湊さんの新刊です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「真珠」
トイレタリー製品会社W&Bのお客様相談室で
働く平井は、学校の体育館などに放火した
50歳の主婦、林田万砂子の話を聞きにやってきた。
ムーンスター社製の歯磨き粉、ムーンラビット
イチゴ味によって人生を導かれてきたという
万砂子の話に触発され、平井も妻とのなれそめを
思い出す。
「ルビー」
瀬戸内海の島にある実家に帰ってきた私は、
実家の裏手にできた老人福祉施設「かがやき」に
目をやる。その最上階に住むおじいさんのことを、
両親と妹は「おいちゃん」と呼び、交流を深めて
いた。もうすぐ廃刊になる雑誌の編集者をしている
私は、妹に「情熱の薔薇」事件について語る。
「ダイヤモンド」
お見合いパーティーで知り合った美和にプロポーズ
した治は、その帰りに雀を助けた。なんとその雀が
人間の姿に変わってお礼がしたいとやってきた。
治は美和の喜ぶプレゼントを探ってほしいと雀に
願うが、雀は美和は妻子のある男と不倫していると
告げる。
「猫目石」
真由子と夫の靖文、中学生の娘の果穂は、
隣人の坂口さんの飼い猫を探す手伝いをした。
それまで接点のなかった坂口さんだが、
家族それぞれに接触し、他の家族の秘密を
何食わぬ顔で告げるようになる。
「ムーンストーン」
市会議員だった夫が、県会議員選挙に落ちてから
暴力をふるうようになった。娘に手をあげられた
ことでつい反撃した結果、夫は死んだ。そんな中、
中学時代の友人が留置場に訪ねてきた。彼女は
弁護士になっていた。
「サファイア」
人にものをねだるのが苦手なマミだったが、
一人旅同士で出会った修一と付き合うように
なり、20歳の誕生日に初めて指輪をねだった。
だが、修一は指輪を渡そうとした日に、駅の
ホームから転落して死んだ。マミの隣人の
タナカによると、修一はマミへのプレゼントを
買うため、タナカの誘いに乗り指輪の悪質商法の
アルバイトを一緒にしたのだという。もしや
転落は事故ではなく、被害にあった女性に
押されたのではないだろうか…。
「ガーネット」
彼を失ってから、夢で彼に喜んでもらえることを
生きがいにしてきたマミは、ひょんなことから
小説を書くようになった。その小説が映画化
されることになり、主演女優とインタビューした
マミは、彼女がかつて悪質商法で指輪を買わされた
ことを知る。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ランティエ」という雑誌に連載されていたようです。
「ムーンストーン」で「わたしは小百合から友情を
与えられ、所属するグループと複数の友だちまで
与えてもらった。それが今度はどこまで受け入れられて
いるのかと考える。考えれば考えるほど、わたしは
独りぼっちでいるときとは別の種類の孤独を感じる
ようになった。」というのはリアルだなあと思いました。
中学校生活って本当にシビアで、それがよく書かれて
いるなと思います。
「サファイア」と「ガーネット」が連作になっていて、
おかげで少し後味が良かったです。かつて指輪を買わされ、
マミの小説を読んだ女性から、「読み終えたあとは、
砂を飲み込んだような息苦しく、何とも言えず気持ち悪い
感覚になりました。物語の中にわたしがいたからです。
うまくいかない自分の人生をすべて世の中のせいにして、
他人を妬み、恨む、昔のわたしが確実にいました。
だけど、その砂を洗い流すような穏やかな気持ちも込み
上げてきたのです。変わることができてよかった。暗闇から
抜け出すことができてよかった。日が昇り、いつもと同じ
朝が始まったというのに、目に映る景色はいつもと違って
見えました。夫と子どもと食卓を囲むことがたまらなく
幸せに思え、早くしなさいよ、と会社や小学校に送り出す
バタバタとした慌ただしささえも愛おしく感じました。
ああ、これが、紺野マミという作家を通して見える世界なのだ。」
というところで、救われた気持ちになりました。彼の
したことで、幸せになれた人もいたと思うと、許された
気持ちになりますね。
後の作品はあんまり好みではありませんでしたが、
色々なテイストの話があったのは良かったです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「真珠」
トイレタリー製品会社W&Bのお客様相談室で
働く平井は、学校の体育館などに放火した
50歳の主婦、林田万砂子の話を聞きにやってきた。
ムーンスター社製の歯磨き粉、ムーンラビット
イチゴ味によって人生を導かれてきたという
万砂子の話に触発され、平井も妻とのなれそめを
思い出す。
「ルビー」
瀬戸内海の島にある実家に帰ってきた私は、
実家の裏手にできた老人福祉施設「かがやき」に
目をやる。その最上階に住むおじいさんのことを、
両親と妹は「おいちゃん」と呼び、交流を深めて
いた。もうすぐ廃刊になる雑誌の編集者をしている
私は、妹に「情熱の薔薇」事件について語る。
「ダイヤモンド」
お見合いパーティーで知り合った美和にプロポーズ
した治は、その帰りに雀を助けた。なんとその雀が
人間の姿に変わってお礼がしたいとやってきた。
治は美和の喜ぶプレゼントを探ってほしいと雀に
願うが、雀は美和は妻子のある男と不倫していると
告げる。
「猫目石」
真由子と夫の靖文、中学生の娘の果穂は、
隣人の坂口さんの飼い猫を探す手伝いをした。
それまで接点のなかった坂口さんだが、
家族それぞれに接触し、他の家族の秘密を
何食わぬ顔で告げるようになる。
「ムーンストーン」
市会議員だった夫が、県会議員選挙に落ちてから
暴力をふるうようになった。娘に手をあげられた
ことでつい反撃した結果、夫は死んだ。そんな中、
中学時代の友人が留置場に訪ねてきた。彼女は
弁護士になっていた。
「サファイア」
人にものをねだるのが苦手なマミだったが、
一人旅同士で出会った修一と付き合うように
なり、20歳の誕生日に初めて指輪をねだった。
だが、修一は指輪を渡そうとした日に、駅の
ホームから転落して死んだ。マミの隣人の
タナカによると、修一はマミへのプレゼントを
買うため、タナカの誘いに乗り指輪の悪質商法の
アルバイトを一緒にしたのだという。もしや
転落は事故ではなく、被害にあった女性に
押されたのではないだろうか…。
「ガーネット」
彼を失ってから、夢で彼に喜んでもらえることを
生きがいにしてきたマミは、ひょんなことから
小説を書くようになった。その小説が映画化
されることになり、主演女優とインタビューした
マミは、彼女がかつて悪質商法で指輪を買わされた
ことを知る。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ランティエ」という雑誌に連載されていたようです。
「ムーンストーン」で「わたしは小百合から友情を
与えられ、所属するグループと複数の友だちまで
与えてもらった。それが今度はどこまで受け入れられて
いるのかと考える。考えれば考えるほど、わたしは
独りぼっちでいるときとは別の種類の孤独を感じる
ようになった。」というのはリアルだなあと思いました。
中学校生活って本当にシビアで、それがよく書かれて
いるなと思います。
「サファイア」と「ガーネット」が連作になっていて、
おかげで少し後味が良かったです。かつて指輪を買わされ、
マミの小説を読んだ女性から、「読み終えたあとは、
砂を飲み込んだような息苦しく、何とも言えず気持ち悪い
感覚になりました。物語の中にわたしがいたからです。
うまくいかない自分の人生をすべて世の中のせいにして、
他人を妬み、恨む、昔のわたしが確実にいました。
だけど、その砂を洗い流すような穏やかな気持ちも込み
上げてきたのです。変わることができてよかった。暗闇から
抜け出すことができてよかった。日が昇り、いつもと同じ
朝が始まったというのに、目に映る景色はいつもと違って
見えました。夫と子どもと食卓を囲むことがたまらなく
幸せに思え、早くしなさいよ、と会社や小学校に送り出す
バタバタとした慌ただしささえも愛おしく感じました。
ああ、これが、紺野マミという作家を通して見える世界なのだ。」
というところで、救われた気持ちになりました。彼の
したことで、幸せになれた人もいたと思うと、許された
気持ちになりますね。
後の作品はあんまり好みではありませんでしたが、
色々なテイストの話があったのは良かったです。