食育キャンプのメインイベントであるニワトリ捌き。
子供達にとってはショッキングな体験だろうが、実は私も初めて見る。
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まずはハルヒサ君が1羽を捌く。
子供達は黙ってそれを見守る。
2羽目。ハルヒサ君から「馬淵さん捌いてみませんか?」と言われる。子供達の挑戦を応援する食育キャンプ。大人が挑戦しない訳にはいかない。

ほんの数分前までそこにあった命が目の前で無くなったことを知ってか、もう一羽のニワトリは静かだった。

まず両足を掴む。
その足をフェンスに巻いた針金に巻きつけて逆さに吊るす。
少し暴れる。
時間をかけてはニワトリがかわいそうだ。
すぐに首を掴んで包丁を首に当てる。
ニワトリから緊張が伝わる。何かを悟ったかのように体が構えているのが分かる。
ニワトリの脳みそは小さい。首を絞めただけでは中々死ねないから首を切る。
のど元の器官を切ってはいけない。痛がるニワトリの声にならない鳴き声が響くことになる。
側頭部の下を走る太い頸動脈を切る。
ためらってはいけない。
すぐに場所を定めて切ると大量の血が流れ出し、私の左手をつたう。

熱い。

ニワトリの体温は平均41〜42℃。熱く鮮やかな赤色だ。
しばらくして手を放す。
しかしニワトリは未だ生きている。生きようとしている。
瞬きをし荒く呼吸もしている。中々死なない。ときたま羽ばたこうとして血が舞う。

「かわいそう」

子供達が言う。
切りどころが悪かったのだろうか。血は確かに大量に出ている。
ニワトリがかわいそう。私は動揺を隠せない。
慌ててもう一回深く切る。一層血が噴き出してくる。

しばらくするとニワトリは瞬きを止めた。
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血が止まった後は70℃のお湯に浸して毛をむしる。何とも言えない匂いが辺りを漂う。

子供達は黙って毛をむしっていた。
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その手羽先は一つの命から二本しか頂けません。一羽から頂く砂ずりもほんのわずかです。

ハルヒサ君は言う。

「動物だけじゃなくて植物にだって命がある。だからお米や野菜も大切に食べて欲しい」

命を大事にしよう。食べ物を粗末にしてはいけません。

いくら口で言ったって分からない。

それは頭じゃなくて心で感じるべき大切なことなんだ。

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