2005年11月

2005年11月28日

職人という人(1)

 前回、大工さんの仕事について書きました。前にも書きましたが、私は大工仕事の経験はありません。日曜大工をしている方もみえると思いますが、レベルはそれ以下だと思います。

 しかし、子供の頃から大工さんたちと接してきましたし、社会人になってからも多くの職人さんたちと一緒に仕事をしてきました。非常に几帳面な人、雑な人、仕事のスピードがやたら速い人、遅いけれど丁寧な人、おしゃべりな人、無口な人、本当にいろいろなタイプの職人さんがいます。

 そんな多くの職人さんの中で、仕事のできる職人さんにはいくつかの共通点があるように思います。

 まず、第一に一般の大人といわれる人より多くの子供の心をもっているということです。こどもが工作に熱中して、お母さんの声が聞こえないといったような、純粋な子供の心を持っています。

 小さなプラモデルの家を作るだけでも楽しいのに、実物大(当然ですが)の家の『模型』を、それも一つ一つの部材を自分自身の手で加工しながら、ほとんど自分ひとりで造ってしまうなんて、想像するだけで子供心をくすぐる楽しい作業だと思います。

 今、ベテランといわれる50代の大工さん多くは、中学を卒業すると親方に弟子入りして、家を建てることを教えてもらいました。サラリーマンのように転勤や配置転換はありませんので、以来40年近く家を建てていることになります。物を作って楽しいという子供のような心、住む人に喜んでもらってうれしいという純粋な心がなければとても続けられないと思います。

しかし、頑固なところ、偏屈なところ、子供のような理屈を言ってへそを曲げたりなど、職人気質という心のしこりもそんなところから出来上がってくるのかもしれません。仕事を続けていく中で、削り落としていかなければならない過程や、受け入れることを拒否するような部分があるような気がします。

少し長くなってきましたので、第二・第三の点は次回にさせていただきます。


m704889 at 23:57|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年11月23日

大工さん

 小学生のなりたい職業ベストテンにもよく顔を出す大工さん、大工と言われてどんな姿を想像するでしょうか? 

 神社仏閣などを建てる宮大工、住宅の新築工事などで棟上げしている大工さん、かんな掛けや墨付けをしている姿、ハッピにねじり鉢巻で道具箱を担いでいる姿を想像する方もいるでしょう。

 大工さんには内部の造作だけをする造作大工さん、墨付けから刻み・建て方まで行なう大工さん、そんな大工さんを束ねる棟梁までいろいろいます。大工さんと一言で言ってもその技術のレベルには大きな差があります。
 一般的には、新築の住宅でパンパンと機械でくぎを打っているのを、大工さんだと思われているのではないでしょうか。

 私が子供のころよく目にした、大工さんがカンナがけをする姿なんてほとんど見かけなくなりました。むかしは、見習から一人前の大工さんになるには7〜8年はかかったようですが、現代では、建物の部材もできる限り工場で作りプレハブ化へ、大工仕事もできる限り単純化し、2・3年すれば一人前に家が建てられるようになりました。
 また、本体を建てるのは鳶職さん、外壁はサイディング屋さん、内部の造作は大工さんと分業も進め、建物がより早く効率よく建てられるように工夫されてきました。

 しかし、こんな話を聞いたことがあります。
『神戸の地震の時に、若い大工さんはいつも使っている電動工具を持っていった。ベテランの大工さんはいつも使っている道具箱を持っていった。電気の通ってない地域では当然電動工具は使えなかった。』

 施工技術や加工技術の進歩はすばらしいことだと思いますが、基本の部分を抑えないと役に立たないという例かもしれません。
私は建築の図面をよく書いていますが、建築士の試験では製図という科目があります。これだけパソコンが普及し、CADで図面が描かれている時代に、手書きの図面をいつまでも描いているのはナンセンスだという意見があります。しかし、電気がなければパソコンでは図面を描けませんが、手書きであれば紙と鉛筆があればどこでも描けます。

 ちょっと話が横道にそれましたが、木で家を造るという技術は何百年もかけて進化してきました。ノミやカンナ、さしがねなどの道具ひとつとっても突然の発明ではなく、長年の技術の積み重ねの上でできたものです。そんな大工さんの技術を自分たちの時代で切らすことなく、大切に受け継いでいきたいと思います。

追記、えらそうなことをダラダラと書きましたが、私はノミもカンナも使えません。単なる営業マンです。しかし、子供のころから身近に大勢の大工さんがいました。その視点から大工さんについて思ったことを書きました


m704889 at 00:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年11月18日

地産地消

 地産地消という言葉を最近よく耳にします。「地元生産―地元消費」を略した言葉で、地元で生産されたものを地元で消費するという意味の造語だそうです。

 食に対する安全・安心志向が背景にあるようです。スーパーの食品売り場で野菜や魚などの生産地を見ると、はるか海のかなたの遠い国から来ているものも珍しくなくなりました。

 同じように、家づくりの現場でも多くの輸入材が使われています。身近に山があり、そこには多くの木がありながら、それらを使うよりも輸送コストをかけて海外から材木を仕入れるほうがコストが安いからです。

 おかげで地元の山は木が切られることなく、荒れてしまっている山もあるそうですそうです。おかしな話です。
 
 そんなこともあってか、地元三重の県産材を認証しもっと有効に使ってもらおうという動きがあります。「三重の木」で家を建てようという「三重の木」認証制度です。

 これはただ単に県産材を使いましょうというだけでなく、対象部位の木材の材積50%以上県産材を使えば、36万円の補助金が出るという大きな特典があります。そんなにややこしい手続きは要りませんので、現在木造軸組み工法で新築を検討している方がいれば、ぜひ問い合わせてみてはどうでしょうか。

 モリセイでもこの10月に上棟した物件でこの制度を利用させてもらいました。検査にみえた県の担当者の方に聞いたのですが、限定200戸の枠に対してまだ60棟ほど(10月現在)しか申し込みがないとのことでした。PR不足なのかもしれませんが、どんどん普及していってほしい制度です。

 三重県は尾鷲ヒノキをはじめ杉や檜の産地です。そんな三重の木をこれからも使っていきたいと思います


m704889 at 22:17|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年11月14日

家づくり最前線スタート

私は町の小さな工務店で営業をしています。

小さいがゆえに、営業マンであり、設計者であり、現場監督であり、修繕担当でありと一人で何役もこなさなければなりません。

しかし、お客様と直接話をし、お客様の要望を図面に反映し、お客様の生活に合ったものを提案し、造っていくというやりがいのある仕事であるともいえます。

こう思えるようになってきたのも、10年間の建材メーカーでの設計の仕事し、その後現在まで住宅の仕事を続けてきて、建築という仕事は非常に幅広く、奥が深いものだと身にしみて感じるからです。

木の種類や自然素材、屋根・外壁や床材をはじめとする建材類、システムキッチンやユニットバス等の設備器具類、水道工事や電気工事に基礎工事、大工さんなどの職人の技術、また建築士に代表されるように構造計算や建築法規などの勉強、融資や税金に関する知識・不動産関係等など建築といってもさまざまな分野があります。そしてそれぞれの分野が何冊も本が書けるほどの奥行きがあります。いったい何から手をつけてよいのか途方にくれることもあります。

しかしそんな建築の大きな森の中で日々奮闘しながらも、モリセイの理想の家づくりを見つけていきたいと思います。

このブログはそんな日々の家づくりの最前線で、思ったこと・感じたことを書き留めていきたいと思います。知識不足からの思い違いや、視野の狭い見方もあると思いますが、現在勉強中ということでお許しください。


m704889 at 23:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)