今年の東京国際映画祭では時間の都合でわずか数本しか観る事ができませんでしたが、友人のススメで観て面白かった映画が『ヨーデルは夢をみる』。

スイスの大自然を舞台にヨーデル・クラブに所属する人々の姿を追ったドキュメンタリー映画です。

民族、伝統文化として息づいているヨーデルがTVショーに出演したとたんに、様々な所から出演のオファーが届き、多忙になる。中国行きの話まで届いてまたとないチャンスと考える人がいる一方で、本業である牛の世話など山間での仕事などもおろそかには出来ないと考える人も出てきてグループ内に亀裂が生じはじめる・・・。

このヨーデル・クラブでは大らかな人柄の人々が集まって伝統の音楽を純粋に楽しむ姿が映し出されます。ただ、伝統的フォーク・カルチャーも現代的なポップ・カルチャーの波に飲み込まれると、ロックバンド同様にスケジュールなどで、意見の対立が生じてゆきます。そんな現代に伝統文化を守る人々の姿をカメラは追って行きます。

アルプスの大自然に響き渡る清らかなヨーデルの歌声という絵になる新鮮なアングルのドキュメンタリーで、荘厳なヨーデルはもとより、人と人との交流の重要要素であるハーモニーの大切さを静かに教えてくれる個性的な作品でした。