ひろしま街がたり

広島の街が大好きな名もなき個人の、広島がもっともっと素敵な街になってもらいたいと願った妄想の記録です。。。

2018年08月

平成30年8月18日(土)…
2018国分寺野外シネマフェスティバル
20180818ポップラ劇場
偶然ですが、東京と広島で、同じ日に同じ映画『この世界の片隅に』の野外上映会がありました。
東京は「国分寺野外シネマフェスティバル2018」が、国分寺の南町ひだまり公園で。
広島は「ポップラ劇場2018市民野外上映会」が、中区の”基町ポップラ通り”で。

最近は、全国で映画の野外上映会が開催されていますが、広島では”川”の街らしく、都心の河原で毎年8月下旬に行われています。

                  ◇

原爆ドームから相生橋の上流に本川を5分ほど歩くと”ポップラ通り”があります。
通りと言っても河原で、正式には「基町環境護岸」。以前このブログの”オープンカフェ”の回で紹介した東京工業大学の中村助教授(当時)の想いが詰まった場所の一部で、1980年代まではポプラの木と共に原爆の被災者のバラックが立ち並んでいた所です。

それが、現在では、”水の都”広島を象徴するような、他都市ではなかなかお目にかかれないような街中の緑豊かでとっても気持ち良い川辺となっています。

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          「ポップラ劇場」準備中の”ポップラ通り”

この美しい川辺で市民がもっと”親水”できるようにと市民グループ(ポップラ・ペアレンツ・クラブ)の手で始まったのが「ポップラ劇場」。
2005年に、マンガ「この世界の片隅に」やここポップラ通りを舞台とした「夕凪の街桜の国」の作者であるこうの史代さんの前で「夕凪の街」創作劇を披露して以来、演奏会、寄席などが開催され、2007年には、この場所でロケを行った映画「夕凪の街桜の国」が先行上映されました。
それ以来10年以上毎年映画の野外上映が行われ、2008年の映画「夕凪の街桜の国」の再上映の際には、こうの史代さん、監督の佐々部清さん、主演女優の麻生久美子さんがトークショーを行い約500人もの来場者がありました。


                  ◇

今年の「この世界の片隅に」の上映会では、監督の片渕須直さんと”径子さん”の声を務めた女優の尾身美詞さんのトークショーが行われ、300人以上の来場者がありました。
(当日の様子はこちらのブログで紹介されています。)
なお。片渕監督は映画「この世界の片隅に」の大ヒット公開前の2016年の「マイマイ新子と千年の魔法」上映の際にも来場されていますので、今回は”凱旋帰国”ですね!

2018ポップラ劇場(片渕監督&尾身さん)
       片渕監督と尾身さんとの記念写真(ポップラ劇場FBより)

当日は今年の猛暑には珍しく秋めいた爽やかな天気で、上映前の監督と尾身さんのトークショーの途中、「あっ!ひこーき雲!!」と突然尾身さんが薄暮の空にまっすぐ伸びる白い線を見上げながら声を上げられました。
そして、街中に広い空と山と川と緑があり、ちょっと先には映画にも登場する旧中島本町(現平和記念公園)と相生橋と原爆ドームがあるこの空間(環境)で上映されることを感慨深かそうに述べられていました。
(ちょうど10年前の佐々部監督や麻生久美子さんと同じように。。。)


                   ◇

東京の隅田川でも以前野外上映会が開催されたことがあるようですが(こちら)、10年以上続くこの「ポップラ劇場」は広島ならではの上映会で、”川が街に溶け込んでいる”広島の街の魅力を十分に感じることができるとても素敵なイベントだと思います。
ぜひずっと続いてほしいです!


【夢がたり】
できれば毎月、いや毎週週末にでも広島ゆかりの映画を上映する「ポップラ劇場」が開催されればいいなあ。
きっと広島名物となって、夜の観光資源にもなって滞在者も増えるんじゃないかあ。。。

(次回へ続く)

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「なんやかんやで広島に来てたけど、新幹線の車掌さんは「左手にズムスタが見えます」とか言うし、土産屋の人はなぜかカープユニ着てるし、あげく電車までカープだし、本当に何だよこの街、バチカンだってもっとキリスト色薄いだろ」


私の好きなSNSのコメントの一つです。
たぶん「広島の街にとってカープとは何か?」を知らずに何気に広島を訪れた人々は、多かれ少なかれこんな感じの思いをすると思います。

そして、それを面白いと思うか、嫌みに思うかは人それぞれ。
「広島では学校でもカープを教えていて、完全に洗脳している」
「広島人にとってカープは宗教だから」
と揶揄するコメントもしばしば見かけます。


この手の声を聞くと、いつも思い出すことがあります。
それは、以前に東京に住んでいた頃、広島出身の若者たちと時々飲みに行く中で、自然とカープの話になり、最後に彼らの口から発せられた言葉
「カープは自分の血だから!」

じいさん、ばあさんの代には広島に生まれたカープを身内のように支え、
父、母の代には毎日の生活の中に普通に存在し、喜怒哀楽を共に育つ。
そんな両親から生まれた子どもたちは、良い悪いに関係なく宿命的に”カープの血”を受け継ぐ…。

「広島にいた頃はカープが大嫌いだった」
そういう人にも時々出会いました。
それが進学のため広島を離れ、成人し、人生を重ねる中で、ある時ふと自分の”血”に気がつく。
(まるで「ゴッドファーザー」のアル・パチーノのように…)

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広島にとってカープとは、”宗教”よりももっともっと深く濃いものかもしれません。。。


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今回は趣向を変えて、広島の”川”に関係する本の紹介です。
それも、本屋の郷土コーナーなどでよく見かける歴史、紀行、風土、街作り、自然、観光などの分野ではなく、たまたま図書館で見かけた結構なレアもの?フィクション3作品。
まあ気が向けば手にとってみてください。(お勧めかどうかは???)


                  ◇
●「広島水の都殺人事件」
著者:木谷恭介 
2009年3月 廣済堂あかつき㈱出版事業部発行 「廣済堂ブルーブックス」
宮之原警部シリーズ
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(寸感)
あとがきで著者が記されていますが、本当は『広島万能細胞殺人事件』という題にしたかったそうで、山中教授のIPS細胞が話題になっている頃ですね。そのせいか、正直舞台は”水の都”広島でなくても(京都とか神戸とか)よかったような気がします。



それと作中の”広島弁”に結構違和感あり。(作品で方言を取り上げるのは難しい・・・)



普段このような旅情ミステリーをほとんど読まないのですが、何より印象に残ったのは、著者は当作品を81歳の誕生日に徹夜して書き上げたということ。まあ~、生涯100冊以上の多作作家は、主人公の警部や探偵以上にタフなんですね。。。











                  ◇

●「安芸広島水の都の殺人」
著者:梓林太郎 
2016年7月 祥伝社発行 「NON・NOVEL」
旅行作家・茶屋次郎の事件簿シリーズ
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(寸感)
最初この本を見た時には、上記の本の新装丁かと思ってしまいました。でもよくよく見ると題名が確かに違う。後でわかったのですが、この茶屋次郎シリーズはそのほとんどが「●●殺人事件」という題名だったので、先行本がなければ本当は「水の都殺人事件」にしたかったのだろうなあ、と。






さて、作中に登場する広島の街は、住んでいる者からすると各現場が手に取るようにわかり、きちんとした取材がなされていると思いました。ただし、広島の地形に詳しい人でないと、いくつも登場する川の名前にわけがわからなくなる可能性が高いかも。。。





それと個人的にちょっと残念だったのは、舞台が川が多い街”水の
都”で展開されているのはわかるのですが、そこに”水の都”なる情緒を感じるウェットなシーンが少なかったことです。







は結構ドライな旅行作家さんなんでしょうかね。。。



の作品を読んでいないのでよくわからないのですが、茶屋次郎さん


                  ◇

●「太田川純情ラバーズ」
著者:尾崎あきら
2013年4月 集英社クリエイティブ発行 「マーガレット コミックス」
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(寸感)
少女マンガといものは普段ほとんど異世界の存在ですが、読んでみて”べたべた”と思っていたものが思いかけず実に爽やかな風を感じることができて好感を持てました。

著者はカバー裏面に、「川のある風景が好きです。なので地元広島の街のど真ん中にある川原を背景に使ってみました・・・」と記されていて、見慣れた風景が各所に登場します。ただできたら、もう少し川を強調したシーンがあればより太田川の印象が強まったのでは、と思います。




でも何であれ、広島を舞台とした新しい物語(原爆やカープやお好み焼きなどを扱わないもの)が生まれることをずっと期待しているので、このような青春ものやラブストーリーなどが描かれることは大歓迎です!







(次回へ続く)

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