金沢市観光会館が「金沢歌劇座」に改称した記念として、この日、歌劇「カルメン」が上演されます。観光会館といえば、大学の入学式と卒業式がここだったり、若い頃に佐野元春、ボウイ、吉川晃司などロック系のコンサートでよく来たりとわりと想い出深い場所なのですが、それはまあどうでもいい話。

この公演は記念といっても誰かすごい指揮者とか有名なオペラ歌手が出るというわけではありません。何が記念かといえば、地元のプロから学生・市民が一体となってつくっているところに価値があるのだと思います。管弦楽はOEK、合唱は金沢カペラ合唱団とOEKエンジェルコーラス、フラメンコは金沢美大のフラメンコ部。舞台美術や衣装・メイクといった裏方さんは金沢美術工芸大学、北陸先端科学技術大学院大学、金沢ビューティーアカデミーの学生さんたちが担いました。総合芸術という観点からも、こういった地元での協働というのはたいへん意義があると思います。しかも、こういう市民オペラ的な興行なので価格的にもお安いです。一番いい席で5000円なのですから。

主演のカルメンを演じたのは小泉詠子さん。キャスティング決定後に行われた日本音楽コンクールの声楽部門で3位入賞を果たした有望な若手メゾ・ソプラノ歌手です。堂々とした歌いっぷりに感心しました。

小泉さんは、ミカエラ役の岩田志貴子さんとともに地元出身者でもあります。小泉さんは津幡町横浜、岩田さんは金沢市の出身です。で、高校はともに金沢二水。わたしの(だいぶあとの)後輩であります。以後、ひいきにしましょう。

ドン・ホセ役の志田さんは1年半くらい前のショスタコーヴィチ「森の歌」のとき以来ですが、あいかわらず輝かしいテノールを堪能しました。まあ、物語のドン・ホセにはまったく共感しないのですけどね。恋は盲目とはいえ、かわゆいミカエラを袖にしちゃうなんて!

エスカミーリオの安藤常光さんは最初の出番のときは声量が不足気味。ちょっと不調だったのでしょうか。最後のほうはさすがにカッコよかったです。

わたしがいちばん感動したのは、金沢カペラ合唱団のみなさんです。よく声が出ていたというのはもちろん、演技もしっかりなさっていて、何よりご本人たちが楽しそうでした。こういう活き活きとした姿を見るとこちらも楽しくなりますね。

なお、今回と同じような運営形態で、年末に歌劇「ラ・ボエーム」の上演が予定されているとのこと。これは楽しみ。ぜひまた見に行きたいと思います。せっかく「金沢『歌劇』座」と名乗るからには、こうして市民が作る歌劇というのが定着するといいですね。

金沢歌劇座 館名改称記念 ビゼー「カルメン」

日時:2008年3月7日(金)18:30〜
会場:金沢歌劇座

ビゼー 歌劇「カルメン」(全4幕 原語上演 字幕付)

■第1幕 セヴィリャの町のとある広場

---休憩---

■第2幕 リリャス・パスティアの酒場

---休憩---

■第3幕 荒涼たる岩山

■第4幕 セヴィリャ、闘牛場のある広場


指揮:本名徹次
演出:直井研二

カルメン:小泉詠子
ドン・ホセ:志田雄啓
エスカミーリオ:安藤常光
ミカエラ:岩田志貴子
フラスキータ:竹多倫子
メルセデス:武部薫
モラレス:駒田敏章
スニガ:山田大智
ダンカイロ:小林大祐
レメンダード:新海康仁

管弦楽:オーケストラ・アンサンブル金沢
合唱:金沢カペラ合唱団
児童合唱:OEKエンジェルコーラス
フラメンコ:金沢美術工芸大学フラメンコ部