2008年10月19日

今できること
本当にどうしようもないことなのだろうか。実はほとんどの場合、ほんの少しの努力を怠っているだけで、本当に万策尽きた状態には至っていないことのほうが多い気がする。
今、ジュビロ磐田があえいでいる。Jリーグに昇格以来、数々の栄光を刻んできたこの名門チームが、下部リーグへの降格の危機に瀕している。チーム発足以来、共に歩んできた自分にとっても、現在の状況は想像すらしていなかった。なんとかなるさ、と甘く見ていた。
だが現実はそうではなかった。戦えば戦うほど、勝ちに見放されていく。そこにかつての常勝を誇ったチームの面影はなくなってしまっていた。そんな中、僕はと言えばこの状況を生み出してしまった犯人を捜し、批判し、そしてどうしようもない現実を嘆くだけだった。
こうした状況下、立ち上がったのはサポーターだった。現実を受け止め、その現実を打開するために彼らは動き始めた。その行動は、やがて大きなうねりとなる。
肩を組み、応援歌を奏で、サポートの証であるボードを掲げるサポーター。あらん限りの力でチームを鼓舞するその想いは確実に選手へと伝わった。諦めにも似た雰囲気は、失いかけた誇りを取り戻そうとする必死さへと変化し始めた。懸命にボールを追い、貪欲にゴールを狙う選手たちが帰ってきた。
十月五日、対コンサドーレ札幌。一万人を超すサポーターの前で、前田遼一がハットトリックを決めた。雄たけびを上げるその姿を撮影しながら、僕は涙をこぼした。それは現状を嘆き、落胆するだけだった自分に対する後悔と懺悔の涙だった。
心から選手を信じていたか、心から勝利を信じていたか、必死の前田の姿を見て、そして必死のサポーターの姿を見て、努力を怠っていた自分を恥じた。
あと五試合。結果はわからない。でも、もう後悔だけはしたくない。だから僕も信じ続けていきたい。立ち上がった人たちのように。

*******************************************

久保さん、泣ける…  (⊃Д`;)


本日の静岡新聞日曜版【しずおか スポーツ百景】より

(19:18)

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔