OEK楽団員セルフプロデュースによる室内楽演奏会。今回は先月OEKが敢行したヨーロッパツアーの報告会を兼ねて、訪問先にちなんだ楽曲が演奏されました。
1曲目はモーツァルト。ツアー3公演目のオーストリア・ウィーンにちなんだ選曲です。フルートの岡本さんが、モーツァルトハウスやザッハトルテ(を前に嬉しそうな大隈さん)といった写真をスライドに映しながら、ウィーンのようすを紹介。前回のOEKウィーン公演(岩城音楽監督時代)のときはほとんど公演だけに立ち寄った駆け足滞在だったようですが、今回は公演前日および当日に2泊できたとのこと。わりとゆっくりウィーンを楽しめたそうですよ。
ということで、演奏されたのはフルート四重奏曲第1番。おなじみの曲で安心してウィーンの雰囲気に浸れました。岡本さんはエメラルドグリーン、古宮山さんはローズレッドのドレスが華やかでした。
次はツアー最初の公演地に戻ってルーマニア。オーボエの加納さんによるお話が楽しかった! ルーマニア・ブカレストには日本からの直行便がないそうで、ミュンヘン経由にてブカレストに到着したのは夜中の3時。ヨーロッパ旅行の際にはルーマニアを最初の訪問国にしないほうがいいと加納さんからのご忠告。また、OEK創設間もない時期(=ルーマニア革命の頃)に在籍していたルーマニア出身の楽団員(加納さんとは入れ違い)の話から、OEK団員の認識としては、ルーマニアは政情が不安定で怖いトコロというイメージがあったようなのですが、今回行ってみるとまったくそのような危険なことはなかったとのこと。ルーマニア料理も、ハンバーグやシチューなど日本人の味覚に合っていてとても美味しかったようです。チェロの大澤さんとは、3食ともルーマニア料理でもイイ!と意気投合したとのこと。なかでもオススメは「パパナシ」というデザート。揚げドーナツの上にサワークリームを乗せ、さらにフルーツソースをかけたものだそうです。これだけで満腹になるくらいのボリュームがあるのですが、大澤さんは食後にこれを2つ平らげたそうです(笑)。あと、加納さんが酒場で撮影したビデオが上映されました。ルーマニアは東欧唯一のラテン民族国家なんだそうで、酒場でもラテンっぽい民族舞曲(でも実は大変に拍子が複雑な曲)が演奏されていました。
さて、そうして本日2曲目に演奏されたのは、ルーマニアの作曲家、ラパッティによる木管四重奏曲「オーバード」。ラパッティというのは作曲家というよりピアニストとしてのほうが有名らしいのですが、私はよく知りません。演奏された楽曲は、今回演奏を担当するカルテット、通称(?)「ビューティー・フォー」が新しいレパートリーを探していたところ、加納さんの芸大の後輩がすすめてくれた曲だそうです。リズムや旋律は予想通り凝っているようした。でもそうした難解さの中にも、先ほど上映された酒場の音楽のような民族舞曲風のテイストもあり、なかなかにおもしろい楽曲だったと思います。
休憩を挟んで後半は、最後の訪問国ハンガリー。プレゼンはハンガリーでの留学経験がある江原千絵さんです。江原さんの留学当時はやはり東欧民主化の風が吹いていた頃で、難民が大挙してやってきたのを目の当たりにしたようです。ところが今回久々に訪れたところ当時とは街並みもすっかり様変わり。レストランやバーが立ち並ぶおしゃれな街に変貌していました。江原さんは、留学経験を活かして同僚たちに楽譜やCDのお店を教えてあげたものの、それらのお店は軒並みなくなっていたそうで、結果的に嘘をついてしまいましたと苦笑いです。また、当時ホームステイしていたホストファミリーには9歳の男の子がいて、江原さんは彼からハンガリー語を教わったのですが(いわゆるコドモ言葉だったのでよく笑われたそうですが)、その彼とこのたび再会したそうです。スライドに映し出された写真は立派な青年。外資系企業の顧問弁護士だそうです。あと、もうひとり当時お世話になった外交官のかたのお話も。ハンガリー共産党のエリート外交官だったそのかたは、民主化の過程で不遇な時代を過ごしたものの現在は復職。ブダペスト公演後のパーティで久々の再会を果たしたそうです。
演奏はハンガリーの作曲家ドホナーニによるピアノ五重奏曲第2番。ドホナーニといえば、現在も活躍する指揮者「クリストフ・フォン・ドホナーニ」を連想しますが、この「ドホナーニ・エルネー」はクリストフの祖父。ブラームスの作曲技法を熱心に叩き込まれたそうで、この曲もどことなくブラームスを感じるような、たいへんロマンティックかつ重厚な楽風でした。他方、ハンガリーといえばバルトークやコダーイに代表されるジプシーの民族音楽が思い出されますが、そうした哀愁漂う民族舞曲っぽい感じも存分に感じられます。ドイツロマンにハンガリー民族的要素が絶妙なバランスで混入しモダンに仕上がったというか、とても興味深い楽曲でした。演奏もとても素晴らしくおおいに堪能しました。
1曲目はモーツァルト。ツアー3公演目のオーストリア・ウィーンにちなんだ選曲です。フルートの岡本さんが、モーツァルトハウスやザッハトルテ(を前に嬉しそうな大隈さん)といった写真をスライドに映しながら、ウィーンのようすを紹介。前回のOEKウィーン公演(岩城音楽監督時代)のときはほとんど公演だけに立ち寄った駆け足滞在だったようですが、今回は公演前日および当日に2泊できたとのこと。わりとゆっくりウィーンを楽しめたそうですよ。
ということで、演奏されたのはフルート四重奏曲第1番。おなじみの曲で安心してウィーンの雰囲気に浸れました。岡本さんはエメラルドグリーン、古宮山さんはローズレッドのドレスが華やかでした。
次はツアー最初の公演地に戻ってルーマニア。オーボエの加納さんによるお話が楽しかった! ルーマニア・ブカレストには日本からの直行便がないそうで、ミュンヘン経由にてブカレストに到着したのは夜中の3時。ヨーロッパ旅行の際にはルーマニアを最初の訪問国にしないほうがいいと加納さんからのご忠告。また、OEK創設間もない時期(=ルーマニア革命の頃)に在籍していたルーマニア出身の楽団員(加納さんとは入れ違い)の話から、OEK団員の認識としては、ルーマニアは政情が不安定で怖いトコロというイメージがあったようなのですが、今回行ってみるとまったくそのような危険なことはなかったとのこと。ルーマニア料理も、ハンバーグやシチューなど日本人の味覚に合っていてとても美味しかったようです。チェロの大澤さんとは、3食ともルーマニア料理でもイイ!と意気投合したとのこと。なかでもオススメは「パパナシ」というデザート。揚げドーナツの上にサワークリームを乗せ、さらにフルーツソースをかけたものだそうです。これだけで満腹になるくらいのボリュームがあるのですが、大澤さんは食後にこれを2つ平らげたそうです(笑)。あと、加納さんが酒場で撮影したビデオが上映されました。ルーマニアは東欧唯一のラテン民族国家なんだそうで、酒場でもラテンっぽい民族舞曲(でも実は大変に拍子が複雑な曲)が演奏されていました。
さて、そうして本日2曲目に演奏されたのは、ルーマニアの作曲家、ラパッティによる木管四重奏曲「オーバード」。ラパッティというのは作曲家というよりピアニストとしてのほうが有名らしいのですが、私はよく知りません。演奏された楽曲は、今回演奏を担当するカルテット、通称(?)「ビューティー・フォー」が新しいレパートリーを探していたところ、加納さんの芸大の後輩がすすめてくれた曲だそうです。リズムや旋律は予想通り凝っているようした。でもそうした難解さの中にも、先ほど上映された酒場の音楽のような民族舞曲風のテイストもあり、なかなかにおもしろい楽曲だったと思います。
休憩を挟んで後半は、最後の訪問国ハンガリー。プレゼンはハンガリーでの留学経験がある江原千絵さんです。江原さんの留学当時はやはり東欧民主化の風が吹いていた頃で、難民が大挙してやってきたのを目の当たりにしたようです。ところが今回久々に訪れたところ当時とは街並みもすっかり様変わり。レストランやバーが立ち並ぶおしゃれな街に変貌していました。江原さんは、留学経験を活かして同僚たちに楽譜やCDのお店を教えてあげたものの、それらのお店は軒並みなくなっていたそうで、結果的に嘘をついてしまいましたと苦笑いです。また、当時ホームステイしていたホストファミリーには9歳の男の子がいて、江原さんは彼からハンガリー語を教わったのですが(いわゆるコドモ言葉だったのでよく笑われたそうですが)、その彼とこのたび再会したそうです。スライドに映し出された写真は立派な青年。外資系企業の顧問弁護士だそうです。あと、もうひとり当時お世話になった外交官のかたのお話も。ハンガリー共産党のエリート外交官だったそのかたは、民主化の過程で不遇な時代を過ごしたものの現在は復職。ブダペスト公演後のパーティで久々の再会を果たしたそうです。
演奏はハンガリーの作曲家ドホナーニによるピアノ五重奏曲第2番。ドホナーニといえば、現在も活躍する指揮者「クリストフ・フォン・ドホナーニ」を連想しますが、この「ドホナーニ・エルネー」はクリストフの祖父。ブラームスの作曲技法を熱心に叩き込まれたそうで、この曲もどことなくブラームスを感じるような、たいへんロマンティックかつ重厚な楽風でした。他方、ハンガリーといえばバルトークやコダーイに代表されるジプシーの民族音楽が思い出されますが、そうした哀愁漂う民族舞曲っぽい感じも存分に感じられます。ドイツロマンにハンガリー民族的要素が絶妙なバランスで混入しモダンに仕上がったというか、とても興味深い楽曲でした。演奏もとても素晴らしくおおいに堪能しました。
オーケストラ・アンサンブル金沢室内楽シリーズ「もっとカンタービレ♪」
第17回 OEKヨーロッパツアー2009 帰国報告会
Orchestra Ensemble Kanazawa Chamber Music Series "Motto Cantabile"
日時:2009年12月8日(火)19:00開演 Tuesday, 8 December 2009 at 19:00
会場:石川県立音楽堂交流ホール Ishikawa Ongakudo Interchange Hall
■ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト W. A. Mozart (1756-1791)
フルート四重奏曲 第1番 ニ長調 K. 285
Quartet for Flute and Strings No.1 in D major, K. 285
〜フルート:岡本えり子
ヴァイオリン:大隈容子
ヴィオラ:古宮山由里
チェロ:福野桂子
■ディヌ・リパッティ Dinu Lipatt (1917-1950)
木管四重奏曲「オーバード」(朝の歌)
Quartet for Woodwind "Aubade"
〜フルート:岡本えり子
オーボエ:加納律子
クラリネット:木藤みき
ファゴット:渡邉聖子
--- 休憩 Intermission ---
■ドホナーニ・エルネー Dohnányi Ernő (1877-1960)
ピアノ五重奏曲 第2番 変ホ短調 作品26
Quintet for Piano and Strings No. 2 in E-flat minor. Op. 26
〜第1ヴァイオリン:江原千絵
第2ヴァイオリン:原田智子
ヴィオラ:デルフィー・ティソ
チェロ:ソンジュン・キム
ピアノ:鶴見彩