私は死んだ。
女型との戦いで命を落とした。
最後の最後まで兵長に会えないまま
死んでしまった。


最後に聞いたのはオルオの声だったと思う。
オルオ…大丈夫だった?
倒してくれた?

ああ…意識が遠のいてきた…

兵長…会いたいです。
今度は巨人のいない世界で
もう一度あなたに…

そのまま私は深い眠りについた。




*****************

20××年

私は感じた事のない強烈な頭の痛みで目が醒めた。

「ここは…?」

そこには見たことのない世界が広がっていた。
高い高い鉄のような建物に
異常な人の量。
夢の世界のような感覚を
重過ぎる身体が現実へと引き戻し、
私がこの世界に存在している事を体感させた。

しかもみんな貴族じゃないけど、類似の格好をしている。

「ここは……どこ?」

とりあえず今の状況を掴まないと…
それから立体起動装置を手に入れないと…

「す…すいません!」

通りすがりの女性に尋ねた。

「はい?」

「あのここはどこですか?」

「え…どこって新宿ですけど…」

「し…しんしじゅく?

えっと、巨人は?」

「は?巨人?

あ…あの私急ぐんで。」

女性は走り去ってしまった。

「あっ!ちょっと待って下さい!!」







「おい。ペトラ
何叫んでるんだ。」

!!!!!!

この声……遠くからでもわかる。
絶対に間違えるわけない。
嘘…
でもだって…

振り返るとそこに立っていたのは

「リヴァイ…兵長?」

だった。
私は死んだはずなのに…
こっちの混乱もよそに兵長は話し始めた。

「兵長?なんだそれ。

それより待ったか?
すまないな…会議が遅れて…
寒かったろ…」

待って…状況が掴めない。
ここは新宿という場所で
建物も人も何もかもが違う。

混乱する頭の中、ただ一つだけ分かること。

それはあなたにもう一度出会えたと言う事。

とりあえず会話を続けないと…

「ああ…会議って今度の索敵のですか?」

「あ?索敵?お前今日可笑しいぞ。
今日の会議は今度開催されるビジネスオンラインモデルのWeb策略についてだ。」

「うぇ…ぶ?」

なにそれ…

もう驚きで疲れ切ってしまった。
とりあえず兵長について行こう…。
そう判断した。

「おい。ペトラ。明日の休日
予定はあるのか?」

「予定どころか…家が…」

「あ?お前の家はもうすぐだろうが。

だがな、予定がないなら

今夜は一緒にいろ。」

「へへへへへへっ!兵長!
そんな大胆です!」

「付き合ってるんだからそれぐらい良いだろって
その兵長辞めろ。なんだその呼び名。」

「付き合ってる?んですか?」

「お前、本気で怒るぞ。」

「ご…ごめんなさい!
兵…リヴァイ…」

「とりあえずメシでも行くか。

お前は何が食べたい?
肉か?いつもの寿司か?それとも近場で少し飲むか?」

寿司ってなんだろう…
なんか気になる。

「じゃあ、寿司にしましょう!」

「了解だ。
美味しい場所を見つけた。
少し歩くが構わないか?」

「はい!」

「じゃあいくぞ。」

そう言って兵長は私の手を握ってくれた。
幸せ過ぎて涙が出そうだった。


5分ほど歩くと兵長は立ち止まって
あるお店の中に入った。

元祖長良寿司

と書いてあった。
なんか高そうだ……

店内には
食べ物がクルクル回っていて
見るところそれを寿司というらしい。

とりあえず食べてみよう。

……まぐろ…マグロ?

「リヴァイ!
私、これ食べる!」

「またマグロか。相変わらず好きだな。」

相変わらず?
以前も食べていたって事か…

赤い魚のようなものに
醤油とやらをかけて

「いただきまーす!

もぐもぐ


もぐもぐ

んんんんん!!!!!」

「なんだ。ペトラ。」

「美味しい!!凄く美味しい!!」

なんだこれは!!
これが寿司………

「お前が嬉しいならそれで良い。
好きなだけ食え。」

その後
私はひたすらマグロを食べ続けた。
兵長がドン引きしていたのには気がつかなかった。

「ペトラよ……23皿もマグロを食べたのか…
まぁ、良い。外で待ってろ。」

やってしまった…
私、お金あるの?!
これいくらなの…

「あの私も…」

「いい。出すな。普段忙しくて構ってやれないからな。これくらいはさせてくれ。
外で待ってろ。すぐ行く。」

支払いを済ませる兵長を外から眺めていた。
寒いな…と言いながら兵長は
外へ出てきた。

確かに寒い…

「ペトラ…そろそろ家に行くか?」

兵長の家…

「はい…」

話によると兵長の家は
麻布から青山という場所に
引っ越したらしく、私が新居に行くのは今回が初めてらしい。

タクシーという乗り物で30分ほど
走ると綺麗な建物の前に到着した。

「着いたぞ。」

「え!ここが家?」

「そうだ。セキリュティが強化されててお前が1人で家にいても安心だ。」

家の中は異様に片付いていて
やっぱり綺麗好きは変わってないんだなーって懐かしい気持ちになった。

「疲れたろ。ソファーに座ってろ。
美味いワインが手に入った。
持っていく。」

夢のような時間だった。

抱き合って。
ワインを飲んで。
兵長が笑って。

こんな幸せが……

ポロポロ

「お…おい。ペトラ。
なぜ泣く?酔ったか…?」

「いえ……本当に幸せで…」

兵長は笑って

私を抱きしめ

キスしてくれた。

深い深いキス。

もっともっと兵長が欲しい。
兵長が足りない。

ああ…兵長。愛してます。

「ペトラ…寝室に行くか?」

「うん。連れて行って…」

絡み合う舌。

兵長の手は胸から



ワンピースの中に…

そのまま綺麗に服を脱がされた。

さっきあんなに食べるんじゃなかった…

お腹出ちゃってる……

「お腹出ちゃってる…恥ずかしい…」

「そうか?可愛いぞ。」

可愛いなんて絶対言わない人だと思った。

愛しい心の底から。


「ァァっ…」

「ペトラ挿れるぞ…」


そのまま長い長い時間の後
私は眠りについた。


朝になったんだろう。
外から鳥の鳴き声が聞こえた。

「んん…」

眠気がまだまだ身体を離してくれない。

隣には愛しい人がスヤスヤと眠ってた。

改めて顔を見ると
整ってるなーと思ったり
やっぱりモテるのかなーって落ち込んだり、触りたくてほっぺをつねってみたり。

大切な人と過ごせる平凡な日々がこんなに幸せとは思わなかった。

こんな幸せもいつかは壊れるのかな…

ああ…嫌だなぁ。


「……おはよう…ペトラ」

「あっ!起きましたねぇ!
おはようのちゅーー!」

「酔ってんのか?」

「酔ってない!
ちゅーーーー!」

「なんだ…クスクス」


笑ってくれた。

調査兵の時はいつも辛そうな顔しかしてなかったから……
余計に嬉しかった。


時刻はお昼を迎えようとしていた。

ピンポーン

インターホンが鳴った。

兵長は玄関に向いはしたが
訪ねて来た人を必死に追いかえそうとしていた。

だけどその人は図々しくも中に入ってきた。

!!!!!!!!!

は…ハンジ分隊長…とミケ分隊長…

ハンジ「リヴァイー!なにー?彼女?」

ミケ「匂いからしてそうだな。。」

面倒なのが来た……
兵長は頭を抱えていた。

確かにハンジ分隊長は…笑

でもやっぱり懐かしい。
久しぶりに分隊長に会えて昔に戻ったような感覚になった。


ペトラ「あの…初めまして!」

きっと分隊長も兵長と一緒で覚えてないんだろう。少し悲しいけど…

ハンジ「ああ!初めまして!ペトラさんだよね?話は聞いてるよ!
私はハンジ!リヴァイの部下で

こちらはミケ!ミケはまだ大学院生なんだ!3人は同じ大学でさ!」

大学…?
なんかよくわからないけど良いか…


ハンジ「やーリヴァイ。可愛い彼女Getしたじゃーん!
そりゃクリスマスプレゼントも迷うよねぇ!!!」

リヴァイ「おい…ハンジ…お前なぜ本人の前で言うんだ…
削ぐぞ。」

削ぐ…口癖変わってない…

ハンジ「ねぇ!ペトラちゃん!
知ってる?リヴァイねークリスマスプレゼントにペトラちゃん何が欲しいか真剣に聞いてくるんだよ!キモーい!」

リヴァイ「ハンジ…出て行け。削ぐ。本気で削ぐ。」

私のために…
嬉しい。
でも私は少しでも多く兵長といたい。
それがプレゼントです…兵長。


リヴァイ「もういい。好きなだけ居ろ…
昼飯の買いに出る。ミケはともかくハンジお前、絶対変な事するなよ。や、怖いな。ペトラ見張っててくれ。」

そう言い残すと兵長は最寄りのスーパーという所までカレーという物を作るための材料を買いに家を出た。


その後
何故かハンジ分隊長と意気投合してしまい後日2人でご飯に行く事になった。
銀座ってどこだろう…わかるかな。

ミケ分隊長は相変わらず不思議な人だった。

ハンジ分隊長とミケ分隊長は私とのご飯の日程を取り決めると
邪魔しちゃ悪いから帰るね!と帰ってしまった。

兵長は優しいからきっと4人分の材料買ってるはずなのに……

案の定買って来た兵長は沢山の袋を抱えていた。

「ハンジさんもミケさんもさっき帰っちゃった…」

「ああ?せっかく4人分買ったのに。」

やっぱり優しい。

「大好き!リヴァイ優しい!ちゅー!おかえりなさい!」

「誘ってるのか?ペトラ?

もう一回するか?」

「え?そんなつもりじゃ…」

「言い訳は聞かない。」

「んんー」

ずーとキスしあって
抱き合って
重なり合っていたら夕方になった。

「ハァハァ…

もう夕方だよー?」

「まだまだ身体はやめて欲しくないみたいだが」

「意地悪…そうだけど…せっかく材料買ってきてくれたんだし…ァァ」

「それもそうだな。
ペトラ愛してる。」




私も料理手伝う!
と言ったのに
いつもしてもらってるからいいんだと言われてしまった。

あの頃
リヴァイ班だった時は毎日ご飯作ってたなー。懐かしい。。

「出来たぞ。」

いい匂いと共に
美味しそうなカレーという物が出てきた。

食べる前からわかってたけど、
やっぱり美味しかった!!

「リヴァイは料理が上手だねー!」

「1人暮らしだからな。

でも一緒に住んだらお前が作れ。ペトラ。」

一緒に……
楽しいだろうなー。

「うん!」