2011年02月04日

インカインチ

インカインチ



結論

鮮やかな緑色をした、星の形の莢が目を引く「インカインチ」と呼ばれる不思議 な植物があります。南米ペルーのアマゾン熱帯雨林が原産地です。この星型の「 莢」の中に生るナッツを、コールドプレスで圧搾した「グリーンナッツオイル」 が、日本のマーケットに登場してから今年で5年目。女性誌や生活提案誌を中心と したマスメディアが、「体に良い油」や「美容に役立つ油」などとその魅力を紹 介する機会が増え、徐々に知名度が高まっています。一万、2008年の日本脂質栄 養学会発行『脂質栄養学第17巻、第2号』に掲載された論文では、ラットにおける 26週間混餌投与実験によ り、グリーンナッツオイルの慢性毒性に関する安全性が評価され、2010年3月の『 脂質栄養学第19巻、第1号』掲載論文では、グリーンナッツオイルが持つ優れた抗 酸化機能について、ヒト試験によるエビデンスが提示されました。オメガ3リッチ でビタミンEを多く含む、この新規食用油が、エゴマ油やアマニ油と並ぶか、また はそれらを上回る生理機能を有する可能性が明らかとなりつつあります。

インカインチとは?

インカインチは、ペルーアマゾン熱帯雨林に分布するトウダイグサ科の蔓系常緑 樹で、地域によって「サッチャインチ」と呼ばれていますが、学名は「プルケネ ティア・ボリビリスL.」と言います。1989年にペルー国立農業技術研究所がイン カインチに関する研究に着手しました。その中でブラジル、エクアドル、コロン ビア国境付近を含むペルー国内を対象にフィールド調査が実施され、52種類のエ コタイプ及び品種を収集、その後の研究で8種類が優良品種として選定されていま す。

インカインチが現在のように農産物として栽培が開始されたのは、今から10年程 前のことで、このペルーアマゾン原産のナッツにビジネスとしての価値を見出し た、自然愛好家でもありまた発明家としても知られるペルー人のホセ・アナヤ博士 が、農民にアグロフォレストリー栽培(農地に樹木を植えて森林を育てながら、 樹間で農作物の栽培をする)を奨励したのが始まりと言われています。その後、 アナヤ博士が設立したアグロインダストリアス・アマゾニカス社は、インカインチ オイルを、2004年のフランスSEAL国際見本市に出品し、オメガ3脂肪酸の含有率の 高さが注目を集めました。同年6月には、食の都パリで開催された国際食用油コン クール『パリ・ウォルル食用油サロン』において、オリーブオイル以外の植物油分 野で金賞を獲得し、これがきっかけとなり、ペルーの都市部でも注目を集めるこ ととなりました。

インカインチの伝統的利用法

国立ペルーアマゾン研究機関の資料では、紀元前後から西暦700年頃まで、ペルー 北部を中心に繁栄したモチェ文明の遺跡から、インカインチの莢を模った土器が 出土するなど、その利用の起源は古く、プレインカ時代から日常的に利用されて きたことが書かれています。インカインチの食経験としては、妙り豆(セコヤ、 カンドシ、ヤネシャ、カシボ、ダパナウア、ボラ)や若葉のサラダ(ヤグナ、コ カマ・コカミリヤス、シピボ・コニボ、チャヤウィタス)があり、また、「食」以 外の利用法としては、シャラナウア、ヤネーシャ、アラワカ、アグアルーナ、ア ラベーラ、チャラウィタ、ヤガ、シピボ・コニボ、ウィトト、ムルイ、カンパ・デ ル・グランパホナル、マチゲンガ、カンパ・アシャニンカ、マヨルナ、サンマルテ ィンやティグレのケチュアなど多くの先住民部族において、バタンなどの道具を 利用しオイルを搾り、灯明などの燃料とする利用法があったと触れられています 。さらにマヨルナ、チャヤウィタ、アシャニンカ、シピボ・コニボ、ヤガス、ボラ などの先住民部族では、インカインチから搾ったオイルと搾り粕の粉末とを混ぜ 合わせクリームを作り、それを直接肌に塗布し、肌の若返りや活性化に役立て、 また、オイルを直接体に塗り込み、炎症を鎮め、筋肉痛やリューマチの回復に利 用することもあったと、美容や健康に資する利用法が紹介されています。

インカインチの実がなるまで

ペルーアマゾンは、標高の低い「低地ジャングル」から、アンデスとの境界に至 る標高の高い「高地ジャングル」まで、世界的にも稀有な、実に多様な熱帯雨林 環境が特徴です。ペルー国内には約25000種類の植物(世界の約10%)があり、そ の内4000種類にものぼる有用植物が、日々の営みの中でさまざまな用途に利用さ れているといわれていますが、インカインチもペルーの多様な自然環境が生み出 した貴重な植物資源の一つです。インカインチは蔓性の半木質の植物で、写真に あるように雄花と雌花を持ち、虫や風により他家受粉し、結実します。種まき後 約7カ月で最初の収穫があり、 一年を通じて成長を続け、毎月収穫があり、雨季 に収穫のピークを迎えます。星型の莢の中には4〜9つの種実を付けますが、緑色 の莢が褐色に熟すると、収穫の合図です。収穫後、種実は莢を剥かずそのままの 状態で、風通しの良いところに保管しますが、そうすることで、長期間に渡く品 質の劣化を防ぐことができます。インカインチの生産地の中には、道路などのイ ンフラが整っていないところも多くあり、特に雨季には収穫物の運び出しが困難 になることから、長期保存のきくインカインチは、自然環境や社会的条件の制約 を受けることが少なく、ペルーアマゾンの広い地域において、適地適作となる可 能性を秘めています。

インカインチの成分

インカインチの種実の栄養成分は以下のリストの通りで、脂質が約5割、タンパク 質が3割強を占めています。

■インカインチのタンパク質とアミノ酸組成

インカインチのアミノ酸組成について、2002年にフロリダ州立大学の研究グルー プが興味深いデータを発表しています。これによると、インカインチには、WHO世 界保健機関が推奨するアミノ酸摂取パターンとの比較において、2歳以下の乳幼児 に対し摂取が推奨されているヒスチジンを除き、すべての必須アミノ酸について 十分な量を含有しているとされています。これは、成人のアミノ酸摂取要求に対 しては、完全なタンパク質であることを意味しますが、我々の知るところでは、 植物の種子由来としては、これほどまでに栄養的に完成度の高いタンパク質は、 他にはありません。加工を加えない生のインカインチの種実は、TPCKトリプシン 、TCKLキモトリプシン、ペプシンといった消化酵素によって完全には消化されま せんが、加熱変 性させれば直ちに消化されることが、試験管実験において確認されています。ま た、実験を行なった3種類の消化酵素のうち、ペプシンが加熱変性したインカイン チを加水分解するにあたり最も有効であることも確認されています。

●脂質、脂肪酸組成、抗酸化カ

インカインチの脂質を構成する脂肪酸組成としては、オメガ3不飽和脂肪酸(α- リノレン酸)が多く、概ね50%を占めています。オメガ3の含有量としては、日本 のマーケットで現在手に入る植物由来のオイルの中で、最も多い部類に入ります 。一方、オメガ6(リノール酸)の含有率は30〜35%ですから、必須脂肪酸(オメ ガ3とオメガ6)が全体の80%以上と高い割合を占め、かつバランス良く含まれてい るのが特徴です。ま た、酸化防止効果を有するビタミンEも200mg/100g以上含んでいます。このオイル の抗酸化性能をPAO-SO検査で測定したところエキストラバージンオリーブオイル の約2.5倍という、極めて強い抗酸化力を有する結果が示されました。これを踏ま え、昭和女子大学・福島正子教授の研究グループが行ったヒト臨床試験では、DNA の酸化損傷抑制作用が突き止められています。この研究成果は、日本脂質栄養学 会の 学会誌「脂質栄養学Vol.9 No.1」(2010年3月発行)に掲載されましたが、強い抗 酸化作用を持つ、新しいオメガ3系の健康油が出現したとして、話題を呼んでいま す。

実験データ紹介 〜活性酸素の発生抑制効果

日本脂質栄養学会第18回大会(2009)発表要旨集より抜 1)昭和女子大・生活機構、2)昭和女子大短大・食物、3)日研ザイル・老制研、
お茶の水女子大学・人間文化創成科学
○福島正子 1)、竹山恵美子 2)、志賀清悟 2)、竹内征夫 3)、小林哲幸  4)


【方法】

グリーンナッツオイルは、NPO法人アルコイリスから供与されたものを、キヤノー ラ油は市販のものを用いた。対象は20代を中心とした女性7名とし、通常の食事の 後、3日間統一した食事を摂り、早朝に採取した尿と、採血後遠心分離した血清は -80℃に保有した。引き続き、献立にグリーンナッツオイルを一日当たり10gとな るように加え7日間の摂取後に、採尿.採血をした.その後同一の献立に対しグリー ンナッツオイルをキヤノーラ油に換えて7日間摂取後に、採尿と採血を行い同様に 保存し、試料にした。尿は量と蓄尿時間を記録するとともに、DNA酸化ストレスマ ーカー(8-OHdG)と尿中クレアチニン量を測定し、体重に対する時間当たりの8- OHdG生成速度(DNAの酸化損傷を知る酸化ストレスマー力ーとなる)を求めた。ま た、血清中の抗酸化力を抗酸化能力(PAO)測定キットにより求めた。血清中のト コフェロールは、高速液体クロマトブラフィーにより測定した。

【結果・考察】

DNAの酸化損傷を示すマーカーである8-OHdGは、グリーンナッツオイル摂取前に比 ベて摂取後有意に低下した。さらに、キヤノーラ油に換えると再び価は上昇した 。一方、抗酸化力は、グリーンナッツオイル摂取後に上昇し、キヤノーラ油に換 えることによって低下した。これらのことから、グリーンナッツイルは高い抗酸 化力を持ち、DNAの酸化損傷を抑える働きを有することが認められた。

グリーンナッツオイルの美味しい使い方

ルーアマゾン産インカインチを100%使用しています。オメガ3リッチで天然の抗酸 化成分を多く含むインカインチ由来の「グリーンナッツオイル」は、妙め物など の加熱調理にも利用することができ、酸化防止剤を添加していないにもかかわら ず、比較的長い賞味期間を提供します。「グリーンナッツオイル」の風味は、油 としてはあっさりしていて食べやすく、色々な食材と合わせて調理すると、食材 の持つ美味しさを引き出すので、優れた調味料と言うことができます。オリーブ オイルのように、オ イルをパンに浸して口に入れると、最初にほのかな果実臭と圧倒的な緑の味を感 じますが、オリーブオイルよりもサラサラしていて、直ぐにシユツと舌の上から 消えて行くので、後味は爽やかです。最後に、グリーンナッツオイルの美味しい 使い方として、アンチエイジング料理レシピをいくつかご紹介します。

グリーンナッツオイルの味噌フォンデュ

【材料】 長ねぎ・・・・1本
松の実・・・・10g
くるみ・・・・10g
味噌・・・・50g
みりん・・・・大さじ2
日本酒・・・・小さじ1
ガーリックオイル・・・・適宜
(にんにく1片、グリーンナッツオイル適宜)

【作り方】

1.にんにくをみじん切りしてグリーンナッツオイルを注いでおく。
2.長ねぎをみじん切にして、ローストした松の実、くるみも刻んでおく。
3.ボウルに、味噌、みりん、日本酒、「2.」 を入れてよく混ぜる。
4.鍋に「3.」の味噌ソースを入れ、ガーリックオイルを入れてのばし、弱火で 加熱する。専用ポットがあれば移し、加熱しながら季節の野菜をつけていただく 。ない場合は加熟したソースを器に入れてつけていただく。


おからマフィン

【材料】A

薄力粉・・・・100g
ベーキングパウダー・・・・小さじ1
イタリアンミックスハーブ・・・・大さじ1

【材料】B
おから・・・・100g
豆乳・・・・150cc
グリーンナッツオイル・・・・大さじ2
メイプルシロップ・・・・小さじ1
塩・・・・小さじ1/2

【作り方】
1.Aの材料はボウルに入れて混ぜておく。
2.別のボウルにBの材料を入れて混ぜ、Aを加えてゴムベラでさっくり混ぜ合わせ る。
4.マフィンカップに生地を入れて妙り大豆をトッピングして、200度のオーブン で20分焼く。

料理レシピ協力:タカコ・ナカムラホールフードスクール



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