増え続ける背景素材。


 というわけで、今回のフィギュア撮影TIPSは僕がフィギュアレビューで使っている背景について書いてみます。「フィギュアレビュー」という限定された撮影条件での背景選択なので、フィギュア撮影一般に通じるものではありませんが、あいつはいつもこんな背景を使っているんだなと思って頂ければ……。

背景の考え方


 まずは僕がフィギュアレビューするにあたり、どのような考えで背景をチョイスするかについて。

 1.色を決める

WS000165 右の図は色相をスペクトルに従って配置したカラーホイールです。向かい合った二色は「補色」、同じ領域に属する色は「類似色」と呼ばれています。
 補色あるいは類似色の関係が含まれる構図は、多くの場合非常に心地よい、調和の取れた色彩として人に観賞されます。そこで僕は、フィギュアレビューの背景色を決める際、類似色の背景を選ぶことが多いです。赤っぽいフィギュアなら橙、黄色といった暖色系の、青っぽいフィギュアなら水色、藍色といった寒色系の色ですね。

 補色の関係を使う場合は注意が必要です。色には明度があり、黄色は9、橙色は8、赤色と緑色は6、青色は4、すみれ色は3と言われています。この明度とフレーム内の面積を反比例させて組み合わせた場合、もっとも調和しているように感じられます。たとえば、黄色とすみれ色を面積比1:1でフレームに入れても、あまり調和は感じられません。黄色3:すみれ色9の面積比のとき、もっとも調和が取れていると感じられます。もちろん調和が取れているから良いというわけでもないです。不調和こそが似合うフィギュアもあります。
 一番使いやすいのは、同じ明度である赤と緑の組み合わせですね。いわゆるクリスマスカラーです。最近では、キューズQのエリザベスクリスマスVerの商品画像にこの関係が使われています。特にバストアップ写真は非常に調和が取れ、かつコントラストが効いているように感じられないでしょうか? 補色を使いこなすのは難しいですが、使いこなせば劇的な効果を発揮します。
 
 他に忘れてはならないのは、色の意味です。赤色は情熱、危険、熱等を象徴し、激しく感情を揺さぶる色です。黄色は輝きや快活さ、青色は冷たさや静けさを想起させますね。緑色は生命や成長、橙色は赤色や黄色に似て暖かさや力強さ、すみれ色は神秘性や威厳という具合です。

 ここらへんの話は、下記書籍等に詳しく載っています。

 

 このように色の関係や意味を踏まえ、背景色を選択します。言ってしまえば、類似色の背景、またはどの色にでも調和しやすい白や黒を使っていればまず間違いないです。フィギュアメーカーの商品画像も、ほとんどが類似色、あるいは白や黒ですしね。

 なお、背景の明度はライティングでわりと自由に変えられますが……それについては割愛します。

 2.模様を決める

 ほぼ同色で模様違いの背景がいくつかあるため、フィギュアに合っていそうなものを選びます。厳かな雰囲気を演出したければ大理石調の、妖しい雰囲気を演出したければムラ模様のものといった具合。
 シンプルでクセのない模様のほうが光のコントロールはしやすいですし、フィギュアも魅せやすいですね。友禅紙のように主張の強い模様の入ったものはどうしても視線がそちらに向かうのでレビュー向きではないです。ただ、イメージショットにはとても効果的です。

 こんな感じで、いつも背景を決めています。実際使ってみると、思惑とはぜんぜん違うということも多いですが……。最終的にはトライ&エラーですね。

背景一覧


 では、僕がいつも使っている背景をレビュー写真あるいは他サイト様とともにご紹介。買ったはいいもののまだ未使用というものもあり、それらについては使った後にこのTIPSに追記していくつもりです。

・グラデーションペーパー


メリー・ナイトメア013


 堀内カラーのグラペです。グレーとレッド(レッドは現在販売終了)を持っています。グラデーションペーパーはオークションやネットショップ等の商品撮影用背景としてはわりとメジャーなもので、たとえばあみあみのあみブロあたりでよく使われていますね。Hobby Holicさんではダブルグラデーションタイプを使用されています。

 手軽に効果が得られる反面、すでにグラデーションが描かれているため自分でグラデーションを作る自由度がないという欠点もあります。また、僕としては情報量の少なさが物足りなく感じられ、最近は全然使っていませんね……。レッドは格安で在庫処分されていたので買ったものの、未開封のまま放置しているという状態です。

・LPL アートパレット


プラム アリサ001

in The Blue Night

 LPLアートパレットのフルブラック。グラデーションはついていません。光の反射が少なく、黒背景が得られやすいです。色温度を変えれば夜の青も表現できるため、今でもたまに使っています。
 ただ、黒は光がない状態のことなので、真っ暗な部屋を背景にすればこのような背景紙がなくても黒背景は作れます。Wata1219さんがそのようにして黒背景を作ってらっしゃいます。

・壁紙 メタリック


デッドマスター045


閻魔001


狂気の狩人

 銀一の壁紙 YK-501-1YK-501-2YK-501-3です。僕のレビューで非常に使用頻度の高い壁紙です。大型武器美少女に相性の良い、硬質な印象が魅力。適度に光を反射するので、ライティングや色温度変化により様々な表現が可能です。

The LORD of ELEMENTAL

デッドマスター077

完全武装、完了

 この3枚はすべてYK-501-1で撮影したものです。

 メタリックの欠点か薄く固い紙であるため、簡単に折り目がついてしまいます。折り紙の金、銀ほどではないですが、あのような紙質と思って頂ければ。取り扱いには注意を要します。
 FREEingの商品画像CUT A NEWSさんでよく使われていますね。

 同じくメタリックな背景として、こういうものも持っています。


 銀一のシルバーフルート(ビニール製)です。銀一の店舗に行ったとき端材が格安で売られていたので買ってしまいました。あまりに反射しまくって部屋が映ります。レーシングミクのレビューで使ってはみたのですが、まるで使いこなせませんでした……。イメージショット用としてなら、今後使う場面があるかもしれません。

・壁紙 白壁・石目調・抽象柄


ミスティ008


めんま23


satueidougu 49


天使018


魔女っ娘ミラクるん052


佐倉杏子02


 上から順番に、銀一のY-7508Y-7509 Y-7514SG-6288 BB-2289LW-7702です。ちょっとやそっとでは傷や折れ目がつかない厚手の柔らかい紙で、光のグラデーション次第で様々な表情を見せてくれます。とても扱いやすく、僕としてはおすすめです。

 ただ、色かぶりが激しいという欠点がありまして、グレーカード等使ってしっかり色を補正してやる必要があります。WaveのBEACH QUEENSの商品画像Giftの商品画像ブロッコリーの商品画像あたりで使われていますね。更新停止されていますが、foo-ber-bazさんも度々使用されていました。

 ちなみに最近ホームセンターで二種類の壁紙を追加しました。


彼女の居た夏


真宮寺さくら008

 雲模様とベージュの抽象柄ですね。1m500円くらいだったのでつい買ってしまいました。雲模様のはエンボス加工が目立ち、ボカさないとうるさいですね。ベージュの抽象柄は同じ壁紙でも色相を変えると違った雰囲気になり、使いやすそうです。

・ワーロンシート


フェイトちゃん、こっち〜!




キュアムーンライト023


 銀一で買ったワーロンシートです。上から柿色、山吹、濃藍、紅藤。和紙を塩ビでサンドした代物でして、耐久性抜群。若干透過性があり、裏から光を透過させることもできます。
 傷や汚れへの強さ、ライティングの自由度の高さ、クセのない模様から、ここ最近導入した背景ながら使用頻度は高いです。透過させるとレーシングミクの写真のように壮絶に色かぶりするので、正確に色を出したいなら色補正がとても重要になります。

 プルクラのノワールの商品画像結月ゆかりの商品画像に使用させて頂きました。他ではあまり使っているところを見たことがありませんね……。

・和紙


楪いのり100


ベルダンディー000


大正浪漫に桜咲く

 一番上はホームセンターで買ったふすま用の和紙です。二番目は小津和紙で買った半透明の雲龍紙、三番目は友禅紙です。真宮寺さくらの写真は福岡天神の和紙屋で買った、桜模様の友禅紙を使いました。
 これもライティング次第で様々な表現が可能となります。雲龍紙は電球形蛍光灯だと光の調整が難しく、できれば多灯ストロボで使いたいところですね。
 友禅紙はフィギュアとの相性がすべてになる感じ。目立つ模様が入っているのでライティングの自由度は高くありませんが、和系のフィギュアにはピタリとハマるかなと。

 和紙はらびすけさん月夜の空にさんがよく使われています。ライティングを工夫することで、味のある写真が撮れます。

・硬質塩ビ ポリプロピレン アクリル


レーシングミク005

十一面観音_漆箔調版007


ナギサ013


なのは 全力全開001



門を開く者アリス11

 プラスチック系の背景です。すべてホームセンター等で売っているアクリサンデーのもの。白塩ビは綺麗な白が出る他、ライティングで反射をコントロールすることで下にフィギュアを映し込むということもできます。手前側をやや暗くすることをイメージするとやりやすいかなと。黒塩ビは傷や埃が恐ろしく目立つと思い、購入しておりません。
 ポリポロピレンもなかなか面白いですが、あまり使っていませんね……。最近は半透明系背景の下地として使うことが多いです。
 乳半アクリルはプロの商品撮影でもよく使われるメジャーな背景素材です。透過光による表現が美しく、グラスの撮影あたりではフチを黒締めする黒ケントと一緒に使われていますね。また、光を拡散させるデュフューザーとしても非常に有用です。

 figuephoto2さんがよく使用されています。figuephoto2さんは和紙もよく使ってらっしゃいますね。

・サテン布 ムラ染め布


嗚呼、麗しの……


インセインBRS042

 手芸店で売られている白のサテン布と紫のムラ染め布です。どちらも人物撮影の背景としてメジャーで、ドレープ表現が魅力的。インパクトある背景ですが、変なシワがあると一気に写真が破綻するため、取り扱いにはかなり神経を使います。継続して使うなら、アイロンでのシワ取り等のメンテが必要になるでしょう。

 望夢んさんがよく使ってらっしゃいます。商品画像ではホビージャパンのダークジェネラルで使われていました。

・合成カットクロス


YOU ARE GUILTY

 表面にポリウレタンのフェイクレザーが使われた素材です。手芸店で売っています。ちょっとアブナイ雰囲気が特徴的。ドレープ表現が可能な上にシワが目立ちにくいので、なかなか使いやすいんじゃないかと。

Into Darkness

 鈍色と黒色のものも買っていまして、鈍色のものはこんな感じ。光が強いとてらてら輝いてしまうので、アンダー気味な雰囲気が似合う素材でしょうか。

・包装紙


不思議の国の闇使い アリシア197

 100円ショップで売っていた包装紙です。英字等様々な柄があるため、フィギュアによってはクールに仕上がります。当然紙質は悪く、すぐに折り目やシワがつくため、ほぼ使い捨てとなる背景です。

・テーブルクロス




 買ったばかりで未使用ですが、ホームセンターで買ったテーブルクロスです。不織布にPVCコートがされているタイプで、シワに強そうな気がします。一番下の橙色のものは使うタイミングがありそうですが、果たして星模様のものは使う時がやってくるのでしょうか……。グッスマのチャリオット待ちかもしれません。気になった背景は用途不明でもとりあえず買っておくスタイルデース!

・その他

 フィギュア撮影用背景として外せないものにレザック66があります。修学旅行のしおり等によく使われる紙です。グッスマの商品画像でかなりの頻度で使われているほか、studiorhobbyさんで使用されています。
 アトモスも有名です。AkibaPhotographyさんで使用されています。また、つづれという紙はNT-Studioさんがよく使われていますかね(本当に使われているかちょっと自信ないです。違っていたらすみません……!)

 そして極めて効果的ながらとっても高くてなかなか手を出せない背景素材にメラミンボードがあります。アルターの商品画像コトブキヤの商品画像はほとんどこれです。なめらかな表面で発色が美しく、ライティング次第で商品を如何ようにも表現できます。フィギュアが若干下に映り込むのが特徴です。フィギュアレビューサイトではTASTEさんが使用されています。

 以上、フィギュアレビュー用の背景についてでした。揃えるなら安くてカラーバリエーションの多いレザックあたりが良いですかね……。僕も買ってみようかなと思いつつ、あまりにも他サイト様で使われているので二の足を踏んでおります。

自室という背景


 「フィギュアレビュー用背景」と銘打ったのには理由があります。これらの背景はフィギュアを様々なアングルで、一定品質で撮影することを目的としています。
 フォトコン用の作品、コレクションのお披露目など、ワンカットのフィギュア写真であればこれらの背景は必要ないと考えます。フィギュア棚、広げた小物、野外……感性次第ですべてが背景になりえます。

 一例として、僕の部屋内でワンカットのフィギュア写真を撮影しました。ライティングも凝っていません。それでもワンカットであれば充分綺麗に撮れます。



 部屋の天井照明をフィルインライトに、メインライトである卓上ランプ一灯をトレーシングペーパーでデュフーズしています。正面右の影が強かったので、レフ板でやわらげました。フィギュア棚だと背景がうるさいので、F4.0とやや開放気味で撮影し、背景をボカしています。



 グッスマのカホタンブログ風に撮影しました。ややフラット気味なライティングで、彩度を強めに、シャープネスはやや強めに仕上げるのがカホタンブログの特徴です。液晶モニタの背景はフィギュアにあったものを。

 これも天井照明をフィルインライトに、蛍光灯ランプのメイン一灯、さらに前方から内蔵フラッシュを炊いています。内蔵フラッシュを炊かないとこんな感じです。


 顔が暗く落ち込んでいます。これはこれで劇的かもしれませんが、ユナにしてはちょっと暗すぎるかと思い、内蔵フラッシュを使い影を持ち上げています。
 「室内撮影で内蔵フラッシュは使うな」という言葉を聞いたことがある方もいるかと思いますが、ケースバイケースです。たしかに正面からのメインライトにすると真っ白になってしまうこともありますが、影を持ち上げる等補助的な使い方では非常に有効です。真っ白にしても、構図や背景次第でクールな表現になり得るので、やはり使い方次第ですね。



 白い壁紙にライトを当て、その反射光で背中を照らしています。また、iPhone4sの露出補正が働いたせいで一灯に見えますが、天上の照明はフィルインライトとしてつけっぱなしです。
 壁紙の配置のおかげでレフ板等使わなくても影の具合が良い感じになってくれました。あとはF4.0の0.5s露光で背景を白く飛ばし、フィギュアの露出を適正にしています。
 現像では軽くビネット効果をつけてアイギスに視線を集めました。硬質な雰囲気を与えたかったので、WBは4800でやや青っぽい白にしています。

 こんな感じで、綺麗なワンカットを撮る目的ならば撮影用背景も大掛かりなライティング機材も必要ありません。ただ、これらの写真はカメラとレンズの性能に大きく依存する気がしますね……。特に一番目のほむほむは背景がボケないとかなりうるさいと思います。そこをカバーする荒業として、GIMP等画像処理ソフトでフィギュアのマスクを作って、背景をぼかしツールでぼかすという手もあります。2枚、3枚とはやりたくない作業ですが……。


 そんなわけで、フィギュア撮影の背景には目的に応じて様々な選択肢があるという記事でした。フィギュアが良く見えるような背景を、もっといろいろと探していきたいところです……!