長崎県長崎市鍋冠山から見たブルーアワーの夜景
SS8s, F8.0, ISO100 長崎県長崎市 鍋冠山にて

 僕がSony α7Rを使い風景写真を撮り始めて始めてはや7ヶ月ほど。全然区切りになるタイミングではないのですが、その使用感と写りについてシューティングレポートをお送りします。今更と言ってはいけません。



 ミラーレス一眼に35mm版フルサイズセンサーを載せたSony α7シリーズ。2015年5月現在4機種がラインナップされていますが、僕が所持するのはこちらα7Rになります。500gを切る小型軽量ボディにNikon D810同等の3600万画素ローパスフィルターレスセンサーを搭載したミラーレス一眼の革命児。まさにカメラ界のガンダムF91と言ってもよいシロモノ。そのうちマントとかつきます。

 フランジバックの短さから様々なレンズを装着できることもα7シリーズの魅力ですが、今回はFEレンズのなかでも僕が特に気に入っているSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAだけで撮影を行いました。評判の良いレンズですが、実際のところどのように写るのか、お伝えして参ります。

 なお、このクラスのカメラを使おうという方はRAW現像を行う方がほとんどではないかと思いますので、写真はすべてCaptureOne Pro 8(for sony)にてRAW現像を行っています。α7シリーズにバンドルされているCaptureOne Express(for sony)のアップグレード版です。
 今回はProにしかない部分調整などの機能は使わず、Expressにある機能のみでRAW現像を行いました。全写真ほぼデフォルト設定のまま、露出、色温度といった基本的で一番大事な部分しか調整していません。ですので、α7シリーズを買いさえすれば、追加投資なしでだれでもこれらの写真は撮れます。

 ではでは、舞台は快晴の長崎市。その日常とともに、α7R+Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA の写りをご確認ください。

FE 55mm F1.8の写りについて


SS1/640, F1.8, ISO100

 レンズの写りでまず気になるのは、やはり絞り開放での描写でしょう。というわけで、まずは新地中華街のガラス細工店で撮影した一枚。ピントの合った部分はシャープに、被写界深度の外はなだらかにボケて、ガラスの繊細な質感をあますことなく描写してくれました。
 一方で、ピント部がシャープすぎて「硬い」という印象をお持ちになるかもしれませんね。

SS1/1000, F2.2, ISO100

 2/3段絞っての描写を。開放F1.8よりぐっとシャープさが増し、コントラストが深まっていることがわかるかと思います。コンクリートの凹凸や植物の質感が伝わってきますね。
 玉ボケは綺麗ですが、よーく中を見るとぐるぐると渦巻いているいわゆる「玉ねぎボケ」になっています。とはいえ、実鑑賞サイズで問題になるレベルではありません。

SS1/1250, F4.0, ISO100

 僕お気に入りの絞り値のひとつ、F4.0で。35mm版フルサイズセンサーとF4.0を組み合わせると、人間が集中したときの視覚に近い自然なボケ味と立体感が得られる……と、僕は思っています。

SS1/400, F8.0, ISO100

 当然ながら、F8.0まで絞れば複雑なオブジェクトでも細部までつぶさに描写してくれます。

SS1/250, F16, ISO200

 おもいっきり絞り、F16で。F4.0と並び、大好きなF値です。僕は隅々までピントのあった写真が好きなのです。小絞りボケは発生しますが、ごらんのように気にするレベルではありません。

SS1/2000, F11, ISO100

 逆光耐性はいかに?というわけで、こちらのカットを。太陽をフレーム内に入れても、フレアやゴーストの発生は最小限です。
 そして、α7RのファインダーはEVF。このようなカットでも、目を痛めることなくしっかり構図を決めることができます。さらに、実絞りでの露出シミュレーションやヒストグラム表示がファインダー内にて行われるため、撮影前に太陽の形や写真の明るさを知ることも。EVFならではですね。

SS1/640, F11, ISO100

SS1/250, F8, ISO200

 しかしながら、完璧な逆光耐性というわけではありません。フレーム外ぎりぎりの位置に強烈な光源がありますと、ごらんのような線状のゴーストが現れます。フレームの隅に太陽を置くと、涙形状のゴーストが。

 また、このレンズは49mmフィルターを装着できますが、レンズフードをつけていた場合、フード形状の関係でPLフィルターを回転させることはできません。ぴったりすぎて指を入れる隙間がないのです。僕は普段PLフィルターを使わないので問題ありませんが、常用する方もいると思いますので、注意が必要です。
 深くぴったりなレンズフードのおかげで、雨や雪でも水滴がレンズ面に付着するのを心配しなくてすむのですけどね。

α7Rの描写について


SS1/400, F5.0, ISO100

 さて、レンズへの着目はこのへんにして、α7R本体の性能を。こちら、雲ひとつない快晴のなかのトンネルという極悪な輝度差で撮影してみました。ですが、このような状況でも、α7Rは白が飛ばず黒が潰れず、確かなトーンでレンガや舗装道の質感を再現してくれました。
 この写真はCaptureOne8のHDRツールを使っています。スライダーを動かすだけで、α7Rのダイナミックレンジの広さを活かし、RAWに記録されたハイライトやシャドウのトーンを引き出してくれます。

 別の記事にも書きましたが、こちらにも。僕の経験上、8bit jpegファイル(8EV程度)に起こす際の適正露出を基準として、α7Rの各ISO感度毎のダイナミックレンジの余裕は、
  • ISO100:シャドウ方向に4EV、ライト方向に1.5EV
  • ISO400:シャドウ方向に3EV、ライト方向に1EV
  • ISO1600:シャドウ方向に2EV、ライト方向に0.5EV
  • ISO6400:シャドウ方向に0.5EV、ライト方向になし
 ほどあります。ですので、輝度差のある状況でも大抵の場合、いわゆる1ショットHDRで事足ります。

SS1/125, F16, ISO500

 色再現性をごらんください。青、黄色、緑、赤……複雑なグラデーションのグラスですが、どこも破綻せず豊かで自然なトーンで表現してくれました。しかも、これがISO500の描写です。

SS1/125, F1.8, ISO6400

 うっかり高感度での撮影を忘れてしまいました……ですので、別の記事からα7Rの高感度写真を。こちら広島県竹原憧憬の路での一幕。CaptureOneのノイズリダクションと合わせることで、ISO6400にもかかわらず、踊り子さんの着物の質感、肌のトーンまで自然に描かれています。
 拡大すると後ろのボケた部分にノイズが入っているのがわかりますが、これだけ描写すれば文句はありません。レンズのF1.8の明るさもあり、夜景スナップも悠々とこなしてくれます。

SS1/200, F1.8, ISO12800

 せっかくなので、ISO12800の写真も。ここまでくるとなかなか盛大にノイズが出てきますが、被写体によってはそれも味になります。格子窓と合わせ、非現実的で奇怪な雰囲気を演出してみました。

SS1/1000, F2.5, ISO100

 出島ワーフ内の食堂で海を見ながら食事していたとき、隣の席に小鳥が乱入。チャンス!とばかりに撮影してみました。僕は普段ピント合わせはEVF内で部分拡大してのMFばかりですが、こういうときは親指AFの出番です。コントラストAFならではの、フレーム内ほぼ全域をAFポイント指定できるメリットを活かし、構図を決めた後に小鳥にピントを合わせて撮影しました。
 一眼レフに比べるとAFは遅いですが、日常的な動きの範囲なら充分対応できます。

SS1/200, F11, ISO200

 長崎市の名所、大浦天主堂を一枚。人間の視野に近い自然な遠近の55mmという画角、これに質感やディテールを階調豊かに描写するα7Rを組み合わせると、限られたフレーム内でも光の強さや街のにぎわい、いわゆる空気感が浮かび上がり、あたかもその場にいるかのようなリアリティを感じることができます。

SS1/160, F8.0, ISO400

 「3600万画素でブレが気になるから手持ち撮影できない」というようなカメラではありません。とはいえ、低速のシャッタースピードでうかつにシャッターを押すとブレてしまいます。僕はFE55mmをつけている際、SS1/125を最低ラインとして、できればSS1/160を確保するようにしています。
 もっとも、画素数が多くなったぶん、等倍拡大すればブレが低画素と比べて目立つというだけなので、縮小すればわりと気にならないことも多いです。

α7R使用感


 続いて、α7Rを使っていて気になることなどを。

 マイナス点は、シャッター音、レリーズラグ、バッテリー持ちの3点でしょうか。

 実際店頭などで聞いてみるとわかりますが、α7Rのシャッター音はかなりうるさいです。撮影可能な博物館や美術館では、シャッターを押して良いものかどうか気を使います。
 レリーズラグについては、α7のラグが約0.02秒であるのに対し、α7Rのラグは約0.17秒です。これはかなり遅く、たとえば普通に道路を走っている車を狙った位置で撮ろうとしたら先読みでシャッターを押す必要があります。動体撮影ではAFの遅さ以上に不都合な点です。
 バッテリー持ちは、大体150〜200枚くらい撮影するとバッテリーが切れる感じですかね。夢中になって撮影しているとあっという間です。僕はバッテリー全3個で運用しています。

 連写枚数の少なさについては、僕は連写を使わないので特に問題なし……総じて、動体撮影するなら買わないほうがいいカメラとなっています。

 プラス点は、EVFと背面液晶のシームレスな接続、サイズと重さ。

 EVFと背面液晶が接眼しているか否かで自動的に切り替わるため、自然に両者の間を行ったり来たりできます。撮影の姿勢やカメラの位置を変えても、意識の取っ掛かりがないので撮影に集中できるんですね。
 サイズと重さについてはもう語るまでもないですね。僕がα7Rを購入した最大の理由です。一日中カメラを持っていてもまったく疲れません。

 他、思いついたことを箇条書きで。

・ISOオートに設定すると、FE55mmだとSS1/60を境にISO感度が変化するので、手持ちだとまずブレます。ISO感度は自分で設定したほうが良いでしょう。
・電源自動OFF機能はありますが、EVFが起動している場合自動OFFはかかりません。首にぶら下げるなどしているとEVFに切り替わり電源が入ったままになるので、撮影後に自分で電源を切るクセをつけると良いでしょう。
・FEレンズだと実絞りで露出シミュレーションが行われます。なので、F11やF16に絞った状態でAFを行おうとしても、正確なピントは得られません。絞り開放付近でピント合わせを行ったあと、絞ると良いでしょう。
・センサークリーニングの際、ペンタ棒などの粘着系キットは使えません。センサーがひっついたまま浮き上がります。僕のα7Rはセンサー浮きました。シルボン紙とアルコールを使ったクリーニング法を覚えると良いでしょう。
・背面液晶はわりと脆いです。岩などにぶつけるといくつかの画素が真っ暗になり、壊れたような状態になります。時間が経つとなぜか復活するので、慌てず様子を見ると良いでしょう。

 悪いことばかり書いてしまったような……。まあ、良い点はSonyがよく宣伝しているので、よしとしましょう。また、僕はRAWでしか撮影しないので、クリエイティブスタイルやDROなどjpeg関連の挙動はわかりません……。

その他作例


 最後にその他写真を。α7Rの描写を再びご確認ください。

SS1/500, F16, ISO200

SS1/2000, F2.2, ISO100

SS1/200, F16, ISO200

SS1/160, F11, ISO200

SS1/250, F8.0, ISO200

SS1/160, F11 ISO200

SS1/250, F11, ISO100

SS1/250, F11, ISO100

SS1/2000, F1.8, ISO100

SS1/1600, F2.2, ISO100

SS1/200, F8.0, ISO400

SS1/640, F4.0, ISO100

SS1/1000, F2.2, ISO100

SS1/250, F8.0, ISO100

SS1/800, F1.8, ISO100

SS1/200, F8.0, ISO400

SS1/160, F8.0, ISO400

 




 肩肘張らず気楽な気持ちで、α7シリーズ、いかがですか?

 というわけで、Sony α7R + Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA SEL55F18Z : Shooting Reportでした! 他、α7Rについての詳しくはSony公式サイトのほか、パクリ元のフォトヨドバシなどをご覧ください。

・Sony α7R SHOOTING REPORT:フォトヨドバシ

 前々からα7Rの実写レビューをやってみたいなと思い、長崎市の南山手(グラバー園や大浦天主堂のあるエリア)でスナップ撮影をしてみました。黄昏のなか、豪華客船ダイヤモンド・プリンセスの出港に立ち会え、迫力のある風景を楽しむことができました!
 ここらへんは観光客もあまりこない閑静でお洒落な住宅街です。長崎にお立ち寄りの際は、ぜひ散策を……!