2007年05月
2007年05月29日
ファイル02 驚きのシロアリ被害
改修の工事などで壁や床をめくってみると、土台や柱がシロアリに食われていたなんていうことがよくあります。先日工事を行ったお宅も被害がありました。床全体がふわふわとしており、床下がどうもシロアリに食われているようなので、床板をめくってみることにしました。床板をはがしてみると大引・束はほとんどシロアリに食われ、よく床が落ちなかったものだという状況でした。シロアリの食欲というものはすごいものですので、ついこの間も3日間角材を地面の上において置いたら、表面が5ミリほどえぐれるぐらい食われていました。
このようなシロアリの被害があるお宅には、いくつかの共通点があるようです。
まず、第一の原因が雨漏りです。屋根からの雨漏りの場合もありますが、結構多いのが、モルタルを塗った外壁でクラック(ひび割れ)などができているケースです。築20年から30年ぐらいの建物に多い外壁仕上げなのですが、表面の塗装も劣化し、壁のモルタルに水がしみこむようになると、冬場に凍りクラックができます。そのクラックから水が染み込むと、モルタルの内部は乾きにくくいつまでも湿った状態になります。これに日があたり内部が蒸れるとさらに条件が悪くなります。
第2の原因は給排水からの水漏れです。壁の蛇口の取付部分で水漏れしていてタイルの裏側をぬらしていたり、排水のホースに穴があき床下に水を漏らしていたというケースです。これは台所でよく見られます。
第3の原因はタイルなどの隙間から水が漏れるケースです。これは在来工法のタイル張りの浴室やタイル張りのトイレでよく見られます。
水がもれていたら必ずシロアリに食われるかというとそうでもなく、気温や湿度や時期など条件がそろうとはシロアリに食われるようです。
今までにシロアリ被害の一番大きかったのが、ホームページの『驚きのシロアリ被害』(2005.10.25UP)に写真の載せているお宅です。このお宅のケースを次回ご説明します。
このようなシロアリの被害があるお宅には、いくつかの共通点があるようです。
まず、第一の原因が雨漏りです。屋根からの雨漏りの場合もありますが、結構多いのが、モルタルを塗った外壁でクラック(ひび割れ)などができているケースです。築20年から30年ぐらいの建物に多い外壁仕上げなのですが、表面の塗装も劣化し、壁のモルタルに水がしみこむようになると、冬場に凍りクラックができます。そのクラックから水が染み込むと、モルタルの内部は乾きにくくいつまでも湿った状態になります。これに日があたり内部が蒸れるとさらに条件が悪くなります。
第2の原因は給排水からの水漏れです。壁の蛇口の取付部分で水漏れしていてタイルの裏側をぬらしていたり、排水のホースに穴があき床下に水を漏らしていたというケースです。これは台所でよく見られます。
第3の原因はタイルなどの隙間から水が漏れるケースです。これは在来工法のタイル張りの浴室やタイル張りのトイレでよく見られます。
水がもれていたら必ずシロアリに食われるかというとそうでもなく、気温や湿度や時期など条件がそろうとはシロアリに食われるようです。
今までにシロアリ被害の一番大きかったのが、ホームページの『驚きのシロアリ被害』(2005.10.25UP)に写真の載せているお宅です。このお宅のケースを次回ご説明します。
2007年05月27日
ファイル01 床下浸水の家(4)
話しを聞いてみると、工事を行ってからご主人が定期的に床下を確認していたそうです。ある日、床下を見てみると、今まで水のなかった台所の床下に水溜りができていたそうです。私が行ったときには、もうすでに乾き水溜りはありませんでしたが、どうも今回は排水が原因ではなさそうです。水溜りのできる場所は台所の窓際ばかりです。話から想像すると原因は雨のようです。
当初から気になっていたのですが、今回のお宅は基礎の土間(ベタ基礎の床部分)が外部の地盤より低いのです。基礎の土間は、通常最低6cmぐらいは外部の地盤よりあげますが、このお宅は逆に5cmぐらい外部の地盤より低いのです。このため、一番最初に、物置で水が染み出ていたのと同じで、基礎の型枠のセパレーターが原因と考えられます。対策としてはセパレーター部分で防水の処理をして、建物の周りに犬走り(コンクリートの部分)をつくり、基礎周りの地盤が濡れないようにすることです。台所以外の部分はほとんどコンクリートが打たれており、土と接しているのは台所周りぐらいでしたので、早速対応することにしました。工事後、大雨が何度もありますが、水はでていないようなので、今度こそ大丈夫でしょう。
今回は、欠陥住宅といわれてしょうがないような家でした。ただ救われたのは、仲介をされた不動産屋さんが非常に親切な方で、かかった費用はすべて不動産屋さん負担してくれたことです。ご夫婦も今では家の不安から解放されしたことでしょう。
当初から気になっていたのですが、今回のお宅は基礎の土間(ベタ基礎の床部分)が外部の地盤より低いのです。基礎の土間は、通常最低6cmぐらいは外部の地盤よりあげますが、このお宅は逆に5cmぐらい外部の地盤より低いのです。このため、一番最初に、物置で水が染み出ていたのと同じで、基礎の型枠のセパレーターが原因と考えられます。対策としてはセパレーター部分で防水の処理をして、建物の周りに犬走り(コンクリートの部分)をつくり、基礎周りの地盤が濡れないようにすることです。台所以外の部分はほとんどコンクリートが打たれており、土と接しているのは台所周りぐらいでしたので、早速対応することにしました。工事後、大雨が何度もありますが、水はでていないようなので、今度こそ大丈夫でしょう。
今回は、欠陥住宅といわれてしょうがないような家でした。ただ救われたのは、仲介をされた不動産屋さんが非常に親切な方で、かかった費用はすべて不動産屋さん負担してくれたことです。ご夫婦も今では家の不安から解放されしたことでしょう。
2007年05月24日
ファイル01 床下浸水の家(3)
懐中電灯で洗濯機の排水を見てみると、洗濯機パン(洗濯機の下に置かれている樹脂製の箱)の排水ホースが、そのまま床に向かって垂れ下がっていました。そして、そのホースが差し込まれるべき排水パイプの切り口には、なんとテープが巻かれているではありませんか。実は、つまりなどの不具合があり排水が漏れ出したのではなく、信じられないようなことですが、建てられた当初から洗濯機の排水が床下に撒かれていたのです。洗濯機パンをつけた職人さんは一体どのようにつけたのでしょうか?故意に繋がなかったのではと想像できるほどの工事です。
原因は判りましたので、早速修理です。まず、洗濯パンの排水ホースを排水管の中に差し込みます。続いて床下換気口をはずし、水中ポンプで水をくみ出します。しかし、基礎の土間は、水勾配を採ってあるわけではないので3cmぐらいの水は残ります。そこで、次は大きなスポンジで水を吸い込ませ、バケツで運ぶということになります。水をくみ出すのに二人で二日間かかりました。
さてトイレです。こちらは土が入っていますが、べとべとに塗れているため、すべて入れ替えなければなりません。こちらも入替だけで二人で二日間みっちりかかりました。今度のトイレの床はサニタリー用の板張りとして仕上げました。何とかすべての工事を終えた頃には、床下の基礎面もすっかり乾き無事工事を完了しました。
その後、職人さんと今回の件は笑い話として話していましたが、それも記憶から薄れてきた数週間後のある日、施主さんのほうから電話がありました。なんとまた床下に水がたまるというのです。(つづく)
原因は判りましたので、早速修理です。まず、洗濯パンの排水ホースを排水管の中に差し込みます。続いて床下換気口をはずし、水中ポンプで水をくみ出します。しかし、基礎の土間は、水勾配を採ってあるわけではないので3cmぐらいの水は残ります。そこで、次は大きなスポンジで水を吸い込ませ、バケツで運ぶということになります。水をくみ出すのに二人で二日間かかりました。
さてトイレです。こちらは土が入っていますが、べとべとに塗れているため、すべて入れ替えなければなりません。こちらも入替だけで二人で二日間みっちりかかりました。今度のトイレの床はサニタリー用の板張りとして仕上げました。何とかすべての工事を終えた頃には、床下の基礎面もすっかり乾き無事工事を完了しました。
その後、職人さんと今回の件は笑い話として話していましたが、それも記憶から薄れてきた数週間後のある日、施主さんのほうから電話がありました。なんとまた床下に水がたまるというのです。(つづく)
2007年05月22日
ファイル01 床下浸水の家(2)
基礎の開口部からのぞいてみると、廊下部分にはたっぷりと水が漬いています。その左奥の和室や洗面まで水は行っていそうです。早速、奥の和室の畳をめくってみることにしました。畳をのけ床板をめくってみると予想通り、見事に水がたまっていました。束石が隠れるほどでしたので、20cmぐらいたまっていたのではないでしょうか。すぐに、奥さんにも見ていただきました。
このお宅は築8年程で、半年前に購入したばかりとのことでした。和室に布団を敷いて寝てみえるようでしたので、何も知らずプールの上で寝ていたようなものです。当然、前に住んでいた方もまったく気づかなかったのでしょう。しかし、この水は一体どこからきたのでしょうか。もし、水道管から漏れてこれだけたまったのであれば、水道料金が跳ね上がっているはずですが、そんなことは無いようです。ということは排水が怪しそうです。
水の量もありましたので一番怪しいのはお風呂です。浴槽に水をため流してみました。反応なしです。洗い場のほうもシャワーで水を流してみましたが問題無いようです。次に洗面台の水を流しました。次に洗濯機。奥さんに水をためてもらい脱水にしました。和室からのぞいていると、このあたりで水面にかすかな反応がありました。どうも洗濯か洗面の排水が怪しそうです。原因は洗面か・洗濯の排水のようです。
そこで、洗面所の床に点検口を設け、調べてみることにしました。床板を切って洗面所の床下を見てみました。洗面所から先に水を流してみましたが、反応はありません。洗濯機の方を流すとジャバジャバと音がします。そこで、懐中電灯をつけて中をのぞいてみるとなんと。(つづく)
このお宅は築8年程で、半年前に購入したばかりとのことでした。和室に布団を敷いて寝てみえるようでしたので、何も知らずプールの上で寝ていたようなものです。当然、前に住んでいた方もまったく気づかなかったのでしょう。しかし、この水は一体どこからきたのでしょうか。もし、水道管から漏れてこれだけたまったのであれば、水道料金が跳ね上がっているはずですが、そんなことは無いようです。ということは排水が怪しそうです。
水の量もありましたので一番怪しいのはお風呂です。浴槽に水をため流してみました。反応なしです。洗い場のほうもシャワーで水を流してみましたが問題無いようです。次に洗面台の水を流しました。次に洗濯機。奥さんに水をためてもらい脱水にしました。和室からのぞいていると、このあたりで水面にかすかな反応がありました。どうも洗濯か洗面の排水が怪しそうです。原因は洗面か・洗濯の排水のようです。
そこで、洗面所の床に点検口を設け、調べてみることにしました。床板を切って洗面所の床下を見てみました。洗面所から先に水を流してみましたが、反応はありません。洗濯機の方を流すとジャバジャバと音がします。そこで、懐中電灯をつけて中をのぞいてみるとなんと。(つづく)
2007年05月20日
ファイル01 床下浸水の家
物置の床にたまった水をふき取り、よく観察してみると3箇所ぐらいの決まった位置から、水が浮き出してくることが分かりました。そこで、ハンマーで水の浮き出してくる位置を割ってみることにしました。表面のモルタルを撤去してみると、基礎施工時に取り付けるセパレーター(基礎の型枠を組むときに、土間のコンクリートに打付け、型枠の巾がずれないようにする金物)が出てきました。そのセパレーターがストローのようになり、反対側にあるの水分が染み出してきているようです。
まず、想像されたのが、トイレ内の水道管の水漏れです。それであればトイレの床下の土が水で締まり、タイルを貼った床全体が沈むことも納得できます。そこで、早速床下にもぐり調査することにしました。幸い台所の床に床下収納庫があったため、そこからもぐってみることにしました。最初に職人さんに入ってもらい、見てみてもらうと
『えらいことになっとる、一度見てみな』
ということなので、私自身もぐってみました。
床 下は結構広く、四つ這いになれば進めるぐらいの高さがありました。台所とトイレの前を通る廊下の間には基礎の立ち上がりがあったのですが、換気・点検用の開口部が設けてあるため、そこから奥をのぞくと驚くべき光景が広がっていました。
(つづく)
まず、想像されたのが、トイレ内の水道管の水漏れです。それであればトイレの床下の土が水で締まり、タイルを貼った床全体が沈むことも納得できます。そこで、早速床下にもぐり調査することにしました。幸い台所の床に床下収納庫があったため、そこからもぐってみることにしました。最初に職人さんに入ってもらい、見てみてもらうと
『えらいことになっとる、一度見てみな』
ということなので、私自身もぐってみました。
床 下は結構広く、四つ這いになれば進めるぐらいの高さがありました。台所とトイレの前を通る廊下の間には基礎の立ち上がりがあったのですが、換気・点検用の開口部が設けてあるため、そこから奥をのぞくと驚くべき光景が広がっていました。
(つづく)
2007年05月19日
リフォーム事件簿
題名を見ると何か恐ろしそうな感じがしますが、私自身、建築の仕事に20年以上携わってきていろいろな現場を見てきました。その中には、普通では考えられないような驚きの住宅にめぐり合うケースもあります。家電商品などと違い建築はその仕事の良し悪しが、10年後・20年後に現れる場合があります。また、普段の生活にまったく支障なくても、見えない所ではとんでもない事になっていたというケースもよくあります。たとえば壁をめくってみたら、土台がシロアリに食われてほとんど無くなっていたなんていうことはよくあります。そこで、私が体験してきた驚きの現場をご紹介して、家のお手入れの参考にしていただけたらと思います。(ただし、特別すぎて参考にならないものもありますが)
まず、最初は、驚きという点では私の中で一番ではないかと思う物件です。今回のリフォーム事件簿を書いてみようと思ったのは、このお宅があったからといっても過言ではありません。題名をつけるとすれば『床下浸水の家』というところでしょうか。
今から4〜5年前ですが、1軒のお宅から問い合わせがありました。内容は、トイレの床のタイルに隙間ができているので見てほしいということでした。早速見に行くと、確かに壁と床のタイルには5mmほどの隙間ができていました。トイレの床は、基礎の中に土を入れてからコンクリートを打ち、タイルを貼ってあるようなので、中の土が沈んだのかなと思っていると、奥さんから、もう一つ気になるところがあるので見てほしいということでした。クツを履いて外にまわり、トイレの隣にある外から出入する物置に入りました。位置的にはトイレと台所の間で、建物に組み込まれた2帖ぐらいのスペースでした。そこに物を置いておくと、いつも湿気でベタベタになってしまうということなのです。(つづく)
まず、最初は、驚きという点では私の中で一番ではないかと思う物件です。今回のリフォーム事件簿を書いてみようと思ったのは、このお宅があったからといっても過言ではありません。題名をつけるとすれば『床下浸水の家』というところでしょうか。
今から4〜5年前ですが、1軒のお宅から問い合わせがありました。内容は、トイレの床のタイルに隙間ができているので見てほしいということでした。早速見に行くと、確かに壁と床のタイルには5mmほどの隙間ができていました。トイレの床は、基礎の中に土を入れてからコンクリートを打ち、タイルを貼ってあるようなので、中の土が沈んだのかなと思っていると、奥さんから、もう一つ気になるところがあるので見てほしいということでした。クツを履いて外にまわり、トイレの隣にある外から出入する物置に入りました。位置的にはトイレと台所の間で、建物に組み込まれた2帖ぐらいのスペースでした。そこに物を置いておくと、いつも湿気でベタベタになってしまうということなのです。(つづく)