2016年12月

2016年12月31日

中東のISIL空爆空母はロシア海軍の「クズネツォフ」のみ展開中

日本語ブログ「ロシア海軍情報管理局」より。

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『タス通信』より
2016年12月29日16時32分配信
【北方艦隊の7隻の艦船の乗組員は地中海で新年を迎える】
ムルマンスク、12月29日/タス通信

数千名の北方艦隊船員は、地中海への遠距離航海中に新年を迎える。
木曜日、同艦隊広報サービスは発表した。

「戦闘任務及び国家の任務を遂行している北方艦隊の船員と飛行士、陸上部隊と沿岸部隊の将兵、民間人専門家(軍属)は、新たな2017年を地中海で迎えます」
広報サービスは伝えた。

北方艦隊将兵は、地中海の航空巡洋艦「アドミラル・クズネツォフ」、重原子力ロケット巡洋艦「ピョートル・ヴェリキー」、大型対潜艦「セヴェロモルスク」、支援船「セルゲイ・オシポフ」、「ニコライ・チケル」、「アルタイ」、「カーマ」で任務を遂行している。

北方艦隊主要基地セヴェロモルスクでは、新年とクリスマスの祝日を前に、北方艦隊司令官ニコライ・エフメノフ中将が、遠距離航海に在る軍人及び民間人専門家の家族と会った。

彼は、北方艦隊船員の妻に忍耐、忠実、愛情、献身と信頼ある後方支援を感謝し、更には、全員の強固な健康、強き精神、結束と、家族の平穏の為だけの喜びと連帯、北方艦隊将兵が、彼等の誇りある勝利と成果と共に速やかに家へ戻る事を望んだ。

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情報概要は以上。現在、ペルシア湾、地中海シリア沖で展開中の空母は、「クズネツォフ」のみで、同じ地中海で空爆を実施していた「シャルル・ドゴール」はクリスマス前にフランスに帰るよう航海しており、ペルシア湾で空爆していたアメリカ空母「アイゼンハワー」は12月22日にジブラルタルを通過している。 



アメリカ空母「カール・ヴィンソン」は1月5日・6日に西太平洋任務で出港!!

アメリカ海軍HP2016年12月29日(現地時間)より。

空母「カール・ヴィンソン」機動艦隊は1月5日および6日に西太平洋任務でサンディエゴを出港する。

同艦隊はタイコンデロガ級CG57「レーク・シャンプレイン」、アーレイバーグ級DDG112「マイケル・マーフィ」、同108「ウエインE・メイヤー」で構成されている。

ハワイの真珠湾を母港としている「マイケル・マーフィ」は空母機動艦隊に1月の後半に加わる。

カール・ヴィンソン出港へ2017.1

















Photo/US Navy

2016年10月の出港前の演習時の写真

カールヴィンソン任務に出港2014.8


















Photo/US Navy

2014年8月出港時の写真、前回の任務である。2015年6月4日帰港得であった。前回は中東に赴任している。



 

2016年12月30日

フランス空母「シャルル・ドゴール」はシリア沖、離任したアメリカ空母の後任は出港せず!!

2014年12月に終結したアフガニスタン戦争では、最大10万人という多数の米国兵が現地で戦闘していた。であるから、当然、アメリカ空母は休みなく北アラビア海で艦載機をアフガニスタンに送っていた。

2014年以来のイラク・シリアにおけるISILに対する空爆では、在中東のアメリカ軍機でも十分なのであろうか、空母がいない状態が発生している。また、中東に派遣されているハリアーを艦載機としているLHD(ワスプ級強襲揚陸艦)が空爆に参加している状態もあるようである。現在は「マキン・アイランド」が赴任中。 

さて、フランス海軍空母「シャルル・ドゴール」は2016年9月30日に出港し、シリア沖で空爆を実施している。シリア沖ではロシア海軍空母「クズネツォフ」も空爆を実施しているのであるから、2隻がシリア沖にいることとなる。

その写真を見たいものであるが、残念ながらまだ見ていない。 

このフランス空母は、1回目が2015年1月13日出港、2回目が2015年11月18日出港と2回出撃しているが、2回ともスエズ運河を東進し、ペルシア湾で空爆を実施している。今回は東地中海である。

フランス空母はアメリカ海軍の空母部隊とともに、アフガニスタン空爆などに参加している経緯がある。ここからは推論であるが、であるから、1回、2回目は空母部隊、中東在留のアメリカ海軍部隊と共に動いていたのであろう。

しかし、3回目は慣れて来たので、シリア沖となったものと見られる。残念ながらその経緯を報道した記事が小生には分からないのであるから推論である。

第1回目はイギリス海軍のFF「ケント」が護衛部隊に馳せさんじている。2回目はベルギー海軍のFF「レオポルド1世」、ドイツ海軍のFF「アウグスブルク」、イギリス海軍DDG「ディフェンダー」、FF「セントアルバンス」が助力に参加している。 

今回は、アメリカ海軍DDG「ロス」が参加し、ドイツ海軍のFF「アウグスブルク」が2回目の参加となり、2016年11月14日に離任している。「ロス」は9月19日に空母部隊に参加し、10月26日に離任している。

フランス空母は9月30日出港であるから、その前の訓練段階からお付き合いしたということとなる。実際、12回の対空演習を空母部隊と共に行ったとある。

1回目、2回目の作戦で、上の手助けに来た艦船で、広域レベルの対空装備があるのはイギリスのDDG「ディフェンダー」のみである。 フランス海軍HPでは、空母の任務展開では対潜も重要であると報道しているが、やはり重要なのはISILからの対艦ミサイル発射であろう。地中海に展開する空母を攻撃するほどの対艦ミサイルをISILの軍は有していないと言うのが常識であろうが、1982年のフォークランド戦争でも、アルゼンチン空軍は急遽入荷したエグゾセミサイルで、イギリス艦船に大打撃を与えたのであるから、用心するにこしたことは無い。

DDG「ロスは」2014年6月にスペインのロタに着任している。4隻から成るBMD対応部隊の1隻である。

であるから、間近で行っているフランス空母の対空訓練に参加し、シリア沖での空爆にも参加したのであろう。

今年は中型空母を有するロシア海軍とフランス海軍の2空母がISIL空爆に共同で動いた言う画期的な年であった。来年2017年にはイギリス空母も就役する。就役から実動までは時間がかかるとは言え、空母運用には手慣れたイギリス海軍である。さてどうなるのか!!??

お詫び/フランス空母の出港日は9月30日としているが、他の情報では9月19日であった。ここでは、アメリカ海軍DDG「ロス」の空母部隊への参加は9月19日の出港前の訓練時からとしているが、フランス空母部隊の出港は9月19日であると、出港時からとなる。 

9月19日出港、9月30日空爆開始が正しいようである。お詫びして訂正致します。 

2016年12月28日

空母「遼寧」の2017年南中国海パトロールとベトナム、フィリピン、東南アジア諸国の対応

今年は空母が活躍した年であったと記した。特にロシア海軍空母が初の実戦に派遣されたことは特記に値いしよう。

1)ロシア海軍空母「クズネツォフ」がシリアにおけるISIL軍基地に空爆。10月15日出港、11月15日空爆開始。

2)フランス海軍空母「シャルル・ドゴール」は2016年2回目のシリア・イラクにおけるISILに対し空爆を行った。
同空母の空爆は2015年1月出港から5月帰港までの任務に続いて2015年11月出港から2016年3月帰港までの第2回任務に続くもので、第3回目は9月30日に出港している。

3)アメリカ海軍空母「ジョンC・ステニス」が長期間西太平洋に展開し、特に5月から10週間、喧噪中の南中国海に布陣した。

4)中国海軍空母「遼寧」が12月25日に南西諸島を通過し、西太平洋を航海し、南海艦隊基地三亜に配備となった。

空母の攻撃力は強大ではあるが、その防備はとなると、大きな艦影であるが故に、対艦ミサイルの餌食になりやすい。1982年のフォークランド戦争でも、空母と思われたコンテナー船が撃沈されているが、大きな艦影であるが故の悲劇であった。

対艦ミサイルの波状攻撃で対処できるとは、ソ連海軍の演習オケアン75時代から言われてきている。例えば、ロシア海軍のスラヴァ級巡洋艦の対艦ミサイル(SS-N-12ミサイル)が20発程度発射されれば、1発か2発は命中されるのではとされている。

但し、空母までの距離は500キロ以上から1000キロであり、高度な誘導が必要である。艦船より航空機からの方が有効との意見もある。いずれにしろ、空母は軍事衛星から容易にその存在が確認されるだけに、高度な軍事力を有していれば対処は可能である。

再度但しであるが、軍事衛星、電子戦機、早期警戒機、航洋哨戒機、高度なミサイル誘導があってのことである。

これらの技術を有しない国にとっては、空母は脅威である。その艦載航空機に対する対抗策は、対空ミサイルであるが、アフガニスタン、イラク、シリアでもアメリカ艦載機を撃墜していないのであるから、そのレーダーなどは対空ミサイルを発射する前に撃破されているのであろうか。

南中国海に中国空母「遼寧」が配備されると、フィリピン、ベトナムには脅威であろうし、戦うと言うことはあり得ないが、その空母を監視・追跡し得る艦船も哨戒機も無い。これは東南アジア諸国も同じ条件である。

2017年、空母「遼寧」が南中国海をパトロールする時、中国は配慮が必要である。
 


2016年は空母が活躍した年、2016年海軍10大ニュース

2016年の今年の海軍10大ニュースを考えて見ると、空母が活躍した年であるなと思う。

1)ロシア海軍空母「クズネツォフ」がシリアにおけるISIL軍基地に空爆。10月15日出港、11月15日空爆開始。

2)フランス海軍空母「シャルル・ドゴール」は2016年2回目のシリア・イラクにおけるISILに対し空爆を行った。
同空母の空爆は2015年1月出港から5月帰港までの任務に続いて2015年11月出港から2016年3月帰港までの第2回任務に続くもので、第3回目は9月30日に出港している。

3)アメリカ海軍空母「ジョンC・ステニス」が長期間西太平洋に展開し、特に4月から10週間、喧噪中の南中国海に布陣した。

4)中国海軍空母「遼寧」が12月25日に南西諸島を通過し、西太平洋を航海し、南海艦隊基地三亜に配備となった。

1)2)は実戦であり、3)4)は喧噪中の南中国海をめぐる空母の動きである。空母が活躍するとは、平和であったとは言い難い年であったということであろう。

他には、東アジア周辺の動きとなると次のようである。

5)ロシア海軍艦船「アドミラル・ヴィノグラドフ」艦隊3隻が対馬海峡への航路を航行中、尖閣諸島海域に6月9日未明に近接した際、中国艦船が接続水域に入った。この動きに「はたかぜ」「せとぎり」が警備した。中国艦船は054級FFG525「馬鞍山」であったとされている。なお、「アドミラル・ヴィノグラドフ」はこの後、転針し、リムパック演習監視でハワイに航海している。

6)日米印マラバール演習を6月10日から17日にかけて実施。沖縄東方沖(西太平洋)での演習には空母「ステニス」、ヘリ空母「ひゅうが」、インド海軍「サツプラ」、同「サヒャドリ」、ミサイルコルベット「キルチ」、補給艦「シャクティ」などが参加した。

7)リムパック演習2016が6月から7月にかけて実施された。日本からはDDG「ちょうかい」、ヘリ空母「ひゅうが」が参加した。中国からはDDG「西安」、FFG「衡水」、補給艦「高郵湖」、病院船「和平方舟」、潜水艦救難艦「長島」の5隻が参加した。

8)リムパック演習帰りの中国艦船(宗谷海峡西進、「西安」「衡水」「高郵湖」)と対馬海峡北進の中国艦船(FFG「荊州」同「揚州」補給艦「千島湖」)が日本海で演習を行った。この演習には対馬海峡を通過した中国軍機が8月18日からの演習に参加した。

9)中ロ演習が9月中旬に南中国海で実施された。2012年以来5回目。

10)北朝鮮がしばしば日本海に向けてミサイル発射を行った。