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以前、投資銀行でM&Aの提案や遂行を手がけていた頃、M&Aのストラクチャリングなどで、過去に前例のないスキームの議論に関わることが度々あった。

商法や証取法、会社法に詳しい諸氏にとっては先刻承知だろうが、これらの法律は、時に驚くほど抽象的にしか書かれていない。しかもビジネスは常に進歩しており、グループ会社や出資構造が複雑になればなるほど、法律制定時の『想定の範囲』を大きく超えた事象が増える。グレーゾーンだらけである。なので、ちょっと新しいスキームを考え付くたび、常にそれが法律・法令上問題がないか否かを、M&A法務の専門家である渉外弁護士らと討議しつつ、慎重に検討を重ねるのである。

当然「真っ白か、真っ黒か」などという単純なものは議論の余地もないわけで、議論の対象になるものの論点は常に、「限りなく白に近いグレー。99%セーフ」から、「チャコールグレーで7割アウト」まで、どのレベルに位置するのか、ということになる。

とはいえ、そもそも、法律の想定外、というのは換言すれば、まだ誰からも(公式に)判断が下されていない事象のことである。従って、たとえばこんな事件のように、弁護士含め、実行者サイドが吟味した上で「多分セーフ」と解釈したことが、後々になって、当局に「黒」と判断されることは往々にして起こりうる。

今回のホリエモンの一連の状況も、実はそれと同じようなもので、『単独の取引自体はシロ、取引の総体としてみるとグレー。そしてこれが当局にクロと判断された』ということにすぎない。普通の企業ならば、たとえ『2割クロ』と予測されても、スキームを変更するなり、あるいは当局に相談の上、直接見解を取ったりする。ホリエモンの場合、そのGOとNo-GOの線引きが、普通の企業よりもアグレッシブだっただけであり、そしてそれに対する捜査当局の判断がクロだった、ということだ。

そういう意味では、会計操作によって架空利益を計上し続けたエンロンや、有価証券報告書に不実記載をした西武G、或いは歴代社長ぐるみで意図的に粉飾決済を続けてきたカネボウ、などのように「明らかにクロのことを、(悪意を持って)やって隠した」ということとは、悪徳度合いは桁違いなのである。

それにも関わらず、マスコミの掌の返しっぷりはすごい。上記のことを鑑みれば、ホリエモンがBlogで述べている「疑いをかけられている件については覚えがないし(略)、なんともコメントのしようがありません。」というのはホリエモンの本心なのだろう。しかしながら、その記述をして「堀江容疑者、ブログで平静を装う」とキャッチーな見出しを並べてみたり、あるいは合コン隠し撮り映像などの私生活暴露系ネタで夜半のニュースがワイドショー並に盛り上がってみたり・・・。さらにはこの機に乗じて民主党が自民党を追及し出すにあたっては、笑止千万。見るに耐えない報道が多い。逮捕されさえすれば何でもありなのか、と、憤りを通り過ぎて絶句ものだ。

確かに、市場の健全な発展のためには、一定の線引きをすることも、線引きを逸脱した(と判断された)ものは一定の処分を受けることも止むを得ないだろう。でも、こんな袋叩きのようなマスコミの論調を見るにつけ、今回の事件が、チャレンジ精神あふれる若手起業家の夢や希望を奪うことにならないでほしいと、切に願う今日この頃だったりする。

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以上、久しぶりの時事ネタエントリでした。M&Aもヤクザな世界だけど(^ー^;)、マスコミはもっとヤクザな世界ですねぇ。ある意味、Livedoorニュースサイトの中立ぶりを見習ってほしいものです(自社のポータルで、面白半分に自社をこき下ろすニュースもそのまま載せる勇気はすごいと思う)