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私的公開日誌@ウェブ暦:111125.01

(2)のブログでは、ゲーミフィケーションをマーケティングコミュニケーションというフィルターを通せば、一種の顧客ロイヤリティプログラムのようなものであり、そのように考えれば、私たちの生活は既にそうした体験に満ちているということの述べた。

今回は、そうした私たちの日常にあるゲーミフィケーションの事例を見てみよう。そうすれば、一見すると新しく難しいようなこのコンセプチュアルな考え方も、「なんだ、そういうことか!」と実によく納得できるだろう

この連載も、今回が最終回となる。


■誰でも知っているゲーミフィケーション、それはスタンプラリー

実社会のゲーミフィケーションの事例としては回転寿司の「くら寿司」プロモーションカードが取り上げられたが、私が一番最初に頭に浮かんだのはスタンプラリーである。

私が知っている範囲内でも、これは実に良くできたプロモーションだと思っている。
スタンプラリーは、参加性があり汎用性が高いユーティリティプロモーションの手法として活用されている。最初にこれを導入したのはJRだったか私鉄だったかの記憶は定かではないが、それは大した問題ではない。

今日では、地下鉄やバスをはじめとする他の交通事業者も活用しており、夏休みや春休みともなれば、子供たち同士や親子などがスタンプ帳を持って、各駅でスタンプを押している光景は、既に一種の風物でさえある

さらに、この手法は旅行・観光会社などから商店街や地域興し、はたまたコンビニまでもが導入している。

その手法は基本的にどれも同じである。専用帳に各駅(場所)に用意されたスタンプを集めてまわり、その達成度の応じて特典やグッズ(鉄道模型など)がもらえるようになっている。スタンプは、花、昆虫やその地域の名所だったり、あるいは人気の漫画のキャラクターだったりする。

特に驚くような凝った仕掛けが用意されている訳ではない。一過性的な話題ではなく年中行事化あるいは風物詩として支持されているプロモーションは希有である。だが、毎年参加している人たちには、スタンプ帳にはその年の様々な想い出が詰まっている。

ゲーム的な遊び心と参加性があり、しかも他の子供たちや親までも巻き込んでしまう

この件を、懇親会の折、登壇者のキューエンターテイメントの内海さんと話をした時、同じような見解だった。


■日常に用意された様々なゲーミフィケーション

その他には、一時は異常なブームとなった食玩も一種のゲーミフィケーションである。

本来はお菓子の「おまけ」として、トレーディングカードなど玩具として付属しているものだ。それが、集めることの楽しさに溺れ、本来の目的とは異なる食玩欲しさのためにそのお菓子を繰り返し買うことになる。

かく言う私も、「スタートレック」大ファンなので、惑星連邦をはじめピンバッチ20種類欲しさに、段ボール1箱丸ごと菓子を購入したことがある。 余談だがピンバッチ20種は揃った。

一方では、お菓子ではなくおまけ欲しさに菓子を購入するという逆転現象まで起きてしまい、菓子を捨てることが問題となった。
最近では、缶コーヒーの上部におまけをつけ、さらにシールで応募するとプレゼンをもらえるのがキャンペーンがよく見られる。

また、カード会社や航空会社のマイレージサービスなども同じだろう。ポイントに応じて特典としてもらえる商品が異なり、欲しい商品がもう少しのポイントに達するとなると、現金支払いの少額でもポイント稼ぎのためにカードを使うことになる。

私はしないのだが、カラオケの点数をつけるのもゲーミフィケーションである。
高い点数を取ることに夢中になり、そのカラオケにせっせと通ってお金を使うことになる。

こうしたことは、いずれも手段が目的化してしまうの人間を端的に現しているし、そこに遊びや楽しさを見つけ出すと中毒症状を起こしやすくなる

もちろん、ゲーミフィケーションといえば、それを最も象徴しているのがゲーム内課金である。


■ゲーミフィケーションの今後

こうしたことのほか、思い当たることが多いゲーミフィケーションであるが、今後の課題として以下の3点が上げられていた。

1.マネタイズ
2.ビジネスモデル
3.エコシステム


上記の3点は、何れもビジネス(事業)としてどのように成立させるかということに密接に関わっている。現状では、広告のプロモーション施策としてか扱われていない。

また、ゲーム会社は、「ゲームだけ」という発想から、いかに脱却できるかということにかかっているとも語っていた。むしろ、ゲームに拘泥しないところからそうした新しいゲーミフィケーションが立ち現れてくるような気がするとも述べていた。

現在、ゲーミフィケーションは、主に企業のプロモーション施策としてしか認知されていない。

しかし、ゲームという言葉の響き(あるいは抵抗感)にとらわれることなく、「ゲーム感覚」や楽しい遊び心」と考えれば、そうした“要素”を活かせる場はいくらでもあるだろう。

例えば、居酒屋「塚田農場」では、工夫したゲーミフィケーション的手法を取り入れている
実は、この3番目のポイントは8月にオープンした鳥料理「じとっこ組合 下北沢店」で体験した。帰り際に小さなタッパウエアに味噌を頂いたが、次回の来店時に空で持参すると補充してくれる。

セッションでは、様々な事例をもとに「もてなし」という考え方や視点が不可欠だということが強調されていた。
要するに、基本となる原理(コンセプト)を押さえておいて、いかにそれを応用できるかにかかっている。利用者(顧客)にいかに楽しんでもらうかという点では、まさにもてなしの感性が重要である。

だから、ゲームで蓄積されたノウハウ・知見(効果・効能)などを、いかに別の分野(ゲーム領域以外に応用・適用させる仕組みを構築できるかが問われる

そう考えれば、今後は企業内の人材育成、プロジェクトマネジメントなどの組織運営などのビジネスや企業文化育成、教育におけるエデュテイメント、医療や介護のリハビリテーションなど、およそ人間活動する全ての領域での応用例が出てくるだろうことに期待したい。

また、マーケティングコミュニケーション関係者にブログとして立ち上がり、私もブロガーとして参加している<com × us(カンバス)>には、先日も「2つのマーケティング新潮流に思うーーインバウンドマーケティングとゲーミフィケーション」というブログを書いたので、あわせてご笑覧願えればありがたい。


▼塚田農場のゲーミフィケーションがすごい!4つのポイント
http://blog.bot.vc/2011/11/tukada_farm/

▼ゲーム嫌いも知らないと損するゲーミフィケーション入門
http://www.atmarkit.co.jp/fsmart/articles/gamification/01.html

▼ビジネスに取り込む「ゲーム的要素」——「ゲーミフィケーション」で訴求力を高める
http://www.nikkeibp.co.jp/article/tk/20111121/291173/

ゲーミフィケーションで顧客の変化に対応、セールスフォースのサイエンティストが語る
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20111006/370292/

なぜマーケティングにゲームの力が必要か? 5分で分かるゲーミフィケーション
http://bit.ly/w3Ao5w

▼進化するゲーミフィケーション(The Gamification Evolution)
http://hiromikubota.tumblr.com/post/4605138812/the-gamification-evolution

▼なぜゲーミフィケーションは効果的なのか?(Why Gamification Works?)
http://hiromikubota.tumblr.com/post/7921791774/why-gamification-works

▼ゲームで社会をよくする「ゲーミフィケーション」
http://s.nikkei.com/sht2Yi

▼BRIDGE 2011 November(イベント報道・レポート・動画)
http://bit.ly/a33zU4



(了)

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【おすすめブログ】
・「ゲーミフィケーション」とは何か(1)ーー BRIDGE 2011 Novemberに参加して
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1590840.html

・ 「ゲーミフィケーション」とは何か(2)ーーBRIDGE 2011 Novemberに参加して
http://blog.livedoor.jp/macumeld/archives/1592144.html

・2つのマーケティング新潮流に思うーーインバウンドマーケティングとゲーミフィケーション
http://www.z-pj.com/prlabo/archives/433#more-433