今年のアカデミー賞“Best Original Song” 部門ノミネーションを見ると、ほとんどがミュージカル・ソングとなっています。そんな中で唯一、アメリカ的カントリー・ソングで対抗するのが『Crazy Heart』の‘The Weary Kind ’です。

落ちぶれたカントリー・シンガーのバッド・ブレイク(ジェフ・ブリッジス)が女性ジャーナリスト(マギー・ギレンホール)と恋に落ち、長年のツアー生活で荒れ果てた自身の人生を見つめ直す・・・というドラマ。

本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされているジェフ・ブリッジスがカントリー・シンガーに扮し、劇中のステージ・シーンで自ら歌のパフォーマンスを披露しています。

音楽を担当したのが、ブリッジスの友人であり、ロックやカントリー・ミュージックのプロデューサーとしてグラミー賞を何度も受賞してきたT Bone Burnettです。『オー・ブラザー!』(00) や『ウォーク・ザ・ライン』(05) などの映画でもアメリカのルーツともいえるフォークやカントリー・ミュージックを手がけてきたBurnettですが、今回も人間臭いロックン・ロールやカントリー・ソングの数々を創り上げています。

出演者のジェフ・ブリッジスコリン・ファレルがミュージシャンとしてステージで歌うシーンは全く違和感が無く完璧でしたが、それにはカントリー・ミュージックの全てを知り、それぞれにフィットさせた曲を創り上げたBurnettの腕前によるところが大きかったと思われます。

アカデミー賞“Best Original Song ”にノミネートされたバラード・ソングの‘The Weary Kind’ですが、Burnettと共に作詞・作曲し、歌うのがRyan Binghamです。2006年にデビューしたばかりの若手カントリー・ロック・シンガーですが、その風貌に似合わず渋い歌声は人生の旅路の爽やかなドラマともいえる本作を感動的に彩っています。実はこの映画にもチョイ役で登場していて、冒頭近くのボウリング場ドサ廻りのシーンでバッド・ブレイクと共にプレイする若手バンドメンバーを演じていました。

先ほど行われたゴールデン・グローブ賞ではこの‘The Weary Kind’が“Best Original Song”を受賞していますが、アカデミー賞でも受賞なるか?注目です。