彼は自分が欲しいと思ったものは何としても手に入れます。

 

今度は黒いポロシャツが欲しいと言い出しました。

黒いポロシャツなんてどこにでも売っていそうなもの。

 

ただ、“彼の気に入る黒いポロシャツ”となるとそうそうないんです。

 

ただただ黒いポロシャツを探すため私たちはかなり遠いところまで出かけました。

何日も何日も色々な街の服屋、デパート、ショッピングセンターを足が棒になるまで探し歩きました。

ひとりで行ってくれればいいのに。

 

彼の洋服代やゲーム代、その他の生活費なども私が出していたので、私は服なんてもちろん、化粧品なども買う余裕はありません。

そんな私からしたら贅沢なものです。羨ましかった。

 

でも丈の長さが気に入らないとか、余計な線などのデザインが入っているなど文句を言ってなかなか決まらない。

 

ネットでも探しました。正確には探させられました。

よさそうなのがあったので、相談の結果買う事にしました。

しかし実際届いてみたら気に入らないという事で、ビリビリになりました。

 

しかし彼の好みにあったものがユニクロにあったんです!

灯台もと暗し。やっと見つかった…と思って「あったよ!!!」と伝えたのですが…。

 

「オレ程の人間がユニクロなんか着るわけないやろ!お前がオレの事どう見てるか分った、本性が見えたな…!」と言って怒られました。

 

その後も黒いポロシャツ情報を仕入れては私に連絡をよこし、「今すぐ○○駅の△△っていう店に行ってくれ!早くしないと他の奴に取られる!」と言っては私をパシリに黒ポロを手に入れようと必死になっていました。

 

しかし結局気に入ったものが見つからないまま季節は冬に…。

もうこの時期にはないと思うのですが、彼の黒ポロ熱はまだ冷めない。

 

その日は彼が珍しく予備校に行き、外で待ち合わせをしていたのですが、こんな事を言い出しました。

初めて行く街だったのですが、結構大きな街でした。

 

「オレが予備校終わるまで時間あるやろ?オレが来る前までに黒いポロシャツ探しといて。なかったらオレ機嫌悪くなるよ。」

 

私は必死で探しました。でもこれだけ今まで探してなかったものが、今日見つかるとも思えません。

繰り返しますが、季節は冬。

 

結局見つからないまま彼との待ち合わの時間がやってきました。

 

「あったんやろな?」

 

「うーん、やっぱ黒ポロはちょっと…でも他にもよさそうなのがあったから、ちょっとプラプラお店見てみようよ!」

 

そう言って、色々と歩き回ったのですが、明らかに彼の機嫌は悪くなる。

「オレ言わんかったっけ、黒いポロシャツなかったら機嫌悪くなるって。それ分かってて見つけられん言うことは、オレの機嫌が悪くなってもいいとお前が思ってる証拠やな。お前ホンマ最悪や、せっかくのクリスマスなのに!!!!!」

 

そう、今日はクリスマス。

結局機嫌の直らないままうちに帰り、「お前はホンマはオレの事愛してないんや!」と言っては殴られる。

 

サンタさん、普通の彼氏をください。

 

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