2007年01月11日

『うつろい』

美しい女がいた。

はたしてその女は本当に美しかったのか。
そんな事はどうでもよく、

その男にとって、その女は真実、本当に美しかったのだ。


凛とした横顔も。
その声も。
微笑めば花がこぼれた。

おお、なんということだろう。
その女を言い表すには、
言葉が足らなすぎる。

せめてその姿をしるそう。
だから男は女を描くことにした。

女は快くうなづいた。

男は
2000色の中から女の色を選びに選んだ。
女の全てを見落とすまいと、
目を血ばしらせながら、絵筆を滑らせる。
キャンバス越しの女の視線にもまた、
尊敬と愛しさがこもっていた。

男は女を描く。
描いて。
描き続けた。
嵐の夜も、穏やかな夏の日も・・・



誰よりも自分が知りうる女を。




しかしそれはいつまで経っても完成することは無かった。


ある日、




男は気づいた。


選んでも選んでも、
女の”色”は日々移ろいでいる事に。

その事実を知るのに、1075日もかかった。



はっ、とした。

ふと目をやれば、
キャンバスには青やグレーの寂しい色でいっぱいになっていた。

男は、すがるような目で女を見た。
名前を呼ぼうにも、
震える喉からは、犬笛のような空気が漏れるばかりだった。

なんとか修正しようと、
全ての色をキャンバスに塗りたくった。


女はガラス玉のような瞳で少し首を傾げた。





もう女は、
うなづいてはくれなかった。



男が最も知りうる女。
アイデンティティは崩壊した。



残ったのは、
折れた絵筆と、
美しい思い出だけ。


その思い出も、
今となっては真実だったのか、







証拠の絵すらない。








美しい女がいた。

はたしてその女は本当に美しかったのか。
そんな事はどうでもよく、

その男にとって、その女は真実、本当に美しかったのだ。  

Posted by m-72_07901 at 02:52Comments(2)

2004年07月12日

『残酷な世界』

ぐしゃりとぐしゃりと
やらかすだけやらかしても
元の木阿弥 頑丈なんだ日常
だからどーした
   レスポンスをくれ

禁断の愛に酔いしれる
余裕なんてのも身につけたい


なりふりかまわず 構っても逃げても
仰向けの猫が
こっち見るな見るな見るな


トーストが焼ける匂いで
おはようと一言
コーヒーは甘すぎる方がいいよ
得した気になるから

くだらないニュースより
噂話
その方が為になるし
愉快な気分だ

残酷な世界 残酷な世界
頭の上を鳥がひと回りする間に
出てってくれ
君と愛と死と欲望

外はもう春風
巻き込んでくれ

安らぎと皮肉と絶望と狂気の!
なりふりかまわず 構っても逃げても!

こっち見るな見るな見るな・・・
  
Posted by m-72_07901 at 00:16Comments(0)TrackBack(0)

『セイ・グッバイ』

セイ・グッバイ 
    嫌いな人達
セイ・グッバイ 
    愛しい人達
セイ・グッバイ 
    ちっさい自尊心
セイ・グッバイ 
    怠け癖
セイ・グッバイ セイ・グッバイ
           壊れたあたま

他人に言わせると
神も殺人鬼も同じなんだと
脳の形が微妙に違うんだと

「お宅の子供は三面記事を飾るよ」
云われたんだと
偉い霊媒師に
あんた 犯罪者だけにはならないで
「犯罪の定義は何?母さん」
何、母さん
日々無感動に生きることが
もう犯罪の手始めなんでない?

ロックで燃えず
ブルースも染みず
そうなったらもう
刑務所に入ったらいい

喧騒のオーケストラが
鼓膜に悲しげに響いてくるよ

セイ・グッバイ
もうすぐ蝉が鳴き始める
セイ・グッバイと云いたい

  
Posted by m-72_07901 at 00:12Comments(0)TrackBack(0)

『return to zero』

好きな曲耳に ねじ込んで
朝一番の 電車に乗った

窓から飛び込む キラキラ
夢みたいに軽い荷物
連れていくのは 胸のむかつき

光に潜むのが 闇
本当は真逆の 27

キラめくのは一瞬だし
狂い咲くのも通過点だって
それが時に 空っぽで
それが時に 少し泣けるって

漏れ出したギターが どこまでもリアル
分身みたいで 泣けるほどリアル

電車に乗ろう 片道切符の
長かった 髪切った
海が見たいな

どこまでも行こう 片道切符で
重かった 噛み切った
All ready,I will say good-bye.  
Posted by m-72_07901 at 00:08Comments(0)TrackBack(0)