2005年11月23日

大工さん

 小学生のなりたい職業ベストテンにもよく顔を出す大工さん、大工と言われてどんな姿を想像するでしょうか? 

 神社仏閣などを建てる宮大工、住宅の新築工事などで棟上げしている大工さん、かんな掛けや墨付けをしている姿、ハッピにねじり鉢巻で道具箱を担いでいる姿を想像する方もいるでしょう。

 大工さんには内部の造作だけをする造作大工さん、墨付けから刻み・建て方まで行なう大工さん、そんな大工さんを束ねる棟梁までいろいろいます。大工さんと一言で言ってもその技術のレベルには大きな差があります。
 一般的には、新築の住宅でパンパンと機械でくぎを打っているのを、大工さんだと思われているのではないでしょうか。

 私が子供のころよく目にした、大工さんがカンナがけをする姿なんてほとんど見かけなくなりました。むかしは、見習から一人前の大工さんになるには7〜8年はかかったようですが、現代では、建物の部材もできる限り工場で作りプレハブ化へ、大工仕事もできる限り単純化し、2・3年すれば一人前に家が建てられるようになりました。
 また、本体を建てるのは鳶職さん、外壁はサイディング屋さん、内部の造作は大工さんと分業も進め、建物がより早く効率よく建てられるように工夫されてきました。

 しかし、こんな話を聞いたことがあります。
『神戸の地震の時に、若い大工さんはいつも使っている電動工具を持っていった。ベテランの大工さんはいつも使っている道具箱を持っていった。電気の通ってない地域では当然電動工具は使えなかった。』

 施工技術や加工技術の進歩はすばらしいことだと思いますが、基本の部分を抑えないと役に立たないという例かもしれません。
私は建築の図面をよく書いていますが、建築士の試験では製図という科目があります。これだけパソコンが普及し、CADで図面が描かれている時代に、手書きの図面をいつまでも描いているのはナンセンスだという意見があります。しかし、電気がなければパソコンでは図面を描けませんが、手書きであれば紙と鉛筆があればどこでも描けます。

 ちょっと話が横道にそれましたが、木で家を造るという技術は何百年もかけて進化してきました。ノミやカンナ、さしがねなどの道具ひとつとっても突然の発明ではなく、長年の技術の積み重ねの上でできたものです。そんな大工さんの技術を自分たちの時代で切らすことなく、大切に受け継いでいきたいと思います。

追記、えらそうなことをダラダラと書きましたが、私はノミもカンナも使えません。単なる営業マンです。しかし、子供のころから身近に大勢の大工さんがいました。その視点から大工さんについて思ったことを書きました


m704889 at 00:35│Comments(0)TrackBack(0)

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