2008年06月

『ベーコン』 井上 荒野4

去年出た井上さんの本です。予約に出遅れて、
最近ようやく届きました。

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「ほうとう」
日曜日ごとに来ていた不倫相手の安海に
子どもが産まれたらしい。温子は複雑な
気持ちになりつつ、会社の人びととともに
赤ちゃんを見にいくことに…。

「クリスマスのミートパイ」
会社で倒れてから10日、身体が治っても
会社に行けずにいる芳幸は、散歩の途中で
猫を探している痩せて色っぽい若い女に
出逢った。

「アイリッシュ・シチュー」
雪の翌日、飼い猫が外に出たまま戻らない。
探しに行った主婦の「私」は、宅地の販売を
している営業マンの若い男性を家にあげた。

「大人のカツサンド」
ママは最近戻ってこないパパの話をするため、
聖子叔母さんを呼んだ。真夕は叔母さんの
彼である直人叔父さんとともに遊園地に
遊びに行く。

「煮こごり」
31年来の恋人の鵜飼(71歳)がサファリランドで
虎に噛まれて死んだ。既に定年退職して自宅で
私塾を開いていた晴子は関連の週刊誌を買い
あさり、ずっと結婚していると思っていた鵜飼が
独り者であったと知る。晴子は教え子と共に、
鵜飼の住んでいた街を訪ねる。

「ゆで卵のキーマカレー」
妻と離婚を前提に別居している靖司と暮らし始めた
柚衣。靖司の高校生の娘たちが一人暮らしをしてると
思い込んでいる父親の家を訪ねてくることになり、
柚衣は荷物を詰め込んだカートを引いて町を彷徨う。

「父の水餃子」
文句ばかり言う母親に微笑むだけの父。妙にぎくしゃく
したある休みの日、「僕」は父が公園で携帯電話を
かけているところを見かける。携帯を嫌がっていた
はずの父は、家に帰ると水餃子を作り始めた。

「目玉焼き、トーストにのっけて」
中2の可奈は出逢ったばかりの勇二の家で初体験を
すませた。翌朝、可奈たちは過去のトラウマを
埋めるため、勇二の小学校時代の担任の先生と、
可奈が昔通っていた登校拒否児のための塾の塾長に
会いに行く。

「ベーコン」
4歳の時に家を出た母親が、3年前に死ぬまで一緒に
暮らしていた沖さん。それから3年間、山の上で
豚などを育てている沖さんのところに時々会いに
行った「私」は、父親が亡くなり恋人と結婚する
ことを報告するため、沖さんのところへと向かう。

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いや〜、面白かったです。井上さんの文章は、
どこか明治の文豪みたいな雰囲気があって
読みやすいし落ち着くんですよね。

どの話も面白かったですが、「クリスマスの
ミートパイ」と「ゆで卵のキーマカレー」が
好きですね。夫婦や恋人との関係が再確認
できるところが安心できるのかもしれません。
「煮こごり」も主人公たちの年齢のせいか、
どこかほのぼのとしていて好きです。

微妙にぎくしゃくしている関係を描いた話も
あるのですが、どこか上品な感じがするのは
文章のおかげなんでしょうか。作者の人柄
なのでしょうか。安心してその世界に入れる
感じがするんですよね。

出てくる食べ物が美味しそうで、ついどれも
食べたくなってしまいました。

毎回思うことですが、大きな賞をもっととっても
おかしくないのになぁと改めて思いました。
でも予約が増えると困るからいいか…。

『ブルーベリー』 重松 清3

重松さんの新刊です。

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山口県から上京した男の青年期から中年期までの
連作短編。

「東京に門前払いをくらった彼女のために」
1981年、付き合っていた彼女と大学の合格発表を
見にはるばる上京した男だったが、彼女の方は
不合格で、2人は離れ離れになることが決まった…。

「恋するカレン・みちのく純情篇」
男は大学に入って梶本という男と仲良くなった。
ゴールデンウィークに梶本の故郷に行った男は、
梶本の「彼女」に出逢う。

「マイ・フェア・ボーイ」
1983年、大学3年生の僕は六本木の俳優座の裏の
店でトモさんという女性と知り合った。僕を
都会の男にしようと目をかけてくれたトモさんは、
ある日突然いなくなった。

「走れ!東上線ターボ」
1982年の年明け、梶本は高校の卓球部の後輩の
女の子が受験の下見で上京することに舞い上がって
いた。だが後輩はバリバリの体育会系だった…。

「洗いざらしの幸運」
1982年6月、僕はコインランドリーで他人の使っている
乾燥機にトレーナーを入れる女の子に出逢う。彼女には
そのトレーナーが幸運を運ぶというジンクスがあった。

「4時間17分目のセカンドサーブ」
2003年、大学時代の友人檜山は自分の会社を潰すことに
なった…。事務所に呼ばれた僕は、檜山が同級生から
送られた1982年のウインブルドンの男子シングルス決勝の
ビデオを一緒に見た。

「君の名は、ルイージ」
1982年、北陸への一人旅の途中にバイト先の女の子の
実家のある街に遊びによった。彼女は一卵性双生児で、
彼氏を取った妹に復讐するため、妹の振りをするから
ホテル通りを一緒に歩いて欲しいと僕に持ちかける。

「僕と少女とブルーベリー」
1982年に僕は家庭教師のアルバイトで小学校3年生の
ユウちゃんを教えていた。家族の愛情が薄く、ブルー
ベリーのガムを常に噛んでいた彼女のことを、2003年に
40歳になった僕は後悔をもって思い出す。

「さらば愛しき牛丼」
1983年、梶本が目下片思い中のカヨちゃんが、牛丼を
食べるのに付き合ってほしいと僕たちを誘った。
留学を控えたカヨちゃんは、未知の世界であるパチンコ、
麻雀、ディスコ、居酒屋を経て、牛丼の本当の味を
知るため吉野家に再挑戦する。

「黄昏のイエロー・サブマリン」
バイト先の居酒屋で面倒を見ている後輩・夢ちゃんに
誘われてドリームランドにやってきた僕。1983年、
ディズニーランドが開園した年。ドリームランドは
すっかりさびれてしまっていた。

「人生で大事なものは(けっこう)ホイチョイに教わった」
学生時代の友人ナカムラくんは、他人から自分が
幸せに見られているかどうかが大事だと信じている
男だった。その根底にあったのが1983年に出版された
ホイチョイ・プロダクションの『見栄講座』だった。
だがそんなナカムラくんに生まれた子どもは、障碍を
持った女の子だった…。

「ザイオンの鉄のライオン」
1984年の冬、バイトで塾講師をしていた僕は、生徒の
タケシが高校に行かずに、駅前の浮浪者のボブと一緒に
ボブの故郷の青森に行こうとしているところに出くわす。
彼の自由の地「ザイオン」はどこにあるのか…。

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なかなか面白かったです。時代が行きつ戻りつするので、
ちょっと戸惑う部分はありましたが…。なんでだろうと
思ったら、雑誌『BRIO』が初出らしいのですが、初出の
順番と本の収録は違うみたいですね。それで並べ替えても
時系列にはならないみたいだから、あまり関係ないけど。

好きなのは「人生で〜」ですかね。笑えるほどミーハーな
ナカムラくんが、地に足をつけた幸せを手に入れるのが
なんだか嬉しかったです。

梶本がどうなったのかはちょっと気になりますね。大学
在学中に果たして彼女はできたのか?その後結婚は
できたのか?

大学時代にすれ違うように知り合った人々が今どこで
何をしているんだろう、とふと懐かしくなりました。
なかなか再会することはないだろうと思われる人たちの
方が実は多いですよね。あの時と比べて変わっているのか、
変わっていないのか…。ちょっと知りたい気分です。

大きな感動はなかったですが、安心して読める本でした。

『サウスポイント』 よしもと ばなな5

よしもとさんの新作です。

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12歳の時に父親の事業の失敗で、住んでいた
上野を離れて離婚した母親と群馬に引っ越した
テトラ。その時唯一無二の存在として共に
過ごしていた珠彦くんとはその後も会って
いたが、珠彦くんがハワイに引っ越してしまい、
テトラと母親の恋人との関係がぎくしゃく
して余裕がなくなったことで、2人は疎遠に
なってしまった。

大人になりキルト作家になったテトラは、
ある日スーパーで耳にしたハワイアンの曲に
涙を流す。その曲には、テトラが12歳の日に
珠彦くんにあてた手紙が歌詞として使われていた。
しかし歌っているのは彼の弟の幸彦さんだった…。
テトラは幸彦さんに連絡をとり、珠彦くんが
亡くなったと聞かされる。テトラは珠彦くんの
ためのキルト作成を頼まれ、彼の住んでいた
ハワイ島に向かう。

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いや〜、面白かったです!!よしもとさんの
作品に出てくる人々は、ちゃんとダメなところや
マイナスの部分も描かれているのに、なぜか
爽やかなんですよね。作者の人間に対する
寛容さや許容のようなものをいつも感じます。

大事な人を失った人たちの悲しみも切々と
伝わってきました。1年経っても癒えない
悲しみ。その中でどうしたらいいか分からない
ながらも一生懸命生きている人たちの姿が、
本人たちはそれどころじゃないと思うのですが
眩しく見えました。

子どもの頃からずっとテトラのことを思い続けて
いた珠彦くんの想いは、文中で描かれるほど
気持ち悪いものには思えませんでした。回り
回ってどうしてもこの人でなければ、という
関係はきっとあると思うし、その気持ちを
まっすぐに出してくる珠彦くんの在り方は
清々しい気もしました。しかもテトラ自身も
珠彦くんのことをどこかで忘れずにいたの
だから、何の問題もないような気がします。
これが片方の気持ちが重すぎるとどうにも
ならないですけどね〜。

ほとんど興味のなかったハワイですが、
すごく行きたくなりました。オアフには
未だに興味が持てませんが…。こないだ
行った八重山とも重ね合わせて読みました。
八重山はそうは言っても日本なので、
多分ハワイほどおおらかではないのかと
いう気もします。一度行ってみたいです。

あとがきを読むと、この作品は『ハチ公の
最後の恋人』という作品の後日談だそう
なので、それも読んでみたいと思います。

『My name is TAKETOO』 ヒキタ クニオ4

あまりこの人の本を読んだことがないのに、
なぜか気になって予約をしてみました。

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2060年ごろの近未来の世界では、ペルフェクションと
いうバレエの王者を決める大会が行われていた。
近年王者の地位を守りつづけているフィリップ・K・武任
(タケトウ)だが、オーストラリアのセジウィックが
背後につけてきた。そして自らに老いの影が忍び寄って
きているのを感じ始めていた…。

そんな中、チームドクターで信頼していたドンの
裏切りにより、タケトウの身体に異変が起きていた。
タケトウは引退するか否かの瀬戸際に立たされる。

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近未来の設定や、耳慣れないバレエ用語などがあって
なかなか読み進められずにいましたが、タケトウの
調子が悪くなってからのサポートチームとの絆や
ライバルたちとの関係が描かれるようになると
面白くなりました。最終的にはタケトウの勇姿に
感動しました。

タケトウの性格もあるのかもしれませんが、
描写が淡々としているのもあって、なかなか
のめりこめなかったのかもしれません。
心情があまり端的には描かれないので…。
もうちょっと分かりやすく描かれていると
もっと読みやすいのかもしれないなぁ。

でもなかなか面白かったです。他の作品は
また毛色が違いそうなので、読んでみたいと
思います。

『夢にも思わない』 宮部 みゆき3

なんとなく借りてみました。でもシリーズの
2冊目だったみたいで…。

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中学1年生の緒方雅男は、クラスメイトの
クドウさんのことが気になっている。
彼女が家族と行くと言っていた白河庭園の
虫聞きの会に出かけたところ、中学生の
女の子が殺されたと聞き、雅男は駆けつける。
倒れている女の子を観て雅男はクドウさんだと
勘違いするが、実はそれはクドウさんの従姉妹の
亜紀子だった。

親友の島崎は持ち前の推理力で亜紀子の過去に
迫っていく。そんな島崎が実はクドウさんを
好きなのではないかと、雅男は気になって
仕方がない。クドウさんを元気づけるため、
雅男も島崎とともに動き出す。

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最初に出たのが1995年ということで、若干
文体の古さは感じますが、内容に関しては
現在でも良くありそうなところがあって、
さすが宮部さんだなぁと思いました。

「わけのわからない事件が増えてきて
引退を考える」という警部さんの言葉も
納得するものがあります。特に最近の
事件を思うと、警部でなくても理解不能だと
思うことが多々ありますね。

雅男の恋はうまくいくかと思われたのですが、
意外な方向に話が進みます。クドウさんの
したことを許せない雅男は若いのかなぁと
思ったりもするけど、年齢に関係なく許せない
ものは許せないよね。クドウさんの気持ちを
思うと厳しいなと思うところもあるけれど、
確かに自分の罪に気づかないままでいるのも
気になってしまうよね。

犯罪も恋愛も人間関係なんだよな〜、と
なぜかつくづく思ってしまいました。
機会があれば1冊目も読んでみたいと思います。

『雅楽戦隊ホワイトストーンズ』 鈴井 貴之3

「水曜どうでしょう」でおなじみのミスターこと
鈴井さんの小説です。あまり図書館に冊数がなくて、
結構回ってくるまでに時間がかかりました…。

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あるクリスマスの北海道札幌市白石区。謎の男たちが
パラボラアンテナを立てて回っていた。彼らの目的は
電磁波を利用して白石区民に頭痛や発熱を起こし、
世界を自分たちのものにすることだった。

彼らの流す電磁波に対抗できるのは、なんと雅楽。
白鳥神社の養護施設で雅楽を教わりながら育った
南郷、北郷、本郷らは、男たちの組織に対抗しようと
立ち上がった。だが、組織の裏には知らなかった秘密が
隠されていた…。

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結構奇想天外な話でした。そんなに感動したりとかでは
なかったけれど、ラストの展開には驚きました。

南郷の言うダジャレがとりわけ鈴井さんらしさを感じた
ポイントでございました…。

イラストの影響なのか、登場人物の名前が似てるせいなのか、
ちょっとややこしく感じるところもありました。

まあファンの人でなければ特に読まなくても大丈夫な
のではないかと思います…。

『クロニクル 千古の闇 4 追放されしもの』 ミシェル・ペイヴァー5

ようやく4巻が出ました〜!いやー、待ちに待って
ましたよ。

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皮膚に魂食らいのしるしをつけられてしまった
トラクは、ずっと面倒を見てくれていたワタリ
ガラス族の族長のフィン=ケディンにも
もはや守ってもらえない存在となった。しかも
オオカミ族だと信じてきた自分が、実は母親に
よって「氏族なし」にさせられていたことを
知る。全ての氏族に追放され狩られるものとなった
トラクは、あてもなく森を彷徨う。

トラクの友達であるレンはそれでもトラクを
助けようとするが、しるしのせいでおかしく
なったトラクが魂渡りをしたヘラジカに
襲われ、やむなく集落に帰る。トラクは
次第に森のことも唯一の仲間のオオカミの
ウルフのことも忘れてしまい、事態はどんどん
悪化する…。

トラクを利用するためにしるしの力で引き寄せてきた
クサリヘビ族の魔導師セシュルに、果たしてトラクは
対抗することができるのか?

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ドキドキしました。トラクが追い詰められて
いく前半は、辛くてなかなか読めなかったの
ですが、レンが封印していた魔術を使い、
ワタリガラスを送ってトラクを助けてからは
事態が好転していきます。そこからはぐいぐいと
引き込まれていきました。

クライマックスはフィン=ケディンがトラクを
養い子にすると氏族たちに宣言するシーンですね。
電車の中で涙が出そうになりました。かっこいいなぁ、
フィン=ケディン。

そんなフィン=ケディンとトラクの母親の過去も
意外でしたね。そういう背景があったとは…。
レンの母親の話もびっくりでしたが。

森や湖に感謝をささげ、色々なものの跡や気配から
徴候を読み取る。自然と自分が切り離せないこの
世界観がたまらなく好きです。

トラクとレンが少しずつ大人になっていく過程で、
友情がどう愛情に変化していくのか、もしくは
いかないのか…。続きが早く読みたいです。

『天山の巫女ソニン 三 朱烏の星』 菅野 雪虫4

しばらくぶりに3巻が出ました!

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江南と巨山との争いは無事に片付いたものの、
それを気に巨山と沙維の関係は悪くなって
いった。そんな中、巨山国境で暮らす森の民が
通行証を持ってなかったとして巨山で捕らえられて
しまった。森の民は沙維の亡き王妃の一族でもあり、
王子たちの乳母サンサも捕らえられた。
第七王子のイウォルと、その出ない声を聞き取る
ことのできるソニンは、森の民を助けるため、
巨山に出かけていく。

森の民の解放はスムーズに終わり、イウォルと
ソニンはお城に招かれる。狼殺しの王の国民からの
人気と、心温まるもてなし振りを目の当たりにする
ソニンたち。中でも巨山が自慢する精密な星図の
前で、ソニンは気難しいイェラ王女に出逢う…。

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面白かったです。相変わらず文体は生真面目と
いうか固い感じがしますが、子どもには
却って読みやすいかな?もうちょっとこなれて
くると更に大人には面白いんですけどね。

でも色々な人と出会い、少しずつ自分のことを
考えていくソニンが好ましいです。自分の
感情を出すことを制限されて育ったソニンが、
少しずつ感情というものを受け入れていくのが
新鮮な感じです。イウォル王子との二人三脚
っぷりもかわいらしくて良いですね。

続きも楽しみです。
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