2017年09月13日

ボーダーにブレイクされたお話 その6

<前回のあらすじ>
ナカジマついに警察へ行く

ps











深夜1時、警察署へ行き生活安全課に案内して欲しい旨を伝える。出迎えてくれたのは30代半ばくらいのお兄さん警官と若干怖そうな姉御警部の2人。

今回、警察署へ来た目的は2つあった。
1つ目は手紙を送った事は脅迫罪にならないのか?
2つ目は家主以外の人が家から出ていかない場合、強制送還できないのか?

結果は両方ともx。手紙には"死ね"とか"殺す"といった類の内容が入っていない限り警察が動くことはできず、仮に脅されたとしても被害届けが必要となる模様。家から出ていかない件も家主や他の住民に多大な迷惑がかかっていない限りは難しいとのこと。要するに何か実害が無いと難しいというのが警察の言い分だった。被害の少ない現状では動かないとわかっていたがここまで動いてくれないとは。

説得の末、いつ自殺されるかわからない状況に置かれていることだけは理解してもらった。こういった男女間トラブルの相談は数多くあるらしく、何かヒステリックを起こしたらすぐに連絡をしてくれ、と名刺をいただいた。心強い味方ができた気がして非常にありがたかった。

今更部屋には帰れないので、近くに住んでいる友人に今晩は泊めてもらおうと携帯を取り出した瞬間、大量のメールと留守電が入っていることに気づく。ボダ美からだった。

メールを見ると「センパイ迷惑かけてごめんなさい」という謝罪の後に「お前が一番の原因だ。不幸にしてやる」といったメールがあり、さらには「今晩ここで死にます。ありがとうございました」という支離滅裂な内容ばかり。

ここまで来ると流石にわかるが、メールの中身には何も意味はなく、おれが反応してくれれば何でもいいのだろう。反応したら負け、とにかく無視することが一番のボダ美対策である。
そのまま友達の家へ行って、友達に今自分が置かれている状況を伝えたところ、しばらく部屋を使っていいよ、と快く承諾してくれた。この友人には感謝しかない。

そして朝。

おそるおそる携帯を見るとやはり大量の留守電と未読メールが溜まっていた。が、いつもと少し様子が違う。留守電には今にも意識がなくなりそうなかすれ声で「センパイ…センパイ…」と呪文のように繰り返しているボダ美の声が録音されていた。溜まったメールに目を通してみる。


受信メール(原文ママ)
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2014年6月xx日1:55
先輩が今夜帰ってこなかったので、私、ここで死にます。発見が遅れれば、アルコールと睡眠剤と抗鬱薬でも死ぬには充分です。だから、明日の朝帰ってきても、私はもう応答できないし、鍵はあかないと思ってください。(長文)先輩に面倒がられて見放されるのが1番つらいです。先輩は誰も救えないじゃん。疲れたで終わらせるなら、優しくする素振りを見せなければいい。また期待させただけじゃないですか。

2014年6月xx日2:05
私、どうせ明日には死んでるんだから、犯罪になるかもしれないことするね。もう本当どうでも良くなった。充電なくて見れてないんだろうけど、電源入れたときにこのメールを見て、昨日私を追い詰めたあんなクソな友達をもったことを後悔してください。

2014年6月xx日2:50
先輩宛の手紙(正式な遺言ではないけど)書いたので、明日の夜帰宅して、警察に通報した後にでもじっくり読んでください。もう1時間くらいしたら死ぬ準備ができると思いますが、薬で意識が朦朧とする前のメールは最後かもしれません。大好きでした。一緒に生きたかったです。それだけです。

2014年6月xx日5:55
私の人生何だったんですかね、頑張って悪いことしなかったのがバカみたい。本当は先輩を殺すって包丁持って迫る演技して、先輩に正当防衛として刺し殺してもらうのが良かったんだー。先輩は罪にならないし、私も死ねるし、おまけに先輩は正当防衛とはいえ人殺しちゃったっていうトラウマ残るし。(長文) じゃあ、帰ってきて私の死体に直面して、自分がやったことを思い出して苦しんでください。

2014年6月xx日6:55
仕事なために必要な道具あますかなけらはまドアあえておこたすもうそろそろ落ちら七らたらその前に必要なら言ってください

2014年6月xx日8:21
かえってこないのね、私がいゆさささはは

2014年6月xx日8:32
せ3せんはまままささささぎ

2014年6月xx日8:34
また気付いたやは先輩の、幻想とかとはなしてた
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現在の時間は9:00。

30分前まで意識もあってメールもできてるし、まさか死んではいないだろうけど、万が一の事もあるので会社に遅刻する連絡を入れて家に帰ってみた。が、鍵が開かない。というかガムのような物が詰められてて鍵穴が回らない。もし鍵を開けたとしてもおそらく内鍵もかかっているだろう。ボダ美とは連絡がつかないため安否も不明。

一度冷静になって、昨晩もらった警察の名刺にある電話番号と生まれて初めての119番へ電話をかける。警察と救急隊は10分も経たずに現場へ到着した。マンションにはサイレンが鳴り響いたため近所から何事かと野次馬が集まってくる。













再現VTRなどでよく見るロック解除工具を取り出すと外鍵を一瞬でこじ開ける警官達。鍵穴は内側からガムテープでギッチギチに固められていた。内鍵はUの字にしたロープを上の隙間から垂らして、内鍵に引っ掛けてから引き抜いて解除。作業からものの1,2分で部屋に入ってしまった。この手際の良さに朝からよくわからないが感動していたのを記憶している。

部屋に入ると壁には生卵が2,3個投げつけられた後があり、廊下には当時おれが集めていたグルーミーのぬいぐるみが包丁でズタボロに刻まれ腹綿がくり抜かれていた。
ボダ美の部屋には鍵が掛かっていたが救急隊が文字通り突撃すると、睡眠剤の空箱と飲み尽くされた日本酒の一升瓶が部屋に転がっており、隣には意識のないボダ美が横たわっていた。

つづく━

m-13_62278 at 00:00│Comments(4)

この記事へのコメント

1. Posted by え   2017年09月13日 09:08
この臨場感のある文章の前ではハメろだのなんだの茶化して申し訳ねぇ限り
あまりにも怖すぎる

2. Posted by パペ   2017年09月13日 19:13
大変な目に遭われてたんですね。凄く冷静に対応されてて感心します。
3. Posted by シロクロ   2017年09月14日 01:27
某部屋でメンヘラ、リスカだけは無理って言ってましたが
こういう経緯があったんですね
4. Posted by 動画勢   2017年09月14日 11:24
キャラ対策は大事だね

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