ワチャゴナ! What Cha' Gonna Do for Me?

オーケストラ・アンサンブル金沢を中心としたクラシック音楽。あるいは歌謡曲。その他映画とか、落語とか、お酒とか…あと、ナイナイさん!!

映画

【Jazz会#16】死刑台のエレベータが封切られた50年代をもう一度(2011/05/24@JZさん邸)

この日のJAZZ会はちょっと代わった趣向。1958年のフランス映画「死刑台のエレベーター」にマイルス・デイヴィスの即興演奏が使われているそうなので、まずはその映画を観ようというプラン。そして引き続き、マイルスを中心に1950年代のジャズを巡ってみようとのこと。


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本日は、Camillaさんが都合がつかず来ることができませんでしたが遅れての参加になりましたが、JZ主宰がおばんざいをこしらえ、プロデューサーKは餃子とスパークリングワイン、iiizmiiiさんはホームメイドのパン、ジョーさんはオイシイデリのお惣菜と赤ワイン、ぼくは(いつものように)コロッケとビールを持ちよって、いつものメンバーが集結。さらに、前回に引き続きカトちゃんの元同僚K氏がジントニック材料一式を抱えていらっしゃいました。

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という感じで、お酒と食事をいただきながら、映画と音楽を楽しみました。「死刑台のエレベーター」…サスペンス映画ですけど、つい見入っちゃいましたね。登場人物がじりじりと不安を募らせるところなど、ミュートを効かせたマイルスのトランペットが効果的でした。

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本日のプレイリストは以下のとおりです。

■JZさんブログ
http://blog.goo.ne.jp/ken_jazz/e/558e607d457e21ec3a14e90a5425aaba

■カトちゃんmixi日記
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1727806475&owner_id=3724976 ←秀逸!

【Jazz会#16】死刑台のエレベータが封切られた50年代をもう一度

0.プロローグ
Herbie Hancock: The Imagine Project(2010, Sony music)

1. 映画「死刑台のエレベーター」 
Ascenseur pour l'echafaud(フランス,92分, 1958)
監督:ルイ・マル
原作:ノエル・カレフ『Ascenseur pour l'echafaud』
脚本:ロジェ・ニミエ/ルイ・マル
出演:ジャンヌ・モロー (フロランス・カララ)、モーリス・ロネ (ジュリアン・タベルニエ)、リノ ・ヴァンチュラ (シャリエール警部)、ジョルジュ・プージュリー (ルイ)、ヨリ・ヴェルタン (ベロニク)
音楽:Miles Davis (tp), Barney Wilen(ts), Rene Urtreger(p), Pierre Michelot(b), Kenny Clarke(ds)

2. LP盤で聴く死刑台のエレベーターを
Miles Davis: Ascenseur pour l'echafaud(1957, Philips)
Miles Davis (tp), Barney Wilen(ts), Rene Urtreger(p), Pierre Michelot(b), Kenny Clarke(ds)

3. その頃のマイルスをもう少し
(1)Miles Davis: Cookin' with Miles Davis (1956, Prestige)
Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)
(2)Miles Davis: Milestones (1958, Columbia)
Miles Davis(tp), John Coltrane(ts), Julian Cannonball Adderley (as), Red garland(p),Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds)

4.50年代のジャズ(マイルスを取り巻く奏者たち)
(1)John Coltrane: Blue Train(1957,Blue Note)
Lee Morgan (tp) Curtis Fuller (tb) John Coltrane (ts) Kenny Drew (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
(2)Julian Cannonball Adderley: Cannonball Adderley Quintet in Chicago(1959, Mercury)
Julian Cannonball Adderley(as), John Coltrane(ts), Wynton Kelly(p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb(ds)
(3)Red Garland: Groovy(1957, Prestige)
Red Garland(p), Paul Chambers(bass), Art Taylor(ds)
(4) Paul Chambers: Bass on Top(1957, Blue Note)
Kenny Burrell (g), Hank Jones (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)

5. もう少しいろいろな音を聴きながら今日はお仕舞い
(1)Jimmy Smith: The Sermon!(1958, Blue Note)
Lee Morgan (tp), Curtis Fuller (tb), Lou Donaldson (as), Tina Brooks (ts), Kenny Burrell (g), George Coleman (ts), Art Blakey (ds)
(2)Modern Jazz Quartet: Concord(1955,Prestige)
Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)
(3)Wes Montgomery: the Incredible Jazz Guitar(1960, Riverside)
Wes Montgomery (g), Tommy Flanagan (p), Percy Heath (b), Albert Heath (ds)
(4)Tommy Flanagan: Overseas(1957)
Tommy Flanagan(p), Wilber Little(b), Elvin Jones(ds)
(5)Victor Feldman: Arrival of Victor Feldman(1958, Contemporary)
Victor Feldman (vib,p),Scott La Faro (b),Stan Levey (ds)

6. エピローグ:マイルスの時代は儚くも帳の向こうに消えていき,
Rene Urtreger: Onirica(2001,Sketch)
Piano solo


【映画】ブラック・スワン(2011/05/15@ユナイテッド・シネマ金沢)

ニューヨークのバレエ・カンパニーに所属するニナ(ナタリー・ポートマン)は、元ダンサーの母親の寵愛のもと、人生のすべてをバレエに捧げていた。そんな彼女に新作「白鳥の湖」のプリマを演じるチャンスが訪れる。しかし純真な白鳥の女王だけでなく、邪悪で官能的な黒鳥も演じねばならないこの難役は、優等生タイプのニナにとってハードルの高すぎる挑戦だった。さらに黒鳥役が似合う奔放な新人ダンサー、リリー(ミラ・クニス)の出現も、ニナを精神的に追いつめていく、やがて役作りに没頭するあまり極度の混乱に陥ったニナは、現実と悪夢の狭間をさまよい、自らの心の闇に囚われていくのだった……。

映画「ブラック・スワン」公式サイトより
http://movies2.foxjapan.com/blackswan/

「白鳥の湖」ということで興味を持った作品でしたけど、どうも最初に連想したような優雅なものじゃなさそう…? 果たして、心理サスペンスホラーとでもいうべき凄絶な作品でした…。思わずヒッ!と目を背けたくなる痛々しいシーンなどもあり、そういうグロいのが苦手なぼくとしては、本来遠慮したいはずの作品です。けれども、単なる残酷映像というだけでなく、主人公が苦悩を重ねていくさま、思い詰めた主人公が幻覚に囚われていくさまが怒涛の迫力で描かれていました。それだからこそ、主人公の痛みを自らのものとして感じるがごとく、作品世界に引きこまれていったのでした。

また、そのように引きこまれていく大きな要因は、もちろん主人公を演じたナタリー・ポートマンの鬼気迫る演技であったでしょう。くわえて、本物のバレリーナと見紛うほどの徹底的な役作り…! その圧倒的な存在感は、終盤の主人公の狂気溢れる黒鳥の舞のシーンで最高潮を迎えます。そして衝撃のラストシーン。。

痛々しくて目を逸らしたいけど、しかし最後まで目を離せないという、なんとも悩ましくも見ごたえのある作品でした。

★★★★★




なお、ユナイテッド・シネマ金沢で映画を観るときは…
食事はゴーゴーカレールネスかなざわ店で。いつもとおなじくロースカツカレーエコノミー(^^) 
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【映画】まほろ駅前多田便利軒(2011/4/23@ユナイテッド・シネマ金沢)

東京郊外のまほろ市で便利屋を営む多田は、仕事中に偶然、中学時代の同級生の行天と再会。住むところのない行天は多田のもとに転がり込み、行きがかり上、ふたりの奇妙な共同生活がはじまりました。

主演が瑛太さんと松田龍平さんということだけで、観に行こう!と決めた作品(苦笑)。たぶん、ほんわか〜として、ゆる〜い作品かなあと勝手に思い込んでいたのですが、その想像とはかなり違いましたねえ。ゆるさについては、まあだいたい当たっていたものの、ほんわか…というには多田と行天が背負った事情はそうとうに重いものでした。かつては快活で要領のよかった多田が黙々と便利屋稼業に精を出す働き者に、無口でおとなしかった行天が不気味ながらも饒舌で無鉄砲な変わり者になったというのには、多田・行天それぞれに理由があったのです。また、多田が行天を放っておけないのも、ふたりの間に忘れられない過去があったのです。

ふたりは小学生を塾に送迎する仕事を請け負いました。その少年は親から愛情を与えられず最初は生意気な態度だったのですが、やがてふたりに心を開いていきます。まあ、この少年をきっかけに厄介な事件に巻き込まれるのですけど、それはそれとして、こうした少年との交流の過程で、多田と行天の抱えていた思いが明らかになっていくというのはうまい手法だなあと思いました。まあ、原作がいいんでしょうね。シリーズ化あるいは連続ドラマ化できそうな感じもします。面白かったです。

★★★★

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【映画】英国王のスピーチ(2011/3/13@ワーナー・マイカル・シネマズ御経塚)

英国王ジョージ6世の実話に基づいた物語。今年のオスカーを総なめした話題作です。内気なヨーク公アルバート王子の悩みは、幼少の頃からの吃音症。エリザベス妃のすすめにより、言語聴覚士のローグのもとで型破りな治療をはじめました。アルバート王子とローグは、治療法や即位問題を巡って対立することもありましたが、次第に信頼関係を構築していきます。やがて兄・エドワード8世が「王冠を賭けた恋」のために退位し、アルバート王子がジョージ6世として国王に即位。折りしも英国はヒトラー率いるドイツとの戦争に突入し、新国王ジョージ6世は吃音問題を抱えたまま、英国全土へ向けて国民を鼓舞する演説を行うことになったのです…

本来は国王になるはずではなかったジョージ6世。元来内向的な彼が、次々と課せられる使命に対峙せざるをえないという苦悩がひしひしと伝わってきます。そして、そのおおきな手助けをする言語聴覚士のローグ。独特の治療法を飄々と施す一方、彼も患者たる王子との対立に思い悩み、反省しながら、症状の克服をすすめていくのでした。このふたりのテンポがとてもいい感じ。

ローグの吃音治療法はユニークなものでした。互いに愛称で呼び合う、下品な言葉を大きな声で連呼する…など。個人的に興味深かったのは、その場面描写で使われる音楽。口の筋肉や呼吸法などを訓練する場面のBGMは、モーツァルトの明るく輝かしいクラリネット協奏曲第1楽章でした。また、ヘッドホンで大音響の音楽を聴かせながら「ハムレット」を朗読させるという治療では、その大音響の音楽とはモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲。これは治療結果ともども華々しい効果がありました。

さらに、クライマックスのスピーチシーンでは、ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章。葬送行進曲の荘厳な響きが、国王の並々ならぬ決意を劇的に印象付けます。そして、感動のスピーチ後からエンディングにかけては、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」第3楽章。名実ともに国王となったジョージ6世を祝福し、敬愛する国民の心情をあらわしているかのようでした。というわけで、音楽の面でもおおいに楽しめた作品でありました。

★★★★

【映画】リトル・ランボーズ(2011/3/10@シネモンド)

いやあ、これはよかった!おもしろかった!ぼくも「ランボー」は映画館で観たかなあ。中学生の頃かな? 不死身で無敵の戦士ランボー。本作もそんな「ランボー」に魅せられた少年の物語です。

舞台は1980年代の英国。主人公のウィル少年は、信仰のあつい厳格な家庭に育ち、映画、テレビなど一切の娯楽を禁じられていました。唯一の楽しみは、物語を空想して絵を聖書やトイレの壁に落書きすること。ある日、ウィルはたまたま彼の落書きノートを見つけた学校一の問題児リー・カーターと意気投合、リー・カーターの自宅で初めて映画というものを見ます。その映画の名は「ランボー」。おおいに興奮したウィルは、持ち前の空想が広がり、自分がランボーの息子だという物語をつくりあげ、リー・カーターとともに映画作りに没頭するのでした。ところが、派手好きなフランス人留学生が映画作りに加わるようになり、ふたりの関係に変化が現れます…

孤独な少年ふたりが映画作りを通して友情を深めていくコメディタッチのハートフルドラマ。微笑ましいくらいの一途な友愛と反発、また、親兄弟に対する反抗とそれと同等の申し訳なさ… 少年たちのあやうく揺れる多感な心情がじつによく描かれていて、とってもよかった。途中、少年それぞれの家庭環境を理解するのにちょっと手間取る部分もありましたが、やがてそれらが明らかになってくると、ぐっと共感に変わります。そして最後の最後、ラストシーンはすべてオッケイ!と手放しで言いたくなるくらい、一気に感動がおとずれるのです。

音楽、ファッションなど80年代ロンドンっぽい雰囲気が味わえるのもgood! デュラン・デュランの曲とかも出てきちゃいます。そういう点もおおいにノスタルジーを刺激するのですなあ。

★★★★★

【映画】ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人(2011/2/21@シネモンド)

ニューヨーク在住の老夫婦、元郵便局員のハーブと元図書館司書のドロシーは、現代アート界きっての有名コレクター。決して多くない稼ぎの中から、有名無名問わず、自分たち自身の審美眼に適ったアーティストの作品をコツコツと買い集めて30数年。4000点を超えるコレクションは、夫婦が住むアパートの収容能力をはるかに超え、全米の美術館に寄贈されることになりました。そんな「現代アート一筋」なハーブ&ドロシー夫妻の日常を追ったドキュメンタリ作品です。

NY屈指の現代アートコレクターといっても、ハーブ&ドロシー夫妻は金持ちでもないし、スタイリッシュでもありません。たとえば彼らのアパートは生活感にあふれていて、スマートでクールな現代アートとは程遠い、どちらかといえば野暮といってもいいくらいの庶民的な暮らし向き。それでも、現代アート界にバブルが訪れたときも、収集したコレクションを売却して利益を得ようという発想はありません。彼らは純粋に「好きだから」作品を買い求めたにすぎないのであって、のちにその作者が有名になったとしても、あるいは自分たちのコレクションに高値がついたとしても、アート作品を愛でる無垢な姿勢が変わることはありませんでした。

しかも、そういった現代アートに対する愛情を、夫婦そろって持ち続けていること、しかも、ふたりがともに同じくらいの大きな情熱を傾けているということは、ある意味奇跡的ともいえるのではないでしょうか。ふたりがまったく自然に手をつなぎ、嬉々としてギャラリーをハシゴする姿は、見ていてまことに微笑ましく、崇高ですらありました。

心から深く現代アートを愛している夫婦の、心温まる素敵なドキュメンタリでございました。

★★★★

【映画】森崎書店の日々(2011/2/18@シネモンド)

失恋のショックで会社を辞め、落ち込む毎日の貴子。叔父のサトルさんに声をかけられ、彼が経営する神保町の古本屋に住まわせてもらうことになりました。貴子は本にはいままでろくに接してこなかったのですが、店の仕事を手伝っているうちに、小説の世界に徐々に惹きこまれていきます…。

この作品の中では、時間はゆったりと淡々と、物事を急き立てることなく進みます。それは、自らの未熟さゆえ傷ついた貴子が、自ら傷を癒やし、再スタートを切るまでの休息の時間でした。本と出会い、サトル叔父さんの話を聞き、神保町の人たちとふれあい、そうした優しく幸福な出会いによって、貴子ははじめて自分自身と対話し、自ら主体的にモノの価値を考えることになったのでした。そして、自分自身との決着、晴れやかな決断。

ことさらに誰かが元気よく鼓舞するといったことはまるでないのですが、それなのにじわじわと力がわいてきます。前向きに生きようと思える、じつは力強い物語です。温かくていい作品でした。

http://www.morisaki-syoten.com/

★★★★

【映画】武士の家計簿(2011/2/12@ワーナー・マイカル・シネマズ御経塚)

加賀藩御算用者として代々藩の財政・会計に携わってきた猪山家。主人公の直之は、得意の算盤で藩の不正をあぶり出し、あるいは借金を抱えた自身の家計を立て直していきます。武芸はからっきしでも、「そろばん」というお家芸を磨くことによって生計を立てられること、そしてその芸におおいなる誇りをもち、わが子に厳しく伝えていくこと…「そろばん侍」の矜持ここにあり、です。

特にドラマチックな展開はないのですが、穏やかなつくりの中に、適度のユーモアと涙と、そしてきちんと人の人生が描かれていました。ぼくの好きなタイプの作品です。いい映画だったと思います。また、キャスティングも絶妙。勇猛でもなく、器用でもないが、誠実で確固たる意志を秘める主人公…堺雅人さんはまさに適役でした。仲間由紀恵さんは要求される役柄を堅実にこなしてましたし、松坂慶子さんなどは、この人しかいないという配役ですしね(笑)。

そして、やはり地元金沢の人間としては、これは押さえておかないとならない一本。映画がヒットしてロングランになってくれたから、公開から3ヶ月たっても観られたのは地元ならではの幸運でした。ただ、「金沢は美しい…」とかいう台詞は地元民ながら恥ずかしく思ってしまいます(悪い意味で)。あんな台詞は別に言う必要はないと思いますけどね…かなり浮いてて気恥ずかしかったです。地元有力筋からねじ込まれたんでしょうか…

★★★★

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新 (新潮新書)
磯田 道史

殿様の通信簿 (新潮文庫) 江戸の備忘録 猪山直之日記―加賀藩御算用者 (時鐘舎新書) 学校では習わない江戸時代 (新潮文庫) 幕末単身赴任 下級武士の食日記 (生活人新書)

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2010年に劇場で観た映画・私的総括

2010年(1〜12月)に劇場で観た映画の総本数は、邦画12本・洋画14本の計26本。洋画は昨年と同数でしたが、邦画が31本から19本も減少しました。うーん。まあ、2010年は縁あって仲良く遊んでくれる方との出会いがあり、素敵な音楽や美味しい食事に接する機会が激増、そのぶん劇場に足を運ぶことが減ったのは事実です。それでも、コレだけは絶対観たい!という作品は逃してはいないと思いますけどね。

では、以下、例年同様、邦画・洋画それぞれのベスト10を、邦画については俳優賞を挙げていきたいと思います。ただし、このままでは10作を選ぶのには少なすぎるかなと思うので、せめて年が明けて正月に観た3作は、年内公開作品でもありますし、カウントに加えさせていただきます。ただ単に観るのが年明けにずれ込んだだけということで…まあお許しください(ルールブックはぼく!)。というわけで、追加を含めると、対象作品は邦画15本および洋画14本です。

【邦画ベスト10】

1.トイレット
2.告白
3.悪人
4.のだめカンタービレ 最終楽章 後編
5.最後の忠臣蔵
6.十三人の刺客
7.孤高のメス
8.ゴールデンスランバー
9.ノルウェイの森
10.カケラ

次点:借りぐらしのアリエッティ

主演男優賞:役所広司「最後の忠臣蔵」「十三人の刺客
主演女優賞:松たか子「告白
助演男優賞:柄本明「悪人」「ゴールデンスランバー」「孤高のメス」「桜田門外ノ変
助演女優賞:木村佳乃「告白」/満島ひかり「悪人」/夏川結衣「孤高のメス
新人賞:桜庭ななみ「最後の忠臣蔵

【洋画ベスト10】

1.オーケストラ!
2.息もできない
3.インビクタス/負けざる者たち
4.シャネル&ストラヴィンスキー
5.プレシャス
6.アバター
7.ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い
8.17歳の肖像
9.シルビアのいる街で
10.アニエスの浜辺


邦画第1位は「トイレット」です!(キャストがもたいまさこさん以外は全員外国人なので邦画と言えるかどうかは微妙ですが…まあ監督が荻上直子さんですから) ゆる系・癒し系でありながら、ストーリーにしっかり起伏・カタルシスが存在し、ぼくの趣味にぴったり合致しました。「告白」「悪人」は世間の評判もいいようですね。

洋画第1位は「オーケストラ!」。シリアスとユーモアとカタルシスがすべて含まれ、とっても面白かったです。チャイコンの曲自体の力を再認識しましたし…ああ、もう1回観たいなあ。「息もできない」も凄かったです。漂う風の濃さに圧倒されました。

【参考】
2009年に劇場で観た映画・私的総括
2008年に劇場で観た映画・私的総括
2007年に劇場で観た映画・私的総括

【映画】最後の忠臣蔵(2011/1/3@イオンシネマ金沢フォーラス)

レイトショーで鑑賞。なんとぼくと同行者以外には、他にお客さんが誰もいない…貸し切り状態でした(^^;) 評判のいい作品のはずなのに、こんなの初めてです。年齢層が高い作品で正月のレイトショーというのは人気薄なのかな?

さて、以後ネタバレあります。ご注意を!

吉良邸討ち入り四十七士のうち、討ち入り直後にただひとり切腹せずに離脱した寺坂吉右衛門。実は彼には大石内蔵助から密かに命ぜられた任務がありました。浪士の遺族に討ち入りの詳細を伝え、遺族の生活が成り立つよう取り計らうべし…。十余年の月日を経てようやくその任務を終えた寺坂は、京の外れでかつての親友・瀬尾孫左衛門の姿を見かけます。孫左衛門は大石家の家来でしたが、討ち入り前夜に突然脱盟、逃亡したのでした。しかし実はこの孫左衛門こそ、大石からの別の密命を忠実に遂行したもうひとりの人物だったのです。その密命とは、大石の愛妾・可留の娘、可音(かね)を公儀の追手から守り、一人前に育て上げるというもの。孫左衛門の献身的な養育の甲斐あって、可音は見目麗しく立ち居振る舞いの美しい女性に成長していました。そうして年ごろになった可音は、ある日、人形浄瑠璃の芝居小屋で、豪商・茶屋四郎次郎の跡取り息子に見初められます。ところが、可音が淡い恋心を抱く相手は、物心がつく前からずっと面倒を見てくれた孫左衛門そのひとなのでした…。とはいえ、まるで親子のような間柄、ましてや主家の息女と家来との間では恋が実るはずもなく…やがて可音は良縁を受諾し、茶屋四郎次郎家へ嫁ぐことを決心します。

卑怯者だの、命惜しさに逃げただのと謗りを受けつつも、ひたすらに可音のためだけに生きる孫左衛門。その愛情を一身に受け、孫左衛門に全幅の信頼を寄せ慕う可音。ふたりの間に育まれた情愛は深く暖かく、しかし決して結ばれることのない恋慕は切なく…。役所広司さんと桜庭ななみさんの演技がじつに見事で、物語におおいに惹きこまれます。特に終盤、輿入れのシーンは最高潮。感動の波が怒涛のようにぐっと胸に押し寄せます。ここまでの2時間はとても素晴らしい。問題はこの後です。

可音の嫁入りを見届け、大石の密命を果たした孫左衛門。彼がこの後とった道は…十余年の月日を経て、大石および同志たちの後を追って切腹して死することでした。「忠臣蔵」的にはこれが当然、お決まりの結末でありましょう。命尽きる直前に駆けつけた寺坂から「孫左!おぬしこそ最後の赤穂侍じゃ!」と激賞されます。しかしですよ…このお決まりの結末が、どうも収まり悪く感じてしまったのです。

まず想像せざるを得ないのは可音の心の内。自分が嫁いだ途端に孫左衛門が自害して果てたと知れば、可音が自らを責め、後悔に苛まれることは容易に想像できるはずでありましょう。それでも孫左衛門は「武士道」を貫き、自らの美学のために切腹して果てる道を選びました。「孫左は武士でござる」と常々可音に語っていた通りに。この孫左衛門の行為は、いままでずっと可音のために生きてきたといいつつも、結局は可音を絶望の淵に突き落とす最悪の結果を生むのではないでしょうか。「武士道に殉じる」という美名の自己満足にすぎない、あまりにも身勝手な行為だと批判しうるのです。同行者は、特にこの点に納得がいかないようすでした。武士道の美学は理解するが、せめて婚儀直後ではなく、たとえば旅僧になると称して住処を去り、旅先で独り密かに果てるならまだしも…。他方、この作品を2010年邦画ベスト1に選出した友人のCMプロデューサーK君は、これこそが「武士道」だと断じ、孫左衛門の行為を当然のことと絶賛します。自己満足結構。もともと武士道とは大いなる矛盾を孕むもの。身内にいかなる犠牲があったとしても、主人に殉じて死ぬことこそが武士の第一義の務めなのだと。…ううむ、なかなか難しいところです。

さらに事態を不可解にしているのが寺坂の言動です。大石の密命を遂行し終えたという意味では寺坂も孫左衛門と同じ立場。ところが彼は任務を終えた今でも生きていますよね。その寺坂が孫左衛門の切腹について賛辞を送るというのはおかしいのではないか、自分のことを棚に上げて何を言うかと。あるいは寺坂としては、実際に討ち入りに参加した者として、生きて浪士たちの忠義を広く語り伝え、その正当性を訴え続けることこそが大石の本意だと考えているのかもしれません。その意味では、自らの任務は終わっていないという認識なのでしょう。だとすればそれは孫左衛門も同じこと。可音が今後憂いなく過ごせるように取り計らうのも重要な使命といえましょう。そのためには、自らの美学ごときのために殉じて軽々に死んではいけないのです。思えば夕霧太夫も、それを慮って(死を禁ずるために)孫左衛門とともに生きると告げたのでしょう。ここまで来たら、生き抜くこともまた忠義。たしか大石が孫左衛門に任務を託す際にも「生きて生きて生き延びよ」と命じたのではなかったでしょうか。だから寺坂は、孫左衛門の死に際しては、賞賛ではなく批判して然るべきだと思うのです。「そうではない!死んではならぬのだ、孫左!」とでも最後に言ってくれれば、ぼくはすんなり納得できたでしょうに。

…と、つらつら考えているなかで、映像表現としてひっかかった点が2つ。ひとつは孫左衛門の切腹により、大石の位牌に血しぶきがかかるシーン。主人の位牌を血で汚すなど、普通に考えたら不忠の極みでしょう。これはどうみても武士の美学とは相容れない…。もうひとつは、劇中、随時挿入される人形浄瑠璃「曽根崎心中」。武士の切腹と、男女の心中というのは同じ自死でも意味がまるで異なりますし、この挿入映像は何の意味があるのか…と。そこではたと思い至ったのは、孫左衛門の切腹は、実は武士道の帰結なのではなく、彼の中では可音との「心中」なのではないかと…! そういえば、切腹を前にして孫左衛門の脳裏によぎったのは、主家大石のことではなく、可音と暮らしたやさしく温かな日々でした。大石家の紋の入った着物を身をまとい、武士としての作法を装いつつも、その実、殉じる先は大石ではなく可音との思い出だったのではないでしょうか。位牌に血にかかったとしても、それはまさに武士道とは無縁だという証左かと。決して結ばれることのない禁断の愛を永遠のものとするための「心中」。もちろん可音が死ぬわけではないので、それはあくまで「片面的心中」とでもいうべきでしょうが、あるいは可音が孫左衛門への想いを絶ち切り嫁ぐことを決めたとき、既に精神的には自らを殺したといえないこともありません。そこで思い起こされるのが、輿入れの際、同行を願い出る旧家臣に対する可音の堂々たる振る舞いです。この姿を見る限り、可音はすでに今までの日々と決別し、日本一の商家の嫁として生きていく覚悟を固めたものと思われます。そしてそんな聡明で気丈な彼女ならば、孫左の切腹も予想しえたはずで、孫左衛門の教えの通り、武家の娘として、悲しむこと、寂しがることを自ら禁じたのでしょう。

ということで、最後の切腹をどう捉えるかは大いに議論の余地があり(それもまた興味深い)、ぼくの解釈はそうとう無理やりという感じもしますが、いちおうの解答を得た気でいます。少なくとも、切腹の前までは文句なく素晴らしいと再度申し上げておきましょう。

★★★★

4043687109最後の忠臣蔵 (角川文庫)
池宮 彰一郎
角川書店 2004-10

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