【日本再建に全力尽くせ】
復興・成長の総合戦略を
内需拡大へ 防災対策に集中投資も
衆院代表質問で井上幹事長
衆院は27日、本会議を開き、野田佳彦首相の施政方針演説に対する各党代表質問を行った。公明党の井上義久幹事長は「日本再建へ全力を挙げる」と強調。大震災の被災地を支援する総合的な復興・成長戦略や、福島県の再生に向けた特別立法の早期成立を求めたほか、社会保障と税の一体改革などの諸課題について政府の見解をただした。
井上幹事長の質問要旨
首相答弁要旨
福島再生へ特別立法を急げ
公約総崩れ、首相は謝罪せよ
年金改革、具体案の提示迫る
恒久的な歳費削減も不可欠
【政治姿勢】井上幹事長は、八ッ場ダム建設中止の撤回、高速道路無料化や子ども手当の頓挫など、マニフェスト(政権公約)が総崩れしたことで「民主党政権は、もはや正当性を失っている」と追及。さらに、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で迷走し、財政悪化を招き、消費増税を公約に反して進めようとする政権運営を糾弾し、「こんな民主党に、もはや政権を任せることはできないというのが国民の率直な思いではないか」と力説した。
【震災復旧・復興】井上幹事長は、被災地の雇用情勢が改善せず、人口流出が顕著化している実態を指摘。その上で「震災版ニューディール政策」として、総合的な復興・成長戦略と復興事業への集中的投資によって、被災地の新規需要や雇用創出を図る取り組みを提唱した。野田首相は「重要な課題」との認識を示し、復興交付金と復興特区制度の柔軟な運用などを約した。
東京電力福島第1原子力発電所事故に関し、井上幹事長は、福島の再生・復興に関する特別立法成立を急ぐよう要請。特に、18歳以下の子どもの医療費無償化、県民の長期的な健康調査と保健・医療・福祉の総合的措置を提案した。さらに除染の着実な推進や食品安全対策などを迫った。
【予算案・経済対策】井上幹事長は12年度予算案を「理念不在の『財政健全化取り繕い予算』『マニフェスト総崩れ予算』」と指摘。野田政権が八ッ場ダムの建設継続を決めたことに触れ「国民にお詫びすべき」と迫った。野田首相は「マニフェストと異なる結論に到ったことは真摯に反省し、お詫びしたい」と陳謝した。
また、井上幹事長は「歴史的な円高やデフレ脱却への道筋は不透明」として、成長戦略などで「政府から力強い発信がなされたとは思えない」と糾弾。デフレ脱却へ需要を拡大するため(1)防災対策の戦略的推進(2)中小企業の海外展開支援(3)中小企業金融円滑化法の期限延長―を訴えた。
野田首相は円滑化法の期限を1年間延長する方針を示した。
【社会保障と税の一体改革】井上幹事長は、消費税率10%引き上げを含む社会保障と税の一体改革に関し「年金抜本改革案など制度の根幹部分がいまだに具体化されていない」と指摘。
民主党が主張してきた最低保障年金の創設に必要な税率などを「早急に提示すべきだ。できないなら、マニフェストの非を認めて国民に謝罪するか、二つに一つ」と迫った。
野田首相は「法案提出に向け党内で検討していく。大きな追加財源が必要になるものではない」と強弁した。
【がん対策】がん対策の数値目標を定めた「がん対策推進基本計画」の見直しについて、井上幹事長は「国家戦略と位置付け、地方自治体と連携して取り組むべき」と促した。
【TPP】井上幹事長は「政府が十分な情報開示と丁寧な説明を怠ってきた結果、国論を二分する対立を招いている」と強調し、「TPP(環太平洋連携協定)交渉の進捗状況を国民に丁寧に説明すべき」と訴えた。
【エネルギー・環境政策】井上幹事長は、原発の段階的縮小に向け、再生可能エネルギーの普及などを主張し「どのように利用拡大を図るのか」と具体策をただした。
野田首相は、再生可能エネルギーの拡大について、設備投資への補助や開発支援の拡充、規制改革を例示し「政策を総動員して推進する」と応じた。
【政治・行政改革】井上幹事長は、国会議員自ら「身を切る」点で、公明主導で昨年半年間、歳費を削減したことを力説し、「今後さらに恒久的な削減を実現すべき」と主張。国家公務員給与の削減の早期実現も促した。
衆院選挙制度改革では、より民意を反映できる制度に改革する中で「1票の格差」是正と定数削減を実現すべきと訴え、民主党の比例定数80削減案には「断固反対」と表明した。
野田首相は議員歳費削減について「与野党協議で具体的に詰め、成案を得られるよう努力する」と答えた。
【年金具体案から逃げるな】
野党に責任転嫁せず首相が明示を
衆院代表質問
民主党の社会保障制度改革の全体像について、今回も野田首相から具体的な明示はなかった。
27日の衆院代表質問で公明党の井上義久幹事長は、消費増税を明記した政府・与党の社会保障と税の一体改革素案に最低保障年金などが含まれていないことを指摘し「実現にあと何%の(消費税)引き上げが必要なのか」と厳しく迫った。
しかし、首相は新年金制度は今後、民主党内で検討していくとし、「相当長期の移行期間を要するため、消費税率の引き上げ幅に影響を及ぼすほどの大きな追加財源が必要になるものではない」と逃げの答弁に終始した。
公明党は民主党の与野党協議の呼び掛けに対し再三、「社会保障の全体像を示すべきだ」と訴えてきた。そうでなければ、後で整合性が取れなくなり、結局、議論をやり直すことになるからだ。
公明党は既に一昨年12月、年金、医療、介護などの現行制度の機能強化などを示した「新しい福祉社会ビジョン」をまとめている。公明党は協議の準備ができている。
だが、呼び掛ける側の民主党がマニフェストに掲げる最低保障年金の具体案を示さないままでは、どれくらいの財源が必要なのか分からない。
まさに、社会保障制度を“家”に例えれば、どれだけの改築を行うのか、それとも全面的に建て直すのかなど、具体的な改革の姿を何一つ示さないまま、費用だけ先に請求しているようなものである。これでは国民が納得できるはずがない。
井上幹事長が「もうこれ以上、逃げ続けることは許されない」と鋭く指弾し、「年金抜本改革の具体案を早急に提示するか、潔くマニフェストの非を認め国民に謝罪するかの二つに一つだ」と決断を促したのも、このためだ。
このほか、代表質問で井上幹事長は総合的な復興・成長戦略と集中投資によって被災地の雇用創出を図る「震災版ニューディール政策」を提案するとともに、原発事故で甚大な被害を受けた福島県の18歳以下の医療費無償化などの被災地支援や、中小企業金融円滑化法の期間延長、がん検診無料クーポン事業の恒久化なども求めた。いずれも緊急かつ重要な提案だ。
先の施政方針演説で野田首相は、協議に応じない野党への責任転嫁に終始した。だが、本気で政治を進めようというのなら、真摯な姿勢で社会保障の全体像を示し、首相自ら協議できる環境を整えることから始めるべきである。
【実態つかみ復興早く】
一体改革の全体像 首相、明確に答弁せず
井上幹事長
公明党の井上義久幹事長は27日、衆院本会議での各党代表質問の後、国会内で記者団に対し、野田佳彦首相の答弁について大要、次のような見解を述べた。
一、東日本大震災からの復旧・復興、原発事故からの福島再生を時間をかけて質問したが、答えぶりは丁寧だったが、「検討する」という答弁が多かったのは大変に残念だ。現場の実態をもう少しつかみ、被災者と被災自治体に寄り添った対応を迅速にしてもらいたい。
一、社会保障と税の一体改革について、全体像を示すべきだと申し上げたが、明確な答えがなかった。特に年金の全体像は党に任せてあるとの答えで、首相がリーダーシップを発揮して協議のための環境づくりをすべきと申し上げたい。全体像を示さずに、取りあえず(消費税率を)8%、10%だと言われても、将来のことが分からないで国民に負担を求めることはできないし、理解を得ることはできない。
【震災関連 10会議 議事録なし】
ずさんな政権運営を露呈
政府は27日、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故への対応に当たった15会議体を調査した結果、原子力災害対策本部(本部長・首相)など10の会議が議事録を作成していなかったと発表した。このうち3会議は、議事概要すら未作成だった。野党はずさんな政権運営に批判を強めており、国会論戦の新たな焦点に浮上してきた。
議事録も議事概要も作っていなかったのは、同本部と緊急災害対策本部、被災者生活支援チーム。政府・東電統合対策室や官邸緊急参集チームなどは議事録を未作成だった。
調査結果を受け、公文書管理を担当する岡田克也副総理は同日の閣僚懇談会で、2月中をめどに、議事概要を事後的に作成するよう関係閣僚に指示した。
岡田氏は同日夕に記者会見し、「原因を分析し、必要な改善策を作ることが必要だ」と述べ、内閣府の公文書管理委員会(委員長・御厨貴東大教授)に原因の究明と対策の検討を要請する方針を表明。当時の関係者の処分に関しては「(震災・原発事故対応で)非常に忙しく、権限関係がはっきりしない中で起きた不幸な事故と想像している。直ちに罰せられるということではない」と否定的な考えを示した。
公明党の井上義久幹事長は同日、国会内で記者団の質問に答え、「(議事録未作成は)由々しき問題だ。政権運営をしている自覚が欠如していると言わざるを得ない」と批判した。
【井上幹事長の衆院代表質問(要旨)】
公明党の井上義久幹事長は27日、衆院本会議で、野田佳彦首相の施政方針演説などに対し代表質問を行った。要旨は次の通り。
資質欠く閣僚、首相に任命責任
野田内閣の政治姿勢
野田内閣発足から4カ月がたちました。
総理の言う「適材適所」とは何だったのか。4カ月で、はや6人の閣僚が交代しました。資質を欠いた大臣の相次ぐ失言と、それによる政治の停滞。総理の任命責任は免れません。
さらに、マニフェストは総崩れ。「建設中止」を掲げた八ッ場ダムは一転、「建設続行」へ。「高速道路無料化」や「子ども手当」も頓挫しました。民主党政権はもはや正当性を失っています。
さらに防衛大臣のたび重なる沖縄への無理解な発言で、県民の不信は決定的となっています。
財政も、「予算を見直せば16.8兆円の財源を生み出せる」と強弁していたにもかかわらず、民主党政権は3年連続で税収額を上回る新規国債を発行し、さらなる財政悪化を招きました。
さらに「消費税は4年間上げない」と言いながら、消費税増税に躍起になっているありさまです。こんな民主党に、もはや政権を任せることはできないというのが、国民の率直な思いではないでしょうか。
震災版ニューディール政策を
震災からの復旧・復興
総理、あなたは2012年を「日本再生元年」と位置付け、東日本大震災からの復旧・復興を内閣の最重要課題として全力で取り組むと表明されました。しかし、被災者の思いや被災地の現実をどこまで本当に理解しておられるのか、甚だ疑問です。
多くの被災者が身を寄せる仮設住宅。1年のうちで最も厳しい冬を迎え、入居されている被災者は大変につらい思いをされています。
また、被災した自治体の多くが、復興計画を具体化するに当たって人材が不足し、それによる復旧の遅れが危惧されています。
産業再生への取り組みにも、今ひとつ政府の真剣さが見えません。
雇用問題が深刻です。被災地では短期雇用の求人が多いため、安定した仕事を求める被災者との雇用のミスマッチが頻発をしています。産業再生とともに、安定的な雇用創出環境が整うまでの間、職業訓練と生活支援を組み合わせた対策など、きめ細かな対応が求められます。
併せて、こうした厳しい雇用情勢を踏まえ、2月末で終了予定の医療、介護負担の特例措置についても、被災者の現状に即した対応を検討すべきではないでしょうか。
さて復興への取り組みで、見落としてならない大きな課題に「人口流出」の問題があります。岩手、宮城、福島の各県が発表している「毎月人口推計」などによると、昨年3月からの9カ月間で被災3県では7万4000人を超える人口が減少しています。
この中には震災で犠牲になられた方々も含まれますが、原発事故や住居の問題などで住民票を移さずに転出された方もおられるので、減少幅はもっと大きいと考えられます。
事実、壊滅的な打撃を受けた宮城県南三陸町のアンケート調査では、実に住民の約2割が町外への転居を予定していると回答しています。
人口流出の大きな要因の一つが、先ほど指摘した地元雇用の遅れであることは明らかです。20代、30代、さらには40代の働き盛りの人口流出が、被災地域の中長期的な衰退をもたらすことを強く危惧します。
またこうした人口動態は、人口減少社会に突入した日本の近い将来の姿にほかなりません。そうした傾向を反転させる取り組みが復興の中で今、求められています。
私は「震災版ニューディール政策」ともいうべき総合的な復興・成長戦略と、復興事業への集中的な投資によって、被災地の新規需要や雇用創出を図る取り組みが必要と考えます。
また、被災自治体が復興に取り組みやすいよう、復興交付金や復興特区制度などの柔軟な運用が重要です。
首相の収束宣言に撤回求める声
福島、原発事故への対応
民主党政権の泥縄式の原発事故対応で、どれほど多くの方々が危険にさらされ、今なお放射能の恐怖と向き合わざるを得ない生活を強いられているか。
昨年末、総理は事故の収束を宣言されました。しかし、事故現場の作業員からは「ウソを言っている」との声が噴出し、福島県議会では宣言撤回を求める意見書が全会一致で採択されています。
東京電力福島第1原発は応急的な循環冷却装置により何とか冷温停止状態を維持している状況です。それがどうして「事故収束」なのか。総理、福島県民が納得する説明を求めます。
◆自主避難に関する賠償問題
昨年12月上旬、原子力損害賠償紛争審査会は、自主避難した場合の賠償を、福島県内の23市町村に限定する指針を示しました。
原発事故で福島県の全県民が不安を感じ、風評被害等で今なお日常生活が阻害されている現状にもかかわらず、賠償範囲を県内で線引きしたこの方針は、県民を引き裂き、県民の心情をないがしろにしていると言わざるを得ません。
◆福島の再生・復興に関する特別立法
公明党は、福島の再生と復興のために、新たな特別法の制定に向けた提言を取りまとめ、発表しました。原子力災害という福島県の特別な事情を深刻に受け止め、一刻も早く国を挙げた支援策が講じられるよう成立を急ぐべきです。
まずは福島県の18歳以下の医療費無償化です。福島の復興に向けて、子どもの健康を守り、総合的に子育てを支援するために、ぜひとも実現すべきです。
また、長期的な県民に対する健康調査を法的に明確にすること、被ばくに起因する健康被害が生じた場合の保健、医療、福祉にわたる総合的な措置の実施についての規定を設けるべきです。
さらに、地域の復旧・復興、新産業創出に向けて、規制緩和や税制上の特例、財政的支援など抜本的な支援措置も重要です。
福島県の全県民に分け隔てなく支援が行き渡るよう、復興交付金、復興基金や原子力被害応急対策基金の積み増し、その弾力的運用も検討すべきです。
◆除染の推進。中間貯蔵施設の建設
放射性物質汚染対処特措法が今月、全面施行しましたが、地元住民からは既に、除染の大幅な遅れを危惧する声が相次いでいます。除染を確実に進めるためには、例えば中間貯蔵施設に必要な土地の買い上げや借り上げ、受け入れ自治体や住民の意向を踏まえた新たな補償措置など、求められる対策を具体的に提示すべきです。
また、自治体による除染を国が代行することも含め、支援体制を強化すべきです。
◆食品安全の不安に応える取り組み
福島県はこの秋の県産米から、ベルトコンベヤー式測定機器により、出荷前の全てのコメを袋ごと検査できる体制を整備する方針を固めました。政府は、こうした取り組みに対して、財政支援措置のみならず、検査人員を派遣するなど、さまざまな支援策を積極的に講ずるべきです。
関連して、政府は来年度から学校給食モニタリング事業を導入するとしています。しかし計算上、福島県内でも1市町村当たり1校程度、福島県外では1都道府県当たり2校程度にとどめるなど極めて不十分であり、体制をさらに強化すべきです。
また同じく来年度から、食品中の新たな放射性物質の許容基準の適用に伴い、自治体における食品の検査機器整備に対する補助制度の創設をめざしています。ところが対象自治体を都道府県や政令市、中核市等に限るなど、極めて不十分です。新基準運用の実効性確保と広範かつ網羅的な放射能検査体制の確立のため、希望する全ての自治体にまで対象を拡大するなど、抜本的に拡充すべきです。
理念不在の健全化取り繕い予算
2012年度予算案
2012年度予算案は、端的に申し上げれば「理念不在」の「財政健全化取り繕い予算」「マニフェスト総崩れ予算」です。
民主党の前原政務調査会長は、八ッ場ダム建設再開を容認した際の記者会見で、「政権交代の理念が骨抜きになった。責任を感じる」と発言し、党の会合でも、マニフェストの実施を断念したことを「しっかりと国民におわびをして出直す」と発言したと伝えられています。
総理、民主党代表であるあなたこそが、いの一番に国民におわびすべきではありませんか。
さて、12年度予算案は、3年続けて新規国債の発行が税収を上回る異常事態となりました。
一般会計の新規国債発行は約44兆円となり、表面上は財政健全化路線を堅持したように装っています。しかし、内実は基礎年金国庫負担2分の1のための財源を一般会計に計上せず交付国債で対応するなど、粉飾的な手法で取り繕っています。
さらに、民主・自民・公明の3党で合意した子どもに関する手当や農業者戸別所得補償制度などの見直しについても、民主党の対応は極めて不誠実です。
具体的に申し上げます。まず、子どもに関する手当について、3党実務者協議は途中で一方的に打ち切られ、結局、民主党が見切り発車して予算措置し、また、改正法案も提出しようとしています。公党間の信義にもとるものであり、誠に遺憾です。公明党は今後、法案審議の場で、名称や所得制限の在り方などについて、修正を求めていきます。
特に、名称については、これまでの協議の経過から、当然「児童手当」とすべきです。提出予定の改正法案も、児童手当法の改正であり、その通り、児童手当の名称を用いることが整合的です。
戸別所得補償制度の見直しも、民主党内の検証作業が遅れ、予算案に反映させるのは困難として協議を一方的に打ち切り、今年度と同規模の予算を計上しています。
公明党は、戸別所得補償制度の見直しに当たっては、定額部分については一定の評価をするものの、米価変動補てん金については収入保険的な制度に見直すこと、また担い手の育成支援や環境直接支払いを充実することなどを主張してきました。
また現在、同制度は予算措置で行われているため法的安定性がなく、農業者からは将来の見通しに不安の声が上がっています。
今後どのように検証を進め、制度に反映させていくのか、また関係法律を今国会に提出する考えはあるのか、答弁を求めます。
円高、デフレ脱却へ道筋不透明
景気経済対策
歴史的な円高やデフレ脱却への道筋は、まったく不透明です。
特に、ヨーロッパの債務危機はいまだに予断を許しません。日本経済は長期のデフレ圧力にさらされ続け、経済社会生活や雇用に大きなゆがみが生じています。歴史的な円高に、企業経営者からは「国内ではもう仕事ができない」「背に腹は代えられず海外移転を真剣に考えざるを得ない」との声が日増しに強まっています。産業の空洞化と雇用の喪失、まさに「日本沈没」の危機にあるという認識と、危機打開に向けた具体的な施策の実行が強く求められます。
こうした日本経済を取り巻く厳しい現実に、民主党政権は成長戦略や景気経済対策、金融政策とどこまで真剣に向き合ってきたのか。また、国際経済の安定化に向けた各国との連携・協調についても、政府から力強い発信がなされたとはとても思えません。
民主党政権には経済の司令塔が不在であると言わざるを得ません。政権交代で「経済財政諮問会議」がなくなり「国家戦略会議」が立ち上がったが機能せず、無為無策のまま時間だけが経過してしまった責任は重大です。
政府が決定した「日本再生の基本戦略」によって、20年度までの10年平均で名目成長率3%程度、実質成長率2%程度とした政策目標は、本当に達成できますか。また「財政運営戦略」に基づく財政健全化目標である「15年度までに国・地方のプライマリーバランスの赤字を対GDP比で半減をする」との目標達成は可能ですか。
11年度第3次補正予算には、産業空洞化対策としての立地補助金や住宅エコポイントの再開、第4次補正予算案・12年度税制改正案には、エコカー補助金・減税が盛り込まれ、一定の評価をします。
しかし、デフレ脱却に向けて、いかに需要を拡大させるかという点では、成長戦略の着実な実行を含め、力不足の感は否めません。
私は具体策の一つとして、「全国における防災対策の戦略的推進」を提案したい。
東日本大震災の教訓を生かし、全国で集中的な取り組みを行い、一層の「災害に強い国づくり」に取り組むべきです。待ったなしの必要なインフラを整備することこそ、国民、国土を守る先行投資であり、需要拡大にも大きく寄与します。
もう一点は中小企業対策です。日本経済を支え、経済成長の源泉となる元気な中小企業を強化する視点を持つべきです。震災で課題となったサプライチェーンを担うのも中小企業、地域の雇用を支えるのも中小企業です。円高メリットを生かし、積極的に海外展開をめざす中小企業への支援も強化すべきです。中小企業の資金繰りは依然厳しく、一層の支援策とともに、中小企業金融円滑化法の期限延長も必要です。
与野党協議の前提欠く素案
社会保障と税の一体改革
公明党は、一昨年の12月、「新しい福祉社会ビジョン」をまとめました。そこでは年金、医療、介護など現行制度の機能強化とともに、急増する虐待や、うつ病など社会の病理的側面への対応をも包摂した新しい福祉の考え方を提案しています。そしてその実現のために与野党協議を呼び掛けてきました。
政府・与党に対しては、初めに消費税増税ありきではなく、協議の前提として、まずは民主党が考える各制度の具体的設計と所要額を明らかにするよう求めてきました。しかし今般の一体改革素案では、民主党が主張してきた最低保障年金を含む年金抜本改革案や高齢者医療制度の見直し案など制度の根幹部分が、いまだに具体的に示されていません。
特に年金制度については、現行制度に基づく改善案を列記し、今国会に関連法案提出を予定する一方で、総理は13年に民主党が考える抜本改革の法案を提出すると明言しています。これでは進め方が逆ではありませんか。初めに全体像を具体的に示し、それに沿った改革を進めていくのでなければ、後で整合性が取れなくなり結局、議論をやり直さざるを得なくなってしまいます。
また、素案に明記された消費税10%には、最低保障年金の所要額は含まれていません。実現にはあと何%の引き上げが必要なのか、明らかにすべきです。
今後の年金の給付水準について、その見通しさえ示すことができないような素案で、本当に国民に負担をお願いできますか。
もうこれ以上、逃げ続けることは許されません。民主党の言う年金抜本改革の具体案を早急に提示すべきです。いつまでに示すのか、明言してください。もし、それができないなら、潔くマニフェストの非を認めて国民に謝罪するか、この二つに一つです。総理の答弁を求めます。
以下、素案についてその他の問題点を指摘します。
1点目は、高齢者医療制度の見直し内容が明記されていません。
2点目に、高額療養費制度の見直しが不十分です。
3点目に、被用者年金一元化です。07年に法案が提出され、当時、廃案に追い込んだのは民主党でした。言わば官民格差の是正を遅らせてきた張本人であり、国民への謝罪と説明が必要です。
4点目は、年金の特例水準の解消です。低年金の高齢者や、同時に減額される児童扶養手当等の受給者の生活にも配慮し、年金額の引き下げではなく、デフレ脱却によって解消すべきです。
5点目に、介護職員の処遇改善について、民主党はマニフェストで月額4万円の引き上げを主張しています。3年に一度の報酬改定であるこの機を逃がせば実現は極めて困難となりますが、公約は断念したのですか。
緩和ケアの浸透、登録法制化を
がん対策
「がん対策基本法」に基づく具体的な取り組み、数値目標を定めた「がん対策推進基本計画」が策定されてから間もなく5年になり、現在、見直し作業が進められています。
昨年6月には、公明党の提案で中間報告がなされ、今後の課題が浮き彫りになりました。
早期発見・完治につながる、がん検診受診率はいまだに低迷状態です。緩和ケアは現場にまだまだ浸透しておらず、患者の痛み・苦しみが続いています。
手術か放射線治療かなど治療法の選択も、医師の認識が薄くセカンドオピニオンが行われづらい状況にあります。がん登録法制化を求める強い声もあります。
これらの課題を引き続き、次期基本計画の重要課題として盛り込むべきと思います。
加えて公明党は、さらなるがん対策の充実に向けて、具体的な提案を行っています。がん検診無料クーポン事業の恒久化や検診種目の拡大、「子宮頸がん予防法」の制定、小児がん対策の強化、がん教育の実施、がんプロフェッショナル養成プランの発展などです。次期基本計画に中間報告を義務付けることも求めています。がん対策を国家戦略と位置付け、地方自治体と連携し、総理自らが先頭に立って取り組むべきです。
TPPについて
TPPは産業界をはじめ国論を二分する対立を招いています。拙速な外交が国益を損なう危機感を覚えます。
情報の提供や正確な分析なくして国民的な議論はできません。政府は、関係国によるTPP交渉の進捗状況を国民に丁寧に情報開示すべきです。
総理は施政方針演説で「アジア太平洋自由貿易圏、いわゆるFTAAP構想の実現を主導」するとしていますが、日本が推進してきた日中韓、ASEAN+3、+6といった広域的経済連携とTPPとの関係・整合性を含め、わが国のFTA戦略の全体像をどのように描いているのか示すべきです。
「原発に依存しない社会」めざせ
エネルギー・環境政策
昨年9月の臨時国会における代表質問で、私は公明党を代表して、「わが国において発生した重大な事故を直視し、原子力発電に依存しない社会への移行に今こそ本格的に取り組むべき」と訴えました。
また、今後、原子力発電所の新増設は基本的に行わず、原子力発電を段階的に縮小していくことを主張いたしました。民主党政権は「脱原発依存」を掲げていますが、「脱原発依存」とは具体的に何を指しているのか、総理の考え方をあらためて伺います。
原子力規制改革について政府は、利用と規制の分離を図るため、環境省の外局として原子力安全庁を設置するとしています。しかし、利用と規制を分離し客観的科学的な規制を確保するためには、政治や利用推進行政からの独立性の確保が不可欠です。独立性をどのように担保するのか、総理の答弁を求めます。
公明党は、原発の段階的縮小に向けて、「思い切った省エネルギーの推進」「再生可能エネルギーの導入」「化石燃料利用の高効率化」を掲げています。
このうち「再生可能エネルギーの導入」については、太陽光や風力などでつくった電気の全量買い取りを電力会社に義務付ける特別措置法が成立し、今年7月の施行から3年間に集中的に利用拡大を図ることとされています。
送電網の利用・整備を含めて、3年間にどのように再生可能エネルギーの利用拡大を図るのか、総理の答弁を求めます。
一方、「思い切った省エネルギーの推進」「化石燃料利用の高効率化」については、発電等で排出される熱の利用が一つのカギになります。その燃料として期待できるのが天然ガスです。エネルギー効率も高い天然ガス・コンバインドサイクル発電等、エネルギー戦略の要として、今こそ天然ガスの確保と利用を強化すべきです。
エネルギー政策の見直しに当たっては、安定供給、特に政治的経済的な状況変化に対応できるエネルギー安全保障の観点が重要です。その要諦はエネルギー源や供給元等の多様化にあります。その点で国内炭の役割についても再評価していくべきではないかと考えます。
先進的な石炭ガス化複合発電等の開発を含め、日本の技術は世界一とされており、これを途上国等に展開すれば大きな貢献が可能です。国内を含め石炭に係る政策について総理の見解を求めます。
格差是正、定数減は制度改革で
政治・行政改革
◆身を切る改革
今必要な事は国会議員や国家公務員が自らの身を削り、国民の改革への共感を得る努力をし続けることです。
公明党は昨年の東日本大震災の発災後、国会議員歳費を削減すべきと主張し、国会議員歳費削減法を成立させ半年間で21億6300万円の削減を実現しました。今後さらに恒久的な国会議員歳費の削減を実現すべきです。
国家公務員給与の削減は、昨年の臨時国会で給与削減のための合意を待つことなく政府・民主党が一方的に国会を閉会してしまいました。その結果、期末・勤勉手当は昨年比で4.1%増。国費ベースで約120億円もの支出増となりました。政府・民主党の猛省を促すとともに、早期の削減に向けた合意をめざすべきです。
◆選挙制度の改革、定数削減
衆議院の選挙制度の改革にあわせ、「1票の格差」の是正、議員定数の削減が急務です。衆院の選挙制度について、最高裁は「1票の格差」という観点で、民意を反映しないゆがみを憲法違反としました。また現行の小選挙区比例代表並立制は、得票率と議席率の乖離が大きい点でも民意を反映しないゆがみがあり、この二つの観点から、より民意を反映する選挙制度への改革が急務と考えます。
民主党の比例区を80削減する案は、現行制度のゆがみをさらに増幅することになり、民意の反映という民主主義の原則に逆行します。より民意を反映できる選挙制度に改革する中で、「1票の格差是正」と定数削減を確実に実現すべきです。
郵政改革
郵政民営化は、05年の衆院選の民意を受けて実現しました。ところが民主党政権が強行した「郵政株式凍結法」の成立により、所有する株式や資産の売却などができないため、新規事業にも参入できず、総資産は減少する一方です。このままでは国民の財産である郵政システムが日々失われ、国民生活に多大な損失を与えることは必至です。
民営化の理念を維持しつつ現行の民営化法を郵政3事業のユニバーサルサービスを確保するという観点で見直すべきであり、早急に結論を出すべきと考えます。
最後にあらためて申し上げます。
総理は先の民主党大会で、消費税増税関連法案に野党側の理解が得られない場合、「法案を参院に送って、野党に法案をつぶしたらどうなるのか考えてもらう」と発言されました。協議を呼び掛けるその先から脅し、開き直りと受け取られるような物言いではとても信頼関係はできません。
本気で協議を求めるならば、真摯な姿勢と、これまで民主党が主張してきた社会保障の全体像を示すなど、協議できる環境を、総理自ら整えるべきではないでしょうか。
公明党は、東日本大震災、原発災害からの復旧・復興に、どこまでも被災者に寄り添い、与野党を超え最優先で取り組む決意です。そして日本が直面する難局を乗り越え、国民が希望を持てる日本再建へ確実に一歩を踏み出すために全力を尽くす決意であることを表明し、私の質問を終わります。
復興・成長の総合戦略を内需拡大へ 防災対策に集中投資も
衆院代表質問で井上幹事長
衆院は27日、本会議を開き、野田佳彦首相の施政方針演説に対する各党代表質問を行った。公明党の井上義久幹事長は「日本再建へ全力を挙げる」と強調。大震災の被災地を支援する総合的な復興・成長戦略や、福島県の再生に向けた特別立法の早期成立を求めたほか、社会保障と税の一体改革などの諸課題について政府の見解をただした。
井上幹事長の質問要旨
首相答弁要旨
福島再生へ特別立法を急げ
公約総崩れ、首相は謝罪せよ
年金改革、具体案の提示迫る
恒久的な歳費削減も不可欠
【政治姿勢】井上幹事長は、八ッ場ダム建設中止の撤回、高速道路無料化や子ども手当の頓挫など、マニフェスト(政権公約)が総崩れしたことで「民主党政権は、もはや正当性を失っている」と追及。さらに、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で迷走し、財政悪化を招き、消費増税を公約に反して進めようとする政権運営を糾弾し、「こんな民主党に、もはや政権を任せることはできないというのが国民の率直な思いではないか」と力説した。
【震災復旧・復興】井上幹事長は、被災地の雇用情勢が改善せず、人口流出が顕著化している実態を指摘。その上で「震災版ニューディール政策」として、総合的な復興・成長戦略と復興事業への集中的投資によって、被災地の新規需要や雇用創出を図る取り組みを提唱した。野田首相は「重要な課題」との認識を示し、復興交付金と復興特区制度の柔軟な運用などを約した。
東京電力福島第1原子力発電所事故に関し、井上幹事長は、福島の再生・復興に関する特別立法成立を急ぐよう要請。特に、18歳以下の子どもの医療費無償化、県民の長期的な健康調査と保健・医療・福祉の総合的措置を提案した。さらに除染の着実な推進や食品安全対策などを迫った。
【予算案・経済対策】井上幹事長は12年度予算案を「理念不在の『財政健全化取り繕い予算』『マニフェスト総崩れ予算』」と指摘。野田政権が八ッ場ダムの建設継続を決めたことに触れ「国民にお詫びすべき」と迫った。野田首相は「マニフェストと異なる結論に到ったことは真摯に反省し、お詫びしたい」と陳謝した。
また、井上幹事長は「歴史的な円高やデフレ脱却への道筋は不透明」として、成長戦略などで「政府から力強い発信がなされたとは思えない」と糾弾。デフレ脱却へ需要を拡大するため(1)防災対策の戦略的推進(2)中小企業の海外展開支援(3)中小企業金融円滑化法の期限延長―を訴えた。
野田首相は円滑化法の期限を1年間延長する方針を示した。
【社会保障と税の一体改革】井上幹事長は、消費税率10%引き上げを含む社会保障と税の一体改革に関し「年金抜本改革案など制度の根幹部分がいまだに具体化されていない」と指摘。
民主党が主張してきた最低保障年金の創設に必要な税率などを「早急に提示すべきだ。できないなら、マニフェストの非を認めて国民に謝罪するか、二つに一つ」と迫った。
野田首相は「法案提出に向け党内で検討していく。大きな追加財源が必要になるものではない」と強弁した。
【がん対策】がん対策の数値目標を定めた「がん対策推進基本計画」の見直しについて、井上幹事長は「国家戦略と位置付け、地方自治体と連携して取り組むべき」と促した。
【TPP】井上幹事長は「政府が十分な情報開示と丁寧な説明を怠ってきた結果、国論を二分する対立を招いている」と強調し、「TPP(環太平洋連携協定)交渉の進捗状況を国民に丁寧に説明すべき」と訴えた。
【エネルギー・環境政策】井上幹事長は、原発の段階的縮小に向け、再生可能エネルギーの普及などを主張し「どのように利用拡大を図るのか」と具体策をただした。
野田首相は、再生可能エネルギーの拡大について、設備投資への補助や開発支援の拡充、規制改革を例示し「政策を総動員して推進する」と応じた。
【政治・行政改革】井上幹事長は、国会議員自ら「身を切る」点で、公明主導で昨年半年間、歳費を削減したことを力説し、「今後さらに恒久的な削減を実現すべき」と主張。国家公務員給与の削減の早期実現も促した。
衆院選挙制度改革では、より民意を反映できる制度に改革する中で「1票の格差」是正と定数削減を実現すべきと訴え、民主党の比例定数80削減案には「断固反対」と表明した。
野田首相は議員歳費削減について「与野党協議で具体的に詰め、成案を得られるよう努力する」と答えた。
【年金具体案から逃げるな】
野党に責任転嫁せず首相が明示を
衆院代表質問
民主党の社会保障制度改革の全体像について、今回も野田首相から具体的な明示はなかった。
27日の衆院代表質問で公明党の井上義久幹事長は、消費増税を明記した政府・与党の社会保障と税の一体改革素案に最低保障年金などが含まれていないことを指摘し「実現にあと何%の(消費税)引き上げが必要なのか」と厳しく迫った。
しかし、首相は新年金制度は今後、民主党内で検討していくとし、「相当長期の移行期間を要するため、消費税率の引き上げ幅に影響を及ぼすほどの大きな追加財源が必要になるものではない」と逃げの答弁に終始した。
公明党は民主党の与野党協議の呼び掛けに対し再三、「社会保障の全体像を示すべきだ」と訴えてきた。そうでなければ、後で整合性が取れなくなり、結局、議論をやり直すことになるからだ。
公明党は既に一昨年12月、年金、医療、介護などの現行制度の機能強化などを示した「新しい福祉社会ビジョン」をまとめている。公明党は協議の準備ができている。
だが、呼び掛ける側の民主党がマニフェストに掲げる最低保障年金の具体案を示さないままでは、どれくらいの財源が必要なのか分からない。
まさに、社会保障制度を“家”に例えれば、どれだけの改築を行うのか、それとも全面的に建て直すのかなど、具体的な改革の姿を何一つ示さないまま、費用だけ先に請求しているようなものである。これでは国民が納得できるはずがない。
井上幹事長が「もうこれ以上、逃げ続けることは許されない」と鋭く指弾し、「年金抜本改革の具体案を早急に提示するか、潔くマニフェストの非を認め国民に謝罪するかの二つに一つだ」と決断を促したのも、このためだ。
このほか、代表質問で井上幹事長は総合的な復興・成長戦略と集中投資によって被災地の雇用創出を図る「震災版ニューディール政策」を提案するとともに、原発事故で甚大な被害を受けた福島県の18歳以下の医療費無償化などの被災地支援や、中小企業金融円滑化法の期間延長、がん検診無料クーポン事業の恒久化なども求めた。いずれも緊急かつ重要な提案だ。
先の施政方針演説で野田首相は、協議に応じない野党への責任転嫁に終始した。だが、本気で政治を進めようというのなら、真摯な姿勢で社会保障の全体像を示し、首相自ら協議できる環境を整えることから始めるべきである。
【実態つかみ復興早く】
一体改革の全体像 首相、明確に答弁せず
井上幹事長
公明党の井上義久幹事長は27日、衆院本会議での各党代表質問の後、国会内で記者団に対し、野田佳彦首相の答弁について大要、次のような見解を述べた。
一、東日本大震災からの復旧・復興、原発事故からの福島再生を時間をかけて質問したが、答えぶりは丁寧だったが、「検討する」という答弁が多かったのは大変に残念だ。現場の実態をもう少しつかみ、被災者と被災自治体に寄り添った対応を迅速にしてもらいたい。
一、社会保障と税の一体改革について、全体像を示すべきだと申し上げたが、明確な答えがなかった。特に年金の全体像は党に任せてあるとの答えで、首相がリーダーシップを発揮して協議のための環境づくりをすべきと申し上げたい。全体像を示さずに、取りあえず(消費税率を)8%、10%だと言われても、将来のことが分からないで国民に負担を求めることはできないし、理解を得ることはできない。
【震災関連 10会議 議事録なし】
ずさんな政権運営を露呈
政府は27日、東日本大震災や東京電力福島第1原発事故への対応に当たった15会議体を調査した結果、原子力災害対策本部(本部長・首相)など10の会議が議事録を作成していなかったと発表した。このうち3会議は、議事概要すら未作成だった。野党はずさんな政権運営に批判を強めており、国会論戦の新たな焦点に浮上してきた。
議事録も議事概要も作っていなかったのは、同本部と緊急災害対策本部、被災者生活支援チーム。政府・東電統合対策室や官邸緊急参集チームなどは議事録を未作成だった。
調査結果を受け、公文書管理を担当する岡田克也副総理は同日の閣僚懇談会で、2月中をめどに、議事概要を事後的に作成するよう関係閣僚に指示した。
岡田氏は同日夕に記者会見し、「原因を分析し、必要な改善策を作ることが必要だ」と述べ、内閣府の公文書管理委員会(委員長・御厨貴東大教授)に原因の究明と対策の検討を要請する方針を表明。当時の関係者の処分に関しては「(震災・原発事故対応で)非常に忙しく、権限関係がはっきりしない中で起きた不幸な事故と想像している。直ちに罰せられるということではない」と否定的な考えを示した。
公明党の井上義久幹事長は同日、国会内で記者団の質問に答え、「(議事録未作成は)由々しき問題だ。政権運営をしている自覚が欠如していると言わざるを得ない」と批判した。
【井上幹事長の衆院代表質問(要旨)】
公明党の井上義久幹事長は27日、衆院本会議で、野田佳彦首相の施政方針演説などに対し代表質問を行った。要旨は次の通り。
資質欠く閣僚、首相に任命責任
野田内閣の政治姿勢
野田内閣発足から4カ月がたちました。
総理の言う「適材適所」とは何だったのか。4カ月で、はや6人の閣僚が交代しました。資質を欠いた大臣の相次ぐ失言と、それによる政治の停滞。総理の任命責任は免れません。
さらに、マニフェストは総崩れ。「建設中止」を掲げた八ッ場ダムは一転、「建設続行」へ。「高速道路無料化」や「子ども手当」も頓挫しました。民主党政権はもはや正当性を失っています。
さらに防衛大臣のたび重なる沖縄への無理解な発言で、県民の不信は決定的となっています。
財政も、「予算を見直せば16.8兆円の財源を生み出せる」と強弁していたにもかかわらず、民主党政権は3年連続で税収額を上回る新規国債を発行し、さらなる財政悪化を招きました。
さらに「消費税は4年間上げない」と言いながら、消費税増税に躍起になっているありさまです。こんな民主党に、もはや政権を任せることはできないというのが、国民の率直な思いではないでしょうか。
震災版ニューディール政策を
震災からの復旧・復興
総理、あなたは2012年を「日本再生元年」と位置付け、東日本大震災からの復旧・復興を内閣の最重要課題として全力で取り組むと表明されました。しかし、被災者の思いや被災地の現実をどこまで本当に理解しておられるのか、甚だ疑問です。
多くの被災者が身を寄せる仮設住宅。1年のうちで最も厳しい冬を迎え、入居されている被災者は大変につらい思いをされています。
また、被災した自治体の多くが、復興計画を具体化するに当たって人材が不足し、それによる復旧の遅れが危惧されています。
産業再生への取り組みにも、今ひとつ政府の真剣さが見えません。
雇用問題が深刻です。被災地では短期雇用の求人が多いため、安定した仕事を求める被災者との雇用のミスマッチが頻発をしています。産業再生とともに、安定的な雇用創出環境が整うまでの間、職業訓練と生活支援を組み合わせた対策など、きめ細かな対応が求められます。
併せて、こうした厳しい雇用情勢を踏まえ、2月末で終了予定の医療、介護負担の特例措置についても、被災者の現状に即した対応を検討すべきではないでしょうか。
さて復興への取り組みで、見落としてならない大きな課題に「人口流出」の問題があります。岩手、宮城、福島の各県が発表している「毎月人口推計」などによると、昨年3月からの9カ月間で被災3県では7万4000人を超える人口が減少しています。
この中には震災で犠牲になられた方々も含まれますが、原発事故や住居の問題などで住民票を移さずに転出された方もおられるので、減少幅はもっと大きいと考えられます。
事実、壊滅的な打撃を受けた宮城県南三陸町のアンケート調査では、実に住民の約2割が町外への転居を予定していると回答しています。
人口流出の大きな要因の一つが、先ほど指摘した地元雇用の遅れであることは明らかです。20代、30代、さらには40代の働き盛りの人口流出が、被災地域の中長期的な衰退をもたらすことを強く危惧します。
またこうした人口動態は、人口減少社会に突入した日本の近い将来の姿にほかなりません。そうした傾向を反転させる取り組みが復興の中で今、求められています。
私は「震災版ニューディール政策」ともいうべき総合的な復興・成長戦略と、復興事業への集中的な投資によって、被災地の新規需要や雇用創出を図る取り組みが必要と考えます。
また、被災自治体が復興に取り組みやすいよう、復興交付金や復興特区制度などの柔軟な運用が重要です。
首相の収束宣言に撤回求める声
福島、原発事故への対応
民主党政権の泥縄式の原発事故対応で、どれほど多くの方々が危険にさらされ、今なお放射能の恐怖と向き合わざるを得ない生活を強いられているか。
昨年末、総理は事故の収束を宣言されました。しかし、事故現場の作業員からは「ウソを言っている」との声が噴出し、福島県議会では宣言撤回を求める意見書が全会一致で採択されています。
東京電力福島第1原発は応急的な循環冷却装置により何とか冷温停止状態を維持している状況です。それがどうして「事故収束」なのか。総理、福島県民が納得する説明を求めます。
◆自主避難に関する賠償問題
昨年12月上旬、原子力損害賠償紛争審査会は、自主避難した場合の賠償を、福島県内の23市町村に限定する指針を示しました。
原発事故で福島県の全県民が不安を感じ、風評被害等で今なお日常生活が阻害されている現状にもかかわらず、賠償範囲を県内で線引きしたこの方針は、県民を引き裂き、県民の心情をないがしろにしていると言わざるを得ません。
◆福島の再生・復興に関する特別立法
公明党は、福島の再生と復興のために、新たな特別法の制定に向けた提言を取りまとめ、発表しました。原子力災害という福島県の特別な事情を深刻に受け止め、一刻も早く国を挙げた支援策が講じられるよう成立を急ぐべきです。
まずは福島県の18歳以下の医療費無償化です。福島の復興に向けて、子どもの健康を守り、総合的に子育てを支援するために、ぜひとも実現すべきです。
また、長期的な県民に対する健康調査を法的に明確にすること、被ばくに起因する健康被害が生じた場合の保健、医療、福祉にわたる総合的な措置の実施についての規定を設けるべきです。
さらに、地域の復旧・復興、新産業創出に向けて、規制緩和や税制上の特例、財政的支援など抜本的な支援措置も重要です。
福島県の全県民に分け隔てなく支援が行き渡るよう、復興交付金、復興基金や原子力被害応急対策基金の積み増し、その弾力的運用も検討すべきです。
◆除染の推進。中間貯蔵施設の建設
放射性物質汚染対処特措法が今月、全面施行しましたが、地元住民からは既に、除染の大幅な遅れを危惧する声が相次いでいます。除染を確実に進めるためには、例えば中間貯蔵施設に必要な土地の買い上げや借り上げ、受け入れ自治体や住民の意向を踏まえた新たな補償措置など、求められる対策を具体的に提示すべきです。
また、自治体による除染を国が代行することも含め、支援体制を強化すべきです。
◆食品安全の不安に応える取り組み
福島県はこの秋の県産米から、ベルトコンベヤー式測定機器により、出荷前の全てのコメを袋ごと検査できる体制を整備する方針を固めました。政府は、こうした取り組みに対して、財政支援措置のみならず、検査人員を派遣するなど、さまざまな支援策を積極的に講ずるべきです。
関連して、政府は来年度から学校給食モニタリング事業を導入するとしています。しかし計算上、福島県内でも1市町村当たり1校程度、福島県外では1都道府県当たり2校程度にとどめるなど極めて不十分であり、体制をさらに強化すべきです。
また同じく来年度から、食品中の新たな放射性物質の許容基準の適用に伴い、自治体における食品の検査機器整備に対する補助制度の創設をめざしています。ところが対象自治体を都道府県や政令市、中核市等に限るなど、極めて不十分です。新基準運用の実効性確保と広範かつ網羅的な放射能検査体制の確立のため、希望する全ての自治体にまで対象を拡大するなど、抜本的に拡充すべきです。
理念不在の健全化取り繕い予算
2012年度予算案
2012年度予算案は、端的に申し上げれば「理念不在」の「財政健全化取り繕い予算」「マニフェスト総崩れ予算」です。
民主党の前原政務調査会長は、八ッ場ダム建設再開を容認した際の記者会見で、「政権交代の理念が骨抜きになった。責任を感じる」と発言し、党の会合でも、マニフェストの実施を断念したことを「しっかりと国民におわびをして出直す」と発言したと伝えられています。
総理、民主党代表であるあなたこそが、いの一番に国民におわびすべきではありませんか。
さて、12年度予算案は、3年続けて新規国債の発行が税収を上回る異常事態となりました。
一般会計の新規国債発行は約44兆円となり、表面上は財政健全化路線を堅持したように装っています。しかし、内実は基礎年金国庫負担2分の1のための財源を一般会計に計上せず交付国債で対応するなど、粉飾的な手法で取り繕っています。
さらに、民主・自民・公明の3党で合意した子どもに関する手当や農業者戸別所得補償制度などの見直しについても、民主党の対応は極めて不誠実です。
具体的に申し上げます。まず、子どもに関する手当について、3党実務者協議は途中で一方的に打ち切られ、結局、民主党が見切り発車して予算措置し、また、改正法案も提出しようとしています。公党間の信義にもとるものであり、誠に遺憾です。公明党は今後、法案審議の場で、名称や所得制限の在り方などについて、修正を求めていきます。
特に、名称については、これまでの協議の経過から、当然「児童手当」とすべきです。提出予定の改正法案も、児童手当法の改正であり、その通り、児童手当の名称を用いることが整合的です。
戸別所得補償制度の見直しも、民主党内の検証作業が遅れ、予算案に反映させるのは困難として協議を一方的に打ち切り、今年度と同規模の予算を計上しています。
公明党は、戸別所得補償制度の見直しに当たっては、定額部分については一定の評価をするものの、米価変動補てん金については収入保険的な制度に見直すこと、また担い手の育成支援や環境直接支払いを充実することなどを主張してきました。
また現在、同制度は予算措置で行われているため法的安定性がなく、農業者からは将来の見通しに不安の声が上がっています。
今後どのように検証を進め、制度に反映させていくのか、また関係法律を今国会に提出する考えはあるのか、答弁を求めます。
円高、デフレ脱却へ道筋不透明
景気経済対策
歴史的な円高やデフレ脱却への道筋は、まったく不透明です。
特に、ヨーロッパの債務危機はいまだに予断を許しません。日本経済は長期のデフレ圧力にさらされ続け、経済社会生活や雇用に大きなゆがみが生じています。歴史的な円高に、企業経営者からは「国内ではもう仕事ができない」「背に腹は代えられず海外移転を真剣に考えざるを得ない」との声が日増しに強まっています。産業の空洞化と雇用の喪失、まさに「日本沈没」の危機にあるという認識と、危機打開に向けた具体的な施策の実行が強く求められます。
こうした日本経済を取り巻く厳しい現実に、民主党政権は成長戦略や景気経済対策、金融政策とどこまで真剣に向き合ってきたのか。また、国際経済の安定化に向けた各国との連携・協調についても、政府から力強い発信がなされたとはとても思えません。
民主党政権には経済の司令塔が不在であると言わざるを得ません。政権交代で「経済財政諮問会議」がなくなり「国家戦略会議」が立ち上がったが機能せず、無為無策のまま時間だけが経過してしまった責任は重大です。
政府が決定した「日本再生の基本戦略」によって、20年度までの10年平均で名目成長率3%程度、実質成長率2%程度とした政策目標は、本当に達成できますか。また「財政運営戦略」に基づく財政健全化目標である「15年度までに国・地方のプライマリーバランスの赤字を対GDP比で半減をする」との目標達成は可能ですか。
11年度第3次補正予算には、産業空洞化対策としての立地補助金や住宅エコポイントの再開、第4次補正予算案・12年度税制改正案には、エコカー補助金・減税が盛り込まれ、一定の評価をします。
しかし、デフレ脱却に向けて、いかに需要を拡大させるかという点では、成長戦略の着実な実行を含め、力不足の感は否めません。
私は具体策の一つとして、「全国における防災対策の戦略的推進」を提案したい。
東日本大震災の教訓を生かし、全国で集中的な取り組みを行い、一層の「災害に強い国づくり」に取り組むべきです。待ったなしの必要なインフラを整備することこそ、国民、国土を守る先行投資であり、需要拡大にも大きく寄与します。
もう一点は中小企業対策です。日本経済を支え、経済成長の源泉となる元気な中小企業を強化する視点を持つべきです。震災で課題となったサプライチェーンを担うのも中小企業、地域の雇用を支えるのも中小企業です。円高メリットを生かし、積極的に海外展開をめざす中小企業への支援も強化すべきです。中小企業の資金繰りは依然厳しく、一層の支援策とともに、中小企業金融円滑化法の期限延長も必要です。
与野党協議の前提欠く素案
社会保障と税の一体改革
公明党は、一昨年の12月、「新しい福祉社会ビジョン」をまとめました。そこでは年金、医療、介護など現行制度の機能強化とともに、急増する虐待や、うつ病など社会の病理的側面への対応をも包摂した新しい福祉の考え方を提案しています。そしてその実現のために与野党協議を呼び掛けてきました。
政府・与党に対しては、初めに消費税増税ありきではなく、協議の前提として、まずは民主党が考える各制度の具体的設計と所要額を明らかにするよう求めてきました。しかし今般の一体改革素案では、民主党が主張してきた最低保障年金を含む年金抜本改革案や高齢者医療制度の見直し案など制度の根幹部分が、いまだに具体的に示されていません。
特に年金制度については、現行制度に基づく改善案を列記し、今国会に関連法案提出を予定する一方で、総理は13年に民主党が考える抜本改革の法案を提出すると明言しています。これでは進め方が逆ではありませんか。初めに全体像を具体的に示し、それに沿った改革を進めていくのでなければ、後で整合性が取れなくなり結局、議論をやり直さざるを得なくなってしまいます。
また、素案に明記された消費税10%には、最低保障年金の所要額は含まれていません。実現にはあと何%の引き上げが必要なのか、明らかにすべきです。
今後の年金の給付水準について、その見通しさえ示すことができないような素案で、本当に国民に負担をお願いできますか。
もうこれ以上、逃げ続けることは許されません。民主党の言う年金抜本改革の具体案を早急に提示すべきです。いつまでに示すのか、明言してください。もし、それができないなら、潔くマニフェストの非を認めて国民に謝罪するか、この二つに一つです。総理の答弁を求めます。
以下、素案についてその他の問題点を指摘します。
1点目は、高齢者医療制度の見直し内容が明記されていません。
2点目に、高額療養費制度の見直しが不十分です。
3点目に、被用者年金一元化です。07年に法案が提出され、当時、廃案に追い込んだのは民主党でした。言わば官民格差の是正を遅らせてきた張本人であり、国民への謝罪と説明が必要です。
4点目は、年金の特例水準の解消です。低年金の高齢者や、同時に減額される児童扶養手当等の受給者の生活にも配慮し、年金額の引き下げではなく、デフレ脱却によって解消すべきです。
5点目に、介護職員の処遇改善について、民主党はマニフェストで月額4万円の引き上げを主張しています。3年に一度の報酬改定であるこの機を逃がせば実現は極めて困難となりますが、公約は断念したのですか。
緩和ケアの浸透、登録法制化を
がん対策
「がん対策基本法」に基づく具体的な取り組み、数値目標を定めた「がん対策推進基本計画」が策定されてから間もなく5年になり、現在、見直し作業が進められています。
昨年6月には、公明党の提案で中間報告がなされ、今後の課題が浮き彫りになりました。
早期発見・完治につながる、がん検診受診率はいまだに低迷状態です。緩和ケアは現場にまだまだ浸透しておらず、患者の痛み・苦しみが続いています。
手術か放射線治療かなど治療法の選択も、医師の認識が薄くセカンドオピニオンが行われづらい状況にあります。がん登録法制化を求める強い声もあります。
これらの課題を引き続き、次期基本計画の重要課題として盛り込むべきと思います。
加えて公明党は、さらなるがん対策の充実に向けて、具体的な提案を行っています。がん検診無料クーポン事業の恒久化や検診種目の拡大、「子宮頸がん予防法」の制定、小児がん対策の強化、がん教育の実施、がんプロフェッショナル養成プランの発展などです。次期基本計画に中間報告を義務付けることも求めています。がん対策を国家戦略と位置付け、地方自治体と連携し、総理自らが先頭に立って取り組むべきです。
TPPについて
TPPは産業界をはじめ国論を二分する対立を招いています。拙速な外交が国益を損なう危機感を覚えます。
情報の提供や正確な分析なくして国民的な議論はできません。政府は、関係国によるTPP交渉の進捗状況を国民に丁寧に情報開示すべきです。
総理は施政方針演説で「アジア太平洋自由貿易圏、いわゆるFTAAP構想の実現を主導」するとしていますが、日本が推進してきた日中韓、ASEAN+3、+6といった広域的経済連携とTPPとの関係・整合性を含め、わが国のFTA戦略の全体像をどのように描いているのか示すべきです。
「原発に依存しない社会」めざせ
エネルギー・環境政策
昨年9月の臨時国会における代表質問で、私は公明党を代表して、「わが国において発生した重大な事故を直視し、原子力発電に依存しない社会への移行に今こそ本格的に取り組むべき」と訴えました。
また、今後、原子力発電所の新増設は基本的に行わず、原子力発電を段階的に縮小していくことを主張いたしました。民主党政権は「脱原発依存」を掲げていますが、「脱原発依存」とは具体的に何を指しているのか、総理の考え方をあらためて伺います。
原子力規制改革について政府は、利用と規制の分離を図るため、環境省の外局として原子力安全庁を設置するとしています。しかし、利用と規制を分離し客観的科学的な規制を確保するためには、政治や利用推進行政からの独立性の確保が不可欠です。独立性をどのように担保するのか、総理の答弁を求めます。
公明党は、原発の段階的縮小に向けて、「思い切った省エネルギーの推進」「再生可能エネルギーの導入」「化石燃料利用の高効率化」を掲げています。
このうち「再生可能エネルギーの導入」については、太陽光や風力などでつくった電気の全量買い取りを電力会社に義務付ける特別措置法が成立し、今年7月の施行から3年間に集中的に利用拡大を図ることとされています。
送電網の利用・整備を含めて、3年間にどのように再生可能エネルギーの利用拡大を図るのか、総理の答弁を求めます。
一方、「思い切った省エネルギーの推進」「化石燃料利用の高効率化」については、発電等で排出される熱の利用が一つのカギになります。その燃料として期待できるのが天然ガスです。エネルギー効率も高い天然ガス・コンバインドサイクル発電等、エネルギー戦略の要として、今こそ天然ガスの確保と利用を強化すべきです。
エネルギー政策の見直しに当たっては、安定供給、特に政治的経済的な状況変化に対応できるエネルギー安全保障の観点が重要です。その要諦はエネルギー源や供給元等の多様化にあります。その点で国内炭の役割についても再評価していくべきではないかと考えます。
先進的な石炭ガス化複合発電等の開発を含め、日本の技術は世界一とされており、これを途上国等に展開すれば大きな貢献が可能です。国内を含め石炭に係る政策について総理の見解を求めます。
格差是正、定数減は制度改革で
政治・行政改革
◆身を切る改革
今必要な事は国会議員や国家公務員が自らの身を削り、国民の改革への共感を得る努力をし続けることです。
公明党は昨年の東日本大震災の発災後、国会議員歳費を削減すべきと主張し、国会議員歳費削減法を成立させ半年間で21億6300万円の削減を実現しました。今後さらに恒久的な国会議員歳費の削減を実現すべきです。
国家公務員給与の削減は、昨年の臨時国会で給与削減のための合意を待つことなく政府・民主党が一方的に国会を閉会してしまいました。その結果、期末・勤勉手当は昨年比で4.1%増。国費ベースで約120億円もの支出増となりました。政府・民主党の猛省を促すとともに、早期の削減に向けた合意をめざすべきです。
◆選挙制度の改革、定数削減
衆議院の選挙制度の改革にあわせ、「1票の格差」の是正、議員定数の削減が急務です。衆院の選挙制度について、最高裁は「1票の格差」という観点で、民意を反映しないゆがみを憲法違反としました。また現行の小選挙区比例代表並立制は、得票率と議席率の乖離が大きい点でも民意を反映しないゆがみがあり、この二つの観点から、より民意を反映する選挙制度への改革が急務と考えます。
民主党の比例区を80削減する案は、現行制度のゆがみをさらに増幅することになり、民意の反映という民主主義の原則に逆行します。より民意を反映できる選挙制度に改革する中で、「1票の格差是正」と定数削減を確実に実現すべきです。
郵政改革
郵政民営化は、05年の衆院選の民意を受けて実現しました。ところが民主党政権が強行した「郵政株式凍結法」の成立により、所有する株式や資産の売却などができないため、新規事業にも参入できず、総資産は減少する一方です。このままでは国民の財産である郵政システムが日々失われ、国民生活に多大な損失を与えることは必至です。
民営化の理念を維持しつつ現行の民営化法を郵政3事業のユニバーサルサービスを確保するという観点で見直すべきであり、早急に結論を出すべきと考えます。
最後にあらためて申し上げます。
総理は先の民主党大会で、消費税増税関連法案に野党側の理解が得られない場合、「法案を参院に送って、野党に法案をつぶしたらどうなるのか考えてもらう」と発言されました。協議を呼び掛けるその先から脅し、開き直りと受け取られるような物言いではとても信頼関係はできません。
本気で協議を求めるならば、真摯な姿勢と、これまで民主党が主張してきた社会保障の全体像を示すなど、協議できる環境を、総理自ら整えるべきではないでしょうか。
公明党は、東日本大震災、原発災害からの復旧・復興に、どこまでも被災者に寄り添い、与野党を超え最優先で取り組む決意です。そして日本が直面する難局を乗り越え、国民が希望を持てる日本再建へ確実に一歩を踏み出すために全力を尽くす決意であることを表明し、私の質問を終わります。
感性があって、理性がない。
感想を述べるが、理想を語らない。
現実の内容はあるが、考え (非現実) の内容はない。
事実は受け入れるが、真理は受け入れない。
実学 (技術) は盛んであるが、哲学は難しい。
実社会の修復はあるが、理想社会の建設はない。
現実の世界は信頼するが、非現実の世界は信じない。
現実の内容を再現すれば、それは模倣である。
考え (非現実) の内容を実現 (現実化) すれば、それは創造である。
模倣力はあるが、創造力がない。
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