2009年01月16日

前途多難

更新

社会人になってからというもの、その日に何があったかメモに取ることを怠けるようになってしまった。仕事関係のスケジュールは残っているが、会社でどーのこーのを書き連ねていくのは自分としても不本意なので、このブログには極力仕事以外のことを書いていきたいと思っている。のだが、メモを残していないので、あの日に誰かと遊んだとかがわからなくなってしまっている。

時間が経つのが随分と早くなったような気がしていたが、それは一日一日さっさと終わってくれ、と無意識のうちに考えてしまっているからではないか。朝起きると、今日も一日頑張ろう、ではなく、今日も一日乗り切ろう、とかって考えてしまう。つまり、一日が始まったと同時にさっさと終わってくれと考えているのだ。良くないことだろうけど、毎日毎日特に代わり映えがないことをしているのだからプラス思考になるなんて難しい話だ。かといってやる気なし全開で毎日仕事をこなすというわけにもいかない。社内の人は何かと人の行動を良く見ていて、ああ、アイツはサボってんな、とかちょっとしたことで決め付けてしまうきらいがあるのだ。

つまり何が言いたいのかというと、仕事というのは非常にメンドクサイものってことだ。人の目を気にし、代わり映えのない仕事をプラス思考でこなし、一日一日が高速で過ぎ去っていることにゾッとする。そんな仕事をして金を稼いで、そして休みの日に友達とかと遊んでああ、明日からも頑張ろうとかって思い込みたいのに、俺はそれをメモっていない。何やってんだ俺は。

というわけで、自分を戒めるために、メモってないけど、自分にとっては結構マイルストーン的な出来事を書いてみることにする。


12月30日
喜多さん送別会。
いつものカフェでダベるメンバー喜多さんがこの日をもって卒業することになった。もともと4年ほど前に当時バイト仲間だった加藤さん、木原さん、俺の三人で遊んだのが始まりで、初期メンバーに喜多さんは入っていなかったのだが、男二人に女一人っていう組み合わせはどうかと思うという木原さんの提案で、結成から1年後くらいにとっくにバイトを辞めていた喜多さんをメンバーに加えることにしたのだ。(何だかバンド結成秘話みたいだけど)

ついでにおさらいをしておくと、バイト暦で言うと

俺>加藤さん>喜多さん>木原さん
の順で、俺が一番先輩だった。

年齢で言うと

木原さん>加藤さん>喜多さん>俺

の順なので、俺が一番人生の後輩だったりする。そこらへんがややこしいところで、木原さん加藤さんは俺に当たり前のようにタメ口だけど、仕事暦を重視する喜多さんは俺に敬語を使っていたりする。俺は当然のように全員に対し敬語だけど、みなさん曰く、ですますつけただけのタメ語というものらしい。つまり生意気な後輩ってことだろう。ただ、このメンバーは非常にチームバランスが良く、居心地が気持ち悪いくらいに良かった。いつか別れが来るだろうとは最初に集まった時から感じていたが、それでもそれまでにたくさん遊べたらいいなあ、と俺は思っていた。ここらへんで話を戻す。加藤さん、木原さんといつものカフェでダべっていて、夜の9時ごろ、急遽喜多さんを誘ってみることにした。

今思えば物凄い無茶ぶりだった。例えば、あんまり仲が良くなかったクラスメイトに卒業から一年後、前振りもなく電話して「今から遊ばない?」って誘っても普通は応じない。でも喜多さんは快く応じてくれたのだ。バイトで一緒だった時はそんな深い話とかしたことなかったし、こっちから呼んどいて会話に困ったことを覚えている。

ちゃんと話してみると、喜多さんは相当に変人だということがわかった。芸大の人全員がそうというわけではないだろうが、発想とか考え方がどうも常人とは異なっている。俺もこのメンバーからはよく、変わっている、捻くれすぎている、と専ら変人扱いされていたが、喜多さんはそんな俺からしても相当に変人だった。友達に上げる誕生日プレゼントってどんな物がいいのだろうって話になった時、喜多さんは当たり前のように「図鑑」と答えた。そんな感じの人だ。とにかく一本図太い芯が通っていて、俺の提案とか加藤さんの進言なんかには一切耳を貸さない。自分のことは自分で決める。もちろん参考までに話は聞くけど、最終的には自分で判断する。そういう人だった。

だから喜多さんはこの三年間、俺達にあまり悩みとかを語ったことがない。これが楽しかった、あそこに行って見たい、と積極的に提案なんかはしてくれるんだけども、弱さを見せたことがなかった。

やがて木原さんが結婚して韓国へ行ってしまい、メンバーが一人減ってしまった。女性一人だけになっても喜多さんは俺と加藤さんと普通に遊んでくれた。そんな喜多さんも2008年一杯でとうとう卒業してしまうことになった。俺も詳細は良く知らんのだが、京都を拠点に活動している芸術家の団体にこの度、所属することが決まったらしい。依頼された仕事をこなすとかいう話だから小さい会社みたいなものだと思う。

なので、年明けには京都へ引っ越してしまうのだという。

この日は卒業式兼送別会ということで、昼に奈良の大神神社、長谷寺へ行き、最後はいつものようにいつものカフェで、ということで、いつものカフェで集まっていつも通りダべっていた。その時に俺と喜多さんは初めてぶつかった。喜多さんが京都で住むことになっている借り家を友達♀とルームシェアする、というくだりの時だった。

何でもその友達は今現在、とある大物芸術家と不倫の関係にあるのだという。俺はサラッと、友達だったら止めるのが筋ではないか、と言った。もちろん私も言ったけど、物事はそんな単純じゃない。友達(友達も芸術家の卵)はその大物芸術家から色々芸術のことでアドバイスをもらっているんだし、とか言った。その発言に俺は妙にカチンときた。不倫を正当化するためのただのいい訳だろそれ。

「本人も不倫はいけないことだってわかっているし、ごく普通に結婚願望もあるけど、どうしようもないんですよ」
「結婚願望もあるのに、何で不倫続けてるんです?アドバイスとかってそんなのただ不倫を正当化するための言い訳でしょう」
「だから、私も止めましたよ。だけど本人がやめられないんだから、しょうがないじゃないですか」
「今度ルームシェアするんでしょう?別に一緒に住む人だから特別ってわけじゃないですけど、僕だったら不倫している友人と一緒に住むのは抵抗ありますけどね。僕としては不倫っていけないことだと思いますし、そういう価値観が合わないと、他の面でも合わない部分って出てくると思うんですよ。もちろん、絶対ってわけじゃないですけど」
「何で不倫してるっていうだけで、そこまで拒絶できるんです?不倫してることなんて、友達のほんの一部分だけなのに。どうしてそんな側面を見ただけで拒絶できるんですか!」
「あのですね、不倫ってダメなことでしょう?本人もダメってわかってる。相手の人には奥さんも子供もいるんですよ。いくらバレてないといっても、少なくとも奥さんと子供は傷つけてる。喜多さんはそれを止めることができる一番近い場所にいるわけでしょう?だったら傷ついても止めてあげるべきじゃないんですか?」
「だから止めたって言ってるじゃないですか!それでも止めないんだから、あとはもう本人が判断することでしょう!」
「喜多さんは自分に害が及ぶことを煩わしがってるだけな気がするんですよ!最終的に自分が判断するっていうのは同意ですけど、僕は最終的な局面まで喜多さんが友達を諭したって気がしないんですね。喜多さんはぶつかる前に自分から手を引くきらいがあるでしょう?確かにメンドクサイですし、僕も似ているからわかるんですよ。でも、一緒に住むとなれば話は別ですよ。相手のことで不満があるなら全部言いますし、そこをうやむやにしてしまったら自分が苦しくなるだけですよ」
「苦しくなるってどういうことです?」
「人ってそれぞれ生き方とか価値観が違うでしょう。自分が当たり前だと思ってることでも、人によっては非常識なことかもしれない。一緒に住むとなると、そういう些細な擦れ違いがたくさん出てくると思います。そこを譲り合って、すり合わせていくっていう作業がまずあると思うんですけど、喜多さんはそこをですね、ぶつかる前から受け流そうとしてる節があるんじゃないかって、そう思うんですよ」
「私だってダメなものはダメと言いますよ」
「でも最終的には本人の判断に任せるんでしょう?」
「それはそうですよ」
「僕も基本的には同意ですけどね、一緒に住むとなったら妥協はしませんよ。どんなにぶつかっても、自分の意見を貫き通して、相手を納得させる場面も必要だと思います。喜多さんは物凄い大人な意見を持っていると思いますけど、それだと自分を苦しめる場面がたくさん出てくると思います。わがままでいいと思うんですよ。ある程度は」
「自分でもわかってるんですよ。そういう自分がイヤだったりもしますけど、それでも自分の考えは変わらないじゃないですか」
「たまには他人の意見を鵜呑みにする必要もあると思いますよ。同じように、相手ととことんぶつかってでても自分の意見を貫き通す必要もあると思います。ルームシェアしている友人を知ってますけど、仲がいいほど上手くいかないって話はよく聞きます。ストレスが溜まるらしいんですよ。相手に悪いから自分の意見が言えずに、その積み重ねが辛いらしいです」

そんな感じで、卒業式に喜多さんと初めてぶつかってしまった。仲が良いってお互いのことを認め合って理解し合うことだと思うけど、この三年間、喜多さんは自分の弱みや悩みごとなんかを言ったことがなかった。それって仲がいいと言えるのか。俺と加藤さんのことを信頼していないんじゃないか。もちろん俺達はいい歳をした大人なんだし、居心地のいい関係を作るだけなら前向きな発言や行動を徹底することが賢明だと思う。でも、三年間一緒にいて、相手のことを実は良く知らないっていうのは、あんまり寂しいじゃないか。

「私は、本当に自分のことを相手に話したりすることが苦手なんですよ。悩み相談とかも苦手。高校生のときは軽い人間不信でしたし。前に付き合っていた人にも、付き合っている気がしないって言われたことがあります」
「人付き合いって綺麗なものじゃないですから。相手の嫌なところを見ないようにしたり、自分のいいところだけを見せようとしたって、上手くいかないです。綺麗事は所詮綺麗事なんですよね。時々はわがままになってくれないと、逆に不安になったりしますよ。僕は喜多さんのことを友達と思ってますから、ちゃんと自分の意見をぶつけてます」

なんというか、ぶつかってみて今まで知らなかった喜多さんの側面が見れたりして、最初やべーなーとか思ったけど、最終的によかったと俺は思っている。とりあえず不倫は良くないだろ。お互い気持ちいいから、っていう理由だったら俺も何も言わないけど、アドバイスとかっていうワケのわからんワードが出てきてムカついてしまった。俺はとりあえず大人気なさ過ぎる。

何にせよ、喜多さん今までありがとうございました。卒業してもOBとしてたまには遊びましょう。京都なんて目と鼻の先ですし。

これでメンバーは加藤さんと俺だけになってしまった。男二人でこの先何すりゃいいんだよ!



とりあえず以上

machura at 22:29│Comments(0)TrackBack(0)

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