みんなアバウトでいいわけっ!?

かどまつ


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2010年01月13日

打つべし!

<お遍路日記 第10回区切り打ち 8>

 一年めは室戸岬の最御崎寺、二年めは足摺岬の金剛福寺、そして、三年めは札所ではないけれど、地元の人たちに親しまれているお寺……この三年、お四国の地で新年を迎えさえていただいたいるわたしは、除夜の鐘をつきつき、ここまでやってきた。
 さて、おそらく四国での最後の年越しとなる今年、いったいどこでつかせていただこうか。候補は、二つ。夕方にお参りしたばかりの香園寺、あるいは、明日向かう予定の吉祥寺。さっきの境内の様子を見たところ、きっとたくさんの人が香園寺には訪れそうな気配だ。だって、お寺があんなに大きいんだもの。除夜の鐘はやっぱりしみじみつきたいから、香園寺は却下! 吉祥寺に行こう。
 これまでの経験から、あんまり出遅れてはならないし、あんまり早くても寒いし、というところで、11時15分ごろ宿を出ることに。宿のドアを開けると、あたまの上にはまんまるのお月さま。わたしの行く道を明るく照らしてくれている。ふんわりと雪が舞い、信号のあかりにきらきらと光るのを横目に歩き始める。
 吉祥寺のそばまで来たとき、どこからともなく「どんどん……どん」とたいこの音が聞こえてくる。威勢のよい声にさそわれるまま、お寺を通り過ぎてみると、そこには、山車を囲む人だかりが。お父さんにだっこされた子どもが声を上げている。新しい年をいままさに迎えようとする活気にあふれている空間。年越し風景という感じだ。

だし

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2010年01月10日

大日如来に会う。

<お遍路日記 第10回区切り打ち 7>

 帰りは、行きとは別の道をとることにする。奥の院を経由して、香園寺へと下るルート。
 山道は、登りよりも下りが難しい。ひざに負担がかからないように、足もとを確かめながら一歩ずつ下る。ときどき不意にお杖を取り落とし、はっとする。ほかの方は、そんなことないのだろうか。わたしは、疲れがたまり始めて歩きに集中できなくなってくると、決まってお杖を取り落とす。何もないアスファルトの道でもそうなのだ。手から滑り落ちて「からん!」と急に音を立てるお杖に、喝を入れられたようなかたちになって、それまでどんだけぼんやり歩いていたかを思い知る。おかげでわたしのお杖はかなり傷だらけになっていて、お大師さんはまさに満身創痍なのだけれど、その小さな傷がときどき愛おしく、ありがたく思えてなでてしまう。

 香園寺にたどりつく。……うわさには聞いていたけど、すごいな、ここは。これまでのお寺のイメージを覆すような建物。まるで体育館かなにかのようだ。正面にあたるところで般若心経を読み上げるが、大日如来は左右の階段を登ったところにあるとの張り紙を発見。それは拝みにいかなければ、といそいそ階段を登り、ドアを開けた。

大日如来
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2010年01月09日

ここは、やはり関所だった。

 <お遍路日記 第10回区切り打ち 6>

 10時過ぎ、横峰寺に到着。
 荷物を休憩所に置き、かじかむ手に息を吹きかけながら手をあわせる。ふと看板を見ると、この寺は四国遍路における三番めの関所だという。一つめは立江寺、二つめは神峰寺、そして、三つめはここ横峰寺、最後は雲辺寺というわけだ。「関所」の注もあるぞ、なになに……「関所とは、悪いことをした人、邪心をもった人はお大師さんのおとがめをうけてここから先へと進めなくなると言われています」とな。たしかに、立江寺や神峰寺のあたりでは、印象的な出会いがあったなあ。そして、この横峰寺でも……ははは。まあ、躊躇するわたしを「行きなさい!」と押し出してくれたのだから、とりあえず、お大師さんに「邪心はもっていない」とみなされたということなのかな、なんて都合よく解釈してみる。へへんっ。
 御朱印をいただきに納経所へ向かう。扉をあけると、暖かな空気にメガネがくもる。……ううん、せっかくの納経が見えない。めがねっこの苦しみ。「ここでお昼を食べたらいいわよ」納経をしてくださった女性は、寒空のした歩いてきたわたしやその他のお遍路さんに温かいお茶をご接待してくださった。ああ、ありがたい。こういう心遣い、じんわりとしみる。
 そこでご一緒したお遍路さん二人組。関東から来たと聞くだけで、なんだか親近感がわく。昨日はどこに泊まったのかと聞くと、とある宿の名前が出てきた。ほほー、さぞかしゆっくり休めただろうな……でも、こちらもなかなか、そう、なかなか得難い体験をしておりますよ。と心のなかでそっとつぶやく。

のうきょう

←気温の差でくもるレンズ……わたしのめがねと同じ(笑
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2010年01月08日

強風注意報発令

 <お遍路日記 第10回区切り打ち 5>

 忘れないように、あらためて言っておく。
 悪気はまったくない、「いい人」なのだ。きっと。
 
 翌朝、朝食の時間にあわせて食堂へ向かう。時間を指定しただけに遅れたらまた言われる、と思ったから。言われる前に実行あるのみ!
 Aさんは、まだこない。朝食ですよ、って声をかけたけれど、なにやら準備している様子。
 結局、同じコースを使って登ることになった彼とはいっしょに出発することになりそうなので、準備に時間のかかるわたしは遅れをとってはいけないと早めにごはんをいただき始めたら……きたーっ!
 「朝食を呼びにいく前に来たのは、あなたが初めて! あわてたわよっ」……ひいっ。
 「同じ時間に出るんだから、男の人より先に女がはしをつけるなんてなにごと!」……ひいいいっ。(ここですかさずAさん「すいません! わたしが遅かったもんで……」)
 「トイレのスリッパをはきやすいように反対にしてなかったわねっ!」……うわあ。(ここでまたもやAさん「あっ、それ、たぶんわたしです!」)
 その後も延々と続くおかみさんの一言ひとことに、わたしは小さくなり、Aさんがすかさずフォローを入れるという、まぁある意味、たしかに「迷惑」な朝食風景が繰り広げられるのだった。天気予報では、愛媛に「強風注意報」。おかみさんに聞こえないぐらいの声で「外も内も、風当たりが強いっす……」とつぶやくと、Aさんが「ははは……」と苦笑していた。山に登る前からハードな修行は続く。

こけゆき
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アメのあとは、ムチ。

<お遍路日記 第10回区切り打ち 4>

 まず、最初に言っておく。
 まちがいなく、「いい人」なのだ。……そう、ちょっと「濃い」だけで……。

 予約の電話をしたときから、なんとなく予感はしていた。
「いま、どこにいるの?」――前泊地を確認し、無理ないところにいるのかどうか、到着時間はどれくらいかを確かめるのは、よくあること。
「……じつは、宇和島のさきのほうにいまして」と、言いにくそうに答えたとき、それは、きた。
「遊びが入ってるのね!!」
 ……きゃっ! 
「あのっ、そのっ、お世話になったお宿に顔を出して、明日からお遍路なんです、ハイ……すみません!」
「何年生まれ?」「え……。昭和51年ですけど……」「若いのねっ!」 ……ひいっ。すんません。あれ? なんで謝ってんの、わたし。
 なんだかちょっといつもと風向きがちがう感じが、する。しますよ、これは。
 する、けど、しかたない。決めたのだから、行くっきゃない。

よこみねさん

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2010年01月07日

いもで始まり、いもで終わる

<お遍路日記 第10回区切り打ち 3>
 
 今回の旅のメインイベント! 焼きいも!
 考えてみれば、今年の幕開けもここでの焼きいもだった。そして、またもやいもを焼いて、締めくくる一年……。いいのか? いいのだ。平和ではないか。
 前回までとはちがって、火をおこす場所が畑の隅にしつらえてあった。風向きに気をつけながら、枯れ木を投入。メラメラ……いいぞいいぞ。
 いもだけじゃなんだから、と、アルミホイルで包んだバナナ、金網の上に紅白のおもちを置いてしばし待つ。
 本当にこの一年、いもに挟まれてはいるものの、それなりにいろんなことがあったなあ。大きく舵をとって新しい場所へと向かう決心をし、道筋をつけた一年。まさか、前回のたき火のときは、転職するなんて考えてもいなかった。青空にたなびく煙をながめながら、何を思っていたんだっけ……いもの火通り以外に。もう忘れちゃったよ。
 冗談はさておき、この宿自体にも大きな変化もあって、たき火に向かう二人の気持ちは、あのときとまったく同じであるはずもないのだけれど、でも、ただひとつ確かなのは、こうしてまた時が経ち、二人でまた火を囲んでいるこの時間だけはおだやかで、幸せだ、ということだった。
 いくら待てど暮らせど、おもちが焼ける気配もなく、待ちきれないわたしたちは、焼きバナナから食らう。スプーンですくって、はふはふっ。あま! これは、バナナジャムだな。……よーし、今度はおいも。あつあつっ! うまっ! はふっ。
 こうして、2009年のふるさと帰りの目的も達成されたのだった。

おもち



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2010年01月06日

バッテリー交換

<お遍路日記 第10回区切り打ち 2>

 手作りの梅ジャムをたっぷりぬったトーストで朝ごはん。ごはんを食べながらも話すはなす。
 結局のところ、話しているのは、ひとつのテーマなのだということもお互い気づいている。そう、それは「つながり」。わたしとおかみさんの共通点は、「つながり」を見つけ、それを楽しむのが得意、ということ。――あぁ、こんなこともあった、そういえばこんな不思議なこともあってね。考えてみたら全部つながってる! みたいなことがたくさん出てくる。だいたい、今回のお遍路旅のお招き自体も、「つながり」にほかならないものね。
 お遍路をしていると、そういう不思議なつながりはそれこそごろごろしていて枚挙にいとまがないくらいだし、日々の生活のなかでもよく気をつけていると、思いのほかたくさんあるものだ。よいつながりはよいつながりを呼ぶし、反対もしかりなので、そのあたりをちゃんとわかっているのといないのとでは、人生の物語もずいぶんとちがったものになるように思う。
 ――なんてことをひとしきり話したあと、ようやく肝心の自動車やさんに電話をしてみる。おおっ、年内の営業は今日までだって。本当によかった。発見が一日遅かったら……しゃれにならないぞ。
「そういえば、バッテリー交換って、いくらくらいするんだろう?」とおかみさん。
「え……わかんないけど、1万くらいするかなあ」とわたし。
 しかたないとはいえ、この年末の物いりの時期に痛いなあ……なんて二人で思っていたとき、自動車やさんに宣告された。
「6500円になります」
 ろくせん、ごひゃくえん、って言った? ……ひぃっ。これって、宿の一泊分と同じだ! 昨日、冗談で「わたしはバッテリー交換しに来たのかもね」なんていったけど、まさにどんぴしゃ☆ではないか。
 自動車やさんが帰ったあと、「つながり」好きなわたしたちが大いに盛り上がったのは、言うまでもない……。

ほうきみたい


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2010年01月05日

わたしが呼ばれた理由

<お遍路日記 第10回区切り打ち 1>

 この4年に渡るお遍路をそろそろ終えるときが来た、と思っていた。
 自分の足固めをするために旅をおあずけしていた2009年。それもようやくメドがつき、「3月にまとまった時間をとって高野山のお礼参りまで一気に……」と思っていた矢先のことだった。ブログにも書いたように、なにやら自分の意図と離れたところで着々と段取りが整えられてしまい、押し出されるように旅だつことになる。「そう、簡単には終わらせないぜ!」とでもいわんばかり……。まさに、そんな旅だったような気がする。

 区切り打ちのわたしは、どこから旅を始めるか、どこで旅を閉じるかをことさら大事に考えている。旅の始まりは、その後の旅を方向づけるし、旅の終わりは、その旅を意味づけるように思うから。それは、区切りならではのおもしろみだと思う。
 そんなわたしが、今回迷わず選んだのは、懐かしいあの場所に立ち返るということだった。

飛行機から



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