2008年09月13日

「もし人類が地上から消えたら」

 もし今日、何かの理由で人類だけが突然地球上から消えたら、地球はどうなるか。数日後には廃水機能が麻痺してニューヨークの地下鉄が水没する。2〜3年後には都市の下水管やガス管などが次々に破裂し、亀裂が入った舗装道路から草木が芽を出す。5〜20年後には建物が崩れ、雷によって街は炎に包まれる。200〜300年後にはボルトがゆるんで鉄製建造物が崩壊する。500年後にはニューヨークはオークやブナの森に覆われコヨーテ、ヘラジカ、ハヤブサといった野生生物たちが帰ってくる。しかし、人間によって1万年前に絶滅させられた70種以上の大型ほ乳類は永遠にもどってこないし、絶滅させられた植物は戻ってくるかわからない。1万年後には−−−。
 これは、今世界で一番読まれている「人類が消えた世界」(アラン・ワイズマン著、早川書房」というノンフィクションSFが描く未来予測ですが、単なるSFではなく、地球や人類の歴史の最新の科学的知見に基づいて、人間が地球環境にもたらした破壊行為を検証する読み物ともなっています。
 500万年のヒト属前史の果てに、6万年程前にアフリカの大地溝帯に生まれたホモサピエンスは、アフリカを旅立ってゆっくりとユーラシア大陸、次いでインドネシア、オセアニアに広がりました。そして13,000年前にベーリング海峡に氷が溶けて出現した陸橋を歩いてアメリカ大陸に到達した頃には、5万年前とは比較にならないほど脳は発達し、大型獣を捕らえる技術を身につけていたはずです。こうして、わずか1000年の間に、アメリカ大陸に豊かに生息していたマンモスなどの大型哺乳類の70以上の属が全て消え去ってしまったと云われています。
 人類消失後も最も長い間環境破壊の痕跡を残すのは、プラスチックかも知れません。プラスチックが発明されて半世紀の間に、総生産量は10億トンを超えており、そのほとんど全てが現在もどこかで存在しています。これらが分解されて消滅するのに1000年かかるのか、1万年かかるのか、誰にもわかりませえん。わかっているのは、これまでに廃棄されたプラスチックの何十パーセントもが、海に流れ出し、太平洋の真ん中に巨大ゴミ海域を作り出し、そのあげくには波に洗われて微粒化して漂っているということです。このプラスチックが海の生態系に与える影響は、今はまだわかりません。
 とにかく、読みでがあるし、いろいろと考えさえられることが沢山書かれている本です。
m1939923 at 01:10|この記事のURLComments(12)環境 

2008年08月24日

ある乱暴な計算〜日本で森林バイオマスはどこまでエネルギーをまかなえるか

 日本における木質バイオマスの一次エネルギーに占める比率は、黒液(パルプ廃液)を除くと0.2%に過ぎません。EUの平均が5%を越えており、その中でも北欧やオーストリアでは20〜30%を占めており、開発途上国では70〜80%を占めていることを考えると、日本は世界で一番低いと思われます。
 世界的には森林の減少は深刻な問題ですが、日本や欧米先進国では逆に森林に蓄えられている木材量は毎年非常な勢いで増えているのが現状です。日本の森林蓄積量の年間増加量は1.7億m3と云われています。これだけ使っても日本の森林は正常に保全される、というわけです。この数字が、木材生産量を含むものなのかどうかわかりませんが、仮にここから日本の木材生産量2000万m3を差し引いても、1.5億m3を燃料に使ってもよい、ということになります。
 この1.5億m3を全部燃料に使うと仮定して、どれくらいの石油に相当するか、乱暴な計算をしてみました。
 樹木の含水率を100%(木と水が等重量)と仮定すると、熱量としては1.5億m3の樹木は7500万m3の絶乾の木材に相当します。対象となる樹種の全乾の比重は、スギ(0.35)、ヒノキ(0.4)カラマツ(0.46)なので、平均で0.4とすると、3000万トンの絶乾木材ということになります。この木材の持つ熱量は、重量あたり石油の半分として、1500万トンの石油と同等の熱量をもつことになります。
 一方、日本の年間の原油輸入量は約2億トンです。そのうち80%がエネルギー源として使用されていると仮定すると、1.6億トンです。
 即ち、1500/16000=0.094で、木材が石油の9.4%に相当することになります。日本におけるエネルギーの石油依存度は約50%ですから、一次エネルギー消費に占めることが可能な森林バイオマスは、最大で5%程度ということになります。これに、森林を利用する小水力発電や、建築廃材、パルプ廃液を加えればもう少し高くなります。
 なお、この計算は日本全土を対象としたものです。高知県という一定地域を対象にした場合には全く異なる結果になることはいうまでもありません。
 この乱暴な計算に、ご批判をお願いします。

2008年08月20日

新月の時期に木を伐るわけ〜「月と農業」から

 2年ほど前(2006年9月15日)、このブログでエルヴィン・トーマという人の書いた「木とつきあう知恵」(地湧社)を紹介したとき、建材として使う木は、冬の新月の日に伐らなければならない、と書きました。植物や動物の生理が月齢によって支配される、というのは当然としても、何故新月なのか、ずっと疑問に思ってきました。
 最近、偶然書店で、「月と農業」(農文協)という本を見つけたので、早速購入しました。著者は、南米コロンビア生まれのハイロ・レストレポ・リベラという農学者で、アステカ、インカの昔から中南米に伝わる月齢を基本とする農法が絵本にして解説されています。
 リベラによれば、植物の樹液の流れは月齢に支配されており、満月→新月には樹液は上から下に流れ、新月→満月には下から上に流れるということで、中南米の農民なら誰でも知っていて、播種、植え付け、剪定、収穫など全ての農作業を月齢によって決めているそうです。
 その説に従えば、樹木においても新月の時には樹液は最大限根に移動しており、地上部の幹には樹液が少なく細胞が密になっているので病虫害に冒されにくい、ということになります。この時が伐採の最適期であることはゆうまでもありません。逆に、苗木の定植や接ぎ木、挿し木は上弦から満月にかけてが適齢期になります。一方、果実などの果菜類のの収穫には満月の周辺が最も適齢期ということになり、根菜類の収穫は新月の時がよいことになります。
m1939923 at 00:10|この記事のURLComments(1)農業 | 森林

2008年07月11日

わんちゃんの注文住宅

 高知県土佐町に、犬小屋の製作・販売だけで、年間7,000万円もの売り上げがある犬小屋専門の工房がある、というすごい話しが、7月8日のNHKテレビで紹介されました。早速インターネットで調べてみました。HPは、http://inugoyak.com/
 話しの主は、30年間関西で住宅の設計・営業、施工管理の仕事をし、農業を継ぐために故郷にUターンして、大工の腕を生かして人間用の家屋ならぬ、おいぬ様のハウスを製造・販売している川村さんという49才の方でした。
 土佐町を含む高知の嶺北地方は、吉野川の源流地域にあり、森林県の高知でも特に良質なスギを大量に産出することで知られているところです。そのスギやヒノキをふんだんに使い、全国から殺到する注文に丁寧に応えて、飼い主の住宅にマッチする、そのイヌだけのオリジナルな犬小屋を造るので評判になっている、というのです。それを作るのは家つくりが本職の10人の大工さんで、年間500棟もの犬小屋を供給している、ということです。住宅建設の低迷で仕事の減った地場の大工さんにとってもありがたいことに違いありません。
 さすがに木材どころのことで、川村さんは原木(丸太)を大量に買い付け、それを製材して犬小屋の材料にする、というのですから驚きです。
 価格は、安いモノで3万円程度ですが、最近では1軒40〜50万円もするイヌの邸宅を注文する人も増えてきた、とNHKでは報道していました。こうなるともう、たかが犬小屋とは云わせません。
 以上は、テレビ報道とインターネットだけからの情報です。HPをみるだけでも楽しいですが、近いうちに川村さんの工房を訪ねてみようと思います。もっと面白い話しが聞けるにちがいありません。

2008年07月10日

高知県田野町で順調に動く「ペレット焚き冷暖房システム」

5b16e8f7.jpg 矢崎総業が今年から発売を開始した”ペレット焚き吸収式冷暖房システム「アロエース」”2台が、6月末から高知県田野町の四国部品(株)田野工場に設置され、運転されています。四国での第一号です。
 写真は、田野工場の屋外に設置された30RTの装置2台とホッパーです。ペレットは、梼原町のゆすはらペレットから、矢崎総業の社内便で運ばれた全木ペレットです。ホッパーの容量は8.8立米です。
 当日は、外気温が30℃をはるかに越えるような暑い日でしたが、3,450m2の工場に入るとひんやりとしていました。設定温度は27℃だそうです。
 まだ運転開始して十数日しかたっていませんが、順調に稼働しており、特に問題になることはないということです。ペレット消費量などのデータ採取などはこれからです。予定では、年間のペレット使用量は1台あたり30トン程度です。
 ペレット焚きアロエースは、現在梼原町で3台(梼原中学宿舎に2台、四国部品梼原工場に1台)の30RTを設置工事中で、運転開始は9月になるようです。
 ちなみに、販売価格は30RTのもので1台が1,400万円で、従来のガス焚きのものに比べて5割増しということです。

2008年06月05日

(株)相愛が木質燃料によるハウス加温機の開発報告会開催

 5月27日(水)、高知県芸西村で(株)相愛(高知市)主催の、「未利用の森林資源を利用した園芸用ビニールハウス暖房用エネルギーの地産地消システム事業調査事業」という長い名前の報告会が開かれました。参加者は100人を越え、石油価格の高騰に対する木質バイオマス燃料に対する期待が如何に大きいかを示しています。
 これまでも書いてきましたが、当社の設備の特徴は、これまでの重油ボイラーの熱交換機などはそのまま利用し、バーナー部分だけを新開発の小型のペレット焚きバーナーに変更するもので、その分安価に導入できることです。

 報告会では、相愛の担当者より、新開発バーナーの性能の紹介、村内の実際のピーマン栽培ハウスでの適用結果の概要の他、本事業を開始するに至った背景とビジョン(目指すべき社会システム)、事業の実施体制と解決すべき課題などが語られました。
 試験ハウスでの適用結果の詳細については、共同研究者の高知大学農学部・宮内准教授より、隣接する重油ボイラー設置ハウスとの比較した結果を中心に報告されました。内容の詳細はここでは省略しますが、結論としてハウス暖房に使用することについて温度管理など十分な信頼性があること、排ガスなどになんの問題もないこと、ピーマンの生育(生産量)はむしろ向上したこと、などが示されました。そのうち、専門誌などで報告されると思います。
 問題の燃料使用量(コスト)は、テスト期間を通してm2あたり重油(リットル当たり90円として計算)が148円だったのに対し、木質ペレット(35円 /kg)では84円と、大きな差となりました。実際のA重油価格は、6月に入って115円を超えているので、今秋以降の燃料費の差はもっと大きくなるはずです。
 相愛では、今回の実証試験に用いたバーナーは、6万kcal/hでしたが、秋までには最も要望の大きい12万kcalのバーナーを製作することにしており、その準備は進んでいるとのことです。もちろん温水ボイラーでの使用も可能です。(株)相愛では、今秋には30台程度を芸西村内のハウスに導入することを目指しています。導入に要する費用については、12万kcalバーナーにサイロや燃料給送装置を含めても200万円よりはかなり安い、と推測されますが、バイオマス利用を加速させるためには伊達市のような大きな公的支援が必要なことは論を待ちません。
問い合わせ先は、(株)相愛 高知市重倉266-2、電話 088-846-6700、e-mail:fukuda@soai-net.co.jp,

2008年06月04日

北海道伊達市におけるハウス暖房設備の導入

 今年3月3日付けの農業新聞によると、北海道伊達市ではJAと提携してこの2年間5台のペレットボイラーを農業ハウスに設置してテストしてきましたが、この度ハウス暖房用に一挙に60台のペレットボイラーを農家に導入する計画を発表しました。
 記事では、ボイラーのメーカー名などはわかりませんが、温水式と温風式の両方あり、農家の負担は市価の1割程度の24万円で、残りの9割は環境省事業と市の上乗せ補助でまかなうそうです。総事業費は、ペレット製造施設の建設とボイラーを合わせて 4億3000万円といことです。
 ペレットの原料は、市内のカラマツ間伐材を利用することになっています。また、伊 達市では、バイオマスで加温して作った農産物のブランド化により付加価値を高める ことを目指しているようです。

 高知県は、最も早くからハウス用のバイオマス暖房設備の導入に取り組んでいおり、今秋には芸西村に導入されると期待されていますが、普及では北海道に一歩も二歩も譲っ た感じがあります。農家にとっては200万円もの設備投資はあまりにも負担が大きく、国や自治体による公的支援が普及のカギを握るのは自明のことでしょう。例えば、2億円程度の資金で100台ものバイオマスボイラーが導入できるのですから、温暖化物質排出抑制の面から考えても、バイオエタノールに無駄金を投資することに比べて、はるかに効果は大きいように思えます。

2008年06月03日

(株)竹産が発酵竹紛の発売開始

 高知県香美市の(株)竹産(柴田社長)が、珍しい発酵竹紛脱臭剤の製造に成功し、発売を開始しました。このニュースは既に高知新聞(5月8日朝刊)に報じられたので、ご覧になっている方も多いと思います。
 社長の柴田さんは、これまで建設会社で働いていましたが、周辺に孟宗竹の放置竹林がはびこり、これが森林荒廃の原因の一つになっていることを感じ、これをなんとかしようと脱サラして孟宗竹粉体の発酵法を研究してきましたが、1年間の努力が実ってようやく高性能脱臭剤の製品化に成功したということです。

 竹紛は活性炭に匹敵する脱臭性能を持つことはわかっていましたが、このままではすぐカビが生えたり無視に喰われるので使い物になりません。しかし発酵させてしまえばカビも生えずに安定な上、脱臭力や抗菌作用が高まるということです。
 この新しい発酵竹紛は、柴田さんの実験から以下の効果が認められています。歯磨き、入れ歯の殺菌・保存、冷蔵庫の脱臭剤、ペットの糞尿の処理、体臭の消去(湯でシャンプーと一緒に使う)、生ごみや下水の脱臭・浄化、介護医療への利用(ベッドや寝具の脱臭)、牛豚鶏舎の脱臭、くみ取りトイレ(粉末を散布)、入浴剤(かゆみや湿疹が消える)、タバコや車の臭い消し、靴の悪臭、など。その他、多くの使い道が考えられ、河川の浄化など用途開発を研究しています。
 製造法は、竹をオガクズ製造器で4mm以下に粉砕し、水分と温度を管理しながらビニルハウス内で約2週間自然発酵させます。この間何度も切り返すのがコツです。発酵が終わったら、2mmに篩い、ハウスの中に広げて約2ヶ月かけて水分10〜15%になるまで自然乾燥させてようやくできあがります。竹粉の一部は製粉機を用いてさらに細かくします。
 製品には、微粉(0.1mm以下)〜2mmの各サイズの粉体があり、用途によって使い分けます。販売価格は、kgあたり2000〜2500円。現在は土佐山田のホームセンターのみで売られていますが、全国販売を視野に入れており、希望者にはサンプルをお送りしています。新商品として水と炭酸ガスで分散させた乳液スプレーを開発中とのことです。
連絡先は、(株)竹産(香美市土佐山田町2172-1、柴田満寿夫社長), 電話:0887-52-0679、
HP:http://www.chikusan-kochi.com
e-mail:shibata@chikusan-kochi.com,

2008年06月02日

中国黄土高原の旅−(3)水位低下と水質悪化が深刻な黄河流域

32091984.jpg 中国5000年の歴史の舞台となってきた黄河は今深刻な問題を抱えています。水位の低下と水質の悪化です。本年5月の National Geographic誌 が詳細な報告記事を特集しています。
チベット高原の氷河と地下水を出発して5460km流れて渤海湾にそそぐ黄河は、その間に無数の支流を合わせて大量の水と土砂(黄土)を運ぶために、中国の人民に富をもたらすだけでなく、頻発する洪水が人々を苦しめてもきました。「黄河を制するものが中国を制する」のことば通り、古の堯・舜・禹も黄河の治水に成功することによって聖王とあがめられるようになったのです。それでも、荒れる黄河は、最近2500年の間に1500回以上も流れを変えてきたと云われています。
 今、その黄河の水位低下は深刻で、下流に行くほど水位が下がり、最近では河口から100km以上に水が流れていないと云われています(断流減少)。温暖化の影響により黄河の水の50%を供給する氷河の後退もその一つの原因ではありますが、それよりも農業用・工業用に無計画に大量の水を消費していることの方が大きいと思われます。今回の旅では、黄河の2番目に大きい支流と云われる汾水(汾河)に沿って南下しましたが、大河であるはずの汾水には水はチョロチョロという感じでした。最大の支流である渭水(渭河)は橋を渡っただけでしたが、やはり水量はみじめなものでした。(写真は、竜門付近の黄河本流)
 水量の減少よりも深刻なのは水質です。本流だけでなく多くの支流沿いに化学工場などの工場が廃液を垂れ流すために、有毒化学物質の濃度が高まり、ガンが多発する地域が増えています。今では蘭州より下流では、支流を含めてほとんどが飲料に適さないどころか、農業や工業用にも不適とされる河川が増えています。そのため、至る所無秩序に地下水の採取が進み、今や中国全体の水消費量の2/3は地下水でまかなわれているいるのです。地下水位は低下の一途をたどり、地下水の汚染も深刻となっています。
 中国政府は、オリンピック開催を控えて北京の水不足に対して「南水北調計画」をたて、長江の水を北京に運ぶ水路の建設を急いでいるようですが、これとて北京以外の黄河流域地帯を潤すものではありません。超大国への道を歩む中国にとって、最大のアキレス腱は水かもしれません。
m1939923 at 00:07|この記事のURLComments(0)環境 

2008年06月01日

中国黄土高原の旅−(2)山西省の歴史と観光の楽しみ

c08867af.jpg 山西省は、中国随一の石炭の産地で、石炭採掘、コークス工場、火力発電が多く、空気は中国で一番悪くてマスクは欠かせませんが、それだけに中国では豊かな地域ということになっています。石炭やコークスは、鉄道や大型トラックに積まれて天津港に運ばれ、そこから全国に運ばれます。北京オリンピックの直前ということもあるでしょうが、どこも建築ラッシュです。石炭を積んだトラックのために、片道3車線の高速道路は日常的に大渋滞だそうです。今でも中国のエネルギー源の中心は石炭なのです。石油が不足しており、軽油の値段がガソリンよりも高いという不思議な現象もありますが、軽油1回の給油が20リットルに限られているので、どこのGSも大行列です。(昨年旅行した甘粛省では大型車はほとんどLPGを燃料としていました。)
 山西省というのは、西と南が黄河で、その南部は古代中国の”中原”と云われていた所です。伝説の帝王である堯・舜・禹の墳墓はすべて山西省の西南部にあります。禹を始祖とする夏帝国や、甲骨文字で有名な商帝国(日本では「殷」と呼ばれることが多い)の中心部はここだし、春秋時代(紀元前700〜500年)は「晋」という大国が今の山西省全域を支配していました。そのため、山西省の別称は「晋」で、自動車のナンバープレートに記されています。次の戦国時代(紀元前500〜220年)には、晋は韓・魏・趙に分裂し、この地帯は秦始皇帝による全国統一までの長い間最も激しい戦場となり、長城も作られました。一説によれば、この地帯に森がなくなったのはこの時代ではないかと云われています。その後、3世紀に三国を統一し全国統一を果たした「晋」、仏教文化で名高い「北魏」、大帝国を作り上げた隋・唐などがこの地域から出ました。まさに古代中国の中心地だったことがわかります。それだけに古代遺跡や初期仏教文化の宝庫でもあるのです。北魏時代に作られた雲崗の石窟は大同市の郊外にあります。高知に関係の深い五台山も山西省にあり、今でも仏教の3大聖地の一つとしてあがめられています。但し、本物の五台山は、標高3000m近い連山で、そう簡単に行けるところではありません。
 旅行中の圧巻は、壺口瀑布でした。それまで川幅数百メートル(季節によって異なる)でゆったり流れていた大黄河の川幅が一気に十数メートルに狭められ、黄色い瀑布となって落下している地点です。そのド泊力は筆舌に尽くしがたいものです。逆に、ここからわずか60km下流の竜門(登竜門の語源)では川幅が一気に3kmに広がり、海のようになります。ここの西側が陝西省の韓城で、戦国時代の韓の首都だったこともある街です。
m1939923 at 00:30|この記事のURLComments(0)