2017年02月07日

ビンボーの夜明け

ラジオ番組で占い師さんが、金運についてひとくさり話したあと、「金持ちはみんな占いを信じています。占いを信じないのは貧乏人です」と言っていました。
この発言の検証方法を書いておこうと思います。

ギロビッチが提唱した「2×2分割表」は、2つの事象の関連の有無を調べるための優れた方法です。
事象Aと事象Bの関連の有無を調べるには、

[1]事象Aと事象Bが共に成り立っている
[2]事象Aは成り立っているが事象Bは成り立っていない
[3]事象Aは成り立っていないが事象Bは成り立っている
[4]事象Aと事象Bが共に成り立っていない

の4種類のパターンで、どの程度の偏りが現れるかを見れば良い、というものです。

前掲の占い師さんの発言に当てはめた場合、

[1]占いを信じている金持ち
[2]占いを信じている貧乏人
[3]占いを信じていない金持ち
[4]占いを信じていない貧乏人

の4パターンに人を分類すると、[1]と[4]が多く、[2]と[3]は少なくなるはずです。
[1][2]が多く[3][4]が少ないのであれば、金銭とは関係なく占いを信じている人が多い、という結論になりますし、[1][3]が少なく[2][4]が多いのであれば、占いとは関係なく金持ちより貧乏人の方が多い、という結論になります。
もちろん母集団、つまりどこの誰をこの分類に当てはめるのかも重要ですし、「占いを信じている/いない」「金持ち/貧乏人」の定義と区分にも厳密さが求められます。
件の占い師さんはここまで検証した上で「金持ちはみんな占いを信じています。占いを信じないのは貧乏人です」と発言したのでしょうか。

ここから先は意地悪な想像です。
ラジオに出演するくらい有名な占い師であれば、[1]のパターンの人と接触する機会は多いのではないでしょうか。占いを信じている人は占い師への接触頻度が高いでしょうし、有名な占い師であれば客層は金持ちに偏る事が予想されます。もし、その個人的な体験を元に[1]が多いと言っているのであれば、それは元にしたデータが偏っているからだと言えます。
[4]が多いという発言についても、「占いを信じないから貧乏なんだよ」という発想が生み出した虚像である可能性があります。
[2][3]についても「少数の例外」として軽視あるいは無視している可能性があります。

もう一つ。件の占い師さんは「トランプ大統領の当選を予言していた」とも言っていました。
この発言自体は事実なのかもしれません。しかし、それ以外の当たった事例と外れた事例については、彼はまったく発言していませんでした。
例えば韓国の朴政権の混乱を彼は予言していたのでしょうか。ほかにも世界にはたくさんの国がありますが、それらについて彼はどんな予言をし、その予言はどの程度の精度で当たっていたのでしょうか。
たった一つの予言が当たっただけでは、それが単なる偶然である可能性を否定できないのです。

さて本日のお相手は、[4]に当てはまる6月でございました。


次回更新までの運勢:吉。これから起きるすべての良い事は、この占いが当たった証拠です。

m-94_23564 at 00:18│Comments(0)TrackBack(0) 心理 | 社会

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