Bixby Creek Bridge, Big Sur, California

 道がふさがっていてもあきらめるな。

 というわけで、カリフォルニアRout 1 紀行その4です。旅の舞台は徐々に北上を続け、南北に伸びるカリフォルニア海岸線の中央付近、サンタバーバラからサンタクルーズにわたるセントラルコーストと呼ばれる地域へ。ブドウ畑やレタス畑の広がる農業地帯のほか、新鮮な海産物を水揚げする数多くの港が並んでいます。サンフランシスコとロサンゼルスに挟まれて、カリフォルニアの田舎風景を堪能するにはうってつけでしょう。

 今回の記事は、新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストによる個人邸宅ハースト・キャッスルおよび険しい山々と逆巻く海がぶつかり合うビッグ・サーの風景をお届けです。



 ウィリアム・ランドルフ・ハーストはイエロージャーナリズムで財を成した人物です。イエロージャーナリズムとは、現代の週刊誌やワイドショーのような、信憑性よりも派手な脚色を重視して大衆受けを狙ったメディアのこと。
 現在のハースト・キャッスルはカリフォルニア州が保有しており、観光客向けに設備が整えられています。写真に映るサン・シメオンの丘や草原すべてがハーストさんの元持ち物。海岸線から吹き上げる少々強い風が気持ちいい。ハースト家の末裔が運営するハーストランチ(牧場)は現在も営業中で、ソーセージやワインを製造しているとか。


 丘の上にハースト・キャッスルがあるのですが、観光客はツアーでしか入場を認められていません。チケットを買って、バスを待ちます。ハイシーズンというわけではないのでそれほど混んでおらず、予約なしでもさくっと直近のツアーに参加できました。



 バスでハースト・キャッスルへ。こんなですが、元個人邸宅です。海岸線を望む、なんとも贅沢な眺め。カリフォルニアというよりヨーロッパの気分ですね。




 ビバリーヒルズの大豪邸も霞んでしまうまさにお城。赤レンガの敷かれたガーデンにはシャクナゲやヒヤシンスが咲き、甘い香りを漂わせていました。


 ツアーなのでガイドさんが案内してくれます。ハースト邸には数々のハリウッドスターが招かれていたそうで、当時のよもやま話などを面白おかしく説明されているようでした。(そこまで英語は聞き取れない)


 こちらはネプチューンプール。海神の名前を冠したとてつもなく豪華な屋外プールなのですが、残念ながらこのときは改修中。2017年8月頃に改修完了予定だとか。



 邸内へ。一目で高価なものとわかる豪華な家具の数々。タペストリーは16世紀のものだそうで、薄暗い室内に古風な雰囲気を与えていました。




 何気ないアンティークがとっても素敵です。想像することしかできませんが、夜の姿は最高だと思います。



 こちらはダイニングルーム。大きな窓から溢れる光に照らされて、シルクの垂れ幕と銀食器が輝いておりました。




 ここが最大の見所。ローマ式屋内プール。コバルトブルーを基調としてガラススタイルによって装飾されており、まるで海の中を泳いでいるよう。ギリシャ・ローマ神話の神々の大理石像が並び、贅沢で退廃的な雰囲気は完全にローマ。これにはローマ帝国第五皇帝ネロ・クラウディウスも大満足。


 カリフォルニアの陸と海の風景、風のわたる丘にひっそりと佇むお城。外国からだとよほど日程に余裕がないと訪れられない場所なので、ツアー参加者は米国内の観光客が多いです。
 ビジターセンターの写真を見るとどうも濃霧が発生する地域のようで、場合によっては雲海が広がる丘の上に朝日に照らされたハースト・キャッスルが佇むという、日本の竹田城跡のような神秘的な風景が現れるよう。そんな風景を見てみたい人生だった。


 さて、ハースト・キャッスルを離れ、数km北へ。すると道沿いに「Elephant seal」と書かれた看板が。エレファントシールってなんだ? と立ち寄ったのがこちらの海岸、ピエドラス・ブランカス。




 ばーんと群れるゾウアザラシたち。エレファントシールはゾウアザラシの英名で、ここはゾウアザラシの繁殖地だそう。砂浜の上でほとんど動かなかったので「大量死しているのか?」と思ったのですが、そういうわけではないようです。波頭のなかではオス同士がオウオウ言いながら戦っております。なにをしているかわからないのでコメントしにくいですが、とにかく大自然の驚異。ちなみに海岸は獣臭さに満ちています。


 視線の先にはお宝とかありそうな大灯台。いかにも絵になる感じですが、ここもハースト・キャッスルと同じくツアーでしか入れないようです。ツアーは朝に1日一回だけみたいで、なかなかスケジュールが厳しい。


 さて、いよいよセントラルコーストを代表する景勝地ビッグ・サーへ。急峻な海岸線をはじめとした手付かずの大自然が広がる、最高のドライブエリアです。


 が、ここでトラブル発生。ビッグ・サー、まさかの通行止め! 地図上のラギド・ポイントという場所で引き返さざるをえませんでした。冬の嵐で一部の橋が崩れ、さらに土砂崩れが発生して道路がふさがってしまったとか。通行止め圏内に綺麗な滝が見所のジュリア・ファイファー・バーンズ州立公園というものがあるのですが、2017年5月現在閉鎖されています。残念。



 しょうがないので、一度南に戻って、ビッグ・サーの山々をぐるっと迂回して北へ向かいます。





 迂回路は丘陵地帯を進むのですが、このエリアはパソロブルスと呼ばれており、200以上のワイナリーがあるとか。ブドウ畑はもちろん、牛とか放牧されています。
 このとき時刻は午後を回っており、一般的には写真を撮るには最悪の時間です。それでもこの美しさと雄大さ。夕暮れ時とか確実にすごいことになっています。僕が近隣、せめてサンフランシスコかロサンゼルスに住んでいたら、週末にでもゆっくりこの周辺をドライブしてブドウ畑のある風景を探し回れるのですが。ニューメキシコでは……。







 そんなこんなで迂回路を通り、ビッグ・サーの北側へ。モントレーという港町に立ち寄り本日の宿を確保しながら、北側からビッグ・サーを目指しました。通行止めではあるのですが、北側からならビッグ・サーの象徴であるビクスビー・ブリッジまでは行けるという話だったので。


 ビッグ・サーの北側入り口に到着する頃になると、すでに夕暮れ時。雲が立ち込め、天気が怪しい。


 迂回路を通ること半日、ついにビッグ・サーの象徴ビクスビー・ブリッジに到着! 曇りどころか雨が降ってきてなんか微妙な景観だったんですが、半日の労苦を忘れてはなりません。おかしいな、夕日に照らされた荘厳な風景を見るはずだったのに。




 そうこうするうちに海岸線は霧に覆われ、雨も土砂降りに。綺麗な夕暮れの風景とはいきませんでしたが、旅行中の天気ばかりはどうしようもないところ。あわてて車内に戻り、雨の音を聞きながらモントレーの宿へと帰るのでした。

 というわけで、カリフォルニアRout 1 紀行その4、ハースト・キャッスル&ビッグ・サーでした!

 通行止めには参りました。おかげで予定が少しばかり後ろ倒しに。まあ、予定外の丘陵地帯の風景を見られたので、これはこれでアリかというところ。

 さて、続いてはセントラルコーストの港町、カーメル&モントレーを。静かな入り江と素朴な景観、美味しいシーフードが魅力の街です。特にクラムチャウダーは絶品でした!