2011年02月07日

栄養素5 [ミネラル]

栄養 素5 [ミネラル]



●PROFILE
ほそかわ・かずひろ
1948年、愛知県豊川市生まれ。東西医学、心身医学、食養法、民間医療等を統合 し、総合的健康法・治療法の実践的研究を40年以上行う。自分自身を自在にコント ロールするBRM(脳内体験)と食養をベースに統合的・根本的な指導をする。現在は 生活改善指導の講演会や健康セミナー、個人相談、ワークショップなど幅広く活 動している。月刊『マクロビオティツク』に「マクロビオティツクでトータ ルライ フデザイン」を好評連載中。著書に「食養読本(女性編)」「食養生大全」(共著)な どがある。



身体を構成する主成分タンパク質

ミネラルは、水とともに生命を支える重要な栄養素である。体内に存在するミネラルは、全体で体重の4.35%ほどのわずかな量であるが、重要な機能を持っている。ミネラルについて明確な定義はないが、栄養学においては有機物を形成する元素である炭素、酸素、水素、窒素を除く他のすべての元素がミネラルとされている。

人体を構成する主な元素は、約70種類。そのうち6種類が、ミネラルである。ミネラルは、過剰でも不足でも体は異常を起こす。特に必須ミネラル16種は、一つでも不足すると重大な障害が起きる。著しく不足すると、死を招くことすらある。

現代人は、ミネラル摂取量が常に不足気味

体内に存在するミネラルのうちとくに多く存在するカルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、イオウ、塩素、マグネシウムの7種を、主要ミネラルという。このうち、イオウと塩素以外のミネラルは、不足すると欠乏症が発生する。これら7種以外のミネラルを、微量ミネラルという。微量ミネラルのうち、不足すると欠乏症が発生するものは、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、モリブデン、コバルト、クロムである。不足すると障害が発生するこれらのミネラルが、必須ミネラルとされている。

ミネラルは元素であるため、体内で合成することができない。したがって、常に食物から摂取しなければならない。摂取基準については、厚生労働省の方針が明確ではなかったが、2005年に一応の「めやす」が策定されたがこれも暫定的であり、今後も変化していくであろうと思われる。

現代人は、ミネラル摂取量が常に不足気味だ。とくにカルシウムと鉄は、厚労省の調べによると、30年間にわたって毎年不足しているという結果が報告されている。亜鉛も不足気味だ。ナトリウムは、摂取過剰と言われている。しかし実際は、大半の人がナトリウム不足である。世界保健機関(WHO)では、推奨摂取量を1日6g以下とされている。これは日本の実情には合わないので、厚労省は1日摂取量を8〜10gとしている。1万、カリウムやマグネシウムは、多くとるように推奨されている。

ミネラル摂取において重要なのは、質とバランス

人の身体は非常に複雑精妙であり、個人差が大きく、状況によって変動するものだ。それを一律に決めることはできない。ミネラル摂取において重要なのは、質とバランスである。良質でバランスのよい総合ミネラルを含む食物を主にとっていれば、体内でのバランスは保たれるものである。さらには、健康条件が良ければ、自らのホメオスターシス(恒常性)の機能が、自動的に微調整を行うことができる。

ホメオスターシスとは、人の体内環境を常に一定に保ち、生命活動を円滑に維持する機能である。ホメオスターシスのレベルは、健康レベルとイコールだ。つまり、生活条件を高め、マクロビオティックに基づいた食生活を実践していれば、ミネラルバランスは自然に保たれるのである。

ミネラルの供給源として、最も重要な食物は塩である

塩は、人体が必要とするすべてのミネラルを、バランスよく含んでいる。塩は地上の食物(植物)をとる場合、ミネラルバランスを保つために不可欠なものである。地上の植物に含まれるミネラルはアンバランスで、 とくにナトリウムが極端に不足している。そのために、塩を補わなければならない。

塩は、人体のミネラルバランスに近いものが適する。最もバランスがよいのは、海水を濃縮した塩である。海水中には有毒物質も含まれているが、長時間加熱することによって有毒物質は気化してミネラルだけが残る。直接口にする塩は、このようなミネラルのみの「焼塩」が最良である。

塩を多量に含む味噌、醤油、梅干なども、ミネラルの供給源として欠かせない。味噌・醤油は、ミネラルのほか、ビタミン、アミノ酸、酵素、その他有効成分を多量に含んでいる。優れた自然薬にもなる。胃腸の機能を高め、腸内有用菌の繁殖を促し、腸内環境を整える。血液を浄化して血流を促進する。肝臓、腎臓、心臓の機能を高め、血管を柔軟にして動脈硬化を防ぎ、血圧を安定させる。活性酸素を消去し、免疫力を高め、アレルギーや炎症を改善する。

良質な焼塩、味噌、醤油、梅干などを常にとることによって、ミネラルをバランスよくとることができる。

一般食物では、海藻がもっとも多量に含まれミネラルバランスがよい。海藻に含まれるミネラルは、種類によってそれぞれ成分比率が異なるので、いろいろなものを交互にとっていくのがよい。

ナトリウムとカリウム

ナトリウムとカリウムは、重要な役割を担っている。陰陽を決定する条件の中でも、大きな要素となっている。ナトリウムは陽性の元素の代表であり、カリウムは陰性元素の代表だ。ナトリウムとカリウムのバランスが整っていないと、身体は狂ってくる。

厚労省の推奨する量にしたがっていくと、ナトリウム不足、カリウム過剰になる。こうなると陰性の影響を受け、細胞レベルで拡張し臓器をはじめ体内器官はみな弛緩して機能が低下してくる。陰性過剰になると全身細胞は機能低下して、血液とリンパの循環が悪くなり、代謝が低下する。エスカレートすれば、病気にもなる。低血圧、冷え症、貧血、内臓下垂、心臓機能低下、腎臓機能低下、認知症、ガンなど、様々な病気を引き起こすことになる。

最近では、極端な減塩をして、生野菜や果物を多量にとる食事を実践する人が増加している。中には、そういう食事で体調がよくなる人がいる。しかし、それは一時的な現象であって、しばらくすると病的な状態になっていくことは間違いない。ナトリウム不足・カリウム過剰の典型だ。しばらく、ナトリウム不足の食事を続けると、身体は順応してくる人もいる。しかしそれも限界がある。きわめて危険である。

野生の動物は、ナトリウムの再吸収機能が高いので、塩分の補給は少なくても生きられる。人のナトリウム再吸収機能(腎臓)は、99%以上だが動物よりは低い。したがつて常にナトリウムを補っていかなければ、生きていくことはできない。ナトリウムが限界を超えて不足すると、心臓は収縮できなくなり停止する。

ナトリウムとカリウムは、連携して細胞内外の水分のバランスを保っている。細胞膜は、ナトリウムを細胞外に出し、カリウムを細胞内に入れるという機能をもつている。血液中にナトリウムが過剰になると、血管内の水分が増えて血圧が上がり、器官の細胞は機能低下する。カリウムが過剰になると、細胞内の水分が過剰になり、器官の細胞は低下する。どちらの場合も、身体がむくんで冷えてくる。

末梢神経の刺激信号を中枢に伝えるときには、ナトリウムとカリウムの細胞内外の移動が電位を発生させて伝達する。

カルシウムは、なくてはならない重要な存在

カルシウムは、神経系の信号の伝達に重要な働きをしている。神経細胞は、電気信号と伝達物質とが交互に作用して情報の伝達を行っている。神経細胞は、脳細胞をはじめ全身に分布して生命活動をコントロールしている。神経細胞の伝達がわずかでも狂うと、たちまち全身の機能が障害をおこす。精神状態にも、異常をきたす。

脳で発した信号が全身に伝えられ統制をはかるとともに、身体の各部からの膨大な信号は脳に伝えられ、全組織がコントロールされている。複雑精妙な人体が、滞りなく健全に機能できるのは、脳・神経系の統制機能が重要な役割をはたしている。したがつて、カルシウムは、なくてはならない重要な存在である。

神経細胞が、次々に他の神経細胞に情報を伝達していくとき、電気信号と伝達物質とが交互に伝えていく。脳細胞も自律神経も、信号伝達は同様に行われる。信号伝達物質は、アセチルコリンなどが神経細胞の末端で分泌されて伝達される。このとき、カルシウムイオンが神経細胞に侵入して、伝達物質の放出をにすことによって次の神経細胞に情報が伝わる。これが繰りかえされて、相互に情報がやりとりされている。カルシウムがわずかでも不足するとこの伝達が滞るため、精神と身体が同時に異変を起こすのである。

また、身体を動かすために活動する筋肉細胞は、カルシウムに支配されている。筋肉細胞が活動するためには、カルシウムイオンが細胞内に入リスイッチをオンにすると細胞が収縮をする。つまり、カルシウムの作用がなければ、身体は動かすこともできないのである。心臓や動脈が伸縮活動をくりかえして血液を循環させるためにも、カルシウムが作用している。胃腸や胆のう、膀胱なども筋肉細胞でできている。

カルシウムの99%は骨格中に存在し、他は歯、筋肉、血液中に含まれている。血液中のカルシウムはイオンの形で含まれ、多くの酵素の作用に関与して生命活動を円滑にする。また、免疫細胞の活動、体液のpHの調節など、多岐にわたる役割をはたしている。

以上のように、カルシウム、ナトリウム、カリウムの機能をみると重要な存在であることが理解できる。他のミネラルも、それぞれ重要な役割を担っている。すべてのミネラルをまんべんなく、バランスよく常に摂取することが必要である。



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