2009年10月06日
一進一退
久々どころじゃないけど更新。
更新が遅れた理由はいろいろあるが、昔の宿題を終わらせようと思い立ったというのが一番の理由だ。それが済んだらまた月に一回は更新しようと思う。
この数ヶ月の間にいろんなことがあった。一番の変化は飼い犬が亡くなってしまったこと。15年間連れ添った家族と永遠にコミュニケーションが取れなくなるというのは理屈抜きで寂しい。けど、涙は出なかった。15年と言えば人間の年齢に換算すると80歳くらいだ。大往生だと思う。事故や病気ではなく、死んでしまう少し前から覚悟はできていた。
出会いがあれば必ず別れがある。当たり前のことだ。死ぬのは悲しいことじゃない。悲しいのは忘れてしまうことだと俺は思う。だから俺は死ぬまで忘れない。
更新が遅れた理由はいろいろあるが、昔の宿題を終わらせようと思い立ったというのが一番の理由だ。それが済んだらまた月に一回は更新しようと思う。
この数ヶ月の間にいろんなことがあった。一番の変化は飼い犬が亡くなってしまったこと。15年間連れ添った家族と永遠にコミュニケーションが取れなくなるというのは理屈抜きで寂しい。けど、涙は出なかった。15年と言えば人間の年齢に換算すると80歳くらいだ。大往生だと思う。事故や病気ではなく、死んでしまう少し前から覚悟はできていた。
出会いがあれば必ず別れがある。当たり前のことだ。死ぬのは悲しいことじゃない。悲しいのは忘れてしまうことだと俺は思う。だから俺は死ぬまで忘れない。
2009年06月14日
大同小異
5月9日
SPECIAL OTHERSのライブを同期と観に行く。
関西圏の客への配慮だと思うが、前回のライブでは演奏しなかった曲をたくさん聴けて大満足だった。次のアルバムが出るのは恐らく来年以降だろうけど、その時はまたライブを観に行きたいと思う。ホントいいバンドだ。
6月4日
同期二人と三人で日帰り旅行に出かける。行き先は伊勢神宮。
何故この時期に、しかも日帰りで伊勢なんか行くことになったのか。話は少し遡る。
とある平日。社内業務がはかどらず、昼になっても外回りに出られなかった俺は昼飯に別の部署に配属された同期を誘うことにした。(営業をやったことがある人ならわかると思うが、昼まで社内にいることなんぞ普段はほとんどないわけで、かといって社内にいるのに一人で飯を食いにいくのも寂しいわけで、そんなわけで、同期を誘ってみたのだ)
同期は別にいいよ〜と快く了承してくれた。ちなみにこの同期にはちょっとした借りがあったので、飯を奢って借りを返す、といういい機会でもあったのだ。
「この前は無理言ってごめん!助かったわ」
「あんなんで良かったの〜?」
「いやいや、十分十分。今日はそのお礼と言っちゃアレだけど奢るよ」
「じゃあ奢ってもらおー」
というごく平凡な会話をしつつ、しょうもない世間話とか最近どうなん?的な話をしようと思っていた。が、何故か会話が途中で途切れる。いつもならこんなぎこちない流れにはならないはずなのだが、どうにも様子がおかしい。挙句の果てには、鳥取砂丘に行きたい。スケールの大きなところに行ってみたい。とか意味不明のことを言い出す始末。さすがの俺でも訊かずにはいられなかった。
「ん?何かあったん?」
「…」
急に涙目になる同期。俺は何か地雷を踏むようなこと言ったのかと不安になる。
「どうしたん?」
「実は…」
と、同期の口から出たのはとんでもなく重い内容の話だった。
何でも父親が末期ガンらしく、あと半年の命とのこと。そういう背景があって先週も東京に帰っていたとのこと。
「ああ、遊びに帰ってたんじゃなかったのね」
「そうだよ。さすがに凹むわ。ごめんねー」
「いやいやいや、全然いいけどさー。いやいや、若いのになー…」
俺は重い話に対するレスポンスが0点だと定評がある。つまり、俺なんかに打ち明けてもいいことは全くないのだ。
「なんか、空気重くなったよね」
「そりゃね…」
「親と話せる時に話しといた方がいいよ」
「まあ、俺は親とはほとんど会話しないんだけど、そういう状況になったら変わるかもな」
「そうなった後だと遅いから」
「いや…はい」
重い。何言っていいかわからん。何言ってもダメージを与える気がする。想像力を発揮する。こんな状況、漫画だったらドラマだったら映画だったら何て言って元気付けてたっけ…。ああ、リアルの破壊力ったら底なしだ。ええいままよ!
「よし。砂丘行くか!」
「え?さっきは行くわけねーだろとか言ってたじゃん」
「事情が変わった。砂丘でもどこでも連れて行ってやるよ」
「ホントに?」
「男に二言はない。でも砂丘だと日帰りじゃ無理だぞ。ぎりぎりで伊勢くらいだな」
「じゃあ伊勢神宮でもいいかなあ。まだ行ったことなかったし。とにかくスケールの大きいところに行って自分がちっぽけだと実感したい気分なの」
「重いね!」
「そりゃ重くもなるわ」
と、そんなことがあって、伊勢に行くことになったのだ。同期は伊勢神宮の神秘的な空気に満足してたようで良かった良かった。しかしこれは空元気なのか、それとももう立ち直ったのか、俺にはそこまで推し量る人生経験も洞察力もないので、何とも言えないもやもやとしたものが心に残ったのであった。
それにしても歳を取ると重い話が増える。精神年齢16歳の俺には荷が重いったらない。それだけ薄っぺらな人生を送ってきたということなんだろうけど、実際自分が同じ立場になったらどう立ち振る舞うのか、自分でも予想ができない。情けない話だ。が、いつかは必ず当事者になる。それまでに俺は大人になっているのだろうか。むむむ。
6月6日
喜多さんがこっちに戻ってくるというので、いつものカフェに加藤さんと三人で集まる。
喜多さんにもようやく彼氏ができたのでこの日はそういうノロケ話が炸裂するのかと思いきや、意外なところから重い話になったのだった。
「もう彼女と2ヶ月会ってないんだよね」
そうポツリとこぼしたのは加藤さんだった。何でも同じ過ちを繰り返してしまったのだと言う。平たく言うとこうだ。
彼女に内緒で彼女の知らない女とこそこそ会っていたのがバレた。それも前科アリで、前回許してもらった時は、そういうことがあった際は報告する、と約束してたとのこと。(加藤さん曰く、普通に飯を食ったぐらいでそれ以上の関係はないんだと)
くだらねえ。
「それは加藤さんが全面的に悪いですよ」
「でも勝手に携帯見た彼女にも非があると思うんだよ」
「加藤さん、彼女さんに信頼されてないんじゃないですか?私だったら絶対見ないですよ」
「そう言われると言い返せない…」
「まあ、前科アリだったらそりゃ疑うんじゃないですか?つーか相手誰なんですか!」
「チリに旅行行ったときに会った子。同じバックパッカーで気があってさ、日本に帰ってきてからも連絡取ってたんよ」
「ひどい話だ!最初に会うときに何で彼女に一言言わなかったんです?」
「だってやましいこと無いんだから言う必要ないと思ってさー」
「やましいこと無いんだったら別に言えるじゃないですか」
「そうとも言えるけどさー」
「アンタが悪い!
しょんぼりとする加藤さんに俺は烈火のごとく怒った。何故か。それは加藤さんが何故かモテてたからだ。ちくしょう!俺の知らないところで密かにモテやがって!何が今の彼女と別れて私と付き合って下さい、だ。俺が生涯のうち1回は言われてみたいセリフを、到底叶わないと諦めていた妄想をあっさり達成しやがって!
「どうしたら許してもらえるんかねえ。メール送っても返ってこないし。電話したらもう電話してこないでって言われたし」
「そりゃあ2回裏切られたらさすがにキツイですよ。彼女さん、今年30歳なんでしょ?5年近く付き合ったのに、そりゃ報われないですって」
「彼女さんかわいそう。。。」
「ホントに何もないんだよ!」
加藤さんは必死に自己弁護する。やましいことはないし。彼女のことが好きだし云々。
「それは加藤さんが主張してるだけであって、彼女はそう捉えてないかもしれないじゃないですか。っつーか、絶対浮気してると思ってますよ」
「そんなに信用ないんかなぁ…」
「2回同じことやったら、さすがに難しいですよ」
「正直、刺されても文句言えないですよ。25〜30歳っていう、女性にとっては生涯で一番大事な時期を無碍にされたわけですから。あなたという最低な男によって!」
「ちょっと○○君!少しはフォローしてよ!」
「今回ばっかりは打開策が見えませんね。もう彼女次第なんじゃないですか。2回裏切られたけど、やっぱり許すか。それとも見切りをつけて、再出発するか。でも彼女も30間近なんだし、再出発もかなり体力がいるわけで、それで大いに悩んでるんですよ。きっと」
「…」
モテると罰が当たる。それが証明される結果となった。
「手紙書いたらどうです?日本人ならやっぱり手紙ですよ。歌でも詠めばいいんじゃないですかね」
「手紙かあ。じゃあ書いてみようかなあ」
「人事を尽くして天命を待つ。しかないと思います。今回ばっかりは」
と、こんな感じでこの日は加藤さんの恋愛相談の一日になったのであった。もうダメかもわからんね。
とりあえず以上
SPECIAL OTHERSのライブを同期と観に行く。
関西圏の客への配慮だと思うが、前回のライブでは演奏しなかった曲をたくさん聴けて大満足だった。次のアルバムが出るのは恐らく来年以降だろうけど、その時はまたライブを観に行きたいと思う。ホントいいバンドだ。
6月4日
同期二人と三人で日帰り旅行に出かける。行き先は伊勢神宮。
何故この時期に、しかも日帰りで伊勢なんか行くことになったのか。話は少し遡る。
とある平日。社内業務がはかどらず、昼になっても外回りに出られなかった俺は昼飯に別の部署に配属された同期を誘うことにした。(営業をやったことがある人ならわかると思うが、昼まで社内にいることなんぞ普段はほとんどないわけで、かといって社内にいるのに一人で飯を食いにいくのも寂しいわけで、そんなわけで、同期を誘ってみたのだ)
同期は別にいいよ〜と快く了承してくれた。ちなみにこの同期にはちょっとした借りがあったので、飯を奢って借りを返す、といういい機会でもあったのだ。
「この前は無理言ってごめん!助かったわ」
「あんなんで良かったの〜?」
「いやいや、十分十分。今日はそのお礼と言っちゃアレだけど奢るよ」
「じゃあ奢ってもらおー」
というごく平凡な会話をしつつ、しょうもない世間話とか最近どうなん?的な話をしようと思っていた。が、何故か会話が途中で途切れる。いつもならこんなぎこちない流れにはならないはずなのだが、どうにも様子がおかしい。挙句の果てには、鳥取砂丘に行きたい。スケールの大きなところに行ってみたい。とか意味不明のことを言い出す始末。さすがの俺でも訊かずにはいられなかった。
「ん?何かあったん?」
「…」
急に涙目になる同期。俺は何か地雷を踏むようなこと言ったのかと不安になる。
「どうしたん?」
「実は…」
と、同期の口から出たのはとんでもなく重い内容の話だった。
何でも父親が末期ガンらしく、あと半年の命とのこと。そういう背景があって先週も東京に帰っていたとのこと。
「ああ、遊びに帰ってたんじゃなかったのね」
「そうだよ。さすがに凹むわ。ごめんねー」
「いやいやいや、全然いいけどさー。いやいや、若いのになー…」
俺は重い話に対するレスポンスが0点だと定評がある。つまり、俺なんかに打ち明けてもいいことは全くないのだ。
「なんか、空気重くなったよね」
「そりゃね…」
「親と話せる時に話しといた方がいいよ」
「まあ、俺は親とはほとんど会話しないんだけど、そういう状況になったら変わるかもな」
「そうなった後だと遅いから」
「いや…はい」
重い。何言っていいかわからん。何言ってもダメージを与える気がする。想像力を発揮する。こんな状況、漫画だったらドラマだったら映画だったら何て言って元気付けてたっけ…。ああ、リアルの破壊力ったら底なしだ。ええいままよ!
「よし。砂丘行くか!」
「え?さっきは行くわけねーだろとか言ってたじゃん」
「事情が変わった。砂丘でもどこでも連れて行ってやるよ」
「ホントに?」
「男に二言はない。でも砂丘だと日帰りじゃ無理だぞ。ぎりぎりで伊勢くらいだな」
「じゃあ伊勢神宮でもいいかなあ。まだ行ったことなかったし。とにかくスケールの大きいところに行って自分がちっぽけだと実感したい気分なの」
「重いね!」
「そりゃ重くもなるわ」
と、そんなことがあって、伊勢に行くことになったのだ。同期は伊勢神宮の神秘的な空気に満足してたようで良かった良かった。しかしこれは空元気なのか、それとももう立ち直ったのか、俺にはそこまで推し量る人生経験も洞察力もないので、何とも言えないもやもやとしたものが心に残ったのであった。
それにしても歳を取ると重い話が増える。精神年齢16歳の俺には荷が重いったらない。それだけ薄っぺらな人生を送ってきたということなんだろうけど、実際自分が同じ立場になったらどう立ち振る舞うのか、自分でも予想ができない。情けない話だ。が、いつかは必ず当事者になる。それまでに俺は大人になっているのだろうか。むむむ。
6月6日
喜多さんがこっちに戻ってくるというので、いつものカフェに加藤さんと三人で集まる。
喜多さんにもようやく彼氏ができたのでこの日はそういうノロケ話が炸裂するのかと思いきや、意外なところから重い話になったのだった。
「もう彼女と2ヶ月会ってないんだよね」
そうポツリとこぼしたのは加藤さんだった。何でも同じ過ちを繰り返してしまったのだと言う。平たく言うとこうだ。
彼女に内緒で彼女の知らない女とこそこそ会っていたのがバレた。それも前科アリで、前回許してもらった時は、そういうことがあった際は報告する、と約束してたとのこと。(加藤さん曰く、普通に飯を食ったぐらいでそれ以上の関係はないんだと)
くだらねえ。
「それは加藤さんが全面的に悪いですよ」
「でも勝手に携帯見た彼女にも非があると思うんだよ」
「加藤さん、彼女さんに信頼されてないんじゃないですか?私だったら絶対見ないですよ」
「そう言われると言い返せない…」
「まあ、前科アリだったらそりゃ疑うんじゃないですか?つーか相手誰なんですか!」
「チリに旅行行ったときに会った子。同じバックパッカーで気があってさ、日本に帰ってきてからも連絡取ってたんよ」
「ひどい話だ!最初に会うときに何で彼女に一言言わなかったんです?」
「だってやましいこと無いんだから言う必要ないと思ってさー」
「やましいこと無いんだったら別に言えるじゃないですか」
「そうとも言えるけどさー」
「アンタが悪い!
しょんぼりとする加藤さんに俺は烈火のごとく怒った。何故か。それは加藤さんが何故かモテてたからだ。ちくしょう!俺の知らないところで密かにモテやがって!何が今の彼女と別れて私と付き合って下さい、だ。俺が生涯のうち1回は言われてみたいセリフを、到底叶わないと諦めていた妄想をあっさり達成しやがって!
「どうしたら許してもらえるんかねえ。メール送っても返ってこないし。電話したらもう電話してこないでって言われたし」
「そりゃあ2回裏切られたらさすがにキツイですよ。彼女さん、今年30歳なんでしょ?5年近く付き合ったのに、そりゃ報われないですって」
「彼女さんかわいそう。。。」
「ホントに何もないんだよ!」
加藤さんは必死に自己弁護する。やましいことはないし。彼女のことが好きだし云々。
「それは加藤さんが主張してるだけであって、彼女はそう捉えてないかもしれないじゃないですか。っつーか、絶対浮気してると思ってますよ」
「そんなに信用ないんかなぁ…」
「2回同じことやったら、さすがに難しいですよ」
「正直、刺されても文句言えないですよ。25〜30歳っていう、女性にとっては生涯で一番大事な時期を無碍にされたわけですから。あなたという最低な男によって!」
「ちょっと○○君!少しはフォローしてよ!」
「今回ばっかりは打開策が見えませんね。もう彼女次第なんじゃないですか。2回裏切られたけど、やっぱり許すか。それとも見切りをつけて、再出発するか。でも彼女も30間近なんだし、再出発もかなり体力がいるわけで、それで大いに悩んでるんですよ。きっと」
「…」
モテると罰が当たる。それが証明される結果となった。
「手紙書いたらどうです?日本人ならやっぱり手紙ですよ。歌でも詠めばいいんじゃないですかね」
「手紙かあ。じゃあ書いてみようかなあ」
「人事を尽くして天命を待つ。しかないと思います。今回ばっかりは」
と、こんな感じでこの日は加藤さんの恋愛相談の一日になったのであった。もうダメかもわからんね。
とりあえず以上
2009年05月23日
弱肉強食
更新。
5月3日
大型連休なので東京に行こうと思い立つ。
しかし、東京行ったら疲れないか?と日頃から蓄積されている疲労の具合を考慮し、軽く自問自答する。でもまあ、行ける時に行っておきたいしなぁ。5月で転勤になるかもしれないしなぁ。とか、何かにつけて後ろ向きに考えに考えた結果、やっぱり東京に行くことにした。
かつて同類で今は友人の小原君を誘ってみたけど、なんかラストチャンスだから無理とかいうカッコいい理由で断られてしまった。もう落ちちゃえよ!と心底思う。
長谷川と旅行のスケジュールを話し合っていると、特に目的もなく東京行くのも何だかなぁ、という流れになり、今回の旅行はカレー縛りにしよう!などと、全くもって意味の無いルールを課すことになった。何年か前にも同じような流れになり、ラーメン縛りで4泊5日ぐらい過ごしたことがあるのだが、あの時は本当にラーメンが嫌いになった。ラーメンという響きを聞くだけで吐き気がするほどだ。カレーは比較的好きな食べ物なので、嫌いになりたくないけど、まあ、仕方ない。
東京に着き、長谷川と合流すると早速昼飯を食べに行く。一食目は北海道専門店みたいなところにあったスープカレーを食べた。辛い。その後中垣さんと合流。仕事の話とかをする。
んで6時頃にサトル、ゆとりさんと合流。カレー縛りのはずが水炊きを囲みつつ、過去の話に花を咲かせ…と思ったが皆さんバリバリ現役だったようで、俺は一人取り残されてしまう。このエネルギーは一体なんなんだ。かつては俺もこんなんだったのか。物凄い違和感。全くついていけん。何の話をしているのかわからん。大人になるってこういうことなのか。恋は盲目とはよくいったもので、何かに夢中になっていると周りが見えなくなる。その状態を客観的に見ると、こうまで温度差を感じるものなのか。しかし、羨ましい。現在俺はここまで夢中になれるものがない。だからと言ってかつてのようにアレにはまるのは無理だ。俺、麻生久美子とかが普通に好きだし。
でもせっかく東京に来たんだし、疎外感を感じたまま別れてしまうのも悲しいので、俺が失った時間をサトルに補完してもらうことにした。とりあえず大雑把な流れは把握することができた。けんども、誰が誰だか顔がわかんねーので、頭の中では記号だけが右へ左へ集まったり離れたりした。まいみだけはわかったけど。
今日の会合は過去現在未来トークをすることも目的の一つだったが、サトルの就職祝いという意味合いもあったので、おめでとうということをこのブログでも書いておく。中学の時、俺は本当に勉強というものをしなかった。それは本当に後悔しているので、サトルには少々嫌われてでも今のガキ共に勉強の大切さを教えてやってほしいと思う。勉強っつっても学問だけじゃなく、人生とかそんな感じのことを。知識や知恵は持っていても損することはないだろうし。一つの事柄を様々な面で捉えたり、いろんな方法でアプローチする手段を身につけることが広い意味で勉強なんだと思うし。要は視野の広い面白い人間を育てて欲しい。というわけで、再就職おめでとう。
深夜、長谷川宅に着くと、仕事の話を深夜の4時ぐらいまでした。業界が違うのでそれぞれの業界の業態、諸事情何かを補完し合う。まあ、どこの世界も厳しくしんどいのは変わりない。わかってるけども、そういうことを話さずにはいられないのだ。社会人の8割は仕事うぜー、という言葉を腹に溜め込み、今日を生きていると個人的に思う。それにしても、俺は出世欲というものが未だに沸かない。もう今の時点で同期と差をつけられているんだろうなあ、なんて、他人事のように考えている。
5月4日
全くのノープランなので、今日何をするかを前日の夜に決めた。まず、カレーを食う。そんでスーパー銭湯で身体を洗う。現状、長谷川宅は大浴場が工事中のため、シャワーしか使用できないということだった。俺は就職してからというもの、ゴルフとスーパー銭湯というおっさん趣味に走っていたので、そりゃ好都合だと真っ先に銭湯行きを提案したというわけ。
昼、あれは目黒だったか、にあるカレー屋でカレーを食い、そのまま歩いて後楽園方面へ向かう。途中に東大があり、せっかくだから俺は赤の門をくぐるぜ!というノリで、赤門をくぐった。門の外では観光客と思われる人々が写メをせっせと撮っていた。さすが東大。存在だけでも人を圧倒する。というわけで、俺も晴れて「東大に入った」と豪語できる身分になったわけだ。大阪に帰ったらたこ焼き脳どもに自慢することにしよう。
銭湯に行き、だらだら〜と時間を潰し、あんま人に言えないけど、俺、実は結構スザンヌ好きなんだよね…というぶっちゃけトークをする。すると長谷川も実は可愛いと思っていたようで、意外なところで意気投合してしまう。長谷川君は屈指のブス専だと評判だったので、俺もとうとう焼が回ったか…という気分になったりする。
夜、親戚が会ってくれるというので、親戚と夜ご飯を食べる。写真集を出すとか出さないとか、今マスコミ業界最悪だ、製造業もヤバイっすよとかいう話で盛り上る。今日日、景気のいい話なんてないのだ。
長谷川宅に帰ると、また仕事の話をいろいろする。長谷川も近いうちに転勤がありそうな感じだったので、今回東京に行っておいて良かったと思った。みなさんお世話になりました。
5月5日
昼に最後のカレーを食べて、東京を後にする。大阪に着くと息つく間もなく、大学の友達とゴルフの打ちっぱなしに行く。んで、夜飯を食べつつ、結婚とか考えてんの?というリアルトークをする。一人暮らししたいなあとか、結婚とか、話す話題が大人臭くなっている。フラストレーションが溜まり、限界に達したところで、もっとこう、下らん話しようぜ!と投げかける。俺は相手の気持ちなど全く意に介さず、一人暮らしとか結婚とか仕事の話をファミコンのトランスフォーマー、キャプテン翼に置き換えて論破した。要はお前、結婚なんてコンボイの謎だよ。ザコは3発打たないと死なないけど、こっちは一発で死ぬの。てーてってってー、だよ。何でキャプテン翼のアナウンサーって相手高校のことを敵の10番、とか言うんだろうな。アナウンサーが偏った報道しちゃいかんだろ。仕事なんて顔面ブロックしてりゃいいんだよ。どうでもいいけど、キャプテン翼の作者ってサッカーのルール知らないと思うんだけど、どう思う?
こんな感じ。
とりあえず以上。
5月3日
大型連休なので東京に行こうと思い立つ。
しかし、東京行ったら疲れないか?と日頃から蓄積されている疲労の具合を考慮し、軽く自問自答する。でもまあ、行ける時に行っておきたいしなぁ。5月で転勤になるかもしれないしなぁ。とか、何かにつけて後ろ向きに考えに考えた結果、やっぱり東京に行くことにした。
かつて同類で今は友人の小原君を誘ってみたけど、なんかラストチャンスだから無理とかいうカッコいい理由で断られてしまった。もう落ちちゃえよ!と心底思う。
長谷川と旅行のスケジュールを話し合っていると、特に目的もなく東京行くのも何だかなぁ、という流れになり、今回の旅行はカレー縛りにしよう!などと、全くもって意味の無いルールを課すことになった。何年か前にも同じような流れになり、ラーメン縛りで4泊5日ぐらい過ごしたことがあるのだが、あの時は本当にラーメンが嫌いになった。ラーメンという響きを聞くだけで吐き気がするほどだ。カレーは比較的好きな食べ物なので、嫌いになりたくないけど、まあ、仕方ない。
東京に着き、長谷川と合流すると早速昼飯を食べに行く。一食目は北海道専門店みたいなところにあったスープカレーを食べた。辛い。その後中垣さんと合流。仕事の話とかをする。
んで6時頃にサトル、ゆとりさんと合流。カレー縛りのはずが水炊きを囲みつつ、過去の話に花を咲かせ…と思ったが皆さんバリバリ現役だったようで、俺は一人取り残されてしまう。このエネルギーは一体なんなんだ。かつては俺もこんなんだったのか。物凄い違和感。全くついていけん。何の話をしているのかわからん。大人になるってこういうことなのか。恋は盲目とはよくいったもので、何かに夢中になっていると周りが見えなくなる。その状態を客観的に見ると、こうまで温度差を感じるものなのか。しかし、羨ましい。現在俺はここまで夢中になれるものがない。だからと言ってかつてのようにアレにはまるのは無理だ。俺、麻生久美子とかが普通に好きだし。
でもせっかく東京に来たんだし、疎外感を感じたまま別れてしまうのも悲しいので、俺が失った時間をサトルに補完してもらうことにした。とりあえず大雑把な流れは把握することができた。けんども、誰が誰だか顔がわかんねーので、頭の中では記号だけが右へ左へ集まったり離れたりした。まいみだけはわかったけど。
今日の会合は過去現在未来トークをすることも目的の一つだったが、サトルの就職祝いという意味合いもあったので、おめでとうということをこのブログでも書いておく。中学の時、俺は本当に勉強というものをしなかった。それは本当に後悔しているので、サトルには少々嫌われてでも今のガキ共に勉強の大切さを教えてやってほしいと思う。勉強っつっても学問だけじゃなく、人生とかそんな感じのことを。知識や知恵は持っていても損することはないだろうし。一つの事柄を様々な面で捉えたり、いろんな方法でアプローチする手段を身につけることが広い意味で勉強なんだと思うし。要は視野の広い面白い人間を育てて欲しい。というわけで、再就職おめでとう。
深夜、長谷川宅に着くと、仕事の話を深夜の4時ぐらいまでした。業界が違うのでそれぞれの業界の業態、諸事情何かを補完し合う。まあ、どこの世界も厳しくしんどいのは変わりない。わかってるけども、そういうことを話さずにはいられないのだ。社会人の8割は仕事うぜー、という言葉を腹に溜め込み、今日を生きていると個人的に思う。それにしても、俺は出世欲というものが未だに沸かない。もう今の時点で同期と差をつけられているんだろうなあ、なんて、他人事のように考えている。
5月4日
全くのノープランなので、今日何をするかを前日の夜に決めた。まず、カレーを食う。そんでスーパー銭湯で身体を洗う。現状、長谷川宅は大浴場が工事中のため、シャワーしか使用できないということだった。俺は就職してからというもの、ゴルフとスーパー銭湯というおっさん趣味に走っていたので、そりゃ好都合だと真っ先に銭湯行きを提案したというわけ。
昼、あれは目黒だったか、にあるカレー屋でカレーを食い、そのまま歩いて後楽園方面へ向かう。途中に東大があり、せっかくだから俺は赤の門をくぐるぜ!というノリで、赤門をくぐった。門の外では観光客と思われる人々が写メをせっせと撮っていた。さすが東大。存在だけでも人を圧倒する。というわけで、俺も晴れて「東大に入った」と豪語できる身分になったわけだ。大阪に帰ったらたこ焼き脳どもに自慢することにしよう。
銭湯に行き、だらだら〜と時間を潰し、あんま人に言えないけど、俺、実は結構スザンヌ好きなんだよね…というぶっちゃけトークをする。すると長谷川も実は可愛いと思っていたようで、意外なところで意気投合してしまう。長谷川君は屈指のブス専だと評判だったので、俺もとうとう焼が回ったか…という気分になったりする。
夜、親戚が会ってくれるというので、親戚と夜ご飯を食べる。写真集を出すとか出さないとか、今マスコミ業界最悪だ、製造業もヤバイっすよとかいう話で盛り上る。今日日、景気のいい話なんてないのだ。
長谷川宅に帰ると、また仕事の話をいろいろする。長谷川も近いうちに転勤がありそうな感じだったので、今回東京に行っておいて良かったと思った。みなさんお世話になりました。
5月5日
昼に最後のカレーを食べて、東京を後にする。大阪に着くと息つく間もなく、大学の友達とゴルフの打ちっぱなしに行く。んで、夜飯を食べつつ、結婚とか考えてんの?というリアルトークをする。一人暮らししたいなあとか、結婚とか、話す話題が大人臭くなっている。フラストレーションが溜まり、限界に達したところで、もっとこう、下らん話しようぜ!と投げかける。俺は相手の気持ちなど全く意に介さず、一人暮らしとか結婚とか仕事の話をファミコンのトランスフォーマー、キャプテン翼に置き換えて論破した。要はお前、結婚なんてコンボイの謎だよ。ザコは3発打たないと死なないけど、こっちは一発で死ぬの。てーてってってー、だよ。何でキャプテン翼のアナウンサーって相手高校のことを敵の10番、とか言うんだろうな。アナウンサーが偏った報道しちゃいかんだろ。仕事なんて顔面ブロックしてりゃいいんだよ。どうでもいいけど、キャプテン翼の作者ってサッカーのルール知らないと思うんだけど、どう思う?
こんな感じ。
とりあえず以上。
2009年05月01日
五里霧中
随分間を開けてしまったが更新。
年が明けてから今日まで本当に何かと忙しかった。
上司が変わるとやるべきことがガラッと変わる。ホントに勘弁して欲しい。
4月11日
加藤さんと喜多さんと花見に行く。
前の週には会社の花見があったのだが、それがもう最悪だったので、
この日はただ単純に花見を楽しむことにする。
行き先は京都の醍醐寺。今年の頭から京都に住んでいる喜多さんを京都で拾い、
久しぶりですね〜、とかいう会話を交わしながらほのぼの桜を見る。




地味に木漏れ日も綺麗だったので、木漏れ日マニアとしてはそっちのがテンション上がった。画像の桜は醍醐寺ではなく、醍醐寺の帰り道に偶然通りかかった市営運動場みたいな場所に咲いてあった桜。(醍醐寺の桜は既に8割散っていた)これがめちゃくちゃ綺麗だった。
桜って日本人にとって特別な存在で、入学式とか卒業式(始まりと終わり)とかを鮮やかに彩るアイテムとしてうってつけだとぼんやり思う。卒業も入学も刹那的で、その日一日は特別なんだけど、次の日になるとずっと昔のように感じるものだ。それが桜の刹那的な美しさとオーバーラップして、どこか意味ありげに記憶の中に印象付けられる。それぞれ形は違えど、誰しもが共有している心の原風景なのかもしれない。
桜を見に来ている人々はみな、記憶の片隅にずっと忘れずに置いてある一片を懐かしんでいるように俺には見えた。そんな桜をもしアメリカとか中国とかロシアとかが日本に攻め込んできて、日本を占領して、日本中の桜を全部没収します、とかいう流れになったら日本人はどういったリアクションを起こすんだろう、なんて小学生みたいな会話を加藤さんとしてみた。
「桜取られちゃったら、なんていうの、自我が崩壊しちゃうんじゃないの。富士山爆破されても同じだろうけど。あれだ、精神的にインポになると思うよ。」
「やっぱ日本人にとっては無くてはならない存在ですもんねえ」
「言語を奪われるのと同じ感覚だと思うよ。明日から日本語使うなとか言われちゃったら、なんつーか、人生辞めたくなる気がするんだよね」
「ほー、愛国心ってやつですかねー」
「まあ、そうなんかもねー」
落ちのないこの会話から感じたことは、普段気にも留めないことをたまには気にして想像してみると、ふと大切なことが見えたり見えなかったりするってことだ。慣れってのは大事だけど、たまには疑問符を浮かべてみるとワンランク上の発想が生まれるのかもしれない。
とにかく桜は美しい。ピンクで何かエロいし。
4月15日
加藤さんとスーパー銭湯に行く。
実は最近はまっているのだ。客層は学生だったりヤンキーだったりワケありって感じの人が多いのだが、そんなの気にせずに3時間くらいお湯に入ったりサウナで我慢したり水風呂に入ったりしている。いやあ、風呂っていいもんだ。いつ行ってもめちゃくちゃ混んでるんだが、それも何だか頷ける気がする。こりゃ流行るかもわからんね。もう流行ってるのかもしれんが。(或いはもうブーム過ぎたか)
4月25日
SPECIAL OTHERS、通称スペアザのライブを同期と観に行く。新しいアルバム「PB」はそりゃもう素晴らしい内容だった。スペアザほど期待を裏切らない存在も珍しい。WBCのイチローよろしく最後の最後に見せ場を作るのではなく、コンスタントに結果を出している安定感が何とも心強い。
スペアザのライブを見ると幸福になれる、と以前に書いたが、この日も例外なく終始顔がにやけっ放しだった。めちゃくちゃ楽しそうに演奏しているのだ。そりゃこっちも楽しくなる。演奏技術は言うまでもなく、セットリストの構成も素晴らしい。緩急自在のピッチングで翻弄され続けてしまった。いやあ、最前列だったし楽しかった。言うことなし。5月9日も楽しみにしてます。
5月1日
気付けば就職して1年が過ぎた。同じく社会人2年目の友達と話してみると、辞めたいとか、しんどいとか、不満があるとか、楽しくないとか、大概マイナスの内容の言葉をよく耳にする。飲み会を開くとほぼ9割以上は仕事の愚痴祭になる。不毛だが、それで心の平穏を得ているのなら大切なことなんだろう。愚痴を吐き出せずにぶっ倒れるなんかよりはよっぽどマシだ。(一人倒れて入院して仕事辞めた)
果たして俺はどうか。正直、そんなこと考える余裕もなかった。目の前に厳然とそびえ立っている仕事を一つ一つ片付けていたら今日になっていた、そんな感じ。それって充実してんじゃないの?とか言われるけど、そんなことは決してない。一日一日を仕事だけで潰してしまうなんて正気の沙汰じゃない。もっとこう、面白い人間になるために仕事以外のこともするべきなのだ。
そんなこと2年目でまだまだペーペーの俺が上司に口にすることもできず(たまには言うけど)、今は会社に迷惑かけないように仕事をせっせとこなすよう心がけることにする。後輩も入ってきたし、頑張らんといかん。
余談。
アカデミー賞も取った話題騒然の映画、おくりびとを結構前に加藤さんと観に行ったけど、大して面白くなかった。理由は何かと「下手糞」だったから。話の流れだったり、脚本だったり、演技だったり、カメラワークだったり、どうにもこうセンスを感じられなかった。題材は面白いし、死を演出する着眼点もいいんだけど、何だか勿体ない気がした。特にアレだったのが広末のポジション。主人公に対して「汚らわしい!」とか今日日使うかそんな言葉?みたいなツッコミを入れたくなったり、主人公の仕事に嫌気がさして実家に帰ったのはいいけど、何か知らんが戻ってきたり、どうにも説得力に欠けた。
とりあえず以上。
年が明けてから今日まで本当に何かと忙しかった。
上司が変わるとやるべきことがガラッと変わる。ホントに勘弁して欲しい。
4月11日
加藤さんと喜多さんと花見に行く。
前の週には会社の花見があったのだが、それがもう最悪だったので、
この日はただ単純に花見を楽しむことにする。
行き先は京都の醍醐寺。今年の頭から京都に住んでいる喜多さんを京都で拾い、
久しぶりですね〜、とかいう会話を交わしながらほのぼの桜を見る。
地味に木漏れ日も綺麗だったので、木漏れ日マニアとしてはそっちのがテンション上がった。画像の桜は醍醐寺ではなく、醍醐寺の帰り道に偶然通りかかった市営運動場みたいな場所に咲いてあった桜。(醍醐寺の桜は既に8割散っていた)これがめちゃくちゃ綺麗だった。
桜って日本人にとって特別な存在で、入学式とか卒業式(始まりと終わり)とかを鮮やかに彩るアイテムとしてうってつけだとぼんやり思う。卒業も入学も刹那的で、その日一日は特別なんだけど、次の日になるとずっと昔のように感じるものだ。それが桜の刹那的な美しさとオーバーラップして、どこか意味ありげに記憶の中に印象付けられる。それぞれ形は違えど、誰しもが共有している心の原風景なのかもしれない。
桜を見に来ている人々はみな、記憶の片隅にずっと忘れずに置いてある一片を懐かしんでいるように俺には見えた。そんな桜をもしアメリカとか中国とかロシアとかが日本に攻め込んできて、日本を占領して、日本中の桜を全部没収します、とかいう流れになったら日本人はどういったリアクションを起こすんだろう、なんて小学生みたいな会話を加藤さんとしてみた。
「桜取られちゃったら、なんていうの、自我が崩壊しちゃうんじゃないの。富士山爆破されても同じだろうけど。あれだ、精神的にインポになると思うよ。」
「やっぱ日本人にとっては無くてはならない存在ですもんねえ」
「言語を奪われるのと同じ感覚だと思うよ。明日から日本語使うなとか言われちゃったら、なんつーか、人生辞めたくなる気がするんだよね」
「ほー、愛国心ってやつですかねー」
「まあ、そうなんかもねー」
落ちのないこの会話から感じたことは、普段気にも留めないことをたまには気にして想像してみると、ふと大切なことが見えたり見えなかったりするってことだ。慣れってのは大事だけど、たまには疑問符を浮かべてみるとワンランク上の発想が生まれるのかもしれない。
とにかく桜は美しい。ピンクで何かエロいし。
4月15日
加藤さんとスーパー銭湯に行く。
実は最近はまっているのだ。客層は学生だったりヤンキーだったりワケありって感じの人が多いのだが、そんなの気にせずに3時間くらいお湯に入ったりサウナで我慢したり水風呂に入ったりしている。いやあ、風呂っていいもんだ。いつ行ってもめちゃくちゃ混んでるんだが、それも何だか頷ける気がする。こりゃ流行るかもわからんね。もう流行ってるのかもしれんが。(或いはもうブーム過ぎたか)
4月25日
SPECIAL OTHERS、通称スペアザのライブを同期と観に行く。新しいアルバム「PB」はそりゃもう素晴らしい内容だった。スペアザほど期待を裏切らない存在も珍しい。WBCのイチローよろしく最後の最後に見せ場を作るのではなく、コンスタントに結果を出している安定感が何とも心強い。
スペアザのライブを見ると幸福になれる、と以前に書いたが、この日も例外なく終始顔がにやけっ放しだった。めちゃくちゃ楽しそうに演奏しているのだ。そりゃこっちも楽しくなる。演奏技術は言うまでもなく、セットリストの構成も素晴らしい。緩急自在のピッチングで翻弄され続けてしまった。いやあ、最前列だったし楽しかった。言うことなし。5月9日も楽しみにしてます。
5月1日
気付けば就職して1年が過ぎた。同じく社会人2年目の友達と話してみると、辞めたいとか、しんどいとか、不満があるとか、楽しくないとか、大概マイナスの内容の言葉をよく耳にする。飲み会を開くとほぼ9割以上は仕事の愚痴祭になる。不毛だが、それで心の平穏を得ているのなら大切なことなんだろう。愚痴を吐き出せずにぶっ倒れるなんかよりはよっぽどマシだ。(一人倒れて入院して仕事辞めた)
果たして俺はどうか。正直、そんなこと考える余裕もなかった。目の前に厳然とそびえ立っている仕事を一つ一つ片付けていたら今日になっていた、そんな感じ。それって充実してんじゃないの?とか言われるけど、そんなことは決してない。一日一日を仕事だけで潰してしまうなんて正気の沙汰じゃない。もっとこう、面白い人間になるために仕事以外のこともするべきなのだ。
そんなこと2年目でまだまだペーペーの俺が上司に口にすることもできず(たまには言うけど)、今は会社に迷惑かけないように仕事をせっせとこなすよう心がけることにする。後輩も入ってきたし、頑張らんといかん。
余談。
アカデミー賞も取った話題騒然の映画、おくりびとを結構前に加藤さんと観に行ったけど、大して面白くなかった。理由は何かと「下手糞」だったから。話の流れだったり、脚本だったり、演技だったり、カメラワークだったり、どうにもこうセンスを感じられなかった。題材は面白いし、死を演出する着眼点もいいんだけど、何だか勿体ない気がした。特にアレだったのが広末のポジション。主人公に対して「汚らわしい!」とか今日日使うかそんな言葉?みたいなツッコミを入れたくなったり、主人公の仕事に嫌気がさして実家に帰ったのはいいけど、何か知らんが戻ってきたり、どうにも説得力に欠けた。
とりあえず以上。
2009年01月16日
前途多難
更新
社会人になってからというもの、その日に何があったかメモに取ることを怠けるようになってしまった。仕事関係のスケジュールは残っているが、会社でどーのこーのを書き連ねていくのは自分としても不本意なので、このブログには極力仕事以外のことを書いていきたいと思っている。のだが、メモを残していないので、あの日に誰かと遊んだとかがわからなくなってしまっている。
時間が経つのが随分と早くなったような気がしていたが、それは一日一日さっさと終わってくれ、と無意識のうちに考えてしまっているからではないか。朝起きると、今日も一日頑張ろう、ではなく、今日も一日乗り切ろう、とかって考えてしまう。つまり、一日が始まったと同時にさっさと終わってくれと考えているのだ。良くないことだろうけど、毎日毎日特に代わり映えがないことをしているのだからプラス思考になるなんて難しい話だ。かといってやる気なし全開で毎日仕事をこなすというわけにもいかない。社内の人は何かと人の行動を良く見ていて、ああ、アイツはサボってんな、とかちょっとしたことで決め付けてしまうきらいがあるのだ。
つまり何が言いたいのかというと、仕事というのは非常にメンドクサイものってことだ。人の目を気にし、代わり映えのない仕事をプラス思考でこなし、一日一日が高速で過ぎ去っていることにゾッとする。そんな仕事をして金を稼いで、そして休みの日に友達とかと遊んでああ、明日からも頑張ろうとかって思い込みたいのに、俺はそれをメモっていない。何やってんだ俺は。
というわけで、自分を戒めるために、メモってないけど、自分にとっては結構マイルストーン的な出来事を書いてみることにする。
12月30日
喜多さん送別会。
いつものカフェでダベるメンバー喜多さんがこの日をもって卒業することになった。もともと4年ほど前に当時バイト仲間だった加藤さん、木原さん、俺の三人で遊んだのが始まりで、初期メンバーに喜多さんは入っていなかったのだが、男二人に女一人っていう組み合わせはどうかと思うという木原さんの提案で、結成から1年後くらいにとっくにバイトを辞めていた喜多さんをメンバーに加えることにしたのだ。(何だかバンド結成秘話みたいだけど)
ついでにおさらいをしておくと、バイト暦で言うと
俺>加藤さん>喜多さん>木原さん
の順で、俺が一番先輩だった。
年齢で言うと
木原さん>加藤さん>喜多さん>俺
の順なので、俺が一番人生の後輩だったりする。そこらへんがややこしいところで、木原さん加藤さんは俺に当たり前のようにタメ口だけど、仕事暦を重視する喜多さんは俺に敬語を使っていたりする。俺は当然のように全員に対し敬語だけど、みなさん曰く、ですますつけただけのタメ語というものらしい。つまり生意気な後輩ってことだろう。ただ、このメンバーは非常にチームバランスが良く、居心地が気持ち悪いくらいに良かった。いつか別れが来るだろうとは最初に集まった時から感じていたが、それでもそれまでにたくさん遊べたらいいなあ、と俺は思っていた。ここらへんで話を戻す。加藤さん、木原さんといつものカフェでダべっていて、夜の9時ごろ、急遽喜多さんを誘ってみることにした。
今思えば物凄い無茶ぶりだった。例えば、あんまり仲が良くなかったクラスメイトに卒業から一年後、前振りもなく電話して「今から遊ばない?」って誘っても普通は応じない。でも喜多さんは快く応じてくれたのだ。バイトで一緒だった時はそんな深い話とかしたことなかったし、こっちから呼んどいて会話に困ったことを覚えている。
ちゃんと話してみると、喜多さんは相当に変人だということがわかった。芸大の人全員がそうというわけではないだろうが、発想とか考え方がどうも常人とは異なっている。俺もこのメンバーからはよく、変わっている、捻くれすぎている、と専ら変人扱いされていたが、喜多さんはそんな俺からしても相当に変人だった。友達に上げる誕生日プレゼントってどんな物がいいのだろうって話になった時、喜多さんは当たり前のように「図鑑」と答えた。そんな感じの人だ。とにかく一本図太い芯が通っていて、俺の提案とか加藤さんの進言なんかには一切耳を貸さない。自分のことは自分で決める。もちろん参考までに話は聞くけど、最終的には自分で判断する。そういう人だった。
だから喜多さんはこの三年間、俺達にあまり悩みとかを語ったことがない。これが楽しかった、あそこに行って見たい、と積極的に提案なんかはしてくれるんだけども、弱さを見せたことがなかった。
やがて木原さんが結婚して韓国へ行ってしまい、メンバーが一人減ってしまった。女性一人だけになっても喜多さんは俺と加藤さんと普通に遊んでくれた。そんな喜多さんも2008年一杯でとうとう卒業してしまうことになった。俺も詳細は良く知らんのだが、京都を拠点に活動している芸術家の団体にこの度、所属することが決まったらしい。依頼された仕事をこなすとかいう話だから小さい会社みたいなものだと思う。
なので、年明けには京都へ引っ越してしまうのだという。
この日は卒業式兼送別会ということで、昼に奈良の大神神社、長谷寺へ行き、最後はいつものようにいつものカフェで、ということで、いつものカフェで集まっていつも通りダべっていた。その時に俺と喜多さんは初めてぶつかった。喜多さんが京都で住むことになっている借り家を友達♀とルームシェアする、というくだりの時だった。
何でもその友達は今現在、とある大物芸術家と不倫の関係にあるのだという。俺はサラッと、友達だったら止めるのが筋ではないか、と言った。もちろん私も言ったけど、物事はそんな単純じゃない。友達(友達も芸術家の卵)はその大物芸術家から色々芸術のことでアドバイスをもらっているんだし、とか言った。その発言に俺は妙にカチンときた。不倫を正当化するためのただのいい訳だろそれ。
「本人も不倫はいけないことだってわかっているし、ごく普通に結婚願望もあるけど、どうしようもないんですよ」
「結婚願望もあるのに、何で不倫続けてるんです?アドバイスとかってそんなのただ不倫を正当化するための言い訳でしょう」
「だから、私も止めましたよ。だけど本人がやめられないんだから、しょうがないじゃないですか」
「今度ルームシェアするんでしょう?別に一緒に住む人だから特別ってわけじゃないですけど、僕だったら不倫している友人と一緒に住むのは抵抗ありますけどね。僕としては不倫っていけないことだと思いますし、そういう価値観が合わないと、他の面でも合わない部分って出てくると思うんですよ。もちろん、絶対ってわけじゃないですけど」
「何で不倫してるっていうだけで、そこまで拒絶できるんです?不倫してることなんて、友達のほんの一部分だけなのに。どうしてそんな側面を見ただけで拒絶できるんですか!」
「あのですね、不倫ってダメなことでしょう?本人もダメってわかってる。相手の人には奥さんも子供もいるんですよ。いくらバレてないといっても、少なくとも奥さんと子供は傷つけてる。喜多さんはそれを止めることができる一番近い場所にいるわけでしょう?だったら傷ついても止めてあげるべきじゃないんですか?」
「だから止めたって言ってるじゃないですか!それでも止めないんだから、あとはもう本人が判断することでしょう!」
「喜多さんは自分に害が及ぶことを煩わしがってるだけな気がするんですよ!最終的に自分が判断するっていうのは同意ですけど、僕は最終的な局面まで喜多さんが友達を諭したって気がしないんですね。喜多さんはぶつかる前に自分から手を引くきらいがあるでしょう?確かにメンドクサイですし、僕も似ているからわかるんですよ。でも、一緒に住むとなれば話は別ですよ。相手のことで不満があるなら全部言いますし、そこをうやむやにしてしまったら自分が苦しくなるだけですよ」
「苦しくなるってどういうことです?」
「人ってそれぞれ生き方とか価値観が違うでしょう。自分が当たり前だと思ってることでも、人によっては非常識なことかもしれない。一緒に住むとなると、そういう些細な擦れ違いがたくさん出てくると思います。そこを譲り合って、すり合わせていくっていう作業がまずあると思うんですけど、喜多さんはそこをですね、ぶつかる前から受け流そうとしてる節があるんじゃないかって、そう思うんですよ」
「私だってダメなものはダメと言いますよ」
「でも最終的には本人の判断に任せるんでしょう?」
「それはそうですよ」
「僕も基本的には同意ですけどね、一緒に住むとなったら妥協はしませんよ。どんなにぶつかっても、自分の意見を貫き通して、相手を納得させる場面も必要だと思います。喜多さんは物凄い大人な意見を持っていると思いますけど、それだと自分を苦しめる場面がたくさん出てくると思います。わがままでいいと思うんですよ。ある程度は」
「自分でもわかってるんですよ。そういう自分がイヤだったりもしますけど、それでも自分の考えは変わらないじゃないですか」
「たまには他人の意見を鵜呑みにする必要もあると思いますよ。同じように、相手ととことんぶつかってでても自分の意見を貫き通す必要もあると思います。ルームシェアしている友人を知ってますけど、仲がいいほど上手くいかないって話はよく聞きます。ストレスが溜まるらしいんですよ。相手に悪いから自分の意見が言えずに、その積み重ねが辛いらしいです」
そんな感じで、卒業式に喜多さんと初めてぶつかってしまった。仲が良いってお互いのことを認め合って理解し合うことだと思うけど、この三年間、喜多さんは自分の弱みや悩みごとなんかを言ったことがなかった。それって仲がいいと言えるのか。俺と加藤さんのことを信頼していないんじゃないか。もちろん俺達はいい歳をした大人なんだし、居心地のいい関係を作るだけなら前向きな発言や行動を徹底することが賢明だと思う。でも、三年間一緒にいて、相手のことを実は良く知らないっていうのは、あんまり寂しいじゃないか。
「私は、本当に自分のことを相手に話したりすることが苦手なんですよ。悩み相談とかも苦手。高校生のときは軽い人間不信でしたし。前に付き合っていた人にも、付き合っている気がしないって言われたことがあります」
「人付き合いって綺麗なものじゃないですから。相手の嫌なところを見ないようにしたり、自分のいいところだけを見せようとしたって、上手くいかないです。綺麗事は所詮綺麗事なんですよね。時々はわがままになってくれないと、逆に不安になったりしますよ。僕は喜多さんのことを友達と思ってますから、ちゃんと自分の意見をぶつけてます」
なんというか、ぶつかってみて今まで知らなかった喜多さんの側面が見れたりして、最初やべーなーとか思ったけど、最終的によかったと俺は思っている。とりあえず不倫は良くないだろ。お互い気持ちいいから、っていう理由だったら俺も何も言わないけど、アドバイスとかっていうワケのわからんワードが出てきてムカついてしまった。俺はとりあえず大人気なさ過ぎる。
何にせよ、喜多さん今までありがとうございました。卒業してもOBとしてたまには遊びましょう。京都なんて目と鼻の先ですし。
これでメンバーは加藤さんと俺だけになってしまった。男二人でこの先何すりゃいいんだよ!
とりあえず以上
社会人になってからというもの、その日に何があったかメモに取ることを怠けるようになってしまった。仕事関係のスケジュールは残っているが、会社でどーのこーのを書き連ねていくのは自分としても不本意なので、このブログには極力仕事以外のことを書いていきたいと思っている。のだが、メモを残していないので、あの日に誰かと遊んだとかがわからなくなってしまっている。
時間が経つのが随分と早くなったような気がしていたが、それは一日一日さっさと終わってくれ、と無意識のうちに考えてしまっているからではないか。朝起きると、今日も一日頑張ろう、ではなく、今日も一日乗り切ろう、とかって考えてしまう。つまり、一日が始まったと同時にさっさと終わってくれと考えているのだ。良くないことだろうけど、毎日毎日特に代わり映えがないことをしているのだからプラス思考になるなんて難しい話だ。かといってやる気なし全開で毎日仕事をこなすというわけにもいかない。社内の人は何かと人の行動を良く見ていて、ああ、アイツはサボってんな、とかちょっとしたことで決め付けてしまうきらいがあるのだ。
つまり何が言いたいのかというと、仕事というのは非常にメンドクサイものってことだ。人の目を気にし、代わり映えのない仕事をプラス思考でこなし、一日一日が高速で過ぎ去っていることにゾッとする。そんな仕事をして金を稼いで、そして休みの日に友達とかと遊んでああ、明日からも頑張ろうとかって思い込みたいのに、俺はそれをメモっていない。何やってんだ俺は。
というわけで、自分を戒めるために、メモってないけど、自分にとっては結構マイルストーン的な出来事を書いてみることにする。
12月30日
喜多さん送別会。
いつものカフェでダベるメンバー喜多さんがこの日をもって卒業することになった。もともと4年ほど前に当時バイト仲間だった加藤さん、木原さん、俺の三人で遊んだのが始まりで、初期メンバーに喜多さんは入っていなかったのだが、男二人に女一人っていう組み合わせはどうかと思うという木原さんの提案で、結成から1年後くらいにとっくにバイトを辞めていた喜多さんをメンバーに加えることにしたのだ。(何だかバンド結成秘話みたいだけど)
ついでにおさらいをしておくと、バイト暦で言うと
俺>加藤さん>喜多さん>木原さん
の順で、俺が一番先輩だった。
年齢で言うと
木原さん>加藤さん>喜多さん>俺
の順なので、俺が一番人生の後輩だったりする。そこらへんがややこしいところで、木原さん加藤さんは俺に当たり前のようにタメ口だけど、仕事暦を重視する喜多さんは俺に敬語を使っていたりする。俺は当然のように全員に対し敬語だけど、みなさん曰く、ですますつけただけのタメ語というものらしい。つまり生意気な後輩ってことだろう。ただ、このメンバーは非常にチームバランスが良く、居心地が気持ち悪いくらいに良かった。いつか別れが来るだろうとは最初に集まった時から感じていたが、それでもそれまでにたくさん遊べたらいいなあ、と俺は思っていた。ここらへんで話を戻す。加藤さん、木原さんといつものカフェでダべっていて、夜の9時ごろ、急遽喜多さんを誘ってみることにした。
今思えば物凄い無茶ぶりだった。例えば、あんまり仲が良くなかったクラスメイトに卒業から一年後、前振りもなく電話して「今から遊ばない?」って誘っても普通は応じない。でも喜多さんは快く応じてくれたのだ。バイトで一緒だった時はそんな深い話とかしたことなかったし、こっちから呼んどいて会話に困ったことを覚えている。
ちゃんと話してみると、喜多さんは相当に変人だということがわかった。芸大の人全員がそうというわけではないだろうが、発想とか考え方がどうも常人とは異なっている。俺もこのメンバーからはよく、変わっている、捻くれすぎている、と専ら変人扱いされていたが、喜多さんはそんな俺からしても相当に変人だった。友達に上げる誕生日プレゼントってどんな物がいいのだろうって話になった時、喜多さんは当たり前のように「図鑑」と答えた。そんな感じの人だ。とにかく一本図太い芯が通っていて、俺の提案とか加藤さんの進言なんかには一切耳を貸さない。自分のことは自分で決める。もちろん参考までに話は聞くけど、最終的には自分で判断する。そういう人だった。
だから喜多さんはこの三年間、俺達にあまり悩みとかを語ったことがない。これが楽しかった、あそこに行って見たい、と積極的に提案なんかはしてくれるんだけども、弱さを見せたことがなかった。
やがて木原さんが結婚して韓国へ行ってしまい、メンバーが一人減ってしまった。女性一人だけになっても喜多さんは俺と加藤さんと普通に遊んでくれた。そんな喜多さんも2008年一杯でとうとう卒業してしまうことになった。俺も詳細は良く知らんのだが、京都を拠点に活動している芸術家の団体にこの度、所属することが決まったらしい。依頼された仕事をこなすとかいう話だから小さい会社みたいなものだと思う。
なので、年明けには京都へ引っ越してしまうのだという。
この日は卒業式兼送別会ということで、昼に奈良の大神神社、長谷寺へ行き、最後はいつものようにいつものカフェで、ということで、いつものカフェで集まっていつも通りダべっていた。その時に俺と喜多さんは初めてぶつかった。喜多さんが京都で住むことになっている借り家を友達♀とルームシェアする、というくだりの時だった。
何でもその友達は今現在、とある大物芸術家と不倫の関係にあるのだという。俺はサラッと、友達だったら止めるのが筋ではないか、と言った。もちろん私も言ったけど、物事はそんな単純じゃない。友達(友達も芸術家の卵)はその大物芸術家から色々芸術のことでアドバイスをもらっているんだし、とか言った。その発言に俺は妙にカチンときた。不倫を正当化するためのただのいい訳だろそれ。
「本人も不倫はいけないことだってわかっているし、ごく普通に結婚願望もあるけど、どうしようもないんですよ」
「結婚願望もあるのに、何で不倫続けてるんです?アドバイスとかってそんなのただ不倫を正当化するための言い訳でしょう」
「だから、私も止めましたよ。だけど本人がやめられないんだから、しょうがないじゃないですか」
「今度ルームシェアするんでしょう?別に一緒に住む人だから特別ってわけじゃないですけど、僕だったら不倫している友人と一緒に住むのは抵抗ありますけどね。僕としては不倫っていけないことだと思いますし、そういう価値観が合わないと、他の面でも合わない部分って出てくると思うんですよ。もちろん、絶対ってわけじゃないですけど」
「何で不倫してるっていうだけで、そこまで拒絶できるんです?不倫してることなんて、友達のほんの一部分だけなのに。どうしてそんな側面を見ただけで拒絶できるんですか!」
「あのですね、不倫ってダメなことでしょう?本人もダメってわかってる。相手の人には奥さんも子供もいるんですよ。いくらバレてないといっても、少なくとも奥さんと子供は傷つけてる。喜多さんはそれを止めることができる一番近い場所にいるわけでしょう?だったら傷ついても止めてあげるべきじゃないんですか?」
「だから止めたって言ってるじゃないですか!それでも止めないんだから、あとはもう本人が判断することでしょう!」
「喜多さんは自分に害が及ぶことを煩わしがってるだけな気がするんですよ!最終的に自分が判断するっていうのは同意ですけど、僕は最終的な局面まで喜多さんが友達を諭したって気がしないんですね。喜多さんはぶつかる前に自分から手を引くきらいがあるでしょう?確かにメンドクサイですし、僕も似ているからわかるんですよ。でも、一緒に住むとなれば話は別ですよ。相手のことで不満があるなら全部言いますし、そこをうやむやにしてしまったら自分が苦しくなるだけですよ」
「苦しくなるってどういうことです?」
「人ってそれぞれ生き方とか価値観が違うでしょう。自分が当たり前だと思ってることでも、人によっては非常識なことかもしれない。一緒に住むとなると、そういう些細な擦れ違いがたくさん出てくると思います。そこを譲り合って、すり合わせていくっていう作業がまずあると思うんですけど、喜多さんはそこをですね、ぶつかる前から受け流そうとしてる節があるんじゃないかって、そう思うんですよ」
「私だってダメなものはダメと言いますよ」
「でも最終的には本人の判断に任せるんでしょう?」
「それはそうですよ」
「僕も基本的には同意ですけどね、一緒に住むとなったら妥協はしませんよ。どんなにぶつかっても、自分の意見を貫き通して、相手を納得させる場面も必要だと思います。喜多さんは物凄い大人な意見を持っていると思いますけど、それだと自分を苦しめる場面がたくさん出てくると思います。わがままでいいと思うんですよ。ある程度は」
「自分でもわかってるんですよ。そういう自分がイヤだったりもしますけど、それでも自分の考えは変わらないじゃないですか」
「たまには他人の意見を鵜呑みにする必要もあると思いますよ。同じように、相手ととことんぶつかってでても自分の意見を貫き通す必要もあると思います。ルームシェアしている友人を知ってますけど、仲がいいほど上手くいかないって話はよく聞きます。ストレスが溜まるらしいんですよ。相手に悪いから自分の意見が言えずに、その積み重ねが辛いらしいです」
そんな感じで、卒業式に喜多さんと初めてぶつかってしまった。仲が良いってお互いのことを認め合って理解し合うことだと思うけど、この三年間、喜多さんは自分の弱みや悩みごとなんかを言ったことがなかった。それって仲がいいと言えるのか。俺と加藤さんのことを信頼していないんじゃないか。もちろん俺達はいい歳をした大人なんだし、居心地のいい関係を作るだけなら前向きな発言や行動を徹底することが賢明だと思う。でも、三年間一緒にいて、相手のことを実は良く知らないっていうのは、あんまり寂しいじゃないか。
「私は、本当に自分のことを相手に話したりすることが苦手なんですよ。悩み相談とかも苦手。高校生のときは軽い人間不信でしたし。前に付き合っていた人にも、付き合っている気がしないって言われたことがあります」
「人付き合いって綺麗なものじゃないですから。相手の嫌なところを見ないようにしたり、自分のいいところだけを見せようとしたって、上手くいかないです。綺麗事は所詮綺麗事なんですよね。時々はわがままになってくれないと、逆に不安になったりしますよ。僕は喜多さんのことを友達と思ってますから、ちゃんと自分の意見をぶつけてます」
なんというか、ぶつかってみて今まで知らなかった喜多さんの側面が見れたりして、最初やべーなーとか思ったけど、最終的によかったと俺は思っている。とりあえず不倫は良くないだろ。お互い気持ちいいから、っていう理由だったら俺も何も言わないけど、アドバイスとかっていうワケのわからんワードが出てきてムカついてしまった。俺はとりあえず大人気なさ過ぎる。
何にせよ、喜多さん今までありがとうございました。卒業してもOBとしてたまには遊びましょう。京都なんて目と鼻の先ですし。
これでメンバーは加藤さんと俺だけになってしまった。男二人でこの先何すりゃいいんだよ!
とりあえず以上